先月は国際大会、年末年始には重要な大会を2つ控えているハードスケジュールの中、中塩美悠(人通2=広島・ノートルダム清心)が故郷・広島県のために滑った。昨季の国民体育大会(国体)では惜しくもシード権を逃し、今季は予選会からの参戦。中塩はジャンプのミスが響き100点台に乗せることはできなかったが、2位と約12点差をつけ28人中トップに立つ。ペアの城代花佳(元広島スケートクラブ)も16位に入り、広島県は団体3位で国体出場を決めた。
ジャンプは万全ではなかった。冒頭のトリプルトーループ―トリプルトーループは成功。構成を戻した東日本学生選手権以降このジャンプはノーミスで、今回はこれまでで最高の出来栄え点を獲得した。一方、続くフリップ、ループは前回の大会に続きアンダーローションを取られる。前半の単独ジャンプが、全日本選手権(全日本)でもカギを握ることとなりそうだ。さらに、3連続を予定していた後半最初のジャンプは、ダブルアクセルがステップアウトとなり単独に。その後も着氷の乱れなどが見られたが、最後はアクセルからの3連続ジャンプを決めリカバリーした。一方、改善が見られたのはスピン。久々にオールレベル4を獲得し、得点につなげた。また、ステップでは他を寄せ付けないスピード感あふれるスケーティングを披露。納得の出来ではなかったものの、見事1位の座をつかんだ。
終盤のスピンを確実にこなす中塩
自身の演技後、最終グループに登場した城代をリンクサイドから見守った中塩。幼少期から同門でしのぎを削ってきた仲間と共に、喜びを分かち合った。連戦を乗り越え、いよいよ全日本を迎える。「せっかく頑張ってつかみ取った全日本なので、思いっきり楽しみたい」。2016年の集大成を見せるその日は、刻一刻と近づいてきている。
(記事 川浪康太郎、写真 藤岡小雪)
結果
▽成年女子
中塩美悠 1位 93.06点
コメント
中塩美悠(人通2=広島・ノートルダム清心)
――今回の大会は広島県代表として出場されましたが、どのような思いで臨まれましたか
広島は私が早稲田大学に所属していても西宮で練習していても、代表として出るくらいすごく思い入れがあって、ずっと育ってきたところです。私の相方も小さいときからずっと一緒にやっている幼馴染のような子で、その子がわざわざ帰ってきてくれているので、広島から出るのは思い入れがあります。
――本番でのジャンプについて振り返っていただいてよろしいですか
これが完成形ではないのは見るからにそうなのですが、やはり締めていかないと話にならないので、締めて回ろうと思いました。降りはステッピングアウトが多かったのですが、先生がステッピングアウトはもう気にしなくて良いからとおっしゃっていたので、ステッピングアウトしたけど良いやと思って切り替えました。
――3連続ジャンプはリカバリーというかたちになりましたが、アクセルジャンプの感触はいかがですか
アクセルは6分(間練習)のときに1本目で上手くはまらなかったのが少しよぎってしまって、締めるのが遅くなってしまいました。それでステッピングアウトみたいになってしまったのですが、2本目では跳べたので付けちゃえ、と思って付けました。
――ステップやスピン、表現面についてはいかがでしたか
表現については前の東インカレ(東日本学生選手権)からだんだんやりやすくなってきています。スピンが西(西日本選手権)ですごく厳しかったので、そこからいろいろと変えたり気をつけて練習をしています。本当はレイバック(スピン)をコンビネーションにする予定だったのですが、最後のアクセルを3連続にしたので時間がなくなってしまってできませんでした。全日本前にレベルが取れるかチェックしたかったのですが、できなかったので悔しいですし、きちんとやってどれくらいレベルが取れるのか知りたかったです。
――全体的に見て、フリープログラムの完成度についてはどのように感じていますか
ジャンプについてもステップやスピンもまだまだなので、あと2週間でどれくらいできるか分かりませんが、全日本で1番良い出来になるようにやることがたくさんあるなと思いました。
――ワルシャワ杯、国体予選、全日本選手権と試合が続いていきますが、連戦の疲れはありますか
連戦の疲れについては、林(祐輔)コーチや私の体のケアをしてくれる方がストップをかけてくださっています。きょうはそんなに頑張ってやらなくても良いよ、力抜いてやって良いよ、といろいろ言ってくださるので、そういうことに関しては先生の言う通りにやっています。
――最後に全日本に向けて意気込みをお願いします
昨年は出発の前日にけがで出られなくなったので、どうしようもありませんでした。せっかく頑張ってつかみ取った全日本なので、思いっきり楽しみたいし全部出し切れたら良いなと思います。