ことしも満員の東伏見で、早慶両校のスケーターが伝統の一戦を彩った。アイスホッケー現役戦の直前に行われたエキシビション。早大からは安藤美裕(教1=東京・早実)が登場し、ルーキーらしいフレッシュな演技で会場を盛り上げた。
日本学生氷上競技選手権(インカレ)からわずか約1週間。スパンの短い中インカレ直後から練習に取り組み、この日に備えた。選んだ曲は、ブロードウェイ・ミュージカル『ヘアスプレー』の挿入歌である『ユー・キャント・ストップ・ザ・ビート』。普段とは雰囲気の異なるアップテンポなプログラムだ。冒頭、美しいスパイラルとレイバックスピンで魅せると、観客席から手拍子が沸き起こる。テンポの速い場面では、曲調に合わせたキレのあるステップと表現力豊かなスケーティングを披露した。サルコージャンプをきれいに降りるなど、フィギュアスケートの醍醐味であるジャンプでも拍手を呼ぶ。最後は再びスピンでフィニッシュ。「応援することが目的だった」との言葉通り、全力の滑りで『勝利の女神』になり切った。また、慶大からはこれが現役最後の演技となった小曽根孝浩主将が登場。ジャンプはノーミス、力強さと美しさを兼ね備えた集大成の舞を見せ、大歓声を一身に浴びながらリンクを去った。
高校生の頃から見ていた舞台に立った安藤
早慶スケート部の歴史はこれからも続いていく。早大唯一の1年生である安藤は、その歴史をつなぐ貴重な担い手だ。アイスダンスと両立しつつ、シングルの大会でも経験を積んできたルーキーイヤー。今季最終戦となる来月のバレンタインカップでは結果にこだわる。大観衆の前で滑った自信を胸に、特別なシーズンを笑顔で締めくくりたい。
(記事 川浪康太郎、写真 石黒歌奈恵、冨田千瑛)
慶大の小曽根主将は最高のラストスケーティングを披露した
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コメント
安藤美裕(教1=東京・早実)
――演技を終えて
自分が滑ったインカレ(日本学生氷上競技選手権)よりもたくさん人がいたので、最初はすごく緊張しました。とにかくアピールすることを目標に滑りました。
――高校時代に早慶戦を観戦したことをありますか
あります。ずっと来ていました。
――その舞台で滑ってみた感想はいかがでしたか
まさか自分がやるとは思っていなかったのですが、できたことはうれしかったです。
――インカレから期間が短かった中、十分に練習はできましたか
インカレの前にエキシビションをやると決まったので、あんまりできていませんでした。インカレで滑った曲はとにかく盛り上がる要素がないので、(エキシビション用に)振り付けをしてもらいました。インカレが終わってから月曜日に朝練があったのでそこで先生に見てもらって、短い期間で一応かたちにはしようと思ってやりました。
――今回のプログラムについて教えてください
使った曲は『ヘアスプレー』の『ユー・キャント・ストップ・ザ・ビート』という曲です。私がショーを観るのが好きなのですが、たまたま舞台で使っていた曲で、今回ノリのいい曲を探していたので、先生と相談する上で提案してこの曲を使うことになりました。とにかく応援することが目的だったので、チアっぽくというイメージでやりました。
――見どころはどこですか
ゆっくりなところからテンポが速くなるところがあって、そこをとにかく踊ることを重視したので、そこを見ていただきたかったです。
――表現という点ではアイスダンスが生きた部分もありましたか
アイスダンスは男性を使って自分を魅せるところがあるので、私が一人で大きく動くのはまたそれとは違っていました。‹/p>
――先輩方や監督からはどのような言葉をかけられましたか
「頑張って」という言葉と、「緊張するよ」ということをひたすら言われていたのですが、楽しくお話ししながら自分のモチベーションを上げてくれました。
――小曽根孝浩主将(慶大)の演技をご覧になっていかがでしたか
Aクラス男子はすごいなというのが印象でした(笑)。早慶戦で小曽根さんのような先輩のスケートを見る機会があるとは思ってもいなかったので、私自身がとても楽しくて、見ていて楽しくなるようなすごいエキシビションだったと思います。
――最後に、バレンタインカップに向けた意気込みを聞かせてください
インカレで自分の思うように滑るということはできたのですが、思ったよりも点数や順位が出ていないので、そこをバレンタインカップまでに先生と相談して、どうやって点数を伸ばしていくかということを自分で考えていきたいです。