女子は団体総合3位 各選手が成長を見せつける

射撃

 緊急事態宣言の発令を受け順延となっていた、関東学生選手権春季大会が長瀞射撃場にて開催された。早大は、男子部が1部総合団体5位、女子部が1部総合団体3位を受賞する結果となった。

 男子部では昨季まで不動のレギュラーを務めた加藤東(令3社卒)が卒部。10m立射60発競技では江澤誠主将(文構4=東京・早稲田)、椎野凌(文構4=東京・攻玉社)、宮本裕喜(政経3=東京・早稲田)の3名を、50m三姿勢60発競技では江澤、宮本、吉間民音(教育3=岡山・津山)の3名を団体メンバーに選出し、大会に臨んだ。江澤が50m三姿勢60発競技で個人新記録を撃つと、10m立射60発競技では宮本が600点に迫る高得点を記録。団体としての各競技では成績が伸び悩んだが、団体メンバー個人の成長につながる一戦となった。

両種目で高得点を記録した宮本

 女子部では高い実績と実力を誇る鈴木志佳(人4=東京・目黒星美学園)、前田留那(スポ4=埼玉・栄北)の2名に加え、50m三姿勢60発競技では昨季よりレギュラーを務める杉山瑞季(スポ3=神奈川・横須賀学院)を、10m立射60発競技では初のレギュラーとなる小久保綾華(人2=東京・創価)を選出し、大会に臨む。

 50m三姿勢60発競技では、「自分でやっていても楽しく撃つことができて良かった」と鈴木が膝射1シリーズ目こそ伸び悩んだものの、2シリーズ目以降の膝射、さらには伏射、立射で好成績を記録する。574点の自己新記録となった。さらには前田も572点の高得点を撃つと、杉山もこの日自己新記録となる559点を残し、2位の日大に1点差に迫る種目別3位でのフィニッシュとなった。10m立射60発競技においても、鈴木が620.6点の自己新記録を達成。加えて小久保も600.6点の自己新記録を撃つと、前田は612.5点の安定した成績を残し、種目別4位となった。

初のレギュラーとなった小久保

 また、個人参加となるエアピストル10m立射60発競技には髙木薫(法4=茨城・竜ヶ崎第一)、佐藤琳(スポ1=東京・成立学園)の2名が参加。佐藤は今季トップアスリート選抜での入学となった選手であり、本大会が学生試合のデビュー戦となった。「最近560点を切らずに試合では撃てていたが、今日は切ってしまった。あまり良くなかった」(佐藤)と語ったが、高い実績を持つ選手。今後の活躍に期待がかかる。

狙いを定める佐藤

 「目標は、女子は全日本優勝。男子も昨年度は全日本5位だったので表彰台に乗ることが目標。また、早慶戦は必ず優勝をすることを目指している」と主将の江澤。コロナ禍において不規則な大会日程となっているが、早くも夏へと差し掛かる。「最大の目標は秋のインカレ」(江澤)。さらに夏場には日本学生選抜も控える。選手たちは、さらなる成長を見せてくれるだろう。

(記事 橋口遼太郎、写真 高橋優輔、橋口遼太郎)

全出場選手結果

【男子10m立射60発競技】

▽団体 1767.6点(7位)

椎野  凌 583.6点

宮本 裕喜 586.1点

江澤  誠 597.9点

▽個人

伊藤 雅峻 506.7.点

小林 大輔 570.3点

島田明日嘉 578.3点

須田 智晴 587.3点

廣島 温弓 578.8点

松本  零 592.0点

吉間 民音 558.4点

渡辺 泰央 530.6点

久保木智也 531.8点

【女子10m立射60発競技】

▽団体 1833.7点(3位)

鈴木 志佳 620.6点

前田 留那 612.5点

小久保綾華 600.6点

▽個人

泉田  瞳 556.0点

岡部  藍 595.1点

杉山 瑞季 595.8点

陶山 絹香 597.5点

紙田梨華子 577.8点

【男子50m伏射60発競技】

▽個人

岩脇 輝和 578.5点

江澤  誠 599.2点

椎野  凌 600.8点

松本  零 546.8点

宮本 裕喜 601.9点

吉間 民音 589.0点

渡辺 泰央 510.8点

【女子50m伏射60発競技】

▽個人

鈴木 志佳 603.5点

髙木  薫 578.5点

前田 留那 615.9点

杉山 瑞季 589.4点

【男子50m三姿勢60発競技】

▽団体 1636点(5位)

江澤  誠 551点

吉間 民音 535点

宮本 裕喜 550点

▽個人

椎野  凌 521点

松本  零 535点

渡辺 泰央 472点

【女子50m三姿勢60発競技】

▽団体 1705点(4位)

杉山 瑞季 559点

鈴木 志佳 574点

前田 留那 572点

【女子エアピストル10m立射60発競技】

▽個人

高木  薫 536点

佐藤  琳 558点

1部男子総合団体 3403.6点(5位) 1部女子総合団体 3538.7点(3位)

コメント

江澤誠主将(文構4=東京・早稲田)

――初日のSB(50m三姿勢60発競技)からのスタートでした。今大会を振り返ってください

SBに関しては、少し前に学生の大会ではないのですが、一般の大会、オリンピックのテストイベントで今日の成績よりも上の点数を取っていたので目標の点数はもう少し高かったのですが、実際の学生の大会で出した点数としては自己ベストなので、なんとか撃ち切れたことを安堵しつつも、次の大会では一層高い点数を取りたいと考えています。

――AR(10m立射60発競技)はいかがでしょうか

ARは、私自身も就職活動との両立でARの練習があまり出来ていないという状況で、不甲斐ない結果に終わってしまいました。ちょうど就職活動もひと段落ついたので、次の大会、また秋の大会に向けてはSBとARとで両立をしつつ、最高学年の主将として良い結果を出せるように頑張っていきたいです。

――今回大会のチームとしての成績はいかがでしょうか

チームとしては、昨年度卒部されたメンバーが加藤東さん一人だけで、去年よりも着実に良い成績を残すことが出来ているので、チームとして成長をしていると思います。女子は成長がめざましく、1位争いにも加わっている状況です。最大の目標は秋のインカレなので、そこに向けてチームの力を最大限高めていけるように頑張っていきたいです。

――主将に就任なさいましたが、そこに至るにあたりどういった経緯があったのですか

2年生の頃から新歓の幹事をやっていたり、同期の中でどちらかというと頼られるような存在であるのかなと思います。3年生では副主将を、そして今年は主将となりました。昨年までは主将の先輩がいたので、どこかまだ自分は全ての責任を負うわけではないという安心感を持っていたところがあるのかもしれませんが、4年生になった時に自分がやらなければならないという意識がすごくありました。自分自身の競技成績、そしてチーム運営をすることを含めて、最後の1年なので全力を尽くしていきたいと思います。

――学連の仕事もありハードかと思います

学連の方も人数が足りないという事情があり兼任をさせていただいていますが、学連の方にも兼任をするハードルを考慮していただいていたりもします。大会運営をする第三者の立場として公平性を保ち、なおかつよりよい大会運営ができるように頑張っていきます。

――主将としてどのようにチームに付き合って行きますか

第一にあるのは、私が今年運営をするのは昨年度から思い描いていた部活の姿です。私が卒業をした後のこれからの姿に関しては 、副主将に大きく未来の構図を描いてもらって、自分自身が思い描いた最後の1年間を自分自身の力そして後輩の力を借りて全力で実現していきたいと思います。

――今季の目標を教えてください

目標は女子は全日本優勝、男子も昨年度は全日本5位でしたので表彰台に乗ることが目標です。また、早慶戦は必ず優勝をすることを目指しております。

鈴木志佳(人4=東京・目黒星美学園)

――大会を振り返っていかがですか

点数としてはまだまだ満足がいくものではないのですが、結果としては両方とも部活で残した記録のうちで自己新記録なので、部には貢献できたかなという気持ちです。

――初日のAR(10m立射60発競技)はいかがでしたか

前日練習の時にSB(50m三姿勢60発競技)をやっていたので、その分反動がSBの方がやはり大きいのでフォロースルーがしやすい感覚がありました。SBをやっていた直後にARをやることでフォロースルーがいつもより長くできたので、それで深くなり点数が伸びたというところがあります。1シリーズ目に101点を撃ってしまって、今日は『It’s not my day』というような(笑)。今日は自分の日じゃないのかなと思って、逆にリラックスできたというか。緊張をせずに2シリーズ目以降撃てたのはよかったです。

――1シリーズ目でそこまで点数が伸びなかったから逆にということでしょうか

逆にです。1シリーズ目に緊張しすぎてしまいました。2シリーズ目以降はちゃんと点数はいつも通りというか。その後もう一度101を撃ってしまいましたが、なぜその101を撃ってしまったのかという原因も自分で試合中にわかっていて。覗き込み過ぎてしまったことが原因です。覗き込みすぎると呼吸が浅くなったりということがあり、酸素が足りなくなることで脳の錯覚で中心を見てしまうんです。中心だと思って撃っても浅かったりします。それで10.0とか10.1が増えてしまうということがありました。2シリーズ目以降はその原因に気がついて早く撃とうということを意識して撃っていたので、無事にちゃんと点数は出たという感じです。

――逆に集中しすぎてもダメなんですね

そうですね。長くなりすぎてしまうとやはり迷ってしまうというか。力が入りすぎちゃうとかがあります。

――引き金を引けなくなってしまうということでしょうか

そうです。特にトリガーのセッティングが今は違うんです。少し難しい話になってしまうのですが、シアーという部品があって、そのシアーが削れてきてしまって、今トリガーが私にとってかなり重い状態なんです。今までのセッティングではシアーが削れてしまったから出来なくて、トリガーを重くせざるをえなくて。そのトリガーになってまだ1ヶ月経たないくらいなので、その状況の中で撃った点数としては悪くないのかなと。もっと撃てたとは思うんですけど(笑)。

――SBはいかがでしたか

SBは、最初のK(膝射)の時に試射が10点5連続とかで最後終わって、今日はいいなと。いいぞと思ったのですが、本射になった瞬間に姿勢がうまく出来なくなって。銃口が下がってしまうというか。肩まわりとかも重たく感じてしまうという状況になってしまって、それでうまく構えられていないことに気がつきました。1シリーズ目は9点ばかりで92点になってしまったのですが、2シリーズ目でうまく立て直すことができたので合格かなというか。ギリギリセーフかなという感じです。  P(伏射)は最初の試射の時からうまく姿勢が作れなくて、銃口が下にあって。なんだろうと思ったのですが、急遽スリングの長さを変えたりだとか、バットプレートをいじったりとか、姿勢を3回直したりとかして、正確に自分の姿勢を作れるようにしました。スリングにかかる力とかも自分で考えながらできたので、点数としては1度8点を撃ってしまったのがかなり問題というか、まずいなという印象ですが、それ以外に関してはそこまで悪くないというか。100は撃っていないのですが安定はしていたかなと思います。深くはなかった、10.0とかも多少あったので、毎回深い10点が撃てるように今後は呼吸をしっかりとやるとか、セッティングを正確にするとか、雑な部分も残っているのでしっかりと詰めていきたいところです。  S(立射)は試射でかなり、止まっているなという印象でした。いつもはゆらゆらしているというか。ARはトントントンという揺れなのですが、ゆらゆらした揺れがSBでは起きるんです。重さのバランスや、ひっかけているという事もあって。そのゆらゆらが今日はなくて、上からスッと落ちてきてARのように引けるという感じがありました。あっ、もういける。と思って、試射は6発だけ撃って、すぐに本射に入りました。本当ではあれば10発以上撃つのがいいと言われていますし、いつもはそうしているのですが、今日は大丈夫だろうという自信があり、撃ったら実際に96、95が出て、練習通りの結果が初めてSで出たかなと感じました。  今まではSでフリンチング、反動にびっくりしちゃうとかが多くて大変だったのですが、今回はセッティングを変えて、口に(銃が)当たらなくなったりとかして、上手く出来たのかなという感じです。全体を通しても最初のKの92点を上手くリカバリーできたというか。他の部分で補えたのはやはりゲームバランスの良い3×20、SB三姿勢ならではの良いところだったと思いますし、自分でやっていても楽しく撃つことができて良かったなと思います。卒業までに最低でも1150を撃てるようになっておきたくて、去年はそう考えていました。しかし今回、半分の60発の中で1148の半分の点数、574点が出たので、今後は目標を上げていって、自分の出来るギリギリの状態というか。限界という言葉は嫌いですが(笑)、自分の壁の壊していきたいような、そういう気持ちがあります。

――自分が思い描いていた以上の成長が出来ているという感覚ですか

出来ていますね。SBはいろいろな人の意見を聞いてやるのが大切で、私は今まではひとりの意見をよく聞いてやっていたのですが、東京都に所属して他のコーチの意見を聞いたりだとか、他の選手がやっているのを見て技を盗んだりして。自分なりに研究が出来たのが良かったのかなと思います。

――この2日間、団体戦のチームの中での成績としてはいかがですか

チームの中としては、今回小久保綾華(人2=東京・創価)ちゃんが初めてレギュラーをやるので、その子の点数がたとえどんなにコケても、私と前田と(前田留那、スポ4=埼玉・栄北)と杉山(杉山瑞季、スポ3=神奈川・横須賀学院)でカバーできるように自分は実力を出し切りたいなと思いながら撃っていたので、今回の点数であれば恐らく学生選抜はいけるのではないかと思っています。綾華ちゃんには楽しく撃って欲しいです。私は初めてのレギュラーの時はプレッシャーがかかり緊張してしまったので。スポーツとは楽しむことが原点と谷川コーチ(谷川諒、平28スポ卒)もおっしゃっていました。とにかく楽しく気楽に撃って欲しいなと思います。

――個人としてのこれからの目標や伸ばしていきたい部分を教えてください

ARは630が目標です。練習ではそれに近い点数まで行ってはいるのですが、停滞気味というか。620前半で留まってしまっています。570から600に乗ることではなくて、620から630に行くのはすごく難しいというか。本当に小数点争いみたいな部分もあり、弾を一個一個しっかりと選ぶとか、銃のセッティングや整備をしっかりとするとか。そういう細かい部分も大切になりますし、ひとつひとつの技術も今まで以上に妥協なくやる必要があります。そういう部分でやはり精度を上げていきたいと考えています。点数の目標としては630点です。SBは、ARとの相乗効果に期待してプレーをしている側面もあります。  SBはARのように、ARはSBのように撃つというのが私の中で強くなる秘訣だと思っています。SBは反動がすごいので、ARを直後にやるとフォロースルーがしやすくなります。また、ARをやることによって、SBのSの技術を伸ばすことができます。SBとARは両方リンクさせてというか。SBはARのためにやりますし、ARもSBのためです。ただ、SBの点数の目標は特にないんです。点数の目標なく撃つことが逆に私にとって良いというか。ARでは620や625、630を意識し過ぎてしまうが故にシリーズの最後に気にしてしまう部分があります。SBに関しては気にせずに技術ひとつひとつに意識を向けていれば、最終的に1150にも乗るでしょうし、60、70と乗っていくと思うので、そこはやはり技術を一番大切にしたいです。

佐藤琳(スポ1=東京・成立学園)

――今日の内容を振り返ってください

学生試合が初めてで、一般試合と違う雰囲気があってすごく緊張しました

――成績としてはいかがですか

最近560点を切らずに試合では撃てていたのですが、今日は切ってしまいました。すごく点数として落ちたところがあったわけではないのですが、上がらず93平均で行っていたので、あまり良くなかったですね。

――一般試合と雰囲気は違うものなのですか

緊張します。こっちの方が緊張します。

――なぜこちらの方が緊張するのでしょうか

独特なんです。流れている雰囲気とか。団体感が強いというか、他大は特に上下関係もあり、チームでまとまっている感じもありという感じです。一般試合はもう少し自由な感じがします。

――早大射撃部での日々はいかがですか

楽しいです。薫さん(髙木薫、法4=茨城・竜ヶ崎第一)や志佳さん(鈴木志佳、人4=東京・目黒星美学園)と一緒になりゲームをやっていただいていたりします。すごく楽しいです。

――環境としてはいかがでしょうか

やろうと思えば毎日練習ができる部活なので、そこがいいところだと思います。

――トップアスリート選抜での入学ですが、早大でプレーをすることを選んだ理由をお聞かせください

自由、ですかね(笑)。あと薫さんがいたこともあります。

――他大の選択肢もあったのですか

一応ありました。

――アーチェリー部には高見さん(高見愛佳、スポ2=東京・足立新田)や園田(園田稚、スポ1=東京・足立新田)さん(共にエリートアカデミー)もいらっしゃいますが、今でも関わりはありますか

1年生の園田稚はずっと一緒に寮で住んでいたので、今でも仲良くしています。学部も一緒です。

――目下の目標を聞かせてください

自分が今、ジュニアの日本記録を持っているのですが、それをもう一度塗り替えることです。