熱い接戦もあと一歩及ばず

少林寺拳法

 早大少林寺拳法部の1年の締めくくりとなる早慶定期戦。新人戦と本戦の2試合がお互いに防具をつけて戦う立合評価法で行われる。新人戦を3勝2引き分けの大勝で慶大を下した早大。そのままの勢いで勝利をつかみたい本戦は一進一退の攻防が繰り広げられた。大将戦を1点リードで迎えるも、日野翔太主将(社3=埼玉・川越東)が全日本学生大会(全日)をも制した強敵にあと一歩及ばず代表戦へもつれる。しかしここで振り切られ、本戦での勝利を手にすることはできず悔しい敗戦を喫した。

新人戦で大将を務めた田部井(左)

 1年生5人が出場した新人戦。先鋒戦の引き分けで幕を開けた戦いは次鋒の赤岡拓(創理1=埼玉・川越)、中堅の秋光萌(創理1=広島大附属)の勝利で一気に早大有利に。副将の引き分けを挟んで迎えた大将戦では、競技を大学から始める人もいる中、少林寺拳法歴7年を誇る田部井祐介(創理1=東京・早実)が自身でも「文句なしかなと思う」と語る貫禄の勝利。若き早大拳士たちが慶大に力の差を見せつけた。

 続く本戦。代表戦の末に敗れた昨年の雪辱を誓って望んだが、先鋒の松本悠(創理3=カナダ・RidleyCollege)が接戦の末に破れ、次鋒も勝ちきれず引き分けに終わる苦しい展開となる。ここで迎えた中堅の吉田咲樹(政経3=東京・雙葉学園)も互いに譲らない熱戦となるが、試合終了かというところで見事に逆転勝利を収める。吉田の勝利に沸く早大は、副将の山本裕也(社3=埼玉・川越東)がチームの勢いそのままに勝ち星を奪取し主将の日野につなぐ。主将として迎えた初の試合で「自分が引っ張っていかなければいけないなと強く感じた」と話す日野は実力者の神本(慶大)にも果敢に挑む。しかしあと一歩届かず試合は昨年と同様に代表戦となった。11月に引退したばかりの4年生から「楽しんでこい」と声をかけられ、今度こそ勝利を誓う日野は守備のスタイルを徹底するも相手に読まれ敗北。昨年の雪辱を果たすことはできなかった。

代表戦に出場した日野主将(左)

 通常の大会と異なり、両校への大応援が響く中行われた早慶定期戦。試合後、日野主将は「最後の最後で詰めの甘さが出てしまった」と語った。しかし「しっかり反省し来季につなげていきたい」と言葉を続けた主将の目はすでに先を見据えていた。新人戦での1年生の活躍は今後に期待を持たせるものであり、本戦でもそれぞれの選手が課題を発見し、己を見つめなおす機会となった。常に高みを目指す早大はきょうの悔しさを糧にまた練習を続ける。

(記事 三井田雄一、写真 松﨑はるか)

結果

●早大2-3慶大

コメント

日野翔太主将(社3=埼玉・川越東)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

結果的に負けてしまったのですが、昨年もサドンデスで負けていて最後の最後で詰めの甘さが出てしまったかなと思います。でもやはり成果として出ているところは出ているのでやって来たことは間違っていなかったかなと思います。負けてしまった原因は絶対に何かありますので、しっかり反省して来シーズンにつなげていきたいですね。

――主将として初めての試合でしたが、試合に向けての意気込みはいかがでしたか

後輩たちがみんな練習していても最後まで残ってくれて主将としてみんなのポジティブな姿勢やモチベーションをとても感じていたので、自分が引っ張っていかなければいけないなと強く感じました。新人戦ですごくいい戦いをしてくれたので本戦もこの調子で頑張っていきたいなと思ったのですが、結果が振るわずすごく残念です。

――主将戦の結果については

そうですね、対戦相手の神本は全日本学生大会で優勝している人間でして技術的には上だったかもしれないのですが、しっかり対策をして負けてしまったものの自分的にはいい戦いができたかなと思います。

――最後は代表戦にまでもつれ込みましたが、試合前に4年生にはどんな言葉をかけられましたか

とにかく気負うな、楽しんでこいということを言われました。そのおかげで楽しむことができたので感謝しています。

――その代表戦はいかがでしたか

終始守備のスタイルを徹底してやったんですけれども、相手に読まれてしまって最後の最後の詰めが甘かったなというところですね。本当に反省しています。

――今季最後の試合でしたが、1年間を振り返っていかがでしたか

主将に就任したのは全日本学生大会の3週間前なのですが、それより前から新人監督として部を引っ張って来たつもりでした。最後こういう結果になってしまいましたけれども、次年度に向けて次の後輩も絶対にやってくると思うので、指導に徹して来季こそは優勝できるようにやりたいと思います。

山本裕也(社3=埼玉・川越東)

――試合を終えて、率直な感想をお願いします

チームとしては負けてしまったのですが、自分が勝てたことは嬉しいです。

――引き継いでから初めての大会でしたが

堅苦しくならずに、気楽に試合しようとしていたので、みんな盛り上げてくれたのでよかったです。

――ご自身の試合内容はいかがでしたか

1点取られてしまったので、そこをゼロに抑えていれば勝てていたということで、正直悔しいですね。

――大声援の中での試合となりましたが、プレッシャーなどはありましたか

プレッシャーはあまりなかったですね。楽しかったです。

――代表戦になりましたが、どのような言葉をかけましたか

もう勝敗とかは気にせずに気楽にやってほしい、と声をかけました。

――来シーズンに向けて意気込みをお願いします

またチーム一丸となって一から始めるつもりで、関東大会からですが、そこで必ず総合優勝できるように頑張ります。

江原明徳(教2=神奈川・桐蔭学園)

――早慶戦の結果を振り返って

僕の中ではこの早慶戦というのは、全日本学生大会と同じくらい大事な一戦だと思っていて、いま2年生の中から僕一人が出られるとなって、2年生の同期の思いも背負ってきょうは臨みました。結果的に引き分けでしたが、普段通りのことをやろうというのを意識してやりました。

――とても大きな声援でした

やはり出られない同期も先輩も後輩も、自分のことのように応援してくれて、すごく心強く思いました

――ことしの立合評価法の練習量というのはどのくらいだったのでしょうか

演武の大会のシーズンの前は演武ばかり練習するのですが、何もないときは立合評価法の練習もしたりするので、特に自分だけ立合評価法を多くやったわけではないんですけども、1年を通して結果的には半々の練習量になります。

――今回唯一2年生で出場できて要因は何だったとお考えですか

セレクションの段階からみんな出たいという気持ちがすごくあったので、本当に自分が出られたというのは運が良かったんだと思います。

――今季を振り返って

大会の方では満足いった結果が残せたんですけど、立合評価法に関しては、負けることが多かったので、この悔しさをバネに次年度、1年間頑張っていきたいと思います。

――具体的に改善したいことはありますか

やはり早慶戦の勝利を目標にして、早慶戦が年度の最後にあるので、どうしても最後の方になってから早慶戦を意識し始めるんですけども、来シーズンは年度の始めから常に早慶戦勝利を意識して、1年間頑張っていきたいと思います。

田部井祐介(創理1=東京・早実)

――きょうの早慶戦にどのような思いで臨まれましたか

先輩方から伝統の一戦で絶対に勝たなければならない試合とうかがっていたので勝とうという気持ちだけですね。

――きょうの自身の試合について

試合はポイント2-0ということで文句なしかなと思います。

――本戦での先輩たちの試合をどのように見ていたか

先輩たちの勝つという気持ちが伝わってきてすごいなと感激していました。

――いずれ本戦の舞台に立つと思いますが何か参考にしたいところはあったか

試合に対する姿勢を参考にしたいと思っていますね。

――きょうの試合で大学1年目が終わったわけですが1年目を振り返って

自分は少林寺拳法7年目なんですけど7年目が1番充実した1年間だったと思います。全日本学生大会(全日)も入賞できましたし早慶戦でも新人戦勝利することができたので文句なしの1年かなと思います。

――来シーズン以降に向けての課題と目標は

来季以降はまだ大会で優勝というものを自分はしたことがないので次の学生大会(関東学生大会)で優勝できるように練習していきたいです。