【連載】『令和4年度卒業記念特集』第48回 籾美吹/少林寺拳法

少林寺拳法

成長し続けた4年間

 今年度、60年以上続く早大少林寺部で初の女性主将を務めた籾美吹(社4=大阪産業大付)。物心ついた頃には少林寺拳法をしていたという籾は、その人生を少林寺拳法を共に歩んできた。そんな籾にとって早大で過ごした4年間はどのようなものだったのか。

昨年の早慶戦で相手を圧倒した籾

 籾が少林寺拳法に出会ったのは幼稚園生の頃。少林寺拳法をしていた兄の影響もあり、気が付けば家の近くの教室に通うようになっていた。初めは練習前に行う遊びが楽しくて続けていたが、小学生になり大会に出場しだすと気持ちが変わる。負けず嫌いな性格から「勝ちたい」という気持ち一心で練習にのめりこむようになった。そうして気が付けば少林寺拳法の魅力にはまり、中学・高校と競技を続けた。

 早大に入学すると、防具をつけて実際に戦う運用法に出会う。高校までは演武を続けてきた籾にとって、運用法は新鮮だった。「楽しいから毎日やりたい」という気持ちで練習に励み、1年生ながら大会でも活躍を見せる。一方の演武は、当初はそれまで籾が身に付けてきたものとは大きく異なる早大の基本に戸惑った。「別の競技なんじゃないかというくらい違った」と慣れるまでに時間を要したが、「その時の土台があるから、今がある」と当時の苦労を振り返る。

昨年の早慶戦で仲間と円陣を組む籾

 転機となったのは大学3年生。籾は次期主将に任命され、主将をサポートしながら、自身も主将になるために努力を続けた1年だった。同期のなかで唯一の経験者で入部した籾は、1年生のときから主将になることは覚悟していた。しかし、人前に立つことが好きではなく、それまで主将という経験もしたことがない籾にとって、主将を務めることは大きなプレッシャーだった。特に部員同士で指導を行う早大では、積極的に後輩の技術指導をすることも求められた。そのような状況で「自分の技術をあげながら、後輩のことも引っ張っていくことが難しかった」と困難を感じていた。しかし、後輩とコミュニケーションを多くとったり、本を読んでリーダシップや強いチーム作りを学ぶなど、主将になるための努力を重ねた。

 そうして主将として迎えた4年生のシーズンも苦難の連続だった。後輩と真正面から衝突したこともあれば、部活に行きたくないと思うようなこともあった。しかし、籾は「これからの人生であまり経験することのないような充実した1年間だった」と振り返る。初めは主将として一番前になって全員を先導しなければならないと考えていた籾だが、「気が付けば同期や後輩に支えられていた」と、仲間にも支えられた1年だった。結果的にチームとして目標としていた全日本学生大会での総合優勝は叶わなかったが、4年生全員が優勝を果たすと共に、出場した全員が入賞を果たすという快挙を成し遂げた。

 早大での4年間は「成長できた4年間」だと振り返る。技術面でも人間的にも成長し続けることができたと言い、「1年生のときの自分と今の自分は全然違う」と語る。今後も早大で仲間と共に過ごした日々が、籾の活躍を支えるだろう。

(記事、写真 玉置理沙子)