全国の学生拳士が勝利に闘志を燃やし、頂点を目指す一年で最大の舞台。ことしも一年間の集大成を披露するべく、多くの選手が武道館に集結した。ワセダからは14組が予選に出場し、13組が午後の本戦に駒を進めた。そしてそのうち12組が入賞を果たすという快挙を達成。中でも男子白帯緑帯の部の谷部巧昇(創理1=東京・日比谷)・光山成宇(政経1=東京・早大学院)組、男子茶帯の部の赤岡拓(創理2=埼玉・川越)・山本裕貴(先理2=千葉・渋谷幕張)組、女子茶帯の部の秋光萌(創理2=広島大附属)・浅見凛(人2=東京・富士)組の3組が見事に優勝を飾った。さらに立会評価法においても出場選手2人が入賞し、特に大森浩真(社3=大阪・高津)は男子軽量級で優勝。多くの選手が好成績を残し、4年生最後の大会を華々しく飾る結果となった。
気迫あふれる演武で優勝を果たした秋光・浅見組
昨年の本大会において、男子白帯緑帯の部で優勝した赤岡・山本裕貴組、同じく女子白帯緑帯の部で優勝した秋光・浅見組の2組が、今大会は茶帯の部に出場。気迫に満ちた演武で他を圧倒し、見事2年連続の優勝を勝ち取った。しかし優勝を目標としていた団体の部は2位、また女子団体も6位に終わり、こちらは惜しくも優勝には手が届かなかった。
多くの上級生が入賞を果たした今大会。しかし同時に、上級生に負けじと奮闘する1年生の姿も光った。男子白帯緑帯に出場した谷部・光山組は、初めて経験する全日本学生大会(全日)という大舞台にも、雰囲気に呑まれることなく完成度の高い演武を披露し見事初優勝。また堂脇周平(文構1=城北埼玉)は、単独有段の部、団体、立会評価法・中量級の3部門に出場し、全てで入賞を果たす活躍。1年生ながら存在感を見せつけた。
大学最後の舞台に臨んだ日野主将
4年生にとっては、早大少林寺拳法部での最後の戦いとなった全日。「自分がこれまでやってきたことを出し切れたという点で悔いの残らない結果になった」と、自身の結果には少しの悔しさをにじませながらも有終の美を飾った日野翔太主将(社4=埼玉・川越東)。また12月の早慶戦から新体制となる後輩たちには「肩の力を抜いて楽しんで、そのうえでしっかり実力を出して頑張ってほしい」と語る。「チーム全体の底上げ」を目指す江原明徳新主将(教3=神奈川・桐蔭学園)のもと、残された拳士たちはどのような成長を遂げていくのか。さらなる高みへと、いま、動き出す。
(記事 深瀬真由、写真 松崎はるか、三井田雄一)
結果
▽単独有段の部
第4位 堂脇周平(文構1=城北埼玉)
▽男子白帯緑帯の部
第1位 谷部巧昇(創理1=東京・日比谷)・光山成宇(政経1=東京・早大学院)
▽男女白帯緑帯の部
第2位 地元昇太(文1=埼玉・春日部)・糸井絢子(国教1=東京・豊島岡女子)
▽男子茶帯の部
第1位 赤岡拓(創理2=埼玉・川越)・山本裕貴(先理2=千葉・渋谷幕張)
▽女子茶帯の部
第1位 秋光萌(創理2=広島大附属)・浅見凛(人2=東京・富士)
▽女子初段の部
第2位 伊藤早穂(文構3=千葉・柏)・英日菜子(スポ1=東京・国立)
▽男女初段の部
第2位 朝井優(法4=宮城・仙台一)・吉田(政経4=東京・雙葉)
▽男子二段以上の部
第2位 山本裕也(社4=埼玉・川越東)・田部井祐介(創理2=東京・早実)
▽男女二段以上の部
第2位 森久輝(法2=東京・城北)・山本祐加(社2=兵庫・姫路商)
▽三人掛けの部
第3位 日野翔太(社4=埼玉・川越東)・江原明徳(教3=神奈川・桐蔭学園)・今井悠二(創理2=東京・芝)
▽団体の部
第2位 日野、山本裕、江原、田部井、今井、森、堂脇、久保田準(人1=埼玉・川越東)
▽女子団体の部
第6位 吉田、白井美聡(法3=東京・早実)、伊藤、山本祐、秋光、英
▽立合評価法の部
軽量級 第1位 大森浩真(社3=大阪・高津)
中量級 第3位 堂脇
コメント
日野翔太主将(社4=埼玉・川越東)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
率直にうれしいの一言です。自分としては納得のいく結果とはならなかったのですが、主将として総合優勝を4回連続で勝ち取ることができたというのは本当にうれしいことでしたし、1人でも多くの笑顔を見ることもできて感無量です。
――今大会の出場選手の決定はどのような基準で行ったのでしょうか
実力や相性などさまざまにあったのですが、基本的にはこれまでの試合や練習での実力で決めました。
――団体の部での2位、三人掛けの部での3位という結果でした
納得のいく結果が出せたのかといえばそうではないのですが、自分がこれまでやってきたことを出し切れたという点で悔いの残らない結果になったと思います。先ほども言ったように、部員それぞれがみんな頑張ってくれていたので満足しています。
――9月の新人戦を終えてからのきょうの後輩のみなさんの戦いぶりというのはいかがでしたか
ここまで成長して本当に頑張ってくれたと思っています。特に白帯緑帯の部は新人戦のときには入賞することができなかったのですが、そこでの敗戦、また私たちの指導を踏まえて今回こうして1位と2位という結果を残すことができてとてもうれしく思っています。
――最後の大会となりましたが、4年間を振り返って、また主将としての1年間を振り返っていかがですか
4年間を振り返りますと長いようで短かったなという印象です。そういった活動期間の中で私自身人間的に成長することができたと思っていますし、やはりそれは早稲田大学少林寺拳法部という環境があってこそだったと感謝しています。また主将としての1年間は自分のことだけではなくて周りのことにもしっかりと気を配らなければならないという状況で、大変なこともありましたがさまざまなことを経験して自分の成長につながるような1年になったのではないかなと思います。最後に高校生のときの顧問の先生は人生を救ってくださった恩師ですので、その先生には感謝を述べたいです。
――最後に後輩のみなさんへ一言お願いします
2週間後には早慶戦が控えていますが、とにかく肩の力を抜いて臨んでほしいなと思います。結果ばかりを気にしていても仕方のないことなので、肩の力を抜いて楽しんで、そのうえでしっかり実力を出して頑張ってほしいです。
山本裕也副将(社4=埼玉・川越東)
――きょうまで全日本に向けチーム全体としてどのように調整されてきましたか
自分たち4年が中心となって特に下級生の白帯緑帯の演武の指導を中心に行ってきたんですけど、その中で自分たちもしっかり仕上げなければいけないということで、自分たちなりに苦しんで先輩方の意見を聞いてからちゃんと考えて作れたのが今の結果だと思っています。
――本日のご自身とチーム全体の結果についてはどのように捉えられていますか
特に段外は非常にうまくいって結果が出たのかなと思います。有段に関しては自分から見て本当に努力していたペアはちゃんと結果が出たので。ただ自分たちもまだ物足りないところがいっぱいあるので、今後の課題として特に下級生は頑張って欲しいなと思います。
――新人戦では段外が若干苦戦しましたが、そこからどのような点を強化されてきたのでしょうか
自分たちは結果が出ないということに気づいたのが一番大きいと思うんですけど、それ以上に自分たち上級生に下を育てないといけないという危機感が出てきたのがきょうの結果につながったと思います。
――そのようなことも受けて、後輩の演武はどのような思いでご覧になりましたか
正直言ってラウンドが被ってあまり見れていなかったのですけど、気合で聞こえてきたりですとか本当に集中して本日の演武に臨めていたのかなと思います。
――きょうのチーム全体でのよかった点、収穫は何でしょうか
一本にかける思いというのがみんな非常に強くて、予選が終わってから出来なかったところを繰り返してやったりですとか、自分たちが高い意識を持って取り組めたので予選から本戦に向けてもいい演武が出来たのではないかと思います。
――逆に何か課題はありましたか
有段で勝ちきれないというのが今後の課題だと思うので、しっかり段外でも勝ってかつ有段でもしっかり勝ち取れるワセダになって欲しいなと思います。
――ここまで早大の少林寺拳法部で過ごされた4年間を振り返られていかがでしたか
正直つらいこともいっぱいあったんですけど、最後に思い出せるのはこういう全日本でみんなが勝つ、チーム全体で勝っている思い出といいますかそういうみんなが喜んでいる姿というのが一番目に思い浮かんでくるので、結果としては非常に充実して楽しい4年間だったと思います。
――最後の1年は副将を務められましたが副将として意識したこと、大切にしてきたことは何かあったのですか
副将というのは特に仕事が明記されているものではなくて、とにかく自分が結果を出しつつも他の部員の底上げといいますか技術の向上をするのが1番の役割だと思っていたので、それはまだ完璧とは言えないですけど出来たのではないかなと。
――今後部を守っていく後輩に一言
常に勝利に貪欲であって欲しいなと思います。
江原明徳(教3=神奈川・桐蔭学園)
――きょうの大会に臨むにあたり、どのようなことを意識したのでしょうか
演武をする上で、自分がやりたい動きというものと勝っている人の動きというものの違いから、より勝てるような演武をやろうというコンセプトでやりました。
――実際に演武を行ってみていかがでしたか
かなり自分なりには一生懸命やったのですけども、やはり日体大には一歩及ばずというところです。本日、自分なりの最高の演武はできたと思っているので、日体大のほうが一枚上だった、というような感想です。
――課題などは
基本的な部分で差がついてしまったのかなと思うので、次の関東学生大会まで時間があるので、やはり基本から見直していきたいと思います。
――次期主将と伺いましたが、現主将の日野選手と出場した三人掛ではやはり何か感じるものがあったのではないですか
そうですね。日野先輩と組んでいて、やはり3人でやっていて、何度かダメなのではないかと思ったときもあったのですが、そのとき日野先輩が、「絶対勝てるから頑張ろう」というふうにずっと励ましてくれたので。来年以降、僕がもう一番上になってしまうので、自分のことだけではなくて後輩のことも見ることのできるような先輩になりたいと思います。
――きょうも何か声をかけていただくといったことはあったのでしょうか
そうですね。最後の自分の本番の直前に「今までありがとう。最後だから頑張ろう」というふうに声をかけていただいて。それが、自分の中で一番満足できる結果につながったのかなというように思います。
――次期主将としてどのようなチームを作り上げたいと考えていますか
個人の優勝というのも狙いたいのですけども、やはり早稲田大学としての総合優勝ということを一番に考えて、チーム全体の底上げということを念頭に置きながら一年間やっていきたいと思います。
――最後に、12月の早慶戦に向けて意気込みをお願いします
早慶戦は、自分たちだけではなくて今まで自分たちのことを育ててくれた先輩たちのためにも、ことしは絶対一丸となって勝ちたいと思います。