今季最後の試合である早稲田大学・慶応義塾大学定期戦(早慶戦)。早大の3連覇がかかる今年は、接戦の末に勝利を収め4年生の引退に花を添えた。
3部門で競い総合優勝を目指す今大会。高いリーダーシップで、チームを引っ張ってきた中里志穏主将(スポ4=埼玉・浦和一女)は自身の結果について「よろしくはなかった」と語るも50メートル三姿勢60発部門で個人3位と成績を残した。50メートル伏射60発部門に出場した眞城永稔(教4=大阪・高槻)は初めてレギュラーとして出場した早慶戦。いつもと変わらぬ穏やかな表情で「勝てたっていうのが何より嬉しい」と試合後のコメントを残した。さらに、今年、抜群の成績を残してきた千葉朔海(スポ3=埼玉・栄北)は、安定した高い実力を示し50メートル三姿勢60発部門で盤石の優勝を果たした。そして今回光ったのは下級生の活躍だ。10メートル立射60発部門では、加藤モナ(スポ1=埼玉・栄北)が優勝。団体戦のメンバーではない1、2年生の選手が、多く自己新記録をマークし、来年も一層の活躍が期待される。
今季、期待の新人として入部してきた加藤モ
今大会は、4年生にとっては引退試合でもあった。最終学年になる今年は、思うような成績を残せなかった末本佳那(スポ4=福岡・太宰府)は「すごく感謝している。特に女子には、つらいときには話を聞いてくれたり、一緒に頑張ってくれた」と言葉を絞り出すようにチームへの思いを語った。大会を運営する役員でもあった尾花駿輔(教4=東京・国学院久我山)は「11人と学年の人数が少ないことで、その分、密な時間を過ごすことができた」と笑顔で感謝を述べた。今年は射撃部にとって改革の年であった。尾花は来年のチームに対し「自分たちが作ってきたこの雰囲気を、うまい感じで引き継いでいけば良い部ができるのでは」と期待を寄せる。中里主将も来季主将を務める波多秀馬副将(政経3=東京・早実)に対し「今年で組織としての悪いものは全部出たから、次は一人ひとりが技術的なレベルを上げて欲しい」と、来季への思いを述べた。
中里主将を中心に、部の組織改革にも取り組んだ
「4年間楽しかった」と口々に語った4年生たち。今大会で引退となるが、来年からは頼もしい下級生たちが彼らの思いを引き継ぎ、さらなる高みを目指す。成長した早大射撃部が来年どのような姿を見せてくれるのか、楽しみである。
(記事 柴田侑佳、写真 吉岡篤史、柴田侑佳)
試合後の集合写真
結果
【10m立射60発部門】
▽団体 1809.2点(優勝)
加藤 モナ 609.0点(個人優勝)
末本 佳那 601.6点(個人3位)
毛利 綾花 598.6点
▽個人
藤井 尭彬 600.1点
平田 華 598.0点
橋本龍太朗 593.6点
後藤 樹 584.0点
加藤 東 578.7点
伊澤 昌平 578.6点
大芝 嶺花 577.8点
澤井 祐音 575.5点
三鍋 亘 572.4点
梅津 怜 571.0点
濱本 和樹 562.6点
池田 佳悟 559.2点
保坂 剛志 557.2点
清水 拓海 554.8点
満井 菜月 543.3点
井手 悠太 532.3点
大貫 裕矢 523.2点
田曽 雅也 384.7点(DNF)
【50m伏射60発部門】
▽団体 1783.2点(2位)
眞城 永稔 596.6点
松尾 悠佑 591.5点
北嶋 亮太 595.1点
▽個人
波多 秀馬 590.3点
守田 慶亮 571.3点
尾花 駿輔 557.2点
【50m三姿勢60発部門】
▽団体 1671点(優勝)
千葉 朔海 573点(個人優勝)
中里 志穏 556点(個人3位)
田中 美沙 542点
▽個人
加藤 一 536点
佐藤 史江 513点
◆総合成績
5263.4点(優勝)
コメント
中里志穏主将(スポ4=埼玉・浦和一女)・波多秀馬副将(政経3=東京・早実)・眞城永稔(教4=大阪・高槻)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
波多 満足のいく結果ではなかったんですけど、伸びしろだと思ってこれからやっていこうと思います。
眞城 満足はできない点差だったんですけど、仕方ないですね。
中里 三姿勢は、よろしくはなかったけど、隣の千葉(朔海、スポ3=埼玉・栄北)がすごい点数を撃つのは分かってるから、千葉がいるだけで安心できます。千葉、お願いしますって思いながら撃ってました(笑)。
――今回の結果をどう受け止めていますか
眞城 勝てたっていうのが何より嬉しいですね。初めてレギュラーで撃って勝てたっていうのは本当に嬉しいです。
中里 エアー(エアーライフル)で相手が暴発とかしてなかったら危なかったかなと思います。一歩ずつ倍返し(早大は、3連覇する前に5連敗を喫しており、10連覇を目標にしている)に近づいているので、まあ良しとします。
波多 途切れさせないようにしないと。伸びしろです(笑)。
中里 きょうは下級生の調子が良かったです。自己新記録多かったよね。
眞城 多かった多かった。レギュラーじゃない1年生も頑張ってました。
中里 来年期待できます。
――四年間を振り返っていかがでしたか
眞城 結構、副務をやっていた頃がしんどかったんです。でも、今年1年、競技に集中できてファイルも出れて楽しかったです。
中里 どうだったかな。なんかいつもちょっと足りない中里さんみたいな。メダルは取れるけど優勝はできない。ファイルは出れても4位とか8位。9位とかギリギリでファイナルを逃したりすることも多くて、わーって思ってました。四年間のなかだったら、今年の女子の三姿勢の団体がすごい楽しかったです。主将は絶対向いてないって思ってたけど、なんだかんだ乗り越えてしまいました。四年間楽しかったです。嫌なこともいっぱいあったけど良い思い出です。
――先輩の代はどう見えていましたか
波多 本当に頼りになる代です。主将向いてないとかおっしゃてたんですけど、本当に主将向きで、それを引き継ぐ私がすごい不安なんです。眞城さんもすごい仕事
中里 嘘おっしゃれ(笑)。大丈夫だよー。
波多 私の代になると、すごいグダグダになってしまう気が無きにしも非ずなんですけど、頑張っていきたいです。
中里 大丈夫。私が選んだ副将だから。余裕。
――これからの部に期待することは
中里 組織としてはだけど、今年は悪いものが全部出たから、来年からは、もう組織が壊れそうになるような悪いことは起こらないと思います。今度は、一人ひとりが技術的なレベルを上げて、インカレ(全日本学生選手権)で総合団体で出るとか、女子は優勝するとか、早慶戦勝つとかにつなげられるように、技術面を伸ばしていって欲しいなと思います。
眞城 早慶戦4連覇を期待してます(笑)。
――来年へ向けて意気込みをお願いします
波多 このままだと、まだまだ物足りないと思うので、一つ一つできることをやって、ステップアップしていきたいと思います。
末本佳那(スポ4=福岡・太宰府)・尾花駿輔(教4=東京・国学院久我山)
――きょうの試合の調子はいかがでしたか
末本 正直良くなかったです。1シリーズ目で落ち込むぐらいの点数を撃って。でもそこでレギュラーとしてそこで気持ちを落としっぱなしで終わるのはいけないと思いました。同期が後ろで見てくれていたので、(射座の)外に出て一回リラックスして、また改めて入って頑張れました。一発一発で、あのときこうすれば良かったなとか、もっと撃てたなとかいう後悔はしない射撃ができたので、トータル的には楽しく撃てたと思います。
――四年間を振り返るといかがですか
尾花 楽しい感じでしたね(笑)。学生連盟で大会を運営していて、なかなか射撃をやれる時間は無かったんですけど、自分なりに練習して、ちょっとぐらいはうまくなれたので楽しかったです。あと、この学年は11人と少ないんですけど、だからこそ蜜な時間を過ごせたかなと思います。
末本 特に同期は、最初から最後まで(部員が)抜けもせず(新しく)入りもせずという感じだったので…。そうですねー、ちょっと待って下さい(笑)。
尾花 何の思いもないの(笑)?
末本 すっごい感謝はしてますね。特に女子は、(この学年が)4人で、上の学年も下2つの学年も1人だったのと比べれば、精神的にも点数的にもすごい支えられたなって思います。私はセレクションで入っていて、大学4年間セレクション(で入部した選手)としての結果が出せなかったんですけど、そういうつらいときに話聞いてくれたり、一緒に頑張ってくれている女子には感謝しています。
尾花 男子へは?
末本 男子は逆に、しんどいときも、楽しいときも常にフラットな状態で接してくれたので、元気がなかったりつらそうだから心配する訳でもなく、逆にいつも「おっ、末本!」みたいな感じのスタンスでいてくれたのが、個人的にはすごい助かりました。
――後輩に期待することは
末本 実力的に、まだまだこれから伸びるかなと今の時点でも感じています。やっぱり下の学年はすごい明るいので、その明るさをプラスの方に生かして欲しいと思っています。明るいがゆえにだらけることって簡単な事だと思うので、明るく団結したら、多分関東でもトップを狙えるぐらい成長できると思います。今の長所を伸ばしつつ、もっと全員で勝ちにいけるような部にしてもらいたいです。
尾花 自分たちが入った時の射撃部の雰囲気と、今の射撃部の雰囲気って結構違うんです。自分たちが4年生として作ってきた雰囲気っていうのを、うまい感じで引き継いでいけば、良い部ができるんじゃないかなって思います。