松嶋、山野井が7・8級女子でダブル入賞

フィギュアスケート

 今シーズンの開幕戦、第43回関東学生フリースケーティング選手権大会(関カレ)が東大和スケート センターにて行われた。小林里紗主将(社4=東京・三輪田学園)率いる新生ワセダからは、今春か ら加入した山野井英未(国教1=千葉・渋谷教育幕張)を含む7人の選手が出場。各々が新プログラ ムを披露することとなった。

 午前に行われた1級女子からは小林が出場。少々着氷をぐらつかせる場面を見せながらも複数のジャ ンプを成功させ、大きくミスをすることなく12.83点で見事4位入賞を果たした。今季はチーム最年長として主将に就任した小林。後輩を手厚いサポートで支えつつも、次回の試合では自身のステップアップとして2級女子から出場することとなる。

今季の主将を務める小林

 5・6級女子。ワセダからは土橋美菜海(国教2=ドイツ・インターナショナルスクールオブデュッ セルドルフ)、宮下真梨子(国教3=米国・ミルバーン高)、古橋遥南(政経2=東京・早実)の3選手が出場した。第3グループの第1滑走で登場したのは土橋。大学生らしい大人っぽい曲を、ということで選曲した『水百景』のメロディーの合わせ、長い手足を活かしたダイナミックなスケーティングで会場を魅了した。ジャンプで2回転倒をするも、終始落ち着いた滑りでコンビネーションジャンプも鮮やかに決め54.86点で7位入賞。今後は更なるジャンプのレベルアップを目指し、3回転ジャンプの練習に励む。久しぶりの公式戦出場で「とても緊張しました」と語ったのは宮下。結果こそ46.49点で18位と入賞には届かなかったものの、2つのコンビネーションジャンプを成功させ、安堵の笑みを浮かべた。古橋はジャンプで2度転倒し、45.53点の20位。「あまり出来は良くなかった」と自己評価するも、難易度の高い技から逃げずに果敢に挑戦した姿はさらなる高みへとつながるに違いない。5・6級男子には礎良輔(基理3=東京・早大学院)が出場。不慣れな新プログラムでジャンプミスが響き54.51点の4位で終えた。

大人な滑りを見せた土橋

 今大会最終種目となった7・8級女子からはワセダのエース、松嶋那奈(スポ2=東京・駒場学園)と期待の新星、山野井が出場。本調子ではない中出場した松嶋であったが、自ら振り付けをした『シカゴ』のリズムに乗って軽快なステップと持ち前のスマイルで会場全体を巻き込み、72.70点で5位入賞を果たした。小さなミスに悔いは残ることとなったが、次回出場予定の東京フィギュアスケーティング選手権(東京ブロック)にはきっちりと修正を加えて挑みたいところだ。「すごく楽しかった」と大学初の公式戦を振り返るのは山野井。曲調の変化にも巧みな表情と表現力でメリハリをつけ、堂々たる滑りを見せた。70.98点で6位入賞という好調なスタートを切った山野井の今後の活躍から目が離せない。

(記事 井上莉沙、写真 又坂美紀子)

ダブル入賞を果たした松嶋、山野井

結果

▽1級女子

小林里紗 4位(12.83点)



▽5・6級男子

礎良輔 4位(54.51点)



▽5・6級女子

土橋美菜海 7位(54.86点)

宮下真梨子 18位(46.49点)

古橋遥南 20位(45.53点)



▽7・8級女子

松嶋那奈 5位(72.70点)

山野井英未 6位(70.98点)

コメント

礎良輔(基理3=東京・早大学院)

——きょうの演技を振り返っていかがでしたか

曲を変えたばかりでまだあまり滑り込んで練習していないので、色んな場所でミスが目立ったかなと反省しています。

——直前の練習ではジャンプもよく成功していましたが、ジャンプの調子はいかがでしたか

普段の練習ではジャンプやフリップは結構得意なので最初は決まったんですけど、曲の流れに合わせてちょっと変形したループやフリップはまだ少し慣れていないので、そのあたりを練習で慣らしていかないとと思っています。

—— 初めのコンビネーションジャンプがきれいに決まりましたが、どんなジャンプでしたか

一番最初は一番得意なフリップジャンプをいつも入れるようにしてるので、そこでフリップのコンビネーション入れて流れを持って行こうかなみたいにいつも思ってます。

——スピンやステップの出来はいかがでしたか

スピンはそれなりにポジションもきっと取れていたと思うんですけど、ステップがうまく最後足を運べなくて抜かしてしまったところもあるので、そのあたりも今後ちゃんと良くしていかないとと思ってます。

——きょうは新しい曲の使用でしたが、曲名を教えてください

「メタルギアソリッド」というゲームのオープニングテーマを自分で適当に編集して作ったやつなんで曲名みたいなのは無いです。

——選曲した理由を教えてください

もともとこのゲームがとても好きで、小さいころから2分、3分、3分半、ショート全部このシリーズの曲を使ってるのですが、ことしとらいねんで(この曲を)使うのが最後になるので一番好きな曲の一番好きな部分を集めて作った曲として思い入れがとてもあります。

——今回最も意識したのはどんなところでしたか

意識した部分。やっぱり一番最初の前半の部分のフリップのコンビネーションは絶対に決めて流れを持って行こうと思ってました。きょねんとかはそこで失敗して一番最初にミスしたのちに全部総崩れとかもあったので、そこのコンビネーションだけは決めようという風にずっと思ってました。

——今後に向けての改善点とかってありますか

最初にも言った通りまだまだ曲を変えてそんなに滑り込めていない部分が多くあるので、しっかりとこのあとのインカレ予選までにまとめていい演技ができるようしっかり練習していきたいと思います。

小林里紗(社会4=東京・三輪田学園)

——きょうの演技を振り返っていかがでしたか

ノーミスでやることを目標としていたのですが、ジャンプのときに降りて止まってしまったりしていてギリギリでひやっとしましたが、こらえられたのでそこは良かったと思っています。スピンが練習より質が悪くなってしまって、そこが悔しいです。

——今回使用した曲について教えていただけますか

この曲はバレエ音楽のコプリアの曲なのですが、今回の大会で1級として出るのが最後で次からは2級で出るので、この曲は最後なのですけれど、自分の納得できるように演技したいと思っていました。

——この曲を選んだ理由を教えて下さい

小さい頃、バレエをやっていたので選ぶときはバレエ音楽がいいなと思っていて、バレエでコプリアは踊っていなかったので、踊っていない代表作ということで選びました。

——直前までジャンプの確認をされていましたが出来はどうでしたか

少し悔しかったですが、良かったと思います。

——今季は主将となりましたが、以前と比べて意識の変化はありましたか

今までは先輩たちがすごく応援してくれていて、先輩たちが身近にいらっしゃる中でやってきていたのですが、自分が一番上で今度は後輩のサポートや応援する側に回らないと、という意識はあります

——今後の意気込みをお願いします

次は曲の分数が長くなり今の倍以上になるので、体力的にも分からないですけれど、そこをちゃんと練習して一個一個のエレメンツをしっかりとミスなく入れられるように最後まで頑張りたいです。

土橋美菜海(国教2=ドイツ・インターナショナルスクールオブデュッセルドルフ)

——きょうを振り返っていかがでしたか

最初のほうはよくてすごく気持ちよく滑ったんですけど、途中ちょっとミスが出てしまって体力不足だなっていうのを自分で感じました。

——グループで1番目の滑走順でしたが、それについてはいかがでしたか

練習の後にすぐ滑るので、人によっては好き嫌いがあるんですけど、私はその練習が終わってから待つよりはすぐに滑ったほうが好きなので、1番だったのがすごく滑りやすかったです。

——プログラムに使用した曲を教えてください

曲の名前は「水百景」という曲です。

——去年とは少し曲調が違うように感じられたのですが、なぜこの曲を使用されたのですか

今回の曲はシングルの曲で選んだんですけど、大学生になったので、少し大人っぽい曲を滑りたいなと思って、それで先生に相談したところ、いくつか候補を持ってきてもらい、その中でわたしが聴いて、一番今の曲が気に入ったのでこれに決めました。

——5月10日のアイスホッケー第61回早慶定期戦のエキシビションで、同じプログラムを演じたことは、きょうに活かされましたか

試合がまた久しぶりだったので、やっぱり衣装を着てみんなの前で滑るのはすごく緊張しますし、この前の早慶戦でプログラムを滑ったことは今回のためになったと思います。

——一度転倒が見られたんですけれども、終始落ち着いていたように見られました。ジャンプの出来はいかがでしたか

最初のほうは、転んだりがなかったので、落ち着いてできたんですけど、転んだときはちょっと「あっ」と思って焦って、2回目もついひびいてしまって、どうにか最後まで滑りきりました。

——最後に今後に向けた意気込みをお願いします

アクセルを2つ入れることは今日できたんですけども、やはりトリプルを本当は入れようと思っていて間に合わなかったので、次の試合までにはトリプルを入れられるように頑張りたいと思います。

古橋遥南(政経2=東京・早実)

——きょうの試合を振り返って

2回転んじゃったので、あまり出来は良くなかったかなと思います。

——今回使用した曲に何か思い入れはありますか

「イタリア」という曲なんですけど、高校生の時から使っている曲です。

——公式戦は関東学生秋季交流戦以来ですが、その頃と比べて何か変わったところはありますか

交流戦の時は、自分が飛べないと思ったら逃げてしまっていたんですけど、今回は挑戦できたかなと思います。

——きょうのコンディションは

本番まで全然緊張しなかったんですけど、滑り始めると結構緊張してきちゃって、途中から動きが硬くなってしまったんですけど、緊張していた中でもやれることはやったかなと。

——2度ジャンプの転倒が見られましたが、その点はいかがですか

締め切れば降りられたジャンプなので、ちょっと緊張してたのもあって、締め切れなかったなという風に思います。

——中盤のコンビネーションジャンプは上手く決まっていましたが

本当は、ダブル+ダブルの予定だったんですけど、ちょっと心配になってしまって2個目をシングルにしてしまったのが心残りです。

——表情など、表現面の出来はいかがですか

前よりは余裕が出てきて、ちゃんと顔も作れるようになってきたかなと思うんですけど、まだまだだと思うので、これからもっと前進していきたいなと思います。

——今後に向けた改善点があれば教えて下さい

最後のレイバックスピンが、得意なはずなのに回転が遅くなったりすることが多いので、最後までちゃんとスピードをつけられるようにしたいなと思います。

松嶋那奈(スポ2=東京=駒場学園)

——きょうの試合を振り返っていかがでしたか

今まで練習してきて好調とは言えないんですが、やはり今日は練習してきたことができればいいなと思っていて、ただちょこちょこミスしてしまったり、普段ミスしないようなところでもつまずいたりしてしまったので、悔いが残る試合だったかなと思います。

——具体的にどのようなミスで悔いが残っていますか

いつも失敗しないようなスピンが回りきれなかったり、コンビネーションジャンプを滑ってみたものの(ジャンプが)入らなかったところが悔しいです。

——練習では3連続のジャンプの成功が見られましたが、実際の予定には組み込まれていたのでしょうか

組み込まれていたんですけど、3個目が入りきらなさそうになったので、2個目で留めておくことにしました。

——新しく使用した曲につて教えて下さい

曲名は「シカゴ」で、自分でやりたいって先生に言ったんですけど、先生にちょっと難しい曲だねって言われて「振り付けを自分でやってみる?」みたいな感じで振り付けを今回は自分で作りました。手直しを先生がしてくれたんですけど、やっぱりまだまだ踊りきれないところとかもあるので、これからはちゃんと練習の段階から踊れるようにしていきたいと思います。

——終始軽快なステップが印象的でした。曲もご自身が選ばれたということだったのですが、明るい曲の方が得意なのでしょうか

明るい曲というより、滑らかな曲の方が得意です。

——1月の日本学生氷上競技選手権(インカレ)を終えてからどのような調整をされましたか

やはりジャンプがまだ失敗したりすることが多いので、1つ1つ丁寧に失敗しないようにしていける練習を心がけました。

——今回良かった点について教えて下さい

いつも応援をしに来てくれる人が大勢観ててくれたので、笑顔で滑りきれたところが良かったです。

——最後に、今後に向けた意気込みをお願いします

次の試合はおそらく関東サマートロフィーは出ないので、東京ブロックからになります。シーズン始めの試合にミスをしないようにきっちり練習していきたいと思います。

宮下真梨子(国教3=米国・ミルバーン高)

——きょうの試合を振り返っていかがでしたか

いつもはコンビネーションを1つしか入れていないんですが、今回は2つ入れて成功したので良かったと思います。

——2つのコンビネーションジャンプの名前を教えて下さい

2フリップ+2 トーループと2フリップ+2ループです。

——使用した曲の名前は何ですか

名前は分からないのですが、浅田真央さんが使っていて好きだったので選びました。

——久しぶりの公式戦出場となりましたが、その点はいかがでしたか

とても緊張しました

——その緊張が影響して上手くいかなかった部分や、逆に慎重になれた部分はありますか

ステップの時に少しぐらついてしまいました。

——しかし序盤からジャンプがきれいに決まっていました

いつもはジャンプで必ずミスをしてしまうのですが、今回は失敗をしなかったので良かったと思います。

——スピンについてはいかがでしたか

もう少し練習した方がいいなと思いました。

山野井英未(国教1=千葉・渋谷教育幕張)

——きょうの試合を振り返って

ジャンプの回転が足りない部分はちょっと悔いが残ってるんですけど、会場全体の明るい雰囲気で、自分でも楽しく演技できましたし、達成感があったので良かったかなと思います。

——大学に入って初めての公式戦でしたが、何か意識したことはありますか

いつもの大会と雰囲気が違い、団体戦という感じだったので、これまではすごくストイックというか自分に厳しくと思っていたけど、今回は笑顔で楽しむことを意識しました。

——新しい環境には慣れましたか

国際教養学部に入ったんですけど、入学式から毎日が楽しくて本当に最高です。とても慣れました。

——有力な西野友毬選手の直後という滑走順についてはどう思いましたか

友毬ちゃんの後と聞いてすごいどうしようと思ったんですけど、確かに歓声がすごくて、自分がリンクに入ったらシーンとしちゃうんじゃないかなと思ったんですけど、入った瞬間から周りの応援がすごくて、なんかもう忘れちゃいました。(笑)

——今回使用した曲に何か思い入れはありましたか

「アーティスト」という曲なんですけど、白黒映画でミュージカルなんですけど、ジャズとかタップダンスがテーマなので、その雰囲気に合うように明るくテンポよくやりました。

——曲調の変化が途中で何度か見られましたが、そこの切り替えで意識したことはありますか

やっぱり、笑顔のところと、ちょっと普通のところと、表情とか速さとかを分けました。

——途中で手拍子も湧き起こりましたが

すごい楽しかったです。楽しくなりすぎてそこで体力使っちゃって、後半ちょっと疲れちゃいました。(笑)

——後半にジャンプを多く入れていたと思うのですが、プログラムの編成で心がけたことはありますか

最初の3つのジャンプが一番この中で難しいジャンプでした。最初の3つ集中して残りは簡単なジャンプなのでポンポンポンとやったらいいかなと思って(多く組み入れました)。

——これから更に伸ばしていきたいところについて聞かせてください

1、2ヶ月前で少し太ってしまって、すごく調子悪くなっていて落ち込んでいた時期があったんですけど、今少し体重が落ちてきて、調子も上がってきたのでもっとトリプルジャンプの回数をプログラムで増やして、ちゃんと回転が足りて降りれるように、ジャンプを磨きたいなと思います。

——最後に次への意気込みをお願いします

すごい楽しい経験ができたのでこの気持ちを忘れないで、ポジティブな気持ちでことしは楽しむことメインで頑張りたいと思います。