予選を勝ち抜いた東西の精鋭たちが学生日本一を競う、日本学生氷上競技選手権(インカレ)。本年は北海道の帯広市での開催で、この日は男女B・Cクラスの試合が行われた。早大からは、東日本学生選手権(東日本インカレ)を突破した飯田裕貴主将(社4=東京・豊島学院)と礎良輔(基理1=東京・早大学院)が出場。男子Bクラスの礎は転倒もあり8位に留まる。一方、女子Cクラスの飯田は4年間の努力の成果を最大限に出し切り、技術面、表現面ともに精彩を放つ演技で2位入賞を果たした。
飯田は東日本インカレを上回る得点で2位入賞した
「本当に舞台に立てて良かった」(飯田)。昨シーズンはケガで満身創痍(そうい)となり、切符は獲得したものの、出場することすらかなわなかった。滑れるということ自体の幸せさを身をもって感じた飯田にとって、このインカレの舞台に立つことは非常に大きな意味をもつ。1回目のダブルサルコウは着氷が乱れたが、それを払拭(ふっしょく)するかのように2回目のダブルサルコウはクリーンに降りる。2度の連続ジャンプを含むその他のジャンプもしっかりと決めた。「すごく乗れました」(飯田)という言葉通りに、得意の表現面でも実力を余すことなく発揮。39.18点で2位となった。1位の選手との点数差は1点未満だったため、「嬉しい反面同じくらい悔しい」(飯田)気持ちもあるという。しかし、つらい時期を乗り越えて無事に滑り切り、良い結果で有終の美を飾れたことは、代えがたい喜びであるのは間違いない。
得意源のスピンを披露する礎
礎のルーキーイヤーの締めくくりは、課題を残すものとなった。当日の6分間練習でも苦戦したという冒頭のジャンプで、踏み切りの際に転倒。続くダブルアクセルでも回転不足をとられてしまう。得点源としているスピンは安定してまとめ、また後半には加点のもらえるような美しいジャンプや曲を感じながらのステップも見せた。しかし、「調子を崩してしまったまま始まっちゃったのがすごく痛かった」(礎)と語るように、開始直後のミスが悪い流れを呼んで得点を伸ばすことはできず、東日本インカレを大きく下回る48.08点で8位に終わった。
「ワセダの看板を背負って滑ることが小さい頃からの夢」(飯田)。飯田は主将として、インカレ2位入賞者として、かつては憧れだった場所に歴史を刻んだ。自身は大学卒業後、競技から離れるが、飯田が4年間で築いたものは、ワセダのスケート部フィギュア部門の中に確かに受け継がれていくだろう――。
(記事 大水渚、写真 末永響子)
結果
▽女子Cクラス
飯田裕貴 2位(39.18点)
▽男子Bクラス
礎良輔 8位(48.08点)
コメント
飯田裕貴主将(社4=東京・豊島学院)
――きょうの演技を振り返って
練習では2つともすごくきれいに入っていたので、1回目のサルコウ(でのミス)が少し悔しいですが、やはり本番という中で2回目がきれいに決まったことはすごく嬉しかったし、自信になったかなと思います。
――2位という結果に関してはいかがですか
ノーミスだったらそこそこの順位にはいけるのかなと思っていました。正直、点数差で(1位の選手と)1点なかったので、嬉しい反面同じくらい悔しい気持ちもあります。しかし、欲張ってはいけないというか、きょねんはケガで(インカレの舞台に)立てなかったので、立てて良かったという思いだけが本当にあって、無事滑り切れて良かったなという気持ちです。
――最後のインカレでしたが、どのような思いで臨みましたか
ケガに悩まされたこともすごく多くて、今回が本当に一番練習をしてきていたので、きょう無事に臨めて良かったという気持ちです。すごくあっという間の2分半で、本当に戻って来れて良かったなというか、集大成というか。もう1個2月に試合はあるので、そこで良い演技をして、ちゃんと終われたら良いなと思います。本当に舞台に立てて良かったというか、皆に見ていただけて良かったなと思います。応援してくれてありがとうございますという気持ちでいっぱいです。
――1回目のサルコウの失敗から、すぐに気持ちを切り替えることはできましたか
――表現面に関しては
すごく乗れました。楽しかったです。終わった後も、関西の選手などからもすごく褒めていただけて、それは本当に振り付けをしてくださったコーチの方ありきだし、楽しい先生の下でできたことは一番良かったなと思います。
――4年間を振り返って
ずっとワセダの看板を背負って滑ることが小さい頃からの夢で、一般入試でワセダに受かったときは本当に嬉しかったし、ワセダのウィンドブレーカーを着て滑れることがすごく嬉しくて、あっという間の4年間だったというのが一番思うことです。演技前に、もう終わっちゃうんだな、と思ったらすごく感極まってしまってどうなることかと思ったのですが、練習してきたのでそこは自信を持って、やれば結果はちゃんとついてきてくれると思ってできました。
――やはり一番辛かったのは、ケガに悩まされた昨シーズンですか
そうですね。きょねんはもう、腰から股関節から手から全部ケガをして、自分は何をしているんだという感じで、スケートもやめた方が体のためだということもすごくお医者さんから言われていたのですが、でもやはり自分はスケートを細々ですが続けてきて、そんなにうまくないけれどもスケートがない人生というのは考えられなかったので、(いま舞台に立てて)本当に16年間続けてきて良かったなというか、やめないで良かったなと思います。/p>
――最後に、応援してくれた方々にメッセージをお願いします
こんな自分をずっと側で支えてくれて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。元気な姿で滑れて、一番大事なインカレの舞台でちゃんとした演技を見せられたので、ちょっとは恩返しできたかなと思います。
礎良輔(基理1=東京・早大学院)
――初出場のインカレにはどのような意気込みで臨みましたか
関カレ(関東学生フリースケーティング選手権)から始まって東日本インカレでも積み重ねてきたものを発揮できればいいなと思って参加しました。
――きょうの演技全体を振り返っていかがでしたか
一番得意だと思って一番最初に入れていたフリップジャンプが6分間練習から入らなくて、それで調子を崩してしまったまま始まっちゃったのがすごく痛かったかなと思います。一番得意なジャンプだけに6分間練習のときから入らなかったっていうのは・・・。足がうまく動いてくれなかったのが原因だったと思います。
――その他のジャンプについてはいかがでしたか
ついこの間下りれるようになったダブルアクセルは一応片足で下りたんですけど回転不足だったので、その辺をしっかり下りられるようにしたいなと思いました。
――スピンは安定感がありました
スピンは得点源なのでそこだけは絶対に落としたくなくて、ジャンプとかよりも確実にできたと思います。
――関カレや東インカレのときと比較して曲の表現面はいかがでしたか
表現面ではまだそこまで目に見える進歩はできなかったと思います。やっぱり技術面、ジャンプとかの方が大きな課題です。
――今後、どのようなところに力を入れて練習していきたいですか
スピンはこれまでよりも安定感がでてきたので、どれだけ練習してもどうしても安定しないジャンプをもう少しうまく安定して跳べるようにしていきたいと思います。