敢闘するも力の差を痛感

射撃

 ことしも全日本学生選手権大会(全日本)の季節がやってきた。第60回という節目の今大会は大阪は能勢の地で行われた。女子部は長島遥(スポ1=埼玉・栄北)が3P部門でファイナル出場を遂げると、先の関東学生選手権秋季大会で2部門での入賞を果たした安達瑛香(文3=徳島・城南)もファイナル目前の好成績を収めた。しかし上位校との差は大きく、総合では6校中5位に終わった。団体で3Pとエアーライフル60発の2部門に出場した男子部も、2部門とも下位に沈み、全国の壁の厚さを見せつけられる結果となった。

3P部門ファイナルで射撃にのぞむ長島

 3P部門を5月から撃ち始めた長島は、いきなりの大舞台で結果を残す。個人で出場のこの部門で560点をたたき出しファイナルに進出。357点で8位入賞を果たした。長島と同じ560点を獲得するもセンター数でファイナルを逃した塚田恵美(スポ2=埼玉・栄北)らの活躍で、ワセダはこの部門強豪校に次いで5位に食い込む。「自分の感覚的にも良かった」と振り返る安達は、個人エアーライフル40発部門で400点満点中390点という高得点をマーク。ファイナル進出とはならなかったが、堅実な射撃を見せた。

 男子部では、要の宮本駿(スポ4=茨城・竜ヶ崎一)が体調不良により成績を大きく落としブレーキに。団体3P部門では9校中最下位、団体エアーライフル60発部門では22校中18位と不本意な成績に終わった。個人では梶山友則(社4=東京・開成)、前田祟宏(政経2=神奈川・横浜緑ヶ丘)らが敢闘するも、上位の背中を見るには至らなかった。

立射の姿勢で的を狙う松井

 主力を欠いた男子部はもちろん、好調かに思えた女子部でさえ、全国の強者には敵わなかった。長島もファイナルに進みはしたが、得意の伏射以外では歯が立たず、上位と大差で8位に終わった。全国の壁の厚みを感じた瞬間であった。しかし全日本といっても、総合優勝の日本大学をはじめ、同じ関東で戦う大学が上位を占めている。強豪のプレーを間近で感じ、1年生ながら堂々の射撃を見せた長島のみならず全ての選手がエンジの誇りを背負って練習に精進する。それこそがいまのワセダに必要な姿である。まずは11月に控えた関東学生AR・SBR大会に照準を合わせ、最終戦となる早慶戦を迎える準備を整える。

(記事 山辺剛士、写真 森健悟)

全日程を戦い抜いた早大射撃部

結果

【男子団体伏射60発部門】600点満点
出場なし

【男子団体3P部門】1200点満点 9位
木村介度(人4=東京・早実)1063点
山村英介(基理3=静岡聖光学院)1057点
宮本 1046点

【男子団体エアーライフル60発部門】600点満点 18位
宮本 566点
熊田隆信(基理2=宮城・尚絅学院) 555点
山村 520点

【男子個人伏射60発部門】600点満点
出場なし

【男子個人3P部門】1200点満点
梶山 1072点

【男子個人エアーライフル60発部門】600点満点
前田 571点
梶山 569点
揚原由統(創理3=東京・攻玉社)565点
眞部優人(社3=東京・早大学院)557点
松井信衞(基理1=東京・桐朋)549点
辛島喬任(法2=東京・青山学院) 545点
木村 542点

【女子団体3P部門】600点満点 5位
塚田 560点
安達 556点
蛯原綾乃(スポ3=茨城・竜ケ崎)555点

【女子団体エアーライフル40発部門】400点満点 8位
塚田 383点
長島 381点
蛯原 380点

【女子個人伏射60発部門】600点満点
塚田 570点
安達 566点

【女子個人3P部門】600点満点
長島 560点(X18)
塚田 560点(X16)
中村若菜(人3=東京・国学院久我山)541点

【女子3P部門ファイナル】
長島 357点

【女子個人エアーライフル40発部門】400点満点
安達 390点
庄司圭織(政経4=東京・晃華学園)378点
小川智裕(スポ2=東京・東学大付)376点
中村 371点
井上美穂(基理2=兵庫・須磨学園)358点
久保田優衣(先理2=東京・共立女)356点

◆ 団体総合順位
男子
団体伏射60発部門未出場のため順位なし
女子
5位 早大 (3P部門 5位、エアーライフル40発部門 8位)

◆男女総合順位
10位 早大

◆ 東西六大学定期戦(10月15日 同上)結果

【団体3P部門】600点満点 5位
蛯原 553点
宮本 532点
山村 520点

【団体伏射60発部門】600点満点 6位
塚田 573点
嶋田太郎主将(政経4=長野・松本深志)558点
安達 547点

【団体エアーライフル60発部門】600点満点 4位
長島 588点
梶山 566点
小川 555点

【個人エアーライフル60発部門】600点満点
辛島 549点
松井 548点
熊田 544点

コメント

宮本駿(スポ4=茨城・竜ケ崎一)

――ご自身の調子は

風邪を引いてしまいまして、ふらふらとする状態で一番きつい競技に臨んだので、かなり厳しかったです。

――ご自身の試合全体を振り返って

風邪を引いたおかげで、力が抜けていたり、あとは普段気にしていないようなところも気をつけることができたので、若干発見はありました。

――結果については

結果は全くよくないですね。途中でめまいとかしてきたので。やばかったです。

――要因としては、体調の問題ですか

そうですね。かなり大きいです。

――今大会前日の東西六大学定期戦はいかがでしたか

そこでは普通でした。若干調子悪いかな、といったかんじでした。調子悪いのを今大会でも引きずってしまったかんじですね。

――今季のここまでを振り返って

きょねんのほうが調子よかったというかんじですね。4年生なので、就活などにいっていたらちょっと・・・。

――今季の残された試合に向けて

何にもとらわれないでやりたいですね。もう就活も終わりましたし。あとはもう、やるだけやって終わりにする、といったかんじで。目標は、早慶戦で勝つことですね。

山村英介(基理3=静岡聖光学院)

――きょうは団体エアーライフル60発部門での出場でしたが、振り返ってみていかがですか

一番ひどい撃ち方をしてしまったなと思います。

――具体的にどういった部分が悪かったのですか

頬付けといって照準を覗き込む動作がどうしてもうまくいきませんでした。それをシリーズ中ずっと修正することが出来ずに最後までいってしまいました。

――1日目に出場された団体3P部門はいかがでしたか

全体的に点数が低かったのですがそれなりにまとまってはいたかなという印象です。特に立射はエアーライフルと同じような現象で点をかなり落としてしまったので、やはり練習不足と、あとは場慣れしていないということを感じました。

――次の大会となる関東学生AR・SBR大会へ向けては

そうですね、11月の頭に控えているので、そこまでに修正して早慶戦につないでいけたらなと思います。今回はエアーとSBで銃の重さや反動の大きさが違うということをあまり考慮せずに練習していたので、その差が特にエアーで大きく出たかなと思います。銃が軽いので思ったよりも下に行かず失点が多かったので、その点を意識していきたいと思います。

――今シーズンここまでを振り返って

今シーズンの序盤はSBRを持ってすぐだったということもあってSBRの点数は大して高くなかったですが、エアーライフルは比較的安定して取れていました。今シーズン半ばからはSBRを特に練習するようになって、夏合宿付近で一番点数が高くなりました。しかしそれ以来エアーライフルの方がおろそかになってしまったなと反省しています。

――今シーズン残りの目標を教えてください

エアーライフル・SBRともに自己記録に追いついて追い越すことを絶対に達成したいと思っています。

安達瑛香(文3=徳島・城南)

――きょうの射撃を振り返って

最初は膝射が良かったのですが、次の伏射は初日に伏射60発を撃っていてすごく不安がありましたがなんとか克服して、点数的にも自分の感覚的にも良かったので安心しました。でも最後の立射で練習不足が出てしまったなという感じです。

――個人で出場のエアーライフル40発部門では惜しくもあと一人でファイナルを逃してしまいました

結果だけ見るとセンター数が一つ少なくてファイナルに残れなかったのですが、結果よりも最終弾を外してしまって1点足りなかったことの方が悔しいです。

――本大会を振り返って

秋関(関東学生選手権秋季大会)の時に自分の中で良い射撃ができていて、そこからどうこの大会につながるかというかんじでした。自分の中では完全に満足というわけではないですが掴めたものもあるので、その点では有意義な大会になったと思います。

――全日本の前に行われた東西六大学定期戦はいかがでしたか

東西六大学定期戦でも伏射60発に出場したのですがひどくて、いくら定期戦だからと言ってもありえないような点数を撃ってしまいました。でもその経験は全日本に生かすことができたかなと思います。

――今シーズン残りの目標を教えてください

最終戦の早慶戦に向けて今回見つかった課題を克服しつつ良かった点をさらに伸ばしていけたらいいなと思います。

長島遥(スポ1=埼玉・栄北)

――ファイナルを戦ってみていかがですか

3Pのファイナルは初めてだったんですけど、ことしの5月に初めて3Pの試合をして、4月にSBRを持ったので、5月から始めて、まさかインカレ(全日本学生選手権)の舞台で、ベストを出せるとは思っていなかったので、自分としてはすごくびっくりしています。

――本射では560点を出されました。その点数については

今回は伏射を中心に練習していたので、それが大きな舞台で発揮できたのは自分の中で大きなことでした。次の大会でも活かしたいと思います。

――今大会のご自身の中での位置づけは

初めてのインカレだったので、あまり自分自身に期待をさせないように、プレッシャーを感じすぎないように1年生らしく堂々とやろうと思っていました。エアーはちょっとだめだったんですけど、経験としてはすごくいい経験だったので、来年のインカレにつなげて来年もファイナルに出たいと思います。

――きょうのご自身の競技を振り返って、良かった点、悪かった点は

良かった点は、点数もそうなんですけど、気持ち的にリラックスして最終日だったのでけっこう1週間の疲れが溜まっているんですけど、そのぶんきょう発揮できたと思います。悪い点は、ファイナルが初めてというのもあるんですけど、ちょっと引きが悪かったかな、と。

――疲労が溜まっている、ということですが、調子自体は

実は、インカレ前ってそんなに調子よくはなかったんですけど、自分の中で、ここまでくれば上がってくるだろうと思い込んでここまできたので、最後ここまでつながってよかったと思います。

――今大会前日の東西六大学定期戦ではエアーライフル60発部門で2位でした

六大学も、自分にそこまで期待をしていなかったので、気持ち的に楽に撃てました。60発だったんですけど、けっこうリズムというか引きもかなりよくなっていたので、このままいこうというかんじで。60発撃ち終わって、あまり得点を気にしていなかったので、得点が出たときにびっくりしたんですけど、結果的によかったかな、と思います。

――今後の目標は

あとインカレが3年間残っているので、その舞台で活躍できるようにしたいです。今大会感動したので、私も他の選手や部員を感動させられるような、すごい射撃ができたらいいなと思います。