伝統の一戦、僅差で敗れる

射撃

 昨年敗れたことで通算対戦成績をタイに戻された早慶定期戦。ワセダは好敵手相手に今季の集大成を見せるべく最終戦に臨んだ。試合は今季の女子部好調の起爆剤となった長島遥(スポ1=埼玉・栄北)、安達瑛香(文3=徳島・城南)両選手の活躍により2部門で慶大を制する。しかし伏射60発部門で開いた差を埋めるには至らず、接戦で惜しくも敗れ、通算成績も負け越しとなった。

エアーライフル60発部門で優勝した長島

 男女混合で団体を組む早慶定期戦。初の一騎打ちの試合に「レギュラーとしてのプレッシャーはすごくあった」と語った長島だったが、結果はエアーライフル60発部門で579点を叩き出し総合1位を獲得。長島らの活躍でこの部門では慶大を上回るが、木村介度(人4=東京・早実)ら男子部3名が出場した団体伏射60発部門で19点差を付けられてしまう。伝統の一戦の勝敗の行方は女子部3名が組んだ3P部門の結果に託された。

 宮本駿(スポ4=茨城・竜ヶ崎一)ら4年生を含め全員が「勝ちたい」という想いで団結して戦った。残る3P部門では、今季絶好調だった安達が550点を撃ち3位入賞を果たす。また塚田恵美(スポ2=埼玉・栄北)、蛯原綾乃(スポ3=茨城・竜ケ崎)も及第点を残し、女子部の層の厚さを証明した。この部門でも慶大に勝る成績を残すも、合計点では追い付くことが出来ず。昨年に続き敗れ、4年生の引退に花を添えることは果たせなかった。

男子部を牽引した宮本

 1年間チームを率いた嶋田太郎主将(政経4=長野・松本深志)は最後に「詰めが甘かった」という言葉を残した。これから部を受け継ぐ後輩へ向けたメッセージだった。今月初めの東京六大学定期戦では総合優勝を飾ったが、最後の早慶定期戦では黒星。更なる飛躍の為には現状維持では物足りない。しかし敗れはしたが、今大会では収穫もあった。エアーライフル60発部門で優勝の長島に次いで、同部門に個人で出場した前田祟宏(政経2=神奈川・横浜緑ヶ丘)が571点で3位入賞を果たした。今季好調の女子部に影を潜めた男子部には朗報だった。男女が一体となり、若い力が導くワセダの未来。その行く先から目が離せない。

(記事、写真 山辺剛士)

結果

【団体伏射60発部門】600点満点 2位

眞部優人(社3=東京・早大学院)563点

木村 561点

嶋田 559点

【団体3P部門】600点満点 1位

安達 550点 3位入賞

塚田 548点

蛯原 545点

【団体エアーライフル60発部門】600点満点 1位

長島 579点 1位入賞

宮本 568点

梶山友則(社4=東京・開成)563点

【個人伏射60発部門】600点満点

山本浩史(法3=東京・早大学院)563点

庄司圭織(政経4=東京・晃華学園)559点

吉原真人(教4=東京・青山)558点

【個人3P部門】600点満点

中村若菜(人3=東京・国学院久我山)538点

広川圭汰(法3=新潟・柏崎翔洋中教校)534点

山村英介(基理3=静岡聖光学院)504点

【個人エアーライフル60発部門】600点満点

前田 571点 3位入賞

米田哲(社3=千葉・東邦大東邦)559点

揚原由統(創理3=東京・攻玉社)556点

辛島喬任(法2=東京・青山学院)549点

戸井田勇介(スポ1=東京・国学院)548点

松井信衞(基理1=東京・桐朋)548点

井上美穂(基理2=兵庫・須磨学園)547点

小宮隆弘(法4=神奈川・厚木)544点

熊田隆信(基理2=宮城・尚絅学院)542点

皆川芳(法2=神奈川大付)539点

小川智裕(スポ2=東京・東学大付)537点

久保田優衣(先理2=東京・共立女)537点

福島悠太(教4=東京・頴明館)531点

黒原将(国教1=オランダ・The International School of Amsterdam)504点

牧野泰尚(法1=東京・早稲田)491点

◆ 団体総合順位

2位 早大 5036点

コメント

嶋田太郎主将(政経4=長野・松本深志)

——今シーズンを振り返って

シーズンが始まった頃は、このチーム大丈夫かなと少し思ったんですけど、シーズンを通して、試合を通してやっていくうちに、個人個人の能力がついてきて。東京六大学定期戦で優勝した辺りはすごく良いなと思ったんですけど、最後の一踏ん張りが足りずに早慶戦で負けてしまったというのは、自分もそうなんですけど詰めが甘かったかなと思っています。

——どんな主将を目標にしていましたか

自分は過去の主将と比べて腕が良いといった訳ではなかったのでいかに部員達に気持ちよく射撃をさせるかというマネージメントの面で周りをまとめていける主将になろうと思っていました。

——ご自身の大学での射撃生活を振り返って

やっぱり射撃というのが生活の中で大きな部分を占めていたと思うんですけど、その中でもっと練習が出来たかなというのが結構あるので、そういうところが、こうやって四年生になって出るのかなと思って悔しい思いでいっぱいですね。

——後輩に向けて一言お願いします

下級生で力がある選手が結構いるのでそういう選手達に全国大会もそうなんですけど早慶戦まで含めて入賞であるとか全国制覇を目指して頑張って欲しいなと思います。

木村介度(人4=東京・早実)

——きょうの射撃を振り返って

途中良い点が取れてきたところで舞い上がって大きなミスをしてしまいました。

——ご自身最後の早慶戦ということでしたが、どういった意気込みで臨みましたか

レギュラーということもあって、四年間の射撃人生の最後を締めくくる良い射撃をしようと思ったんですけど、試合の勝敗に関わるようなミスをしてしまったので、残念な気持ちです。

——今シーズンはレギュラーで撃たれました

良い緊張感の中で、仲間たちと一緒に楽しく切磋琢磨できたと思います。

——チーム内の雰囲気は

冗談を言い合ったりしていますが、なんだかんだ良い感じになっていると思います。

——後輩に向けて一言お願いします

基本が大事なので、どんなに上達しても基本を忘れずに頑張って欲しいと思います。

宮本駿(スポ4=茨城・竜ヶ崎一)

——きょうの射撃を振り返って

きょうの射撃は微妙な感じでした。当たるときは当たってるんだけど外すときに連続で外してしまったり。あとは緊張している訳ではないんだけど体がビクッとしてしまったり。それがちょっと痛かったですね。

——それはきょうの寒さも影響しましたか

そうですね。それもありますし、早慶戦が大事な局面だったので体がこわばってしまったというのもありました。

——今シーズンを振り返って

昨シーズンの調子が良過ぎて、それに比べると数字が伸びなかったなと思います。

——男子部の主力として牽引されていました

自分としてはそんなに引っ張っているというイメージはなくて、あんまり点数を落とさないように頑張ろうと。どちらかと言うと足を引っ張らないようにという感じでした。そんなに足を引っ張る事はなかったので良かったかなと思います。

——大学での射撃生活を振り返って

練習不足だったかなと思いますね。高校からやっていて、高校のときの方が圧倒的に練習量が多かったので。大学ではいろいろと環境が変わって、意識も変わってしまって。もうちょっと練習すれば良かったかなと思います。

——ご自身最後の早慶戦でしたが、どのような想いで臨みましたか

やっぱり勝ちたいというのがあって。あんまり点数を落とさないように頑張りました。

——今シーズンのチームの雰囲気は

今早慶戦の勝敗が揃っていて、みんな勝ちたいというのがあって。練習とかもみんなで協力して行ったりしてましたが、苦戦してますね。

長島遥(スポ1=埼玉・栄北)

——きょうの射撃を振り返って

1シリーズ目と2シリーズ目が思ったよりも点数が出なかったかなというのと、ここは決めようと思ったところで決められたのはすごく良かったと思います。

——今シーズンを振り返って

高校とはまったく環境が違うので最初の方はいろんなプレッシャーとか緊張とかがあったんですけど、徐々に自分なりに堂々とやろうというのが出てきて。最後まとめの試合でも、満足とまでは行かないですけど、納得できる射撃で終わることができたので振り返ってみると良かったかなと思います。

——早慶戦という試合について

初めてこういう一対一の対決だったので、レギュラーとしてのプレッシャーはすごくあったんですけどうまくいって良かったかなと思います。