土屋がラストインカレで優勝!それぞれが大舞台で成長示す/インカレ3〜6級女子、5、6級男子

フィギュアスケート

 今年も無事開催された日本学生氷上競技選手権大会(インカレ)。シーズン後半の大舞台である今大会は、多くの4年生スケーターにとっては最後の試合となった。早大フィギュア部門からは計9人が出場。3級女子部門の土屋凜菜(国教4=東京・頌栄女学院)が最後のインカレで優勝を飾り、6級女子部門の高浪歩未(国教4=ケイ・インターナショナルスクール東京)や5級女子部門の正村瞭子(文構4=東京・早実)ら4年生も堂々の演技を披露するなど、それぞれが魅力を存分に見せた大会となった。

★3級女子

 昨年10月に行われた東日本学生選手権(東インカレ)を1位で通過していた土屋。出場した大会で好成績を残し続けているが、昨年のインカレでは2位に終わっている。迎えた最後のインカレでは「自分が納得できるような演技をする」、「自分自身が楽しんで滑る」と意気込み、演技に臨んだ。土屋がラストシーズンに選んだ『Hallelujah』が流れると、柔らかな笑みを浮かべながら演技を始める。冒頭、幅のある1回転アクセルを決めると流れに乗って続く2回転サルコウ、3連続ジャンプを綺麗に決めた。力強くなっていく歌声に合わせて跳んだ2回転トーループでは転倒してしまうものの、演技の流れを切らさずに、コレオシークエンスへ。伸びやかなスパイラルや直後に跳んだ連続ジャンプでは拍手が起こり、温かな雰囲気の中演技を終えた。表現やスケーティングに力を入れてきたと話した通り、柔らかな上半身の動きや表情、伸びのある滑りなど、エレメンツ以外のところでも力を発揮した土屋。東インカレから点数を上げ、得点は42・84点で1位。最後のインカレで見事優勝を飾った。

演技をする土屋

★6級女子

 大会2日目に行われた6級女子の競技には、3番滑走で高浪が登場した。一昨年の全日本選手権のアイスダンス競技で3位に入った高浪。今季は部内選考を勝ち抜き、最初で最後のインカレの舞台まで辿り着いた。リンクサイドでチームメイトも見守る中、披露したプログラムは『Hallelujah』。冒頭の3連続ジャンプを美しく決め、流れに乗ると、その後のジャンプも次々と流れるように着氷していった。メロディアスな曲に、アイスダンサーらしい端正なスケーティングとしなやかな身のこなしがよくマッチする。後半も、コンビネーションジャンプをはじめ、全てのジャンプを着氷し、終盤のコレオシークエンスでは、切なげな表情に合わせて長いイーグルやスパイラルポジションを見せた。終始スピード感のあるスケーティングでプログラム全体をまとめ上げた高浪は11位。「最後まで笑顔で演技ができたのもみんな(部員や監督、関係者)のおかげ」と振り返った。

演技をする高浪

  昨年のインカレは悔しい演技となり、終わってすぐに「来年もインカレに出場したい」と語っていた千葉紫織(文構2=東京・筑波大付)は、リベンジの舞台に挑んだ。オルゴールの音色に合わせて演技を始めると、最初は「重点的に練習してきた」という2回転アクセル。しかし、回りきらずに降りてくるかたちになり、ダウングレードの判定になってしまった。それでも、曲の盛り上がりに合わせて訪れる次のコンビネーションジャンプは危なげなく着氷。演技中盤に組み込んだ2つのスピンも回転速度を落とさずに回り切り、美しいビールマンも披露した。終盤のコレオシークエンスでは、「Angel of Music」の華やかな旋律に合わせ、体を大きく使った振り付けやバレエジャンプで『The Phantom of the Opera』の世界観を表現していき、最後は加点のつくスピンでプログラムを締めくくる。演技後、リンクサイドでチームメイトに迎えられると笑顔も見られた。千葉の最終順位は15位。昨年より順位を上げ、「(昨年は)メンタルが弱かったのが(今年は)、試合に向けて集中力をうまく持っていけた」と昨年からの成長を口にした。

演技をする千葉

★5級女子

 「悔いなく終わろう」。最終日に行われた5級女子の競技には最後のインカレとなる正村が登場した。落ち着いた表情で、高貴な美しさが感じられるピンクの衣装を身にまとって演技を開始すると、印象そのままに優雅な滑りを見せていく。迎えた最初のジャンプは2回転フリップからの連続ジャンプ。予定構成では2本目が2回転トーループだったが、この日は1回転となった。2つ目のジャンプは危なげなく決め、スピンでも体を大きく使った動きで見応えのある演技を披露し、そのまま流れに乗って次々にジャンプを降りていった。中盤では3つのジャンプのコンビネーションも美しくまとめ、曲に乗って晴れやかな表情でスパイラルポジションへ。最後の2回転フリップは転倒してしまうも、スピン、ステップ共に一音一音が動きに合った演技で観客を魅了した正村は、4年間の全てを出し切り、笑顔でリンクを降りて行った。得点は47・84点で12位。「目一杯楽しもうという気持ちで笑顔で踊っていた」と振り返る。最後のインカレの締めくくりとなる堂々の演技を披露した。

演技をする正村

★5、6級男子

 インカレ最終日、5、6級男子の競技に登場したのは岡島右京(商3=東京・早大学院)。呼吸を整えながらゆっくりとリンク中央に向かった。引き締まった表情で最初の曲『A Journey』の始まりを待ち、流れ出す音に合わせてなめらかに滑り出した。まずは迎えた最初の2回転アクセルを少し堪えるかたちになりながらも着氷。2つ目の連続ジャンプ、その後の2回転アクセルも大きなミスなく決める。流れに乗っていくと、スピンもポジションを変化させながら美しくまとめ上げた。演技中盤に入ると曲調が変わり、さらに動きに力強さが増していく岡島。中盤のジャンプでは回転が抜けるなどのミスがあったものの、最後のジャンプは回り切り、ステップも拍に合わせてキレのある動きを披露し、まとめた。得点は61・26点。リンクサイドに戻っていくとコーチと言葉を交わし、悔しそうな表情を見せた。演技後は「もう少し良い演技が出来たな」と振り返り、来年度に向けて「もっとパーフェクトな演技をしたい」と意気込んだ。ラストシーズンでの飛躍を誓い、練習を重ねていく。

演技をする岡島

(記事 吉本朱里、及川知世、濵嶋彩加 写真 吉本朱里、及川知世)

結果

▽3級女子


土屋凜菜

 

1位 42・84点




▽6級女子


高浪歩未

 

11位 66・20点


千葉紫織

 

15位 64・01点




▽5級女子


正村瞭子

 

12位 47・84点




▽5、6級男子


岡島右京

 

12位 61・26点




コメント

▽3級女子


土屋凜菜(国教4=東京・頌栄女学院)

――インカレに向けてはどのようなことを重点的に練習してきましたか

 表現力やスケーティングの方と、ジャンプを確実に跳ぶということを意識して練習してきました。

――今大会の目標を教えてください

 とりあえず自分が納得できるような演技をすることと、自分自身が楽しんで滑ることです。

――今日の演技を振り返っていかがですか

 ジャンプもスピンも少しミスがあったのですが、表現力の方はこの1、2カ月重点的に練習してきた部分が出せて、下の点数(演技構成点)も高く出たので、自分の中では納得できるような演技ができたのかなと思います。

――最後のインカレで優勝という結果についてはいかがですか

 1年と3年のときに3位、2位と取って、自分の中でもどこかでインカレで優勝したいという思いがあったので、それをラストイヤーの今年のインカレで達成することができて率直に嬉しい気持ちがあります。あとは引退までの最後あと2カ月、もっと頑張りたいなという気持ちです。


▽6級女子


高浪歩未(国教4=ケイ・インターナショナルスクール東京)

――このインカレに向けてどのようなことを重点的に練習してきましたか

 ノーミスをするということが一番にあったので、曲かけ練習などを一つ一つ大事にして、ノーミスできるように練習してきました。

――今大会の目標を教えてください

 ノーミスすることと、引き続き笑顔で最後まで滑り切ることを目標にしていました。最初で最後のインカレだったので、良い思い出として残るように頑張ってきました。

――今日の演技を振り返っていかがですか

 今回も転ばずにノーミスできたのはすごく嬉しかったです。でもノーミスしたいという気持ちが大きかったので、少し控えていた部分や怖がっていた部分があったので、そこはこれからも頑張っていかないといけない部分かなと思います。

――部員のみなさんがリンクサイドにいらっしゃるなど、インカレ特有の試合の雰囲気については

 今日も部員のみなさんや監督、関係者のみなさんが一緒に来てくださったので、最後まで笑顔で演技ができたのもみんなのおかげかなと思います。

千葉紫織(文構2=東京・筑波大付)

――このインカレに向けてどのようなことを重点的に練習してきましたか

 2回転アクセルを絶対に入れたいなと思ってアクセルを重点的に練習してきました。あとはプログラム全体の完成度を高めるために曲かけ練習で何回もノーミスの演技をし、本番に向けて頑張ってきました。

――今日の演技を振り返っていかがですか

 良い緊張感を持ってできていて、集中もしていたのですが、直前の6分間練習からそんなに思うようにジャンプを降りていなかったり、少しふわふわしている感じもありました。今まで練習してきたことを100%出せなかったのはやはり少し悔しいのですが、やったことが出たのかなとも思うので、また次に向けて頑張りたいです。

――昨年のインカレに比べて成長を感じる部分は

 昨年のインカレのときは公式練習で本当にダメダメすぎて、終わった後一人で泣いていて…(笑)。(昨年は)そんなにメンタルが弱かったのが、試合に向けて集中力をうまく持っていけたのは成長だったかなと思います。

――部員のみなさんがリンクサイドにいらっしゃるなど、インカレ特有の試合の雰囲気については

 すごく楽しんで滑ることができて良かったなと思います。


▽5級女子


正村瞭子(文構4=東京・早実)

――最後のインカレでしたがどのような気持ちで演技に臨みましたか

 最後なので本当に悔いなく終わろうというのが一番大きかったです。

――今大会に向けてどのようなところを重点的に練習してきましたか

 前回も言った通り精神面が難関で。演技のエレメンツ、ジャンプやスピンの失敗に繋がってしまっていたので、跳ぶ前の不安感を無くすことは意識して取り組んでいました。

――演技全体を振り返っていかがですか

 ジャンプは元々の構成よりレベルが低いものになってしまったのですが、最初に言った通り一番は悔いなく終わるという目標があったので、とりあえず締めるという気持ちで挑んでいました。ジャンプは失敗してもいいからとりあえず悔いなく、スピンやステップは練習してきたものをしっかり出せるように丁寧に一つずつやっていこうと思っていました。

――最後のステップでの笑顔や演技が終わったの表情が印象的でした。最後のインカレを終えて率直な感想はいかがですか

 こんな大舞台で演技することはもう無いだろうなと思って、目一杯楽しもうという気持ちで笑顔で踊っていました。また、今日は家族が初めて揃って見に来てくれていたので、今まで応援してくれたことへの感謝の気持ちも全部出せるように踊りました。


▽5、6級男子


岡島右京(商3=東京・早大学院)

――このインカレに向けてはどのようなところを重点的に練習してきましたか

 去年すごく悔しい思いをして、せっかく初めて全国大会に行ったのに全然何も出来なくて楽しめずに終わってしまった形だったので、何とかそれよりも良い演技をしたいという気持ちがありました。あとは全国大会というものを楽しめるように、自信を持って臨めるように練習してきました。

――今回の演技を全体的に振り返っていかがですか

 去年よりは割と点数的にも良かったし、ダブルアクセルが2本入ったことは良かったのですが、やはり2本ジャンプが抜けてしまったりとか、今回は全体的に演技をまとめる事に重点を置いたのでトリプルを外して良いものを全部揃えられるように練習をしてきたのですが、結果的にそれが2本抜けて達成できなかったので、もう少し良い演技が出来たなとは個人的には思います。それでも全体的には楽しみながら滑れたので半分は去年のリベンジが出来たかなと思います。

――あと1回チャンスがありますが、来シーズン、今後に向けての抱負をお願いします

 来年は本当に最後なので、今年以上に楽しんで演技をしたいし、もっとパーフェクトな演技をしたいし、トリプル(3回転)も入れたいし、本当にこの大会をめちゃくちゃ意識しながらやっていきたいなという想いがあるので、今後も就活などと両立しながら頑張りたいなと思います。