全ての大学生スケーターが目指す舞台、日本学生氷上競技選手権(インカレ)。早大の活躍が光ったのは、女子7・8級の3人だけではない。女子3級ではルーキーの谷川栞理(人1=岡山一宮)が優勝。安藤美裕(教2=東京・早実)は2年連続の、土橋美菜海(国教4=ドイツ・インターナショナルスクールオブデュッセルドルフ)は自身最後のインカレでそれぞれの持ち味を発揮した。
★安藤、実力を出し切れず21位
大舞台で実力を出し切ることはできなかった
女子4級に出場した安藤は、早大勢で最初に氷上へ登場した。2年連続出場となる今大会では、『Time to Say Goodbye』に合わせて演技を披露する。冒頭のジャンプは、試合に向けて重点的に取り組んできたというダブルトーループだ。「加点が付いていたのでそこは満足のいった部分かなと思います」と振り返ったように、練習の成果を発揮し成功させた。曲の中盤では「確実に落ち着いてやろうと決めていた」という3連続ジャンプも着氷する。アクセルとサルコーにミスが出てしまい、上々の出来とはいかなかったが、表現面については「皆にきれいだったよと言われたので、一応できたかなと思います」と評価を示した。来季に向けて自分に合う選曲、スピンの強化、スケーティングスキルなどで点数を出す研究をしていきたいと語った安藤。この一年で新たな武器を得て、来季のインカレでも上級生としてチームを引っ張ってくれるだろう。
(記事、写真 糸賀日向子)
★谷川、鮮烈デビュー!インカレ初出場で優勝を飾る
優勝という最高の結果でチームに勢いをもたらした
女子3級に登場したルーキー谷川が華々しいインカレデビューを飾った。ダブルサルコー―シングルトーループ―シングルループの3連続ジャンプを演技開始直後に着氷。続くフリップジャンプで両脚着氷となり、ダウングレードとなってしまう。しかしそのほかは大きなミス無くジャンプを決め、ビールマンスピンなどのスピンも披露した。そして谷川の魅力を存分に堪能できるのがコレオシークエンスだ。明るい曲調に合わせ、様々な動きをしながら笑顔を絶やすことなくリンクの上を舞っていった。初出場ながら自身の持ち味を出した谷川は、33.10点で優勝を飾りチームを勢いづけた。
(記事 糸賀日向子、写真 川浪康太郎)
★土橋、ラストインカレで『感謝』の演技
多くの人の声援を受け、最後の大舞台に挑んだ
現役生活最後の公式戦に臨んだ土橋。多くの声援を背に、スタートポジションについた。まずは、最初にして最大の見せ場であるステップシークエンス。体を大きく使い、いつも通りの笑顔で滑り切る。しかし、勢いをつけるべく挑んだ冒頭二本のダブルアクセルはいずれもきれいに着氷することはできず。それでも、「最後までやり切る」と気持ちを切り替えた。意地を見せたのは後半のジャンプ。東日本学生選手権(東インカレ)では1回転になったダブルフリップとダブルループをこの日は回り切る。最後は自慢の美しいスピンで締めくくり、東インカレの得点を5.52点上回る53.90点をマーク。後半の踏ん張りが結果につながった。試合後のインタービューで『感謝』という言葉を4度も口にした土橋。その思いは、この日会場に駆け付けた全ての人に伝わったはずだ。引退試合となる来月のバレンタインカップでも、『感謝』の気持ちを込めた集大成の滑りを披露する。
(記事 川浪康太郎、写真 糸賀日向子)
結果
▽女子4級
安藤美裕 21位 30.02点
▽女子3級
谷川栞理 優勝 33.10点
▽女子6級
土橋美菜海 20位 53.90点
コメント
土橋美菜海(国教4=ドイツ・インターナショナルスクールオブデュッセルドルフ)
――最後のインカレ(日本学生氷上競技選手権)でしたが、どんな思いで臨みましたか
予選とかではないですし、インカレに来られただけでも感謝の気持ちでいっぱいだったので、楽しもうと思って臨みました。
――演技直前、すごくリラックスした表情に見えましたが
楽しみな気持ちが大きかったです。若干緊張しながらも、埼玉のホームリンクのご家族の方やチームのメンバー、大学の方、それに昔スケートを始めた頃の神戸の先生もいらしてくれて、本当にうれしくて、それでリラックスした表情に見えたんだと思います。
――演技内容についてですが、「楽しさを表現したい」と仰っていた冒頭のステップはいかがでしたか
出だしはきょうも楽しくて、ジャンプも跳んでいない状態での滑り出しなので、感謝の気持ちを込めてしっかり滑りました。
――一方でジャンプの出来はいかがでしたか
最初ダブルアクセルを跳んで、調子がよかった分、一つ目は手をついて、次も転倒して焦ってしまったのですが、二つとも調整して跳ぶという目標があったので、最後までやり切る気持ちで頑張りました。
――東日本学生選手権(東インカレ)では決まらなかった後半のジャンプは成功させましたが
東インカレはインカレに行きたい思いが強すぎて、緊張で力を出せなかったのですが、そこからきょうまで、最後の試合は自分の力を発揮したいということで、練習からジャンプを意識してきました。
――同期の松嶋那奈選手(スポ4=東京・駒場学園)をはじめ、早大の選手からの応援もありましたが、どう感じましたか
那奈ちゃんはあした試合がありながら来てくれて、試合終わって疲れている子も来てくれて、みんないろんなスケジュールがある中で時間を合わせて応援に来てくれたので、本当に力になりましたし、感謝の気持ちでいっぱいです。
――引退の舞台となるバレンタインカップへ向けた意気込みをお願いします
公式戦はきょうで最後なのですが、バレンタインカップはまた大学の試合というイメージが強くて、本当に最後の最後なので、大学のみんなや友達に感謝の気持ちを伝えられるような演技ができるように、また頑張ります。
安藤美裕(教2=東京・早実)
――試合の感想をお願いします
全体的に悔しかったというのが感想で、自分の持っている力を出すことができなかったかなと思います。
――試合に向けてどのようなことを取り組んできましたか
ジャンプの成功率を上げたかったので、プログラム内でダブルトーループを成功させるということをまずは練習しました。というのも、東インカレ(東日本学生選手権)の時にダブルトーループを失敗しているんですけど、東インカレの前の夏に跳べなくなってしまっていて。東インカレの時にやっとちょっと戻すことができたかたちだったのでそうしました。あとは曲が結構早くて間に合わないということがわりとあったりしたので、曲の中でどれだけ間を縮めて早められるかということは練習していました。
――そのダブルトーループは本番ではいかがでしたか
本番だと一応何も考えずにやって、降りることができました。加点が付いていたのでそこは満足のいった部分かなと思います。
――3連続のジャンプについてはいかがでしたか
3連続はプログラムの中の最後のところだったのでシングル-シングル-シングルの3連続だったんですけど、確実に落ち着いてやろうと決めていました。
――表現面はいかがでしたか
表現面は私自身の感想ではないんですけど、とにかく先生に言われたとおり笑顔できれいにというのをイメージして今回は滑っていますね。それで終わった後に皆にきれいだったよなどと言われたので、一応できたかなと思います。
――最後に来季に向けての意気込みをお願いします
今季の一個前(のシーズン)の1年の頃の結果と2年の頃の結果が全く違う物になっていて、ちょっと2年で緩んでしまったかなという部分があります。だから3年になって気を引き締めてあとは自分に合う曲を選んだりだとか、ものすごくスピンの取りこぼしが多いので、とにかくスピンの強化をしたいです。あとはスケーティングスキルが、自分が思っているよりは出ないので、どうやったらそういうところで点数を出すことができるのかということを課題にしていきたいと思います。
谷川栞理(人1=岡山一宮)
――きょうの試合を終えての感想をお願いします
きょうの試合は全日本インカレで、初出場だったので非常に緊張していました。でも先輩や同期の応援のおかげで元気に滑ることができたかなと思います。
――リンクサイドで応援していた方からはどのようなことを言われましたか
とにかく頑張れ、と言われました。
――目標にしてきたことは
目標はスピンをすべてレベル3にそろえることでした。しかしそこまでは実際レベルが行かなくて、レベルをそれぞれ3,2,2にしました。でもそれを完璧にできるようにしてきました。
――3連続ジャンプはもともと3連続にしようと考えていたのですか
元々はダブルサルコー―ダブルトーループでした。でも本番前の練習であまりそれが上手くいかなくなってしまって、3連続に変えて練習してきました。
――以前フリップが難しいというようなことを仰っていましたが、今はどのような状態ですか
きょうの試合でもちょっとフリップは失敗してしまったので、次の試合ではちゃんと片足で着氷できるようにしたいと思っています。
――表現面はいかがでしたか
スピンは、レイバックは回転が足りていましたが、キャメルが回転が足りているか怪しいところでした。だからそこが改善点かなと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
次の試合では曲を変えるかどうか分からないですが、見ている人たちが笑顔になれるような演技をしたいと思っています。