土屋が3級女子部門で優勝!それぞれが課題を得て次の舞台へ

フィギュアスケート

 シーズン真っ只中のフィギュアスケート界。試合が続く中、新横浜のリンクでは初級から5・6級の選手が出場する関東学生秋季交流戦が開催された。関係者が集まるリンクでは終始温かな拍手が鳴り響き、選手の笑顔も多く見られた。そんな今大会には早大から5人が出場し、3級女子部門では土屋凜菜(国教4=東京・頌栄女学院)が東日本学生選手権(東インカレ)から引き続き、優勝を飾った。

 早大勢トップバッターで登場したチェンドンシェン(文構4=シンガポール・マクファーソンセカンダリースクール)は、1級男子部門の競技に出場。直前練習からジャンプに乱れがあったものの、時折笑顔を見せながら調整を行なった。演じるプログラムは『春よ来い』。しっとりとしたピアノの音色に合わせて滑り出した。ジャンプでは着氷時にバランスを崩す場面があったものの、体を大きく使い、丁寧に曲を表現。関係者が集まる会場からはエレメンツに挑むたびに温かな拍手が送られた。特に演技終盤に披露したレイバックイナバウアーには会場が盛り上がった。ジャンプでミスがあり、「悔しかった」と語ったように納得のいく演技とはならなかったものの、曲の世界観を存分に表現したチェンドンシェンの得点は9・90点。少し悔しさをにじませる結果となった。演技後は反省点を挙げつつ、「最高の演技をできるよう、(プログラムを)磨き上げて、悔いのないスケート生活をこれからも送りたい」と、残りわずかとなったスケート生活への思いを語った。

演技をするチェンドンシェン

  3級女子の競技に出場したのは土屋。青と水色のグラデーションが美しい衣装で、堂々とリンク中央に姿を現した。しなやかな動きで滑り出し、演技を開始した。流れに乗って1本目のアクセルジャンプを決めると、2本目も軽やかに着氷。スピンやステップも丁寧にこなし、美しいスパイラルポジションを見せた。続く他のコンビネーションジャンプなども大きな乱れはなく、最後のジャンプもクリーンに着氷し、演技をうまくまとめた。演技終了まで安定感をみせた土屋の得点は40・17点。10月に行われた東インカレに引き続き、優勝を飾った。それでも納得のいかない部分はあり、「表現力の面を磨こうという意識を持って練習してきたのですが、それを出しきれなかったかなと思う」と話した。最高の『ハレルヤ』の演技へ、さらなるレベルアップを図る。

演技をする土屋

 土屋に続いて3級女子に登場した中村華(人3=群馬・高崎女)は、直前までリンクを大きく使って演技を確認し、ゆっくりと最初のポジションについた。曲が始まると演技前の表情とは打って変わり、満面の笑顔で滑り出す。一気に『I got rhythm』の世界観に会場を引き込んだ。1本目のジャンプはリズムに乗って着氷し、ステップもリズミカルに、テンポ良く刻む。中盤のサルコウジャンプでは転倒があったものの、「最初のサルコウで転んでしまったことを引きずらない」ことが良かったと試合後に話した通り、この後は立て直しを図る。スピン2つを挟んだ後、4本目の2回転トーループをきれいな着氷でまとめると、会場からは歓声が上がった。最後まで楽しげな表情で演じ切った中村の得点は31・95点。練習でできることを「曲の中でもできるように」と意気込み、次戦へとスタートを切る。

演技をする中村

 5級女子に出場したのは、「上品で高貴なイメージ」の衣装を身にまとった正村瞭子(文構4=東京・早実)。演技冒頭からスピードに乗ってのびやかなスケーティングを披露する。1本目のコンビネーションジャンプを成功させると、長い手足を存分に使った美しいスピンで魅了。このまま流れに乗るかと思われたが、「2つ目のジャンプの2回転ループがずっと外れていて心配だった」と話したループジャンプで転倒すると、続く3本目のジャンプも転倒。直後のジャンプと最後のコンビネーションジャンプは切り替えて確実に着氷したものの、スパイラルでは思わぬ転倒もあり、精彩を欠いた。ミスが響き、得点は42・66点。得点は伸び悩んだものの、最後まで力強いステップと体を大きく使った表現で演じ切った正村。前回の東インカレと今大会では、ともにメンタルの弱さを実感したと話す。「メンタルと技術が直結しないように気をつけていきたい」と意気込み、4年間の集大成となる次戦の全日本学生選手権(インカレ)に、全てをかける。

演技をする正村

 最後に行われた5・6級男子の競技には岡島右京(商3=東京・早大学院)が出場。鮮やかなブルーの衣装に身を包み、リンクに立った。ゆっくりと時間をかけてポジションにつくと、優しい音色に合わせて全身を大きく使い、滑り出す。最初のジャンプは2回転アクセル。直前練習で念入りに確認していたジャンプだが、転倒してしまう。2本目のジャンプも回転が足りず着氷が乱れ、プログラムの流れを作る冒頭のエレメンツでミスが続いた。続く2本目の2回転アクセルは決めるものの、演技後半でも転倒などのミスが出てしまい、ジャンプについては課題が残る演技となった。しかし、「手の細かい使い方、表情の使い方を意識」してきたと話した通り、プログラムを通して変化する曲調をしっかりと表現。前半は柔らかく滑らかに演じ、後半は躍動感と力強さを感じさせるスケートを披露した。ジャンプのミスが続いてしまった岡島の得点は56・06点と、「まとまった演技」ができたという東インカレの点数には及ばない結果に。インカレに向け、課題を見つめて練習を積んでいく。

演技をする岡島

(記事 吉本朱里、濵嶋彩加 写真 吉本朱里)

結果

▽1級男子


チェンドンシェン

 

2位 9・90点




▽3級女子


土屋凜菜

 

1位 40・17点


中村華

 

11位 31・95点




▽5級女子


正村瞭子

 

10位 42・66点




▽5・6級男子


岡島右京

 

2位 56・06点


コメント

▽1級男子


チェンドンシェン(文構4=シンガポール・マクファーソンセカンダリースクール)

――久しぶりの大会でしたが、調子はいかがですか

 調子はあまり良くないです。最近あまり曲かけ練習ができていなかった中、本番に挑みました。

――今大会の目標を教えてください

 目標は、自分の中できれいに滑りたいというものがありました。

――演技を振り返っていかがですか

 今日はちょっと色々悔しかったです。ジャンプを全然降りることができなくて、スケーティングも体が硬くて、あまりしなやかに動くことができなかったので、そこは悔しいです。改善しないといけないところかなと思います。

――大学生活も残り少なくなってきましたが、今後への意気込みをお願いします

 今後は最高の演技をできるよう、(プログラムを)磨き上げて、悔いのないスケート生活をこれからも送りたいと思います。もう少し、最後まで本当に頑張りたいと思います。


▽3級女子


土屋凜菜(国教4=東京・頌栄女学院)

――今大会の目標を教えてください

 引退に近づいているので、4年生らしく滑ることです。

――演技を振り返ってみていかがですか

 ジャンプとかスピンとかは練習不足のところが出てきてしまったので、次の大会に向けてもう少し練習しないといけないなという反省が多い試合でした。

――次戦に向けての意気込みをお願いします

 少しずつ表現力の面を磨こうという意識を持って練習してきたのですが、それを出しきれなかったかなと思うので、次のインカレに向けてそこはもう少し頑張りたいなと思います。

中村華(人3=群馬・高崎女)

――今大会の目標を教えてください

 東インカレの時にジャンプも2本失敗して、スピンも0点のスピンがあったので、それを少しでも挽回というか、その時よりも少しでもいい演技をすることが目標でした。

――演技を振り返ってみていかがですか

 最初のサルコウで転んでしまったことをひきづらないで、その後スピン2個の後で体力的にもきついところのトーループを降りることができて、練習でも片手で数えられるくらいしか成功していなかったところを成功できたのでそれは良かったと思います。1本目は転んでしまったけれど、そこで気持ちを切り替えられたかなと思います。

――東インカレに比べてジャンプの調子なども上がったという感じですか

 そうですね、多少は上がったと思います。

――次戦に向けての意気込みをお願いします

 2回転ジャンプを2本とも降りたいなと思います。練習でできることが試合になるとできなくなることが多いので、練習で息切れしていない時にできることを、曲の中でもできるようにしたいなと思います。


▽5級女子


正村瞭子(文構4=東京・早実)

――今大会の目標を教えてください

 インカレに向けてノーミスで演技することと、1つジャンプを3連続に変えるところがあったので、そこを変えてどのように成績が上がるかというのを確認するためにノーミスの演技が目標でした。

――演技を振り返っていかがですか

 この1週間練習してきて、2つ目のジャンプの2回転ループがずっと外れていて心配だったのと、ルッツの飛び方を変えたというところで上手くいっていないことが続いていたのでそれで少し心配の気持ちが出て失敗にもつながってしまったのかなと思います。

――スピンやステップなど細かいところはいかがですか

 ジャンプで失敗してしまったのと、スパイラルで体力的に足がふらついてしまったというのがあって、スピンとステップでレベルの取りこぼしがあってはいけないと思っていたので慎重にそこは取っていこうとしていました。

――次戦に向けての意気込みをお願いします

 前回の大会も今回の大会も、自分のメンタルが失敗につながっているというのがはっきり出てしまったので、インカレではしっかり練習で心配要素を減らして、メンタルと技術が直結しないように気をつけていきたいと思います。


▽5・6級男子


岡島右京(商3=東京・早大学院)

――今大会の目標を教えてください

 インカレ前最後の試合ということで、前回まとまった演技ができたので、(前戦の)課題を改善すること、具体的にはスピンのレベルを上げたりコンビネーションを付けたりをできるように練習をしてきたのですが、実際に本番はあまりうまくいきませんでした。

――今大会の演技を全体的に振り返っていかがですか

 練習やアップのときはすごくリラックスして、気持ちの面でもすごく楽しんで滑ることができたのですが、実際のところ成功できたジャンプが少なかったですし、練習であまりないようなミスがあったので、そこをどう改善していくかというところがインカレへの課題かなと思います。

――表現面はいかがでしたか

 表現は、振り付けの方と何回かレッスンを分けながら、手の細かい使い方や表情の使い方を意識してやってきました。そこは今大会で出すことができたかなと思うので、インカレでも出せるようにしたいです。