女子7、8級、3人でつかみ取った団体2位!

フィギュアスケート

 日本学生氷上競技選手権(インカレ)最終日。永井優香(社1=東京・駒場学園)と松嶋那奈主将(スポ4=東京・駒場学園)が個人入賞、中塩美悠(人通3=広島・ノートルダム清心)は10位に入り、9年ぶりに三人そろった女子7、8級で2年連続の表彰台入りを成し遂げた。フリースケーティング(FS)の演技や試合後の表情は三者三様であったが、全員で勝ち取った団体2位だった。

 

インカレ初出場で3位!応援を力に好演技を披露

SPとはひと味違う魅力をアピールした

 永井は女子7、8級FSの最終滑走に登場した。視線を一身に集めながら挑んだ冒頭のトリプルルッツは転倒となる。しかし「あまり転倒のことを考えず次に行けた」というように、その後は続々ジャンプを決めていく。トリプルループがアンダーローテーション、トリプルサルコーは回転不足となったが、1回転となるジャンプはなく、「ちょっとだけ良くなった部分かな」と振り返った。表現面は「ジャンプに気を取られてしまった」と語ったが、持ち前の繊細かつ美しい舞で迫力のあるパートと穏やかな曲調のパートを演じ分け、観客一人一人に訴えかける。永井は終始堂々とした演技を見せ、初出場ながら総合で3位となった。

(記事 糸賀日向子、写真 川浪康太郎)

★インカレ最後の舞、攻めの姿勢で後輩に背中を見せる

力強い演技で主将としてチームを引っ張った

 早大の看板を背負って挑む最後の試合に、松嶋が臨んだ。『トゥーランドット』の出だしに組み込まれ、自身が武器としてきたトリプルトーループ-トリプルトーループは高さ、幅ともに素晴らしい出来で決める。続くループは2回転になるが、その後トリプルサルコーを成功させ、フライングキャメルスピンではレベル4を獲得した。演技中盤では「意地でも(コンビネーションを)付けようと思った」と、三連続を含むコンビネーションジャンプを跳び、攻めの姿勢を見せる。そして見せ場となるステップシークエンス、コレオシークエンスでは洗練された動きと荘厳な音楽でプログラムを盛り上げた。演技終盤には「落ち着いて跳ぼうという気持ちで跳びに行きました」と振り返るダブルアクセルも着氷。両手を組み前に押し出すフィニッシュポーズを取ると会場からは割れんばかりの拍手が送られた。「この歓声を味わえるのも国体を合わせてちょっとかと思うと寂しい気持ちになりますね」と試合後語った松嶋。最高のかたちで現役生活を終えるために、残り少ない時間を大切に歩んでいく。

(記事 糸賀日向子、写真 川浪康太郎)

★中塩、ジャンプに苦戦も意地見せた

全てのスピンでレベル4を獲得した

 まさに、満身創痍(そうい)だった。左脚甲のケガに加え、全日本選手権(全日本)後は靴が折れた影響で右脚の脛にも負担がかかり、両脚に痛みを抱えたままインカレを迎えた。特に不安だったのが演技時間の長いFS。練習でもFS後半は踏ん張れないことが多かった。そんな中、全日本では披露できなかった『ラプソディー・イン・ブルー』が始まる。冒頭のコンビネーションジャンプは単独に。フリップは抜け、ループは着氷が乱れた上回転不足を取られた。その後もことごとくジャンプが決まらない。それでも後半、意地を見せる。「アクセルくらい降りなきゃダメだと思って跳びました」。最後のジャンプであるダブルアクセルをクリーンに降り、この日一番の拍手が沸き起こった。FSを締める二つのスピンも気を抜かず、スピンオールレベル4を達成。最後まで得点にこだわることができたのは、仲間がいたからだ。演技前には出番を目前に控えた松嶋と永井が駆け付け、演技中のリンクサイドにはインカレに進めなかった選手や出番を終えた別の級の選手たちがいた。早大の一員として戦った中塩。最後は涙ながらに、「楽しかったです」と言葉を振り絞った。

(記事 川浪康太郎、写真 糸賀日向子)

結果

▽7、8級女子

永井優香 3位 169.61点(FS 4位 107.85点)

松嶋那奈 6位 152.91点(FS 7位 93.27点)

中塩美悠 10位 128.43点(FS 13位 77.42点)

コメント

 

松嶋那奈主将(スポ4=東京・駒場学園)

――早大の看板を背負って挑む試合は今回が最後でしたが、試合を終えていまいかがですか

ちょっと悔いの残るところはあったんですけど、今自分ができることはできたと思うので安心しました。

――6分間練習の最後にきれいなトリプルトーループ―トリプルトーループを決めていました。その前にコーチとお話ししていましたが、どのようなことを話されていましたか

左に(軸が)いってしまったり、タイミングが早くなってしまっていたりしたので「腰が開かないように」というアドバイスをもらいました。

――トリプルトーループ-トリプルトーループは、試合ではいかがでしたか

気持ち良く跳べたなという感じです。

――三連続ジャンプはいかがでしたか

三連(三連続ジャンプ)は最後がシングルになってしまいました。でもバテていたので減点はされてしまうとは思うんですけど、一つでも(ジャンプを)付けて得点を稼ごうと思って。意地でも付けておこうという気持ちはありました。

――アクセルは2本ともバシッと決まりましたがいかがでしたか

アクセルも、いつも失敗しても曲終わってすぐに跳びにいくという練習はしていました。疲れている中でも跳ぶということはできていたので、落ち着いて跳ぼうという気持ちで跳びに行きました。

――ステップの時にあっ、という顔をしたのはなぜですか

つまずいたというか、脚が絡まってしまってステップが踏めないって思ってあっ、という顔になってしまいました。

――スピンはいかがでしたか

スピンはレイバックがショートプログラム(SP)でもレベルが取れていなくて、今回も同じ失敗がありました。次から失敗しないようにしようという気持ちがあります。でもフライングキャメルとコンビネーションスピンは練習通りにちゃんとレベルを取れるようなスピンができたので、良かったです。

――表現面はいかがでしたか

いつもよりちょっと表情が硬かったかなと思います。昨日のSPではアクシデントがあって気持ちは楽でした。きょうは頑張ろうという気持ちが強すぎたので、ちょっと顔の表情がかたまってしまったかなという気はしています。

――終わった後の歓声がすごかったですが

うれしかったです。やっぱりこの歓声を味わえるのも国体(国民体育大会)合わせてちょっとかと思うと寂しい気持ちになりますね。

――来週は鈴木美桜さん(慶大)と早慶定期戦エキシビションがあります。意気込みをお願いします

美桜ちゃんと一緒に滑ることができるのもあと少しなので、2人で楽しんで滑りたいです。そして周りのお客さんや、次にアイスホッケーの試合がある現役の選手にパワーを与えたいなという気持ちで滑りたいと思います。

中塩美悠(人通3=広島・ノートルダム清心)

――全日本選手権(全日本)からの調整期間が短かった中、どのような調整をしてきましたか

全日本が終わって3日くらい休んだ後に、インカレ(日本学生氷上競技選手権)があるからそんなに休めないと思って、無理矢理練習したんですけど、だいぶ気持ちは落ちていました。それでも練習しなきゃいけないと思って、ずっと無理矢理練習はしてきて、調子もよくはなってきてはいました。ただ全日本後から靴が柔らかくなっちゃっていて、でも日本に在庫がないからこれでやるしかなくて、折れた靴で練習していました。

――脚の痛みはまだありますか

脚の痛みはあったのでトーループの練習はできなかったです。今回は右脚の靴が折れちゃってそのまま練習していたので、無意識に右の脛で踏ん張っていたみたいで、フリーの後半くらいから踏ん張れないなと感じていました。だけどやるしかないので、とりあえず締めて、できるところまで立っておこうと思って…。だから今回は両脚ともよくない状態でした。

――今大会の演技についてですが、きのうのショートプログラムを振り返ってはいかがですか

3(回転)―3(回転)をずっとやっていなくて、全日本でも失敗したし、6分間練習でも一本も入らなくて、不安はあったんですけど、本番だけでも跳ぼうと思って強気で跳びました。

――フリーの演技を振り返ってはいかがですか

右(脚)の張りが酷かったので、アップもいつもみたいにやるのは辞めて、今回は少し控えめにしていました。アップで脚を動かすのも痛かったので、それも控えて、できるところだけ締めるということしか考えていなくて、それだけはやろうと思って滑りました。

――フリーはジャンプで苦しんだ中、最後のダブルアクセルをクリーンに降りた場面が印象的でした

追い込んで練習するのは全日本前にしていたので、最後のダブルアクセルを降りる練習は自然とできていたんだと思います。練習してきたのに、靴とか、脚とか…すごい、悔しくて。アクセルくらい降りなきゃダメだと思って跳びました。

――今大会も早大の選手が応援に駆け付けてくれましたが、どんな思いでしたか

予選で落ちて自分の演技がなくても、学校の子を応援する姿勢がうれしかったし、みんなすごく優しいので、楽しかったです。

――次の国民体育大会に向けた意気込みをお願いします

万全な状態で、何も心配ない状態で、もう一回、やり直さないといけないなと思っています。

永井優香(社1=東京・駒場学園)

――きょうの試合を終えていかがでしたか

悔しい部分は沢山あります。でも1回転にならなかったので、そこはちょっとだけ良くなった部分かなと思いました。

――それは練習の積み重ねの成果が出たのでしょうか

練習の経過なのかなという感じがしています。

――最初のルッツの転倒がありましたが、そこから気持ちの切り替えをしたりしたのでしょうか

切り替えというよりかは、あまり転倒のことを考えずに次に行けたのが良かったのかなと思います。

――スピンはいかがでしたか

前に滑っていた選手が体力的にキツそうにしていたのでスピンの時は速く回りつつ、休むっていうことを意識してやりました。

――表現面はいかがでしたか

SPのときもそうだったんですけど、ジャンプに気を取られてしまったのでそこは課題かなと思います。

――その課題には国体(国民体育大会)が終わってから取り組むのでしょうか

国体までに、まずジャンプを入れられるようにすることが第一かなという風に思っています。それで余裕があればそういう面もできればいいなと思います。

――他の選手の演技を見ていかがでしたか

今回は最終滑走なのであまり見ることができませんでした。でもきのうの、4年生の松嶋先輩などを見ていて、自分も4年生になったらあれぐらいちゃんとしたレベルで演技ができるようにしないといけないという風に気が引き締まりました。

――最後に国体に向けての意気込みをお願いします

引き続き1月はがむしゃらに練習をしようと思っているので、ケガしないようにしていけたらいいなと思っています。