早大二枚看板、共にSP50点台で最終グループ入り!

フィギュアスケート

 日本学生氷上競技選手権(インカレ)フィギュア部門2日目は、男女共にAクラスの戦いが開幕。早大の松嶋那奈(スポ3=東京・駒場学園)と中塩美悠(人通2=広島・ノートルダム清心)は、ショートプログラム(SP)から圧倒的な存在感を光らせる。松嶋が3位、中塩が5位と好スタートを切り、西日本勢が多くを占めた上位に東のWエースが食い込んだ。

 松嶋の勢いが止まらない。自己最高得点をたたき出した全日本選手権(全日本)から約2週間。調整期間が短く、調子は万全ではなかった。公式練習、6分間練習とジャンプの不調が目立ったが、いざ演技が始まると、松嶋の脳裏から『ミス』の二文字はなくなった。まずは冒頭、高さ、幅のあるトリプルトーループ―トリプルトーループで会場がどよめく。残るループ、アクセルも流れのあるジャンプで着氷し、見事に本番で三つをそろえてみせた。パワフルなジャンプとは対照的にそれ以外の部分では柔らかな表現を見せ、得点は全日本をさらに大きく上回る56.37点。いまや『定位置』となりつつある1番滑走を力に変え、いきなりスタンディングオベーションを巻き起こした。

スパイラルでも魅了する松嶋

 ワセダの代表として試合に出ることが憧れであった中塩。インカレ初出場で緊張するかと思われたが、演技直前、仲間からの声に笑顔を見せた。SP冒頭のコンビネーションジャンプ、6分間練習では思うように決められず、何度も練習を繰り返していた。しかし、本番では大きな加点のつく滑らかな着氷。得点源となるジャンプを確実に決め、練習での不安を払拭(ふっしょく)した。続く2つのジャンプでは着氷が乱れるも、チームメイトの応援が「励みになったし、楽しかった」と中塩。声援に後押しされ、表情豊かに軽やかなステップとスピンでジャンプのミスを取り返した。全ての要素に納得のいく演技ではなかったものの、52.97点でSP5位。フリースケーティング(FS)で表彰台を狙える位置につけた。

Wを背負って滑った中塩

 悲願のインカレW表彰台へ。首位・大庭雅(中京大)との差は、中塩は5.72点、松嶋に至っては2.32点と十分逆転優勝が可能な点差だ。「ワセダの名に恥じないように」(中塩)。エンジをまとった二人が、あすのFSでは大学最高峰の舞台で飛躍を誓う。

(記事 川浪康太郎、中澤紅里、写真 中澤紅里、廣田妃蘭)

結果

▽女子AクラスSP

松嶋那奈 3位 56.37点

中塩美悠 5位 52.97点

コメント

松嶋那奈(スポ3=東京・駒場学園)

――またしても1番滑走でしたが、心境はいかがでしたか

自分が引いたわけではないのですが、「また1番だ」と思いました(笑)。ちょっと予感はしていたのですが、まさか本当に1番になるとは思わなくて。でも1番は体が冷えないままいけるので、うれしかったです。

――全日本選手権(全日本)から間隔が短い中、どのように調整してきましたか

疲れが全然抜けなくて調子がすごく悪くて、きのうもあまり良くなくて、きょうも6分間練習までひどかったのですが、落ち着いてやろうと思ってやったらうまくいったので良かったです。期間は短かったのですが、集中してできることはやってきたので、いい感じにまとめられたと思います。

――3つのジャンプを振り返って

久しぶりにあんなにきれいにはまったなと思いました。アクセルも公式練習からいきなり抜けて転んで、やばいなと思っていたのですが、本番に懸けようと思って跳びました。しっかりまとめることができたので良かったです。

――表現面はいかがでしたか

きょうは寒くて冷えていたので、体を大きく動かせなかったかなということと、あと全日本の時の方が笑顔で滑れていたかなというのはありました。調子も悪かったのでそんなに緊張はしていなかったのですが、今回は大きく動かせなかったのでちょっとだめかなと思いました。

――全日本で高得点を残したことは経験として生きていますか

そうですね、結構自信につながったので、全日本の演技を思い出しながらやればこれから少しずつ伸ばせるのではないかなと思います。

――チームメイトの声援はどのように感じましたか

やっぱり落ち着くというのがあります。誰もいないと不安もあるのですが、仲間という感じで見てくれているのですごく安心感がありました。

――最後に、フリーに向けた意気込みをお聞かせください

体力が落ちて、全然練習でまとまった演技ができなかったので、あしたは全力でやり切ろうと思います。

中塩美悠(人通2=広島・ノートルダム清心)

――初めてのインカレの雰囲気はいかがでしたか

高校はスケートの高校ではなくて、先輩がいて応援してくださるのがすごく憧れだったので、そういう雰囲気を感じられて他の試合よりも楽しかったです。

――全日本選手権(全日本)から二週間という短い期間でしたが、どのように調整されましたか

国体(国民体育大会)予選ぐらいからケガをしていて、全日本の時もケガが続いていたので一回休んで治そうと思っていたのですが、治り切らなかったので、少し休んでから詰めて調整しました。

――6分間練習ではトリプルトーループ―トリプルトーループを入念に練習されていましたが

いつもは1発目で成功して降りられていたのに降りられなくておかしいなと思って、焦っていたらどんどん変な方向に向かっちゃって、確認のために降りておきたいと練習していたらあんな回数になってしまいました。

――本番の感触はいかがでしたか

本番は、先生にいつも通りと言われていたので、私もいつも通りだと思ってそのままやりました。

――他の2つのジャンプを振り返ってみていかがですか

トーループが思いっきりいけたので、フリップも思いっきりいこうと思ったんですけど、思いっきりいきすぎてステップアウトしてしまいました。アクセルは、自分でもなんでああなったのかよくわからないんですけど、練習ではないミスだったので悔しいです。

――スピン、ステップについてはいかがですか

一応スピンの回数を数えたつもりなんですけど、レベルを見てみないとわからないですね。

――チームメイトの声援はどのように感じられましたか

スケート部があって、ワセダの代表で試合に出るということが初めてだったので、応援していただける先輩がいて、監督がいて、というのはうれしかったし、BクラスやCクラスの人たちも残ってくださって、応援してくださって、わざわざ試合もないのに北海道まで来て応援してくださる方々もいて、すごく励みになったし、楽しかったです。

――フリーに向けての意気込みをお願いします

納得のいく演技ができるように、ワセダの名に恥じないように、ちゃんとまとめたいと思います。