熱戦を繰り広げるも、男女ともに優勝を逃す

少林寺拳法

第59回早慶定期戦 12月7日 早稲田アリーナ

 12月7日、早稲田アリーナにて第59回早慶定期戦が行われた。会場は応援部のリードのもと、両校のOB・OGや観客の大きな声援が飛び交った。開会式では会場校である早大の主将、門田憲樹(商4=広島城北)による開会宣言や、久保田羽菜(教3=東京・早実)による選手宣誓が行われ、卒業生による演武も披露された。
 結果は男女ともに慶大の優勝。早大は前年度男女ともに優勝を収めており、今大会も女子戦は大将戦までもつれ込む接戦を繰り広げたが、今年度は男女ともに王座を譲るかたちで早慶戦を終えた。

集合写真に納まる部員たち

 本戦の前には、新人戦エキシビションが行われた。早慶それぞれ男女2名ずつが出場し、試合は1分半のランニングで行われた。
 女子第1試合には内山実咲(創理1=東京・早実)が登場。先制は慶大だったが、内山も有効をとり、5ー5の引き分けで終わる。第2試合の山河千紘(法2=埼玉・早大本庄)は開始早々で先制すると、その後2本続けて中段突きを決め、15ー0で勝利を収めた。
 男子第1試合は櫻井公稀(教1=埼玉・川越東)が出場。中段突きで先制すると、続けて有効で得点を重ねる。しかし終盤にかけて2本立て続けに有効を奪われ、10ー10で引き分けた。新人戦最終戦の第2試合に出場した渡邉翔平(文2=早稲田佐賀)は序盤に慶大に先制され、さらに場外に出たことでマイナス1点とされる。終了間際に上段突きで有効を取ったが、最初の局面での減点が響き、4ー5で敗戦した。
 新人戦は1勝1敗2引き分けという結果に終わり、早慶両校が熱戦を繰り広げた。

 続いて行われた本戦。本戦は前半と後半でインターバルを挟み、1分ずつの計2分間で試合を行う。
 女子戦の先鋒は今村千砂(文2=埼玉・早大本庄)。突きで早々に有効を取ると、中段蹴りでも有効を取り、試合を優位に進める。力強い中段突きでさらに追加点を奪い、15ー0で前半を終えた。しかし後半は慶大に先制され、計3本の有効を奪われる。しかし終盤に追加点を奪い、25ー15で初戦を白星で飾った。
 次鋒の坂本結衣(社1=神奈川・橋本)は勢いのある技で相手に挑む。先制された後もすぐに中段蹴りで取り返し、相打ちでもキレのある技で有効を奪い、リードを得る。しかし再開後の後半は慶大に流れを奪われた。追加点を奪えず、10ー20で逆転負けを喫した。
 1勝1敗で迎えた3戦目、中堅には秋山果凛(教2=千葉・志学館)が登場。序盤に慶大が場外に出たことで1点をリードする。その後も秋山は中段蹴りで攻め立て、前半終了間際についに中段蹴りで有効を奪い、5ー0のリードを持って試合を折り返した。後半も勢いそのままに上段突きで先制し、リードを広げる。最終的に大量得点で、31点差と突き放し、白星を挙げた。
 女子戦優勝に王手をかけた副将戦は德永文奈(人2=千葉・稲毛)が出場した。両校が技を出した最初の局面は惜しくも慶大にポイントを先取されるは、その後上段突きで追いつき、前半を5ー5の同点で試合を折り返す。勝負の後半戦も得点を奪い合う接戦になるも、試合終了間際に慶大に有効を取られ、惜しくも10ー15で敗れてしまった。
 女子戦の勝敗は、大将戦に託された。大将には久保田が出場。相手と見合う時間が長く、両校選手ともに技を出す数は多くない。そのまま1分が終了し、0ー0で試合を折り返した。迎えた後半も互いに相手の出方を伺い、こう着状態が続く。しかし副将戦に続き、惜しくも試合終了間際に有効を取られてしまった早大。0ー5で試合は終了し、あと1勝が遠く勝利数2ー3とした女子戦は、優勝を逃した。

中堅で出場した德永

 続いて行われた男子戦。先鋒の盧弦柱(政経4=韓国・中山)は初戦を白星で飾ってチームに勢いを与えたかったものの、慶大の勢いに押される。結果的に-1ー15で有効を奪うことは出来ず、黒星発進となった。
 次鋒の堀口詠冬(社1=熊本・ルーテル学院)は、中段蹴りで先制することに成功し、5点のリードを持って試合を折り返す。後半も互いに1本ずつ有効を取り合い、接戦を繰り広げるが、残り時間わずかというところで中段突きで有効を取られてしまった。さらにこの局面で場外に出てしまった堀口は1点を減点され、9ー10。最後の1秒に泣く悔しい敗戦となった。
 2連敗で後がなくなった早大。しかし中堅の副将・髙橋佑(スポ1=東京・城北)は、序盤から慶大のキレのある動き、技に苦しめられた。一方的に攻撃を受けるかたちで慶大に大量得点を許すと、最後まで攻撃の糸口を掴めず、5ー45の大敗を喫した。
 慶大の優勝が決まった直後の副将戦。まずは1勝を挙げ、意地を見せたい早大は大野伊織(創理2=東京・芝)が出場。前半は中段蹴りで有効を取るなど、必死に食らいつき、5ー10で試合を折り返した。しかし後半は、一気に慶大の勢いに飲まれてしまう。大野も後半に1本、中段蹴りで有効を取ったが、慶大はそれ以上に多くの技を出し続け、リードを広げられたまま10ー35で試合を終えた。
 早慶戦最終戦の男子戦・大将には主将の門田が出場した。慶大に中段蹴りで有効を取られた後、門田も積極的な攻撃を続ける。突きで審判の旗が上がる局面もあったが、有効とはならず、なかなか得点差を埋められない。前半終了間際での慶大選手のケガもあり、長いインターバル15分を挟んでの後半。両校の応援は最高潮に達し、門田には会場から大きな声援が送られた。しかし、終盤に中段蹴りで技ありを取られるなどして得点差を覆すことはできず、0ー23で試合終了を迎えた。

大将で出場した門田主将

 男女ともに優勝を逃し、悔しい想いを抱えながら4年生は引退を迎えた。女子戦は大将戦に勝負の行方がもつれ込む熱戦となった一方、男子戦は攻撃の糸口を掴めないまま5連敗で完敗を喫した。主将の門田は、慶大を含め、他大学の強さを前に課題の残る1年だったと振り返る。
 引退を迎えた今、「後輩のために何かしたいという思いだけで1年間やってこられた」と話した門田。主将の思いと早稲田の伝統を引き継ぎ、来年こそ男女揃っての優勝を目指す。

(記事 濵嶋彩加 写真 権藤彩乃)

◆試合後コメント◆
門田憲樹主将(商4=広島城北)
ーー引退試合となる早慶戦、どのような気持ちで挑みましたか

 慶大の男子は層の厚くて技術力も高いのですが、今年は例年強いと言われている女子だけでなく、早大全体として、男子も勝ちたいという思いを持っていました。
ーー男子戦、戦いぶりを振り返ってみていかがですか
 5人制で戦う本戦、最初の3人でどこまで健闘できるかが勝負だったのですが、そこで勝ち切ることができなくて、後半も流れを取り戻せませんでした。実力としては拮抗している部分もあったと思うのですが、相手の対策力が優っていたのかなと思います。
ーー個人の試合を振り返っていかがですか
 対戦相手も自分もタイプとしてはカウンターを待つタイプで、自分から攻め入るタイプではないのですが、早慶戦では限られた時間の中でリードを取れるかということが大事でした。しかし自分は色々なプレッシャーからいつも通りの動きができず、そこが裏目に出てしまったと思います。
ーー応援はどのように受け止めていましたか
 どの大会に出場しても、どの大学と比べても、早大の応援部の皆さんや保護者の皆さん、OB・OGの皆さんのはいつも大きな声援を送ってくださっていて、応援=早稲田というようなイメージが少林寺拳法部にもあります。皆さんの熱い声援は、120%の力を出したいと心から思える応援で、いつも自分たちの背中を押してくれたことに感謝しています。
ーー主将として引退を迎えた今の気持ちを教えてください
 今年は4年生が2人しかいなくて、経験者は自分だけだったので、選ばれたというよりは自分しか選択肢がなくて主将になって、自分は主将の器ではないと思っていました。ただそれでも、そんな気持ちを忘れさせてくれるくらい後輩たちの熱量に助けられて、自分がこの部活を引っ張りたい、どうにかしたいという思いではなく、後輩のために何かしたいという思いだけで1年間やってこられたと思います。今1年間を振り返ってみて、後輩が自分にとってすごく原動力だったと思います。
ーー後輩へのメッセージをお願いします
 慶大は毎年強いですし、関東学生大会、全日本学生大会も他大学は強くて、この1年間、演武でも立ち合い評価法でも課題が残る状況でしたが、先輩方を巻き込んだ早稲田の指導力やサポート体制を活用して、チーム一丸となって頑張ってほしいと思います。

秋山果凛(教2=千葉・志学館)
ーー接戦となりましたが、女子戦を振り返ってみていかがですか
 まず、先鋒戦で今村がしっかりと着実に勝利をつかんでくれて、すごくいい流れを作ってくれました。でも、次鋒ですごく経験がある坂本が破れてしまって、中堅としてここで食い止めなきゃなっていう気持ちで私は臨みました。そのあとに副将と大将が敗れてしまって、全体としてはすごく悔しい結果となってしまったんですけど、今まで頑張ってきた成果は出たかなと思います。
ーー秋山さん個人としては大差での勝利でしたが、ご自身の試合内容については
 昨年は不戦勝で戦うことができずに終わってしまって、今年は初の早慶戦だったんですけど、 他の大会に比べて周りからの声援がすごく力になって、ここ1年で一番楽しく試合をすることができました。今年は結構守りに入る戦いが多かったというか、「勝たなきゃいけない」みたいな風に思っていた試合が多かったんですけど、 今回はすごく久しぶりに楽しく試合がすることができて、これから先の立ち合いにおいても、(今回の早慶戦を)心に留めて頑張っていきたいと思います。
ーー最後に来シーズンへの意気込みをお願いします
 来年は上級生になるので、自分の今まで培ってきた経験を後輩に伝えながら、自分のスキルも上げて、全体を引っ張っていけるように、最後の早慶戦までしっかり臨みたいと思います。来年の早慶戦は必ず勝ちます。