関東学生ライフル射撃選手権春季大会が、5月12日から14日の三日間にわたって、宇都宮市の栃木射撃場で行われた。久保木智也主将(法4=茨城・清真学園)が率いる新体制で迎えた今季初めての公式戦、団体総合で女子部は5位、男子は7位となった。また、個人では、佐藤琳が女子エアピストル10m立射60発競技で1位となった。
男子部では、50m三姿勢60発競技で団体出場した柴拓夢(スポ3=埼玉・川越東)、高橋敏生(スポ2=茨城・水戸一)、石橋正梧(人2=千葉・日出)の3選手全員が初レギュラーとなった。初めてレギュラーを務めたことについて柴は、「撃っている途中にぼーっと考えながら『俺は早稲田のレギュラーとして撃っているんだな』と考えたくなった」と語った一方、「姿勢の切り替えがうまくいかず、焦ってしまった」と自身の課題点も挙げた。共に2年生でのレギュラー入りとなった高橋と石橋は、それぞれ512点、450点を撃ち、団体7位になった。
10m立射60発競技では、昨年から引き続きレギュラーを務める岡本健人(教育3=千葉・専大松戸)にはミスが目立ち579点と実力を発揮できなかった。試合を振り返って岡本は、「まず基本的なレベルもクリアできていないし、それより上のレベルもクリアできていなかった」と悔しさをにじませた。3日目に出場した久保木主将も553.8点と伸び悩み、599.3点を撃った佐藤功一(スポ3=早稲田渋谷シンガポール)と合わせて団体9位という結果に終わった。
自身初のレギュラーメンバーを務める柴
女子部では、小久保綾華(人4=東京・創価)が10m立射60発競技と50m三姿勢60発競技の二種目でレギュラーを務め、部を引っ張った。605.1点を撃った2日目の立射競技後のインタビューでは、「まだまだ実力不足で、もっとできることがあるなと思った」、「(今後の大会に向けて)自己ベストを常に更新していきたい」と更なる高い目標に向けて挑戦する姿勢を見せた。さらに、小久保は男女50m伏射60発競技では、597.3点と早大勢ではトップの成績だ。
二種目でレギュラーとして活躍した小久保
10m立射60発競技では、紙田梨華子(社4=茨城・清真学園)が604.6点、荻原里夏(法3=東京・頌栄女学院)が599.5点を撃ち、団体8位。個人では、櫻井圭純(スポ2=東京・桜丘)が2年生ながら早大勢トップの606.5点を撃つ活躍を見せた。50m三姿勢60発競技では、小久保が548点、共に3年生の鳴海彩音(法3=埼玉・川越女)、神下茉衣(人3=東京女学館)がそれぞれ544点、529点で団体5位となった。
立射競技を行う櫻井
個人参加となる女子10mエアピストル立射60発競技には佐藤琳(スポ3=東京・成立学園)が出場。合計552点と安定した実力を見せ、昨年に引き続き個人優勝を達成した。
6月に控える日本学生選抜スポーツ射撃競技大会、そして7月以降の各大会に向けて、各選手の更なる進化に期待したい。
(記事 石川千紘 写真 田部井駿平)
全出場選手結果
【男子10m立射60発競技】
▽団体 1732.1点 (9位)
佐藤 功一 599.3点
岡本 健人 579.0点
久保木智也 553.8点
▽個人
小野 颯 589.9点
内田 耀心 582.4点
上村 直輝 576.8点
石橋 正梧 568.5点
高橋 敏生 568.0点
【女子10m立射60発競技】
▽団体 1809.2点 (8位)
小久保綾華 605.1点
紙田梨華子 604.6点
荻原 里夏 599.5点
▽個人
櫻井 圭純 606.5点
中島 依澄 600.8点
神下 茉衣 600.8点
鳴海 彩音 593.0点
橋本 人美 591.4点
南 星佳 587.1点
生沼 波穏 580.5点
神田 笑里 574.9点
福井 晴子 573.4点
高築あずさ 566.9点
長谷川愛佳 564.2点
澤田 真由 543.3点
【男女50m伏射60発競技】
▽個人 小久保綾華 597.3点
紙田梨華子 596.5点
高橋 敏生 594.2点
鳴海 彩音 589.3点
柴 拓夢 584.0点
石橋 正梧 546.7点
神下 茉衣 540.6点
【男子50m三姿勢60発競技】
▽団体 1443点 (7位)
高橋 敏生 512点
柴 拓夢 481点
石橋 正梧 450点
【女子50m三姿勢60発競技】
▽団体 1621点 (5位)
小久保綾華 548点
鳴海 彩音 544点
神下 茉衣 529点
【女子エアピストル10m立射60発競技】
▽個人 佐藤 琳 552点 (1位)
男子総合団体 3175.1点 (7位) 女子総合団体 3430.2点 (5位)
コメント
岡本健人(教育3=千葉・専大松戸)
――本日のAR競技の振り返りをお願いします
まず、空砲するというのはレベルの低いミスなので、レギュラーとしての自覚が足りなかったかな、と。その点をまず一番反省していて、空砲を撃つ前もあまり調子は良くなかったので、練習量を増やすことで対応していきたいです。あとは、飛ばしが多かったので、他にも深い10点があったのですが、8点を一、二発撃ったというところで、空砲をカバーすることができなかったので、まず基本的なレベルもクリアできていないし、それより上のレベルもクリアできていなかったです。反省しかない60発だったかなと思います。
―― 空砲というのは
弾を入れずに撃ってしまうことで、一気に10点を失ってしまいますね。かなりレベルの低いミスなので、気を付けるというものでもないのですが、対策としては毎回弾が入っているか確認してから撃つといったことになるかと思います。
―― 2年生の時からレギュラー入りをされていますが、3年生になってからの心境の変化はありますか
2年生の時には上級生の方々がいたので、自分はただひたすらに高い点を撃っていくということしか考えていなかったのですが、3年生でなおかつレギュラーということに責任のようなものを感じていて、少し射撃をすることの質が変わったかな、というふうには思っています。
――その変化は良い方にいっていますか
正直、何も考えずにひたすら楽しく撃つというのは楽しいのですが、3年生になったので、上級生の方が僕が下級生の時にそういうことをして下さったおかげで僕は安心して撃てていたというのがあるので、義務のようなものだと思っています。
――今シーズンを通しての目標を教えてください
600点を3年生になってからは試合であまり撃てていないので、まずは2年生の時には絶対にクリアできていた600点にのせるということと、それより上の目標としては615点以上を撃つということです。
柴拓夢(スポ3=埼玉・川越東)
――今日のSBの振り返りをお願いします
練習の成果が出せなかったというのが正直な感想です。反省点としては、言ってしまえば練習不足なのですが、修正力が少し無かったかな、という。当たらず、試射の時間が長くなってしまったことが、焦りにつながったと思います。
――修正力というのはどのような
姿勢を一度決めた時に合わなかったのですが、その時にうまく切り替えができなかったので、焦ってしまったかなと。
―― 今大会が初のレギュラー入りとなりましたが、どのような気持ちですか
最初は撃っている途中にぼーっと考えながら「俺は早稲田のレギュラーとして撃っているんだな」と考えたくなったり(笑)それと同時に後半は早稲田のレギュラーとしての重みも感じましたね。
――上級生となって、部活にはどのように向き合っていますか
私はSBのサブリーダーで、全体練習ができるようになったので、どんどん積極的にやっていって、選手のレベルの底上げをしていきたらいいな、と思っています。
―― 今シーズンの目標を聞かせてください
今シーズンの目標は、SB3×20でファイナル競技に出場することです。
小久保綾華(人4=東京・創価)
――初日のSBから振り返りをお願いします
まだまだ実力不足で、もっとできることがあるなと思ったので、もっと練習の量と質を高めていきたいです。
――2日目のARの方はどうでしたか
初日と同様です。また、銃が変わったので、そこも慣れていく必要があると思いました。
――銃が変わったのはいつからですか
2月か3月くらいです。もっと慣れていきたいなと思います。
――今年は4年生の人数が少ないですが、4年生になってからの部活に対する心境の変化などはありますか
最高学年になり、責任のある立場になったので、以前よりも自分の役職に対して具体的に良くしていこう、変えていこうという気持ちが必要だと思っています。
――特に大変なことはありますか
今は、学生連盟の仕事や部活内での仕事が複数あるので、それをうまくやりくりしていくことが大変です。
――今シーズンの目標は何ですか
学生選抜大会に出場できるかは分からないですが、関東学生選手権秋季大会と日本学生選抜大会に向けて、自己ベストを常に更新していきたいです。そして、4年生として後輩に何か残していかなくてはいけないと思うので、後輩育成にも注力していきたいと思っています。
――具体的な点数の目標はありますか
最後の学生選抜大会でARは615点、SBで565点が目標です。