吉本は1年ぶりの大会復帰 それぞれがもてる力を発揮する大会に

フィギュアスケート

東京夏季大会 8月23、24、31日 東伏見・ダイドードリンコアイスアリーナ、三井不動産アイスパーク船橋

 炎天下、今年も東京夏季フィギュアスケート競技大会(以下、東京夏季大会)が開催された。早大からは、留学から戻り1年ぶりの大会復帰となった吉本玲(国教3=兵庫・芦屋国際中教校)を含めて4名が出場。アドバンスド・ノービスソロ・アイスダンスで初優勝を果たした穂積乃愛(人通2=東京・駒場学園)をはじめ、シーズンの本格化を目前に、各々が現在地を確かめた。

★女子SP

 早大勢のトップバッターとして登場したのは、1年生の中野真桜(政経1=東京・早実)。大学初の公式戦でプレッシャーもあったというが、『I Will Survive』のリズミカルな音楽に合わせ、堂々と華やかな演技を見せた。冒頭の3回転フリップから、3回転トーループ+2回転トーループのコンビネーション、さらに2回転アクセルと全てのジャンプを成功。最後までスピードに乗り笑顔で滑りきった。結果は35・87点で20位。惜しくも翌日のフリー進出は逃したものの、思い描いた演技が出来たと満足の表情を浮かべた。

 続いて登場したのは吉本。6月にアメリカ留学から帰国したばかりの吉本にとっては、1年ぶりの日本での演技となった。ショートプログラムは、2シーズン前から継続の『展覧会の絵』。可愛らしい音楽にのせ、今日も質の高い滑りを見せた。帰国直後のため調整が間に合わず、ジャンプは2回転を中心に普段よりも難易度を落としたが、スピン、ステップはミスなくまとめ、いずれも加点を得た。そして、吉本の強みである美しいスケーティングも顕在。ひと蹴りがよく伸びる滑りで、最後まで颯爽と駆けた。得点は34・61点で23位。「久しぶりの日本の試合を楽しめた」と笑顔を見せた。

★アドバンスド・ノービスソロ・アイスダンス

 ソロ・アイスダンスとは、文字通り一人で氷上を滑るアイスダンスで、ジャンプエレメンツがなく、表現力やスケーティングの質が重要になる。早稲田からは今年6月に練習を始めたという穂積が出場した。曲は昨季のショートプログラム『You’re a Mean One, Mr. Grinch』をアレンジしたもの。アップテンポな曲に合わせてスピードにのり、小悪魔的な魅力あふれる滑りで魅了した。冒頭連続のツイズルでは1点を超える加点も獲得し技術力の高さを見せる一方、ジャッジ席に頬杖をつきニコリと笑いかけるなどチャーミングな振り付けでも観客を沸かせ、「自分の魅力を最大限に発揮できる競技」だとの言葉通り、穂積らしい生き生きとした滑りを見せた。得点は52・67点で1位。「エレメンツ全てが自分の今出せる100%に近いものだった」と振り返る完璧な演技で見事初優勝を果たした。

★6級女子

 東京夏季最終日、6級女子の種目には新井さくら(人通1=東京・駒場学園)が出場。氷に膝をついて伏せるようにポーズをとった新井は、曲がかかるとゆったりと手を伸ばし静かに世界観に引き込んでいった。最初のコンビネーションジャンプはやや乱れたものの着氷。しかし後半、ルッツジャンプが抜けるミスが出てしまう。以降は体力面の課題もあり、立て続けにミスが出た。演技後には「悪いリズムのまま続いてしまった」と本人も悔しさを見せたが、長い手足を活かしたしなやかな滑りで大人の魅力を発揮した。得点は41・17点で8位。悔しい結果にはなったが、『Sweet Revenge』をおしゃれに演じきった。

(記事 荘司紗奈、田邉桃子、写真 荘司紗奈、川田真央、齋藤汐季)

結果

▽シニア女子


中野真桜

 

SP 20位 35・87点

総合 20位 35・87点


吉本玲

 

SP 23位 34・61点

総合 23位 34・61点


▽アドバンスド・ノービスソロ・アイスダンス


穂積乃愛

 

1位 52・67点


▽6級女子


新井さくら

 

41・17点 8位


コメント

吉本玲(国教3=兵庫・芦屋国際中教校)

―― 今日の演技を振り返っていかがでしたか

留学していたので、日本で試合に出るのが1年以上ぶりで。ジャンプとか色々な滑りの面では戻せていないのですが、久しぶりに日本の試合を楽しんで滑り切ろうと思って、それはできたので良かったと思います

―― 留学からはいつ頃戻られたのでしょうか

6月末です

―― 留学中はどれくらい練習できていましたか

一応リンクはあったのですが、向こうでの勉強が思ったよりも大変だったり、生活に慣れるのに時間がかかったりで2、3ヶ月くらい滑れていなかったんですけど、それまでは週4日1時間くらいは滑っていました

――東京選手権に向けて

来月に東京選手権があるので、そこに合わせていけるように練習を頑張ります。やはりジャンプが一番大事ですし、スピン、ステップのレベルの取りこぼしないようにというところも練習していきたいです

穂積乃愛(人通2=東京・駒場学園)

―― 今回の演技を振り返っていかがでしたか

 エレメンツ全てが自分の今出せる100パーセントに近いものだったと思います。ただレベルの取りこぼしや、一歩一歩の足の置き方、滑り方などまだまだ伸ばしていけるところがたくさんあると感じた試合でもありました

―― ソロダンスとはどのような競技ですか。シングルとの違いや魅力について教えていただけますか

 ソロダンスは、自分の魅力を最大限に発揮できる競技だと思っています。シングルと違ってジャンプがない分、どうやって見ている人を楽しませるか、今まで以上に表現力やスケーティングの質が大切になります。これまで良くも悪くもあまり深く考えてこなかった踊りや滑り方について真剣に向き合うようになり、その気づきがシングルにも良い影響を与えてくれるのではないかと感じています

―― ソロダンスを始められたのはいつからですか

  6月頃から練習を始めました

―― 曲は昨季も使用されていたものかと思いますが、プログラムのどのような点に違いがありますか。注目ポイントなどあれば教えてください

 シングルのときはどうしてもジャンプをとぶことに多くの意識が向いてしまい、踊ることとジャンプの両立がやや難しい部分もありました。ソロダンスでは自分が得意とする踊りをより表現できるので、さらに魅せることのできる演技をお見せできると思います。中でもプログラム中盤のスパイラルとキャラクターステップに注目してみていただきたいです!

中野真桜(政経1=東京・早実)

―― 今日の演技を振り返っていかがですか

今日が大学に入って初めての公式戦だったので、ちゃんとできれば良いなと思っていました。自分の思う演技ができたので、点数とかは関係なく良かったと思います

―― 初めての公式戦で緊張はありましたか

今までは、学校名を背負うのはインターハイに出た時くらいで学校を代表している感じはあまりなかったのですが、今回初めて早稲田を背負って大会に出るのがプレッシャーであり楽しさでもあり良い経験になったかなと思います

―― 今大会に向けてどういった点に力を入れて練習してきましたか

大学に入ってから練習時間が少なくなってしまったのですが、その中でも自分の出せる力を出すことをできるようにというところを考えてやってきたので、それが出せたのは良かったと思います

―― 東京選手権に向けて

東京選手権は、ここ(東伏見)ではなくて辰巳という新しくできたリンクでやります。がんばります

新井さくら(人通1=東京・駒場学園)

―― 今日の演技を振り返っていかがですか

  今日は練習でもしないようなミス、パンクだったり、ジャンプが決まらないことが多くて残念な演技でした

―― 今日の調子はどうでしたか。準備はどれくらいできていましたか

6分間練習ではジャンプの感覚は悪くはなかったので、このまま演技に繋げられたら良いなと思っていました

―― 今大会に向けて準備してきたこと、力を入れてきたことを教えてください

フリーで、自分は後半の体力を課題としていたので、体力をつけることを心がけて準備したり、スピンのレベルなども取りこぼしがないように細かいところまで練習をしてきました

―― 今回の演技を振り返って、課題を挙げるならどういうところですか

 一つジャンプをミスしてそのまま悪いリズムのまま続いてたので、切り替えが大事なのかなと思っています