射撃早慶戦 慶應に完敗、個人では紙田、荻原が入賞

射撃

 今シーズン最後の大会となる早稲田大学・慶應義塾大学定期戦(早慶戦)が11月19日、伊勢原射撃場で行われた。一年ぶりの早慶戦勝利を目指す早大だったが、行われた三種目すべてで慶應に敗れ、優勝を逃した。個人では、三姿勢60発競技で荻原里夏(法3=東京・頌栄女学院)が、50m伏射60発競技では紙田梨華子(社4=茨城・清真学園)がそれぞれ2位にランクインした。

紙田は個人2位受賞

 10m立射60発競技では、1、2年生を団体メンバーに抜擢。佐藤功一(スポ2=早稲田渋谷シンガポール)は自己ベストを更新する609.0点を撃ち、団体メンバー入りの期待に応えてみせた。同じく二年の生沼波穏(人2=千葉・幕張総合)も600点の大台を超え、一年ながら団体入りを果たした高木こころの593.1点とあわせて団体で1803.0点となった。しかし、慶應勢も安定した実力を見せ、団体1848.9点で優勝した。競技人生最後の60発になった久保木主将は、590.2点を撃ち、「良い点を残せなかったのが心残りだった」と語った。

立射競技に臨む久保木主将

 三姿勢60発部門には、早稲田からは小久保綾華(4=東京・創価)、鳴海彩音副将(法3=埼玉・川越女)、荻原里夏が団体メンバーとして出場。今大会で引退となる小久保は、557点という結果に。試合後には、「自己ベストを狙っていたので、それには届かなくてすごく悔しい」と率直な気持ちを語った。荻原は560点を撃ち、個人2位にランクイン。自身二度目の早慶戦での入賞について、「今までで一番思い通りに撃てた」「コツコツやってきた努力が報われて嬉しかった」と嬉しさをにじませる一方、「来年はもっといい点数を出せるように1年間頑張りたい」と更なる成長を誓った。

三姿勢団体メンバー(左から鳴海、小久保、荻原)

 伏射60発競技は、紙田梨華子(社4=茨城・清真学園)、内田耀心(教3=東京・早大学院)が団体戦に出場した。「やっぱり早慶戦って独特な雰囲気があるんだなってすごく感じた試合になった」と振り返った4年生の紙田、自己ベストには届かなかったものの早大勢トップの599.7点で個人2位を獲得。有終の美を飾った。3年生の内田は「いつもの調子で撃てた」と振り返るように大舞台で実力を発揮し、自己ベストを更新。

伏射競技を行う内田

 惜しくも二年連続の早慶戦準優勝となった今大会。久保木主将は、「相手のメンバーも結構若い層で、来年度以降もレギュラーとして出てくる」「そこに対して勝つためには割と努力が必要じゃないかなと思うので、今までのやり方では勝てない」と来年以降のリベンジを後輩たちに託した。10月に開催された全日本学生選手権に続き、早慶戦でも2、3年生が続々と新記録を更新した。来シーズンも、射撃部の活躍に期待したい。

射撃部一同

(記事 石川千紘 写真 臼井恭香、永田怜、勝野優子)

全出場選手結果

【10m立射60発競技】
▽団体 1803.0点
佐藤 功一 609.0点
生沼 波穏 600.9点
高木こころ 593.1点
▽個人
久保木智也 590.2点
岡本 健人 584.6点
小野  楓 584.1点
上村 直輝 569.6点
神下 茉衣 580.2点
神田 笑里 596.7点
鳴海 彩音 593.3点
鈴木  妙 598.5点
橋本 人美 573.1点
高築あずさ 582.5点
石橋 正梧 554.9点
櫻井 圭純 600.2点
徳久 聖奈 581.6点
長谷川愛佳 580.1点
南  星佳 589.1点
大場 健吾 532.9点
鴨下 遥香 544.9点
島村  茜 600.5点
髙木こころ 593.1点
戸田 悠希 549.5点
豊田 俊瑞 537.8点
村上 志帆 569.5点
安田  開 538.8点
▽BR
室園 尭志 553.8点
【50m三姿勢60発競技】
▽団体 1650点
小久保綾華 557点
荻原 里夏 560点(2位)
鳴海 彩音 533点
▽個人
神下 茉衣 523点
【50m伏射60発競技】
▽団体 1785.5点
紙田梨華子 599.7点(2位)
内田 耀心 594.4点
高橋 敏生 591.4点
▽個人
南  星佳 571.7点
【総合】
慶應義塾大学 5318.1点(優勝)
早稲田大学 5238.5点

コメント

久保木智也主将(法4=茨城・清真学園)、紙田梨華子(社4=茨城・清真学園)、小久保綾華(4=東京・創価)、小野颯(基理4=東京・日大二)

左から小久保、紙田、小野、久保木主将

――それぞれの結果について振り返っていかがですか

久保木 自己ベストは撃つことができなくて。4年間で最後の試合だったので、それこそ最後の60発目であったりそういった部分で良い点を残せなかったのが心残りだったかなと思います。

小野 自分は昨日の練習の時にすごく良い結果が出たので、今日もその気持ちでいこうと考えていたんですけど、結果としては試合で出ている点数と同じくらいの点数で。悪い点数、8点とかを多く出してしまって本当であればもう少し高い点を取れたので少し残念です。

小久保 私としてはさんかけに出たんですけど、私も自己ベストを狙っていたので、それには届かなくてすごく悔しいなっていう気持ちです。

紙田 私は今回伏射でレギュラーで出たんですけど、最後の試合なのでひとつ目標として自己ベストを出したいというのはあって。それはできなかったんですけど、結構他の試合と違った緊張があって早慶戦って。そのなかで、レギュラー、慶応も含めて普段の点数より下がっているなっていうのはあって。やっぱり早慶戦って独特な雰囲気があるんだなってすごく感じた試合になったかなと思います。

――2位という結果はいかがですか

紙田 うーん。正直点数はあまりよくなかったので、これで2位なんだっていう感じはあるんですけど、最後に2位でも表彰してもらえたのでよかったかなと思います。

――全体的な結果を受けていかがですか

久保木 慶応は他の大学と比べても意識する相手で、いつもの全日本だったり全体の大会でも慶応との点差を気にするなかで、早慶戦っていう慶応しかいないっていう試合で、その早慶戦までに今どれくらい点差があるんだろうっていうミーティングだったりいろいろそういうのを踏まえて確かに負けているけどここまで大差で負けることは考えてなかったので、割と分析が甘かったなと思っているのと、負けている状況を早慶戦の日が決まっているなかでそこまでどう上げていくかっていう戦術立てはもっと緻密にやるべきなんじゃないかなって反省しています。

小野 私は2年入部っていうのもあって、まだあと1年本当はできたというところで技術不足だったので、可能であればもう1年早く入部して、技術を磨いてみんなのことを引っ張っていけたらいいなと感じました。

小久保 1年生から早慶戦は見てきたんですけど、慶応がすごく強くなってきていて、今まで見たことないくらいの強さになっているので、早稲田が今のままではたぶん今後も勝てる可能性が低くなってしまうと思うので、もっといろんな意識の面からとか、環境面など、変えていかなきゃなという危機感は持ちました。

紙田 慶応強かったなあって(笑)。みんな言ってたと思うんですけど、今回の慶応かなり強くて。早稲田は1年前、本当にSB持っているのが綾華ちゃんしかいなくて、来年の早慶戦、6人もSB持つ人集まるかなみたいなところからの1年スタートだったので、しょうがないって言ったら絶対だめなんですけど、そういうところから始めて、ここまでみんなで頑張ってきて、結構大差はついちゃったんですけどしっかりその点数を撃てるところまでみんなで頑張ってこれた1年間は、私は負けちゃって悔しいってのはあるんですけど、頑張った1年だったかなって今日思いました。

――早慶戦の雰囲気はいつもと違いましたか

久保木  雰囲気は、基本的にみんな点数下がるので、そういうプレッシャーがあって。いつも伊勢原射撃場じゃないんですよ。埼玉だったり栃木なので。そういった面でも違うし、相手が慶応しかいないっていう独特の雰囲気もそうで、レギュラーにかかるプレッシャーはかなりあるんじゃないかなと思います。

紙田 わからないよね、レギュラーで撃ってないから(笑)。

久保木 思いますって言ったよ(笑)。

小野 自分もそうですね(笑)。レギュラーになったことがないのであまり考えたこととかはないんですけど、普段の大会だとやはりいろんな大学の人がいるのでいろんな目標があると思うんですけど、早慶戦になると目標が打倒慶応になるので、全体の雰囲気がピリピリっていうとあれですけど、みんなやりづらいなかでも頑張ろうって感じの雰囲気を感じました。

小久保 全体の点数が下がるっていうのは毎年のことで。でも撃っているときはそこまで変わらないと私は感じていて、去年もレギュラーしたんですけど、そこまで学連試合とはレギュラーとしてはあまり変わらないかなって感じなんですけど、OB・OGが来たりするので。点数も大きく大々的に書かれちゃうので、そこは。

紙田 OB・OGの圧あるよね(笑)。早慶戦の監督の気合の入り方とかも全然違っていて、早慶戦の独特の雰囲気があるっていうのもひとつなんですけど。やっぱり去年までは4年生と、最後だからっていう思いだったり、今年は最後の試合っていう、いつもと違う感じの心持ちなのが早慶戦。やっぱりなんか最後って考えちゃうとね(笑)。

小久保 確かに。トリガーが。

紙田 トリガーが(笑)。引けなくなるじゃないけど、そういうのはあるかなと思います。

――この4年間はどんな4年間でしたか

久保木 同期が少なくて、でもやっぱりこの4年間、3人だけで運営ができたわけではなくて、後輩がいて、役職を担ってくれたり、そういうのがあって自分たちが引っ張っていったというよりも支えていった4年間だったなと総じて思うので、そういった意味で本当に後輩、コーチ、監督に感謝する4年間でした。いいこと言っちゃった(笑)。

紙田 みんな思っているよ(笑)。先に言われた(笑)。

小野 自分の場合は2年生の時から入部して、1年生として頑張っていくといって、もちろん最初は1年学年が違うわけなので、同期の人と仲良くできるかどうかすごい心配だったんですけど、みんなすごく優しくて歳の差とか気にしないいい子だったので、すごい楽しめましたし、4年生の方々ともいろんな話ができてすごい楽しくて。一言で言うとすごい楽しい部活動でした。っていう感じです。

小久保 私も最初は同期が少なくて、この2人が入ってきてくれるまでは私一人ですごい寂しいなって思っていて、入ってからでも2年くらいから仲良くなり始めて。なんか波乱だったなって思い返すと(笑)。そのときも先輩方に支えてもらったり、今は後輩たちに支えてもらったり、結構人が楽しくて続けられたなっていうのがあるので、周りの人に感謝の気持ちでいっぱいです。

紙田 みんな言ってたんですけど、本当に3人しかいなかったというのもあって、上級生の方とか下級生の手を借りて本当にここまでやってこれたなっていうのがあって。特に本当に1個下の子たちに一番助けてもらったなと思っていて。運営面もそうですし、今回の早慶戦も1個下の3年生の子たちにSBとかすごく頑張ってもらったので、運営も競技面もすごくたくさん助けてもらったなと思います。

――みなさん支えてもらったとおっしゃっていますが、後輩にここは貢献したなと自信が持てる部分はありますか

久保木 月に1回ミーティングがあるんですけど、みんな割と日本人なので発言しないんですよ。そこで、僕結構発言するタイプなので、いろんな意見出したりとか、発言する回数は多かったな。そういう意味では一人発言すると発言しやすいじゃないですか。そういう会議をする上で話題を提供しやすいようにしたかなと思っています。

小野 私は今年度になるんですけど、銃砲っていう役割をやらせてもらって、部活で管理している銃とかを初心者講習会で受かった1年生とかに橋渡し役っていうんですかね。前年とかだと体に合わない銃を渡されたりとかあって。あとパーツが足りなかったりとかでちょっといろいろ波乱があったんですけど、私と今回一緒にやった同期の人がいたので、その2人で合っている銃を渡そうと努力したりという点で貢献はできたのかなと思っています。

小久保 私は主務という役職を部内でやっていたり、主に学連員だったので。それが早稲田に貢献できたところかなという所存です。あとは東京六大学定期戦っていうのがあるんですけど、その委員長をやったり、大会運営側として学連員として貢献できたかなっていう感じです。

紙田 今主務をやっていて、去年は副務だったんですけど、そのとき結構仕事が多くて、そこは頑張って、そこを後輩たちが見てくれていて、いつもありがとうございますって声を掛けてくれる後輩がいて、そういったところで仕事面は頑張ってきたかなって思っていて。選手としては2年生の頃からずっとエアはレギュラーで試合に出ていて、点数が伸び悩む時期もあったんですけど、そこでレギュラーで居続けたところで練習とかも割としっかり行ってやっていたので、射撃に練習とか試合とか、そういった取り組み方というところを下に見せるところで、貢献していたかはわからないですけど、ちゃんとやってきたかなと思います。

小久保 私も点数で。レギュラーで(笑)。

――後輩にメッセージをお願いします

久保木 今回の結果はすごい残念だったんですけど、相手のメンバーも結構若い層で、来年度以降もレギュラーとして出てくる人間なので、そこに対して勝つためには割と努力が必要じゃないかなと思うので、今までのやり方では勝てないことが証明されたので、それを模範にしてもらって変えてもらったらいいかなと思います(笑)。

紙田 嫌な先輩(笑)。

 自分は一応来年度は学生コーチの方として活躍させていただくことになっているので(笑)。一応自分は理系なので、理論的な感じでみなさんをサポートしつつ、自分も練習いっぱいしてより高い点数を目指して行こうかなと。共に頑張っていきたいという感じで、頑張ります!

小久保 私も一、二年とかは、アホみたくたくさん練習していて。ライフルは練習したら上がるらしいので、たくさん練習しましょう。あとSBは弾を出しましょう。弾を出して練習する機会を増やしたらいいと思います。

紙田 まずは本当にここまで一緒にやってくれてありがとうってことを一番に伝えたいです。本当に4年生少なくて、しかも本当に不甲斐ない4年生だったので、ここまで一緒にやってくれてありがとうっていうのがひとつです。射撃はみんな楽しくやってほしいなって思っていて。ちょっと射撃やだなって思ったり辛いなって時期が私にはあったので、みんな楽しくやってくれればそれが一番かなと思うので、悩むことはあると思うんですけど、楽しく射撃やってほしいなって伝えたいです。

鳴海彩音副将(法3=埼玉・川越女)、荻原里夏(法3=東京・頌栄女学院)、内田耀心(教3=東京・早大学院)

左から荻原、鳴海副将、内田

――それぞれの結果について振り返っていかがですか

鳴海 点数自体は不甲斐ない点数だったんですけど、、この悔しさを次に活かせるように練習していきたいと思います。

――今日は調子が良くなかったですか?

鳴海 どこが良くなかったというより、初めの膝射から思い通りに撃てなくて、それを伏射でも引きずってしまった。全体的に、基礎から見直して冬季練習から頑張っていきたいと思います。

――三姿勢の切り替えは難しそうだがメンタル面は?

鳴海伏射は今まで得意だったんですけど、インカレを含めてずっと当たっていなくて、その切り替えが不安でした。伏射をしっかり戻すことと、膝射を練習したいです。

内田 結果としては自己新記録をとることができましたが、そもそもの自分のベストが高くはなくて、残したい結果が残せなかったので悔しいかなと感じます。前日練習のような、調子が悪すぎるというシリーズはなかったので、そこは良かったかなと思います。

――今日の結果が良かったことについて、なにが要因だったのでしょうか?

内田 悪かったシーズンがあって吹っ切れることができたなというのがあって、そこから、自分の射撃に持っていくことができたかなと、いつもの調子で撃てたと思います。

荻原 結果として自己ベストを撃ててとても良かったと思います。この1年間、SBを持ってからは半年くらいですけれど、今までで一番思い通りに撃てたし、これを気をつけようと思っていたことが自然にできるようになって、コツコツやってきた努力が報われて嬉しかったです。来年はもっといい点数を出せるように1年間頑張りたいと思います。

――四年生は早慶戦で引退となりますが、メンタル面での違いはありましたか?

鳴海 緊張感がある。いつもは個人競技だが、早慶戦は団体のつながりが強くなって来るのでプレッシャーを感じました。

内田 前評判では、慶應寄りでその結果になってしまった。メンタル面では緊張しないだろうと思っていたが、あーちょっと嫌になってきたなと、前夜に打つのが怖くなったのですが、結果としてメンタルも調子良く、自分の思い通りに撃てるシリーズが多くて良かったです。

荻原 昨日、4年生の紙田さんに「楽しく撃ってくれればいい」と言ってくれたので、その言葉通り楽しく撃たせてもらったと思います。今まで四年生の先輩を、そういった面でも得点面でもずっと追いかけてきたので、これからは自分もそういう存在になれるように頑張りたいと思います。

――いよいよ最高学年となりますが、意気込みをお聞かせください。

鳴海 早慶戦に勝つにはインカレでもかなり上位にいる必要があると思うので、早慶戦に勝つことだけが目標ではなく、全体として強くなりたいです。

内田 競技の面で四年生としての姿を見せられるような点数をとことが大事かなと思います。競技面でも、競技面以外でも、4年生同士で誇れるような姿になりたいなというのはあります。

荻原 まず、来年度の目標としては早慶戦で絶対勝ちたいと思っていて、早慶戦で勝つためには、どの種目も点数を大幅に伸ばさなければならないので、最高学年として、率先して強くなりたいという姿を後輩たちに見せられるように、真摯に射撃に取り組みたいと思います。