礎、有終の美!安井も納得の順位で今季を終える

フィギュアスケート

 早大勢が登場するシーズン最後の大会・バレンタインカップがことしも開催された。2年連続出場の安井ゆり(政経2=東京・豊島岡女子)は8位、そしてこれが引退試合となった礎良輔主将(基理4=東京・早大学院)は優勝。主将、副務としてチームを支えてきた二人が納得の表情で今季を締めくくった。

 23名がエントリーした1級女子。安井は2番滑走、早朝6時頃の登場となった。その影響からか、直前の練習ではジャンプやスピンで精彩を欠く。それでも、本番では日頃の努力の成果を存分に発揮した。前日まで大学の授業でスケート合宿に参加しており、そこで松嶋那奈(スポ3=東京・駒場学園)ら先輩スケーターからアドバイスを受けたという安井。高さのあるジャンプと片足で降りることを意識し、なんとか全てのジャンプをまとめてみせた。終盤には強化してきたステップを滑り切り、その直後に昨季までは跳べなかったフリップを着氷。今季途中から取り組んできたプログラム『2ペンスを鳩に』の表現に磨きをかけると共に、技術面でも大きな成長を示した。結果は1年前の26位を大きく上回る8位。練習では新技にも着手しており、念願である2級取得の日はそう遠くないはずだ。

プログラムの完成度を上げてきた安井

 初めてリンクに立った日から15年。その時と同じリンクで、現役生活最後の演技は始まった。共に歩んできた瀬尾妙実コーチ、早大の後輩たち、切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間たち…。礎を支えてきた全ての人たちがそのラストスケーティングを見守った。序盤、何度も挑戦してきたダブルアクセルをコンビネーションにするなど、四年間で鍛え上げてきた力強いジャンプを披露する。中盤からは過去の振り付けも取り入れつつ、最後の舞を噛みしめるような情熱的なステップや美しいイーグルで歓声を呼んだ。ジャンプの細かなミスはあったものの集大成にふさわしい舞台をつくり上げ、見事優勝。「最後このリンクで終えられて幸せだった」。最高の結果で自らの花道を飾った礎。多くの人に愛された早大の大黒柱は、悔いなく、笑顔で氷上を去る。

演技を終え、胸に手を当てる礎

 礎が引退し、松嶋主将のもとまた新たな1年が始まろうとしている。レベルや練習場所は違えど、今季の早大は相乗効果が生まれ個人個人の成長が際立った。世界や日本最高峰の舞台で滑ることはもちろん、ずっと跳びたかったジャンプを跳べるようになること、一つでも順位が上がること、歓声や拍手が増えること。一歩踏み出せば、どんなことであれそれは立派な成長だ。その瞬間を信じ、早大スケート部フィギュア部門は全員で強くなっていく。

(記事 川浪康太郎、写真 川浪康太郎、糸賀日向子)

主将としてチームを引っ張ってきた礎

結果

▽5、6級男子
礎良輔 優勝 

▽1級女子
安井ゆり 8位 

コメント

礎良輔主将(基理4=東京・早大学院)

――引退試合となったきょうの演技を振り返って

内容はインカレ(日本学生氷上競技選手権)の時に比べたらよくなかったのですが、最後自分のホームリンクで友達とかに囲まれて滑れてすごく楽しかったです。

――ホームリンクということで特別な思いはありましたか

15年目になりますが、始めた時からずっとこのリンクで練習してきて、最後このリンクで終えられて幸せだったなと思います。

――声援や言葉を受けてどのようなことを感じましたか

小さいころから一緒に練習してきた友達であったり、大学に入ってからの友達であたっり、みんなが声を掛けてくれて本当にうれしかったです。

――コーチからはどんな言葉を掛けられましたか

コーチからはいつも通り、練習通りに頑張れと言われました。

――演技の内容面では、まずジャンプはいかがでしたか

アクセルなど跳べたジャンプもあったのですが、パンクしてしまったり不安定だった部分もあったのは反省点です。

――ジャンプ以外の要素については

スピンはインカレの時と違って全部のエレメンツでレベルが取れていると思うのでそこは満足しています。

――きょうのプログラムは普段と少し違ったということですが

基本的には全部同じなのですが、一部昔やっていた振り付けを入れたりしていました。

――最後に、四年間を振り返ってひと言お願いします

大学に入るまでは同じチームの仲間だけだったのですが、大学に入ってからワセダの部員や監督、コーチが応援してくれて、仲間がいる状態でリンクで滑れて貴重な経験でしたし、試合に出るのが楽しかったです。

安井ゆり(政経2=東京・豊島岡女子)

――8位という結果を受けていかがですか

23人中8位ということで上位3分の1に食い込めて、練習はしている方だと思うのですがなかなか試合で結果が出なかったので、それが今回は8位というところまでこられて本当にうれしいです。ジャンプは回転不足で片足着氷だったり、スピンも回らなかったりしたのですが、それでも8位に入れたことも自信になりました。

――初めてこのプログラムを披露した関東学生秋季交流戦のころと比べて変わった部分はありますか

最初はステップを踏むだけとかジャンプをそのタイミングで跳ぶだけとかで精一杯だったのですが、今はジャンプの成功率が上がったことでそもそもが安定して、目線をどうしようとか手の振りをどうしようというところまで演技中に考えながらできるようになりました。もちろん普段も考えているのですが、曲をかけている途中は「次何やらなきゃ」ということだけで頭がいっぱいになっていて振りまで意識できないことが多かったので、それを考えながら試合でもできるようになったことは成長した部分だと思います。

――2番滑走ということで早朝からの登場となりましたが、コンディションはいかがでしたか

かなり大変でした。普段からアップをしないのでそこはよかったかなと思うのですが、練習滑走でプログラムを通した時に全部ジャンプが両足着氷になってスピンも回らなくて、焦る部分はありました。きのうまで大学の授業で合宿に参加させていただいて、松嶋那奈さん(スポ3=東京・駒場学園)や宮下真梨子さん(国教4=米国・ミルバーン高)に教わって、最後の15分くらいは那奈さんにつきっきりで見ていただきました。その時に、「ジャンプは上に上がることと片足でなんとしても着氷すること」だと言われていたので、それを思い出してなんとしてもジャンプはとりあえず片足で降りようと思って、それだけを考えていたら見栄え的にはよくなりました。

――ジャンプの出来を具体的に振り返って

完成度的には全部それほどよくないのですが、練習でできなかったことは本番でもできないタイプなので、練習でできなくてしかも今回3分しか練習がなくてやり直すことができなかったという中、本番では片足着氷できたという点では、今までにない成長かなと思います。出来としてはジャンプはそんなによくないので、しっかり回転が足りて降りられるようにするということが課題だと思います。

――ジャンプ以外の面は

練習ではスピンが回るようになってきたので回りたかったのですが、入り込みが甘くて焦って回ってしまったので、少し飛んでしまったかなと思います。ステップはこの頃スケーティングに力を入れて練習してきて、その成果が出てみんなに「速くなったね」と言われたりしました。最後にトゥステップがあるのですが、どうしてもトゥを使うことが下手すぎて抜けてしまっていたのですが、それがなんとか入ってその後すぐにフリップも跳べて、ステップはわりと評価していいかなと思っています。

――最後に今季を振り返ってひと言お願いします

1年生の時以上に練習するようになったのですが、練習してから結果が出るまでスケートは時間がかかります。1年生から積み上げてきたことがようやく2年の終わりで順位という結果で出てきてすごくうれしいです。そうやって2年生の終わりから練習量を増やすことができたので、練習しているけどプログラムに入れられていないキャメルスピンやバックスクラッチとかも早く2級を取ってできるようにしたいなと思います。練習でできることを曲で入れることがこれからの課題です。