伝統の一戦! 早大拳士の意地を見せる

少林寺拳法

 この日、早稲田アリーナに慶大拳士を迎え入れ、第57回早慶定期戦が開催された。新型コロナウイルス感染拡大対策のため、通常より縮小されたかたちで行われた今大会。例年1、2年生が出場する新人の部は中止となり、上級生が出場する本戦の部も一部不戦勝/敗ありでの実施となった。早大は本戦全6試合のうち不戦敗を含む3敗を喫し、惜しくも2勝3敗1引き分けで慶大に敗北。しかし、大将戦では籾美吹主将(社4=大阪産業大)が圧巻の10連続ポイントを奪うなど、早大拳士の意地を見せ大健闘した。

試合前に円陣を組む早大拳士

 本戦の部は先鋒戦、次鋒戦、中堅戦、三将戦、副将戦、大将戦の6試合が行われる。今大会は早大部内でコロナ感染者が出ていたこともあり、保護者の同意が得られた拳士のみが出場を許された。そのため、先鋒戦、中堅戦では早大から出場者を出すことができず、戦う前から2敗を喫しているという不利な状況で大会が始まった。1試合も負けられないというプレッシャーのかかる状況で、次鋒戦に登場したのは関音葉(文構3=東京・西)。序盤相手に攻められる場面もあったが、その後は接戦を繰り広げ、結果1-1の引き分けで優勝の可能性をつないだ。不戦敗となった中堅戦を挟み、続く三将戦に登場したのは氏平鷹子(政経4=千葉・船橋)。序盤は相手に連続ポイントを許すも、次第に技が決まり2-2で前半を折り返す。すると後半も流れにのり、結果4-3で貴重な勝利を収めた。

ライバルとの一戦を戦った藤井

 続いて行われた副将戦では、今大会早大唯一の男子拳士の藤井陸(社3=東京・早実)が因縁のライバルとの一戦を戦った。相手は昨年の早慶戦、今年の全日本学生大会でも対戦した西山航生(4年)。序盤から攻められる苦しい時間が続き、0―5で前半を折り返すと、後半2ポイントを追加し追い上げを見せるも、前半の得点が響き7-2で敗北。この時点で早大の優勝は消えたが、「(少林寺に対する)パッションが伝わってきたのがグッときた」(籾)と言うよう、最後まで諦めずに攻める藤井の姿に、会場は大きな盛り上がりを見せた。

技を決める籾主将

 そして迎えた大将戦。登場したのはもちろん主将の籾だ。関東学生大会、全日本学生大会の王者である籾だが、自身もコロナに罹患し、「体力には不安があった」(籾)という状況で迎えた今大会。「いつもはもっとガツガツ自分から攻めるんですが、体力が不安だったので今回はできるだけカウンターでという風に戦略もちょっと考えて」(籾)といつもとは違うスタイルで試合に臨んだ。結果、作戦どおり相手のカウンターから得点を重ね、圧巻の10連続ポイントを奪うなど終始相手を圧倒。10―0で勝利を収め、早大拳士の意地を見せた。

試合後に抱擁をする藤井と西山(慶大)

 こうして幕を閉じた伝統の一戦。結果は2勝3敗1引き分けと惜しくも優勝にはならなかったが、両大学の意地がぶつかり合う熱い展開に、早大の応援席も盛り上がりを見せた。試合後には互いの健闘を称え合い、抱擁する両校の拳士たちの姿が見られた。良きライバル、そして良き仲間として戦う両校の拳士たちの姿に、早慶戦ならではの魅力を感じる一戦でもあった。来年の早慶戦では完全なかたちでの開催を望むとともに、ぜひともリベンジを果たし、賜杯を奪還してほしい。

(記事、写真 玉置理沙子)

コメント

籾美吹主将(社4=大阪産業大付)

――今回の早慶戦は部内でコロナが出てしまったということもあり、少しトラブルもあったようなんですけれども、どのような気持ちで臨まれましたか

 結構本当に昨日ぐらいまで開催するか否かで結構すごい話し合いをしていて。その中でどっちにしろ開催するにしても中止にするにしてもメンバーは決めないといけなかったので、私自身コロナになっちゃってて不安ではあったんですけど、やっぱり主将として最後の開催行事になるので、やっぱ責任もってそこは大将を務めないとなっていう気持ちで、本日は臨みました

――不戦敗が二つありましたが

 今回はコロナのことがあったので、保護者の同意が得られる人だけで参加するっていうことでした。結果、男子は1人しか出れなかったのですが、2人不戦敗になるのは仕方ないなという感じでした。

――次鋒戦を振り返ると

 次鋒の関は、何かすごいやっぱり練習熱心で自分にストイックにやってるすごい印象があって。自主練習も「一緒にやってください」っていう連絡が来るぐらい一緒に練習重ねてやってたんですけど。やっぱり今までそうやってきたからこそ、この1週間、10日間が練習できなくても劣ることなく動くことができてたので、それも彼女の技術になってるなと思ってて。なんか本当に先輩としてすごいいい試合で、すごい嬉しかったです。

――三将戦を振り返ると

 氏平は私の同期で、女子3人の中の1人なんですけど、多分彼女も自分に対してのプレッシャーというか自分で自分を強くするタイプで。本当に練習に対しても一秒たりとも無駄のないというか、真剣に向き合ってる彼女の姿を知ってたので、彼女が出てくれるんだったらもう練習してなくても安心だろうと勝手に思っていました。最初は接戦でしたが、後から追い上げて勝っていうところがさすがだなと思いました。負けるとは思ってなかったんですが、勝って改めて本当に誇らしい同期だなと思いました。

――副将戦を振り返ると

 彼もコロナになって、練習もできてなくてっていう状況で出てるので、早稲田男子を背負って出てくれてる、もうそれだけでもとてもありがたいというか。本当にやってくれたなっていう感じです。彼とは本当に授業も社会科学部で一緒で、いろいろ共通点があるんですけど、その中でも少林寺に対する思いが強いのは分かっていたので、負けてしまったけど、そのパッションが伝わってきたのがグッときました。

――ご自身の大将戦を振り返ると

 やっぱこの1週間ぐらい動けていなかったんですが、その分この4年間やってきたことはその1週間弱間消えないのかなと思ってて。ちょっと体力に不安があったんですけど、その中でもいつもの自分の戦い方のスタイルとちょっと変えて、いつもはもっとガツガツ自分から攻めるんですが、体力が不安だったので、今回はできるだけカウンターでっていう風にも戦略もちょっと考えて。なので作戦勝ちではないけどそれこそところあるのかなと。あとはやっぱみんな応援してくれて、試合には出てない人たちからも応援していただいて、パワーを貰えたので、やっぱり大きく感謝したいところです。