7、8級の選手が4人出場!ミスありながらも存在感を示す演技を披露/インカレ7、8級

フィギュアスケート

 日本学生氷上競技選手権大会(インカレ)男女7、8級の競技。今年は早大フィギュア部門から4人が出場した。昨年末の全日本選手権(全日本)にも出場した西山真瑚(人通3=東京・目黒日大)はミスがありながらも伸びやかな演技を見せ10位に。女子は3人が出場し、それぞれの課題や試練を乗り越えた、シーズンのクライマックスに相応しい演技を披露した。

★7、8級男子

 大会初日の夜に行われた男子7級競技には、早大勢で唯一、西山が出場。初のインカレとなった西山。2週間前の全日本で披露したのと同じフリースケーティングのプログラム、『New world symphony/Anthem』を披露した。

 冒頭のジャンプは、予定構成では3回転アクセルだったが変更し、堅実に2回転アクセルを決める。続くコンビネーションジャンプは、1本目で着氷が乱れターンが入ってしまったが、2本目にしっかり3回転をつけた。「前半は割とまとまった演技ができた」と振り返るように、最初の4つのジャンプは全て着氷した。一方で『Anthem』のボーカル入りの曲になる後半は、3回転ループでの転倒やサルコウジャンプのパンクをはじめ、ややエレメンツに精細を欠く。「自分の気持ち的に万全な状態で臨めていなかった」、「後半ミスが続いて悔しい」、と次戦に向けて改善点の見つかる演技となった。それでも、見せ場のステップシークエンスではこの日も、曲と一体化するような伸びのあるスケーティングを見せ、演技構成点は出場全選手中4番目の高得点をマーク。西山らしい演技で初のインカレを終えた。

 今季をシングルスケーターとしてのラストシーズンと位置付け、来季以降はアイスダンスに専念することを発表している西山。シングルスケーターとして臨むのは、1月下旬の国体の残り一戦のみとなった。「最後は今まで培ってきた良い部分と今シーズンの悔しい部分や課題をブラッシュアップして、またシングルやりたいなと思うことがないくらい練習をして、国体に臨みたい」。有終の美へ向け、まだ伸び代はありそうだ。

演技をする西山

★7、8級女子

 6日に行われた7、8級女子の競技には、早大勢トップバッターで木南沙良(人通2=東京・日大一)が登場した。11月の東日本選手権後に判明した足のケガの影響で万全の状態ではなかったが、この拠点開催のインカレに向けて調整を行ってきた木南。コーチや早大の仲間たち、関係者が見守る中、『SAYURI』に合わせて滑り出した。冒頭、得点源の3回転トーループは回転不足で降りてきてしまう。続く2本の単独ジャンプは着氷するも、2本目の3回転トーループで転倒し、リピートになる。思うようにジャンプがはまらなかった前半だったが、ゆったりとした曲に合わせ、丁寧なスケートを見せた。そして、連続ジャンプが予定されている演技後半。力強いステップを刻んだ直後に跳んだ2回転アクセルや、立て続けに挑んだ2本の連続ジャンプは全て着氷する。最後のスピンでも最高評価のレベル4を取り、演技後半でしっかりと巻き返した。
 ケガと向き合いながら臨んだ初のインカレでは74・01点をマーク。「演技としては満足いく結果ではない」としながらも、「今できることは全部できた」と演技後には笑顔も見せた。

演技をする木南

 馬場はるあ(社3=東京・駒場学園)は昨年届かなかったインカレの舞台。世界王者坂本花織(神戸学院大)が後に控える第5グループの第一滑走で演技を行った。今季はどの大会でも大きく崩れることなく安定した演技を見せ続けている馬場だが、今大会前にはケガがあったという。「今できることをやる」という目標のもと、今回も、できる最大限のまとまった演技を見せた。足のケガの影響で、ジャンプを跳べるようになったのが大会のわずか1週間前だったため、2回転ジャンプが多数の構成にはなったが、大きなミスはなく、ほとんどのジャンプでプラスの出来栄えを得た。
 2シーズン連続で使っているプログラム『Never Go Back/My Immortal』は試合を経るごとに、表現に深みを増していく。ジャンプの難易度を下げたことにより、点数は今季の他の試合と比べると低いが、「今できることはできた」、「他の試合とは違う雰囲気が感じられて楽しかった」と笑顔で大会を終えた。

演技をする馬場

 早大勢最後に登場した川畑和愛(社3=沖縄・N)。ジャンプがなかなか戻らず、苦戦を強いられてきた今シーズン。11月の東日本選手権後に少しの休養を取り、12月初めに練習を再開して準備を重ねてきたという。初のインカレの舞台に立った川畑は、笑顔でリンクに登場し、落ち着いた様子で最初のポーズを取った。持ち前のスピードのある滑りでジャンプの軌道へ入ると、2回転ルッツ+2回転トーループの連続ジャンプ、2回転アクセルを加点の付く出来栄えで着氷する。そして3本目は、直前まで入念に確認していた3回転サルコウ。回転不足の判定を受けるが、「自分の中でも綺麗に跳べた」と語ったように、しっかりと決めた。続く3回転ループは回転が足りず乱れたが、東日本選手権で転倒が続いた3回転ジャンプを降りた。後半3本のジャンプも大きな過失なくまとめると、ヴァイオリンの音色に合わせてダイナミックなスケートを披露。大きなバレエジャンプやランジなどで魅了した。
 演技を終えた川畑がリンクを降りると、早大フィギュア部門の仲間が笑顔で出迎える。キスアンドクライでは前日の7、8級男子の競技に出場した西山が登場するなど、和やかな場面も見られた。困難が多かった今シーズンだが、最後の大会では3回転ジャンプをしっかり組み込んだ演技を滑り切り、「久しぶりに達成感を感じることができた」と充実した表情を浮かべた。

演技をする川畑

(記事 及川知世、吉本朱里 写真 及川知世、吉本朱里)

結果

▽7、8級男子


西山真瑚

 

10位 127・63点




▽7、8級女子


川畑和愛

 

20位 86・04点


馬場はるあ

 

22位 84・30点


木南沙良

 

28位 74・01点




コメント

▽7、8級男子


西山真瑚(人通3=東京・目黒日大)

※囲み取材より抜粋

――演技内容を振り返っていかがですか

 前半は割とまとまった演技ができたかなと思うのですが、後半ミスが続いて悔しい部分が出てしまいました。ですが、ステップスピンに関しては自分が今できることは全て出し切れたかなと思うので、良いところは次への自信にして、悪いところは反省して、次に繋げたいなと思います。

――国体に向けて

 今回インカレに向けては自分の気持ち的に万全な状態で臨めていませんでした。今回試合をやって悔しいところや課題が見つかったので、そこの反省を生かして、最後は今まで培ってきた良い部分と今シーズンの悔しい部分や課題をブラッシュアップして、またシングルやりたいなと思うことがないくらい練習をして、国体に臨みたいなと思います。

――シングルの舞台を去るという寂しさは

 シングルは小さい頃から13年間やってきて、色々良いことも悪いことも経験してきました。自分の学生時代などを全てスケートに捧げてきたなと思っていますし、特にシングルに捧げてきたと思っているので、自分の一個大きい支えというか、物語が終わりを迎えるというか。それもまた次の新しいスタートに繋がるかなと思っているので、寂しさと同時に、(シングルで)やり切ってゴールを迎えることで、新しい(アイスダンスの)チャレンジに向けてのスタート地点に立てるのかなと思います。


▽7、8級女子


川畑和愛(社3=沖縄・N)

※囲み取材より抜粋

――演技を終えていかがですか

 今回の試合で3回転ジャンプを入れることを目標にしていたので、サルコウジャンプは自分の中でも綺麗に跳べて、嬉しかったです。

――目標は一つ達成できて、そこに関しては充実した感じですか

 今までと比べるとすごくレベルは下げての構成になっているのですが、それでも今はそれが難しい自分なので、その中で今回3回転ジャンプを入れられたことで、久しぶりに達成感を感じることができました。

――スピンやステップ、表現については

 曲かけ練習をしていてもジャンプが入らないということもたくさんあったので、スピンとかステップだけでもきちんとやろうという感じで練習をしていました。

――東日本選手権(東日本)の後休みをとっていたことについて

 練習のときになかなかうまくいかず、苦しくなってしまうこともあって一回東日本が終わって区切りがついたので、気持ちを落ち着かせてまた始めようと思って。東日本が終わってからどのくらい休もうかは決めていなかったのですが、とりあえず12月から(練習を始めよう)とぼんやり思っていて、始めました。


馬場はるあ(社3=東京・駒場学園)

――インカレに向けてはどのようなことを重点的に練習してきましたか

 足のケガで1週間前までジャンプを跳んでいなくて、ずっと足に力が入らなかったのですが、力が入るようにどうにか色々トレーニングや調整をして、今日を迎えました。

――今大会の目標を教えてください

 私は今大学3年生で競技生活はあと1年間なので、今までずっと試合は緊張して全然楽しむことができなかったので、今回はケガなどもありましたが楽しんで、今できることをやって、悔いのないような演技をすることを目標にしていました。

――今日の演技全体を振り返っていかがでしたか

 サルコウが今すこし(ケガの影響で)痛くて(3回転を)跳べなかったのですが、他は今できることはできたかなと思います。

――部員のみなさんがリンクサイドにいらっしゃるなど、インカレ特有の試合の雰囲気については

 嬉しかったし心強かったです。やっぱり他の試合とは違う雰囲気が感じられて楽しかったです。


木南沙良(人通2=東京・日大一)

――このインカレに向けてどのようなことを重点的に練習してきましたか

 東日本が終わってから足のケガが判明してそこからあまり練習できていない期間があったのですが、インカレに出場できるようになんとか戻せるところまで戻そうと思って練習してきました。

――今大会の目標を教えてください

 インカレの本戦に出るのは今年が初めてだったのと、ホームリンクでの開催だったので、試合の雰囲気を楽しんで滑りたいなと思っていました。

――質問

 今できることは全部できたのかなと思うので、演技としては満足いく結果ではないのですが、今大会だけを見ればひとまず次には繋がるのかなと思います。

――部員のみなさんがリンクサイドにいらっしゃるなど、インカレ特有の試合の雰囲気については

 いつもだったらリンクサイドとか近くにいることはないので嬉しかったです。