「本当に何も考えないので」試合中に好感触はあったかという質問に対してそう答える。圧倒的な集中力だった。全種目優勝の目標に、あと1種目まで迫る圧巻のパフォーマンスで、千葉朔海(スポ3=埼玉・栄北)が二冠を達成。中里志穏主将(スポ4=埼玉・浦和一女)は、伏射60発部門で千葉とワンツーフィニッシュを決めた。女子は目標だった総合団体優勝に届かなかった。
千葉は、伏射60発部門、三姿勢60発部門、立射40発部門に出場。伏射は、中里主将と同点で、最終射的が高い得点の方が上の順位という規定により、千葉に軍配が上がった。立射は、本戦4位でファイナルに出場。ファイナルは、第1シリーズ、システム不良により、撃ち直しになる。しかし、秋関でも二冠している女が、ここで集中力を切らす訳がない。ベストショットを連発し、最大で、2位に2.8点差をつける。10点台後半を撃たなければベストショットにはならず、決して低いレベルではない。後ろで応援していた他の部員も「すごいぞ」と小声で唸る圧倒ぶり。このまま優勝かと思われたが、終盤、9点台を連発してしまう。2位に0.8点差にまで迫られて迎えたラストショット。しっかりと10.5点を撃ち、ライバル・一ノ渡桜(法大)を振り切った。日本新記録にあと0.1点に迫る超高得点だった。三姿勢は、膝射で若干得点を落とし、10位に。出場する全種目での優勝はお預けとなった。
ファイナルは部員の応援を背に挑む
4年生にとっては、これが最後の大きな大会になる。射撃は個人競技の性格が強いかもしれない。しかし、「ここまでやってこれたのは、同期のみんながいたから」という中里主将の言葉に代表されるように、個人競技だからといって、1人の力でできる訳ではなかった。残すは早慶戦。最後は「全員で」笑って終わる。
最後の射的を終えた直後、想いを馳せる末本佳那(スポ4=福岡・大宰府)
(記事・写真 吉岡篤史)
結果
【男子50m伏射60発部門】
▽団体 1805.6点(5位)
眞城 永稔 606.2点
北嶋 亮太 605.7点
松尾 悠佑 593.7点
▽個人
尾花 駿輔 574.5点
【男子50m三姿勢120発部門】
▽団体 3231点(10位)
眞城 永稔 1085点
北嶋 亮太 1078点
松尾 悠佑 1068点
【男子10m立射60発部門】
▽団体 1759.2点(14位)
藤井 尭彬 592.9点
松尾 悠佑 588.8点
橋本龍太朗 577.5点
▽個人
北嶋 亮太 597.6点
波多 秀馬 590.3点
田曽 雅也 587.2点
尾花 駿輔 577.6点
眞城 永稔 575.1点
加藤 一 574.2点
【女子50m伏射60発部門】
▽個人
千葉 朔海 613.8点 P6=102.3(1位)
中里 志穏 613.8点 P6=102.0(2位)
田中 美沙 595.8点
【女子50m三姿勢60発部門】
▽団体 1660点(4位)
中里 志穏 564点(6位)
千葉 朔海 560点
田中 美沙 536点
▽個人
末本 佳那 533点
佐藤 史江 527点
【女子10m立射40発部門】
▽団体 1221.4点(4位)
千葉 朔海 413.3点 ※ファイナル249.5点 1位
田中 美沙 407.1点
末本 佳那 401.0点
▽個人
中里 志穏 399.3点
佐藤 史江 397.4点
◆総合団体順位
男子総合団体 6795.8点(7位)
女子総合団体 2881.4点(4位)
コメント
千葉朔海(スポ3=埼玉・栄北)
――調子は良かったですよね
いや、すごい不安だったんですよ。直近の大会が国体だったんですが、国体のファイナルがうまくいかなくて。不安でしたが、なんとか勝てて良かったです。
――撃っていて感覚は良かったですか
何も考えてなくて。とりあえず撃っていたという感じでした。
――大会全体を振り返っていかがですか
4年生が(大きな大会は)最後なので、なんとか団体で勝てるようにとやってきたんですけど、個人でも優勝できて良かったです。