2016―2017年シーズンのISUチャレンジャーシリーズ第7戦。各国の30名がエントリーした女子シングルに、日本からは加藤利緒菜(中京大)と中塩美悠(人通2=広島・ノートルダム清心)が出場した。ショートプログラム(SP)4位スタートとなった中塩は、フリースケーティング(FS)で今季最高の演技を披露。3位にはわずか0.34点届かず表彰台入りは逃したが、パーソナルベスト(2014年JGPタリン杯での160.64点)に迫る得点を残し次戦に弾みをつけた。
国際大会は昨季のグランプリシリーズアメリカ大会以来。日本代表として臨む久々の大舞台、SPは緊張からか表情が硬かった。冒頭のコンビネーションジャンプは決めたものの、課題のフリップは回転不足に。その後のジャンプとスピンは立て直したが、最後のレイバックスピンはレベル2にとどまる。技術点が伸び悩み54.13点。本人が「動揺からステップも踊り切れていなかった」と振り返ったように、精神面の課題が残る結果となった。
FSは最終グループの2番滑走。カイラニ・クレイン(オーストラリア)が会心の演技で高得点を出した直後に登場した。SPから一転、この日は中塩にいつもの笑顔がよみがえる。キレのあるスケーティングで踊り切り、演技構成点は今季初めての50点台をマークした。一方、徐々に調子の上向いてきているジャンプは全て着氷。3つの単独ジャンプでアンダーローテーションを取られたものの、得点源となるコンビネーションジャンプを完璧に決め高得点につなげる。今季最高得点でFSのみでは全体の3位につけた。ジャンプの精度を上げ、スピンとステップで本来のレベルを取ることができれば、まだまだ得点は伸びるはずだ。
状態は徐々に上がってきている。8月、今季初戦となったサマーカップではSP、FS共にジャンプがことごとく決まらず。それから約3カ月が経ち、今大会ではその初戦の得点を約25点も上回った。だが、百戦錬磨の今シーズン、目指すゴールはまだ先だ。2年目の『ゴファー・マンボ』、そして新境地『ラプソディ・イン・ブルー』の完成形を、追い求め続ける。
(記事 川浪康太郎)
※国際大会のため、文面取材を行いました
結果
▽女子シングル
中塩美悠 4位 157.23点(SP 4位 54.13点、FS 3位 103.10点)
コメント
中塩美悠(人通2=広島・ノートルダム清心)
――久々の国際試合でしたが、緊張はありましたか
基本緊張しいなのでどの試合も緊張していますが、今回は貴重な一戦だったので、いつも以上に緊張していました。
――今回から靴を変更するとのことでしたが、感触はいかがでしたか
靴はすぐ慣れる方なので、問題ありませんでした。
――ショートプログラム(SP)の演技を振り返って
6分間練習がよかっただけに、決まらなかったジャンプに悔いが残りました。動揺からステップも踊り切れていなかったです。
――フリーでは今季最高の103.10点を出しましたが、振り返って
公式練習がよかったので、落ち着いてやろうと心掛けてやりました。大きなミスはなかったのでハプニングや動揺は少なかったように思います。ステップはSPの反省を活かし、しっかり踊れたのではないかと思います。
――そんな中、3つのジャンプでアンダーローテーションを取られましたが、特にジャンプの出来はいかがでしょうか
私の頭は落ち着こうとしていたのですが、体は焦っていたようで、林(祐輔)先生にタイミングが合っていなかったと指摘していただきました。
――今大会で得た収穫と見つかった課題を教えてください
やはり、弱気になったら失敗してしまいます。少しの隙をも見せてはならないと感じました。しかし、万が一ジャンプを失敗してしまっても、スピンやステップで補えるようきっちりレベルを取ることがいかに大切か痛感しました。
――今大会を通じて、演技を見て印象に残った選手はいましたか
あまり同じカテゴリーの選手は見られなかったのですが、たまたまペア競技を少しだけ見られて、ヴァレンティーナ・マルケイ、オンドレイ・ホタレックペア(イタリア)が大迫力で抜きんでてうまかったのを覚えています。マルケイ選手はシングルでグランプリシリーズに出場していた実績があり、ペアに転向した今でも彼女の魅力は健在で、より良くなっていたように思います。
――最後に、次の試合に向けた意気込みをお願いします
12月は連戦になるので、体調管理に気をつけて、一番大切な試合にピークを持っていけるよう調整していきたいです。