ワセダに3つのメダル!仲間の声援背に躍動

フィギュアスケート

 古豪復権の足音は、確かに大きくなってきている。新体制で挑んだ関東学生フリースケーティング選手権(関カレ)。ワセダからは6名が出場し、7・8級女子で松嶋那奈(スポ3=東京・駒場学園)が優勝、山野井英未(国教2=千葉・渋谷教育幕張)が3位入賞を果たすなど存在感を示した。新シーズンの第一歩を踏み出した選手たちは、それぞれの夏に向かって再び歩みを進める。

★課題残すも3位入賞

声援を武器に力強く滑る新主将の礎

 5・6級男子には礎良輔主将(基理4=東京・早大学院)が登場した。主将として臨んだ初めての大会。冒頭は前回の大会から課題としていたダブルアクセル。「回り切ったかなとは思いますが転んでしまった」(礎)というように着氷につなげることができなかった。しかし、続くコンビネーションジャンプを決めるとスピード感のあるステップを披露。スピンやジャンプなど、ところどころに課題が見つかったものの、全体では3位と最後まで演技をまとめたところに昨季から続く確かな成長が見られる。また一歩成長するために欠かせないのがアクセルジャンプの完璧な成功だ。絶対に決めるという強い気持ちを持って次戦へ臨む。

(記事 杉山睦美、写真 井上莉沙)

★土橋、古橋が留学前最後の演技を披露

鮮やかな衣装で渾身のSPを見せた土橋

 関カレ初出場となった1級女子の安井ゆり(政経2=東京・豊島岡女子)。表現面に成長が見られたものの、23位と振るわなかった。2級昇格へ向け、新技の習得を目指す。一方、5・6級女子では、土橋美菜海(国教3=ドイツ・インターナショナルスクールオブデュッセルドルフ)と古橋遥南(政経3=東京・早実)が留学前最後の勇姿を見せた。特に会場を沸かせたのは土橋。カラフルなドットが目を引く衣装に身を包み、イタリア映画『道』の壮大な音楽を表現した。目標であったダブルアクセルの着氷には成功したが、スピンでミスが出るなど得点は伸び悩み18位。最終滑走の古橋も21位に終わったが、新天地に飛び立つ二人の『道』は続いていく。

(記事 川浪康太郎、写真 井上莉沙)

★松嶋が初優勝、山野井も3位に

山野井は完璧な演技で高得点をマークした

 7・8級女子には、松嶋と山野井が出場。ワセダのエース、松嶋が華麗な演技を見せた。6分間練習でも重点を置いて確認していた冒頭の連続ジャンプこそ二つ目のトーループが二回転となってしまったが、後半のダブルアクセルはしっかり着氷。持ち前の伸びやかなスケーティングやステップを披露し見事45.43点で初優勝を飾った。それでも悔しい表情を浮かべた松嶋は「関東ブロックで、大事な試合が始まってくるので、ミスしないような練習をしたい」と、次の舞台に早くも目を向けた。昨年は惜しくも逃した全日本選手権への切符をつかむためのさらなるレベルアップにまい進する。

 一方の山野井は、昨年から持ち越したSP『黒い瞳』で試合に臨んだ。緊張していたと語った山野井だったが、冒頭の連続ジャンプなど課題としていたジャンプをすべて着氷する。自身が得意とする表現面でも、体の隅々まで意識を巡らせた、キレのあるステップや華麗なスピンで観客を魅了した。目標としていたノーミスを達成し、演技終了後には笑顔も見せた山野井。得点も42.69点をマークし、3位に入った。「練習に近いものが出来たし、楽しめたし、結構満足しています」と、ワセダとして出場する、留学前最後の大きな大会を締めくくった。

(記事 糸賀日向子、写真 廣田妃蘭)

表彰式後笑顔を見せた松嶋と山野井

結果

▽1級女子

安井ゆり 23位(6.95点)

▽5・6級男子

礎良輔 3位(30.98点)

▽5・6級女子

土橋美菜海 18位(27.38点)

古橋遥南 21位(26.26点)

宮下真梨子 棄権

▽7・8級女子

松嶋那奈 優勝(45.43点)

山野井英未 3位(42.69点)

コメント

礎良輔主将(基理4=東京・早大学院)

――ことしからチームのキャプテンとなりましたが、去年とは違い意識したことはありますか

今までも基本的に主将はみんなを大会の時にまとめるという役割が強かったので、僕が主将になったからといって特別意識したことはないですが、やはり選手の演技を最初から最後まで見ようと思い、そばにいようという思いは強かったです。またことしからようやく、ことしだけかもしれないですけど部練というものを早大で実施しまして、それで試合前などの練習を通して団結力なども少し強まればと思います。

――今回使用した曲について教えてください

曲は今までのフリーで使っていた、『メタルギアソリッド』です。新しいと言いつつも実は5級を受けた中学、高校時代に使っていた曲です。ただ今回ショートに突然試合が切り替わってしまったので、直前にまた内容などを変えるために振り付けをし直してもらいました。

――衣装についてはいかがですか

衣装は前回のフリーの曲をかけたインカレ(日本学生氷上競技選手権)の時と同じで、前回と引き続き同じ曲だったので相性よく使えたと思います。

――きょうのプログラムのポイントは何でしたか

やはり一番はじめにこれまでも課題としていたダブルアクセルを入れて跳びたいと思っていましたが、回り切ったかなとは思いますが転んでしまったのがちょっと残念です。

――今のお話にも少しありましたが、きょうの演技を振り返ってジャンプの面はいかがでしたか

ショートなので、跳んでいいジャンプが3つしかないのですが、そのうちダブルアクセルは今現在何とか跳べるかなと思っていましたが失敗してしまいました。トリプルはまだ練習中で跳べず、フリップも少しエラー気味だったので全体的に課題の残る内容だったかなと思います。

――スピンやステップなど表現の面ではいかがでしたか

ステップは今までのフリーのものを使っていたので今までやってきたものを通して少しは滑りがよくなっていたと思います。スピンもコンビネーションスピンやシットスピンはそこそこできていたと思いますが、キャメルスピンが苦手でちょっと回転が足りず練習が必要だなと思っています。

――次の大会への意気込みをお願いします

次の大会はインカレ予選になると思うのでそれまでにダブルアクセルのクオリティをあげて、次こそはクリーンで降りられるように努力したいと思います。

松嶋那奈(スポ3=東京・駒場学園)

――演技を終えての感想をお願いします

ちょこちょこミスが出てしまったので、悔しい思いがまだあります。

――リリーカップが終わってから今回の大会まで練習場所がなかったということですが、どのような練習をしてきたのでしょうか

私は東伏見の方で貸し切りをお邪魔させてもらって、一日一時間程度の練習をずっとここまでしてきました。

――練習の時はどのような点を重視していましたか

曲かけがあまりできる状況ではなかったので、ジャンプ一つ一つミスしないようにしてきました。

――6分間練習の時残り1分頃に連続ジャンプを重点的に練習していましたが、それはどのような狙いがあったのでしょうか

3回転-3回転はやっぱり点数が大きくて私の得意なジャンプだったので、一回くらいは降りておきたいなと思ってやったのですが、試合では一つ目で上がりすぎて、二つ目に3回転回ったときに失敗するなと思って、3回転-2回転にしてしまいました。練習では跳べていたので、次の試合に向けてはもっと練習していけたらいいなと思っています。

――表現面についてはいかがだったでしょうか

スローな曲だったのですが、やっぱり遅いだけではだめなので、もっと笑顔の出るようにしていけたらいいなと思います。

――次の試合に向けての意気込みをお願いします

次は東京ブロックで大事な試合が始まってくるので、ミスはしないような練習をしたいと思っています。

土橋美菜海(国教3=ドイツ・インターナショナルスクールオブデュッセルドルフ)

――今大会の目標を教えてください

2か月前くらいは留学前最後の大会ということで目標にしていたトリプルとダブルアクセルを跳ぶということを目標にしていました。ですが、1か月切ったくらいにショートに変更されるということを知らされて、2年前くらいに滑った状態からショートは練習していなかったので焦りがあったのですが、なんとかみなさんのおかげで試合に出られる状態まで持ってくることができました。新しい靴に変えて足に合わなかったりもしたので、試合に出られることに感謝してこの試合までにできる自分のエレメンツ全てをプログラムの中に入れることを目標に頑張りました。

――実際に滑ってみてジャンプの出来はいかがでしたか

6分間練習では調子がよくなくて不安だったのですが、最初のダブルアクセルが決まった時はとてもうれしかったです。このままいけるかなと思ったのですが、コンビネーションにミスが出て引きずってしまいました。ですが、ダブルアクセルを跳ぶことが一番の目標だったのでそれを跳べたことはよかったです。

――今回使用した曲について教えてください

今回使った曲は『La Strada』という映画の曲です。その映画は女性のピエロの話で、きょう着ていた衣装が曲を作る前に違うプログラムで着ていたもので、その曲もサーカスの曲だったのですが、シングルでこれを滑るとなった時にその衣装に合うプログラムをということで女性のピエロが主人公の映画の曲を選びました。

――ジャンプ以外の表現面の出来はいかがでしたか

1か月弱前から始めたプログラムだったので完成度は高くはないのですが、曲も好きですし、以前ドイツにいた時に滑った曲でもあるのですごく思い入れがあって、滑っていて楽しい気分でした。それが表情や表現に出ていたらなと思います。

――最後に、今後に向けた意気込みを聞かせてください

夏から留学に行ってしまうので、日本の試合は少しお休みしてしまうのですが、今まで通り文武両道でスケートを続けて、最後引退の年に日本に帰ってきて試合に出て成績を残せるように向こうでも頑張りたいと思います。

古橋遥南(政経3=東京・早実)

――久々の公式戦でしたが、今回の試合を振り返っていかがですか

きょうが留学前最後の試合だったのですが、最初はフリーの予定でした。ですが人数の関係でショートに変更になって、ショートの練習は全然していなかったので間に合うか不安だったのですが、留学前最後の試合ということでできるところまで頑張ろうと思って挑みました。

――いつ頃ショートプログラムへの変更を知らされたのですか

2、3週間前ですね。

――留学はどのくらいの期間行かれるのですか

1年間です。ことしの夏から行きます。

――今大会に向けてどのような練習をされていましたか

バレンタインカップの本番でスピンが入らなかったので、スピンの練習をしてきました。ショートに変更になると分かってから、今まであまり練習をしてこなかったダブルアクセルを入れなければいけなくなったので、ダブルアクセルの練習をしてきました。

――本番前、ダブルアクセルの出来に手応えはありましたか

ダブルアクセルは前まではやっていたのですが大学生になってからは全然練習していなくて、降りられるとは思っていませんでした。それでも練習で何度かいい感じに飛べてはいたのですが、6分間練習ではダメかなという感じでしたね。

――最後にジャンプの転倒が見られましたが、その点はいかがですか

練習ではダブルトーループが一番入っていたので、そこを失敗したことは悔しいです。入るタイミングがずれてしまいました。

――留学中もスケートの練習は続けられるのですか

する予定です。授業との関係でどれくらい滑れるかは分からないのですが、できるだけ練習しようと思っています。

――復帰は1年後ですか

6月くらいに帰ってくるので多分関カレには間に合わないと思うのですが、東インカレには出られると思います。

山野井英未(国教2=千葉・渋谷教育幕張)

――今大会の目標を教えてください

結構調子が上がってきていたので、3つのジャンプをしっかり練習通り降りられること、ノーミスを目標にしていました。

――目標の達成具合はいかがでしたか

緊張したので、少し守りに入ってしまって。いつも通りのジャンプではなかったけど結果的に降りることができたので、80点くらいかな。

――昨年はジャンプが課題だとおっしゃっていましたが

(ジャンプは)前シーズンよりよくなってきています。練習では回転足りて降りられたりよくなってきているので、いい感じです。

――表現や表情はいかがでしたか

ちょっと緊張していたので最初から最後まで笑顔ではできなかったのですが、後半はほほ笑みながらできたし、終わったあとはホッとして笑顔が出てきました。

――2年目になって気持ちの余裕も出てきたのではないかと思います

だいぶ大人数の人に応援されるのも慣れてきたのですが、やっぱり緊張はいつも通りしました(笑)。

――昨年に引き続き同じプログラムでしたが

ことし留学してしまうので、変えずに最後までこれでいこうと思って。

――早大として出場する留学前最後の大きな大会を終えていかがですか

そんなにプレッシャーはなかったし、調子も上がってきていたので、最後練習に近いものができたし、楽しめたし、結構満足しています。

安井ゆり(政経2=東京・豊島岡女子)

――この大会に出場するのは初めてということでしたが、今大会への目標は何かありましたか

目標は当初はループとフリップとルッツという今までやっていなかった挑戦するようなジャンプを全部、今までのジャンプを変えて入れて難しい構成にするということが目標でした。ですが、少し自分の技術が追いつかないところがあったので、ループだけ何とか跳ぼうと思って頑張りました。また、どうしてもスパイラルで足を持つところがうまくいかなかったので、そこは何とか入れたいなと思ってやっていました。

――早大の選手が大勢いる中での試合となりましたが、応援などはどのように感じていましたか

7・8級で先輩の那奈さん(松嶋、スポ3=東京・駒場学園)と英未ちゃん(山野井、国教2=千葉・渋谷教育幕張)がすごくいい成績を残していたので、自分も同じくらい跳べるような気になって、自分としても体とか精神的な調子もよかったのでいけるかなと思っていました。

――バレンタインカップと比べてきょうのご自身の演技はまずジャンプの面ではいかがでしたか

バレンタインカップの時は、ループジャンプがその10日前くらいに初めて降りたくらいで、本当に9対1で降りないくらいのジャンプだったのですが、今は半々くらいになっていたので、エッジに深く乗ろうと意識すれば跳べるようになっていました。ですが多少失敗のリスクがあるので他のジャンプで最低の点数は取ろうという風に思っていたので、少し進化はしたかなと思います。

――表現の面ではいかがでしたか

バレンタインカップの時に友達から表現はいいと褒められたのですが、同時にスピードがもうすこしあればもっといいのにと言われたのでスピードを意識しました。作ってもらったプログラム自体にはあまり手の振りなどが細かくついてなかったので、自分でつけようと思い、いくつか足してやってみました。

――次の大会へ向けての意気込みをお願いします

本当はこの大会は2級で2分の長い曲で出たかったのですが、自分が新しいジャンプの習得が追いつかなかったので、次の大会では2級で出るつもりでやっていきたいです。