琵琶湖の湖上に臙脂色の校旗がたなびき、空には『紺碧の空』が響いた。最終日こそノーレースとなったものの4日間にわたる大会を終え、470級2位、スナイプ級1位を収めた早大。総合では2位の同大(同志社大学)と200ポイント以上の差をつける大勝で日本一に輝いた。今回の優勝で悲願の全日本学生選手権(インカレ)3連覇を達成。特殊な環境と言われる琵琶湖インカレではこれまで地元の大学の優勝しか見られなかったため、関東勢では初の快挙ともなった。
470級は初日から日大を追いかける展開となる。日大に57ポイントをつけられるも、総合では慶大と並び首位に。「点差を気にするのではなく、自分たちができることをやるだけだった」(倉橋直暉、スポ4=福岡・中村学園三陽)と迎えた2日目、470級で慶大を突き放し、単独首位に座する。3日目も勢いそのままにレースを展開し、2日目終了時点で63ポイントあった差は3日目の2レースでわずか3ポイントへと縮まった。逆転、そして完全優勝を目指して最終日に進むも、残念ながら風は吹かず。完全優勝は後輩へと託された。この1年間、470リーダーを務めた倉橋は「来年の全日本インカレは圧倒的な競技力を持って日本一を獲得できる」と後輩たちへ言葉を残した。
ハーバーに着き、4年生の胴上げが行われた
スナイプ級では初日こそ慶大に後れを取るものの、「自分たちのレースの仕方をするだけで1位を取れる」(大久保優輝、創理4=東京・早実)という自信の下、着実に練習通りの走りを見せる。2日目には関口功志監督(平18人卒=愛知・半田)が「最後に乗り越えるべき壁」と称する同大に逆転を許すも、最終日の2レースで圧巻の再逆転。鶴岡由梨奈主将(社4=東京・立教女学院)は、この4日間について、「チームとしても最後まで妥協せずに、もっと良くなる、もっと強くなる方法を模索できた」と振り返った。
校旗の下で、互いの健闘を讃え合った
今年度のヨット部は、昨年度のレギュラーの多くを欠き、不安とともに始動したチームだった。加えて、3連覇という重圧がかかるインカレの舞台は琵琶湖。苦しい展開が予想されたが、それをも打ち破り、見事3連覇を成し遂げた早大。そしてその裏には、出場していたセーラーだけでなく、多くのメンバーや関係者の支えが存在していた。実際、レース後のインタビューでは次々に後輩やサポートメンバーへの感謝の気持ちが紡がれた。今大会を終えて、主務である松尾華(スポ4=広島修道大鈴峯女)は「胸を張って日本一のサポートができたなと思う」と語る。1年間を通して目標に掲げ続けてきたインカレ優勝。今回を含めて、これまで早大は3度の3連覇を飾ってきた。しかし、次なる4連覇目に届いたことは未だかつてない。早大史上初の4連覇へ。「最高の仲間で日本一の頂へ!」(鶴岡)
(記事 宮島真白、写真 足立優大、栗田優大、宮島真白)
結果
▽470級
2位
▽スナイプ級
1位
▽総合
1位
コメント
関口功志監督(平18人卒=愛知・半田)
――今の率直な気持ちは
琵琶湖で勝てたということでとにかくうれしく思っています。15年前、10年前と、僕がコーチだった時代に琵琶湖でインカレをやって、本当に力のあるチームで臨んだのですが、勝てなかったという歴史もありました。悔し涙をのんできた先輩たちの悔しさをここで晴らせたということで、早稲田ヨット部としてもすごく歴史的な勝利になったかなと思っています。
――ここまでどのような練習に取り組んできましたか
1年を通してでいうと基本的な練習から始まってレースの中身を詰めていったりボートスピードを高めていったりするような基本的なメニューを積み上げてきました。琵琶湖の対策ということでいうと、この2カ月くらいの間は(琵琶湖は)すごくコンディションが変わりやすく予想が難しいので、不確実な状況に対応するための考え方や判断の仕方をチームで共有してきました。それをみんなで実践できたということで、早稲田だけが大きなスコアを取らずに・・・すごく良いレースは少なかったですけど、ぼちぼち良いレースを積み上げたことでどんどん点差が離れて、2位との差でいうと過去にないくらい大きい差をつけて優勝できました。口で言うのは簡単ですけど、それをみんなが実践してくれたことを誇りに思っています。
――実際には大勝利となりましたが、事前にはどのような展開を予想していましたか
もっと苦しい展開が続くかなと思っていました。(琵琶湖は)風も変わりやすくて予想がつかないということで、そういう状況を想定していました。第1レースもリーダー艇が後ろから10番くらいで回るという苦しいところから始まったのですが、うまくレースの中で修正してくれたかなと思います。
――事前に意識していたチームや選手はいますか
1番は同志社ですね。圧倒的に同志社で、この環境でやることに慣れていることは圧倒的に強みなので。今の競技体系になってからは過去、地元の大学しか優勝できていない場所なので、そういう意味でもジンクスを打ち破って勝つためには最後に乗り越えるべき壁は同志社かなと思っていました。
――これで4年生は引退となりますが、今年のチームはどのようなチームでしたか
相変わらず個性豊かなメンバーが多いんですけど・・・変わり者も含めてですね(笑)。それを鶴岡(由梨奈主将、社4=東京・立教女学院)が強い気持ちをもってまとめてくれました。女子で、癖の強い男子たちをまとめるのはなかなか苦労が多かったとは思うんですけど、鶴岡中心にすごくいいチームになったと思いますし、そこで鶴岡がブレずにチームにとって必要なことを重ねて言い続けてくれて、ブレずに軸を通してくれたということがすごく大きいです。そのことがそれこそ「全員で喜びを分かち合う」というチームビジョンを体現しようということで、最終的には一致団結していいチームになったと思います。
――4年生へメッセージをお願いします
メッセージ・・・そうだなあ(笑)。彼らは1年生の時に悔しい負けをチームで経験して、そこから勝つ喜びをどんどん味わって努力を重ねるという尊さを学んでくれた4年間だったと思っています。それを最後は自分たちがリードしながらチームで勝利するということで、この経験自体がこれから社会に出る上で役立つと思いますし、最初は同期の間でもバラバラだったところがこの1年間だけでもかなり結束感が高くなって、お互いの信頼関係が強くなって、いいチームを4年生みんなでつくってくれたということに感謝する気持ちが大きいです。
――これからプレッシャーも大きくなってくるとは思いますが、どのようなチームづくりをしていきますか
そうですね・・・まだあんまり何にも考えてないんですけど(笑)。基本的にはやるべきことは変わらず、でも0からではないにしても1からリセットになって、チームをつくっていくという過程になるので、新しい最上級生で、新しいそれぞれの色を出してチームづくりをしていかないといけないです。それは早速、来週の土日で新4年生とはじっくりミーティングをすることになっているので、そこでチームの雰囲気をつかんで・・・いずれにしてもどんな環境でインカレをやっても、10回インカレがあって10回勝てるチームをつくろうというのはずっと早稲田のスローガンにしています。(ヨットは)環境の影響が大きいスポーツなので、その環境変化に打ち勝てるような、何が起こっても勝ち切れるようなチームをみんなでつくっていきたいなと思います。
スナイプ級クルー 鶴岡由梨奈主将(社4=東京・立教女学院)
――今の率直な気持ちは
まずホッとしています。4日間結構神経張り詰めて戦っていたので、このチームでチームビジョンに沿うように全員で喜びを分かち合えて本当に良かったなと思っています。
――事前に想定していたことや話していたことは
展開というのは琵琶湖は未知だったので・・・その中でも常にチームで2つこれを貫こうと言っていました。一つは全員で戦おうということです。琵琶湖は風が不安定で苦しい局面も多くなると想定されていたのですが、そういう時こそ選手だけではなくサポート含めて全員で戦い抜こうというのは言っていました。2つ目は最後の最後まで誠実で押し続けようということです。今年の部訓で「進取」という、自ら進んでつかみ取りに行くというのがあります。挑戦者としての気概を忘れずに、フィニッシュする最終日の最後の最後まで、競技力だけでなくチームとしての総合力で成長していきましょうと言っていました。
――3連覇がかかっているということでプレッシャーもあったと思いますが、どのような気持ちでしたか
正直なこと言うならめちゃくちゃプレッシャーは感じていて。でもその一方で、自分には頼もしい同期や後輩がいるので、このチームのメンバーならという信頼を置いていました。自分にプレッシャーがかかっている反面、後輩たちを信じていました。実際に大会でも後輩たちが鼓舞してくれたのでそこは本当に助かっていました。
――主将としてチームを見てきて、どのような一年でしたか
この一年は、昨年度レギュラーを張っていたスキッパーがほとんど抜けるということでまず競技力が大きく低下するというのが昨年から言われていました。琵琶湖というところもそうなのですが、とりもなおさず競技力を上げるということが最優先事項だったので、チーム全員で日々学び合うというところを意識していました。
――それがチームスローガンの「相互研鑽(けんさん)」にもつながったと思います
そうですね。この4日間を通じてもそうなんですけど、1レース1レース全員がより良いレースをという意識がすごくありました。実際に得点の推移にしてもレースを追うごとにどんどん点数を縮められて、チームとしても最後まで妥協せずに、もっと良くなる、もっと強くなる方法を模索できたので、そこは結果についてきたところだと思います。
――今年はどのようなチームだったでしょうか
例年に比べて、下級生がチームに対して発言やポジティブな刺激をくれています。例年だと4年生がアドバイスをしてというかたちになるのですが、むしろ自分も下級生の視点をすごく大事にしていました。下級生たちがのびのびやりやすい環境づくりというのは意識していました。
――初めての女子主将ということで、チームに何か残せたものはありますか
自分がそんな大それたことは言えないのですが・・・(笑)。今年のレギュラーも含めて、下級生を多く起用して、下級生のみんなも必死にくらいついてチーム全員でレベルアップをできたと思うので、来年の早稲田史上初の4連覇に向けてバトンを託せたのかなと思います。</p >
――自身として成長できたことは
個人成長から団体、チームでの成長というところです。正直、入部してから3年間は未経験だったというのもあって、いかに食らいつくか、いかに自分が競技力を向上することでチームに貢献するかということが焦点になっていました。今年は周囲を巻き込んで、チームとしてレベルアップしていくことがすごく求められたので、どうやったらチーム全員で強くなれるかを考え抜いたのが自分としても成長できたポイントかなと思います。
――それがチームの成長にもつながったのですね
実際に、今年は退部者というのもすごく少なくて。例年、1年生が退部しちゃうことが多いのですが、(今年の)1年生のみんなもチーム意識というかチームのためにチーム最優先で動いてくれて、それは自分が何か残せたというと過言ですけど・・・みんなで戦い抜いた結果残せたことかなと思います。
――同期の4年生へメッセージを!
照れ臭くて今まで面と向かって一人一人に感謝の気持ちは伝えられていないのですが、同期のみんなには本当に感謝しています。まず未経験で女子という中でも自分を立ててくれて主将に選んでくれたことや、2年とか3年とかでしんどいときも常に仲間の同期の存在があったからこそ自分はここまでやってこれたので、感謝してますし、最後表彰式でみんなでいい写真を撮って、この代をいいかたちで終えたいと思います。そして次にバトンをつないでいきたいと思っています。
――後輩へのメッセージを!
本当に後輩は頼もしい限りです。他大学の人がプレッシャーをかけてくることもあったんですけど、自分が折れても後輩たちがいるからというのを明言できるというか、自信をもって「いや、自分たちの後輩は強いから」と言える存在です。来年絶対に小戸(来年度のインカレ会場)で4連覇してくれると思うので、ずっと応援し続けたいと思います。
――鶴岡主将にとって「早大ヨット部」とは
そうですね・・・いざ一言というと(笑)。頂の景色を見させてもらった場だと思っています。1年は総合3位という結果で終わって、勝つことの難しさというのを感じました。2年からレギュラーで出させていただいて、2年ではそれこそ虎太郎さん(松尾虎太郎、令3スポ卒=山口・光)と一緒に乗らせていただいて完全優勝という、日本一ってこんなにすごいものなんだ、みんなで戦うってこんなにすごいものなんだというのを見させていただきました。3年の健伸さん(新井健伸、令4商卒=東京・筑波大付)の代でも、みんなで戦う喜びを教えていただきました。そして4年になった時は、自分たちの代、自分たちでつくるチームで日本一になる、後輩たちも含めて全員で日本一になることがこんなに素晴らしいものなんだというのを教えていただいた場なので、頂の景色を見させてもらった場だと思います。
スナイプ級スキッパー 大久保優輝(創理4=東京・早実)
――今の率直な気持ちを聞かせてください
総合優勝を4年間ずっと目標に掲げてきて、自分の代で優勝できたことをすごくうれしく思います。
――プレッシャーや勝つ自信はどのくらいありましたか
大会前にBBマリンカップという、インカレ前の練習レースみたいなものがあって、そこで全艇いい成績を収められていたのでそこまで不安はなく自信をもって挑めたのではないかと思います。
――この4日間のレース展開はどのように予想していましたか
琵琶湖ということもあって大きく順位を崩す艇が出てきてしまうと予想していたので、そういった艇にうまくサポートできるような4日間を過ごしたいと思っていました。また、リスクが伴うレースだったので、リスクをどの大学よりも抑えてコースを引こうという話は4日間ずっとミーティングで重ねていました。
――実際にやってみてそれはいかがでしたか
今年はずっと琵琶湖で(インカレが)行われるということもあって、監督から常に不確実性の低いレースをするべきと言われていて、着実に全員リスクのないコースができていました。他大のライバル校は、外に大きく張って風を取りにいくというコースプランを選択していたのですが、早稲田は先に大外に出るのではなくブローに入ったらリフトにしがみつき、良い見え方のときに内側に寄せるということを続けていて、リスクマネジメントがどこの大学よりも効いたレース展開ができたと思ってます。
――スナイプ級だけの結果を見ると、初日の2位から慶大相手に逆転をしました。その結果についてはいかがですか
最初総合2位でしたがターゲットスコアは全然良いスコアを出していました。大きく風を当てた大学が1位に出ていただけであって、そこに関しては冷静だったなと思っています。自分たちは自分たちのレースの仕方をするだけで1位を取れるとみんな自信を持っていたので、そこに大きな心配はなく、自分たちのレースをして1位になることができました。
――1年間スナイプリーダーを務めてきましたが、チームとしての変化があれば教えてください
下級生の頃は自分の実力の成長に頭がいっぱいで、他の部員のことを見ることはあまりできませんでした。レーザーという種目があるのですが、今のスナイプスキッパーはレーザー種目を高校の時に一緒にやっていて(大学に)あがってきたこともあって、今年はいい意味で上下関係がなくフランクに接することができて、競争関係を保ちながらお互い良い雰囲気で成長できたなと思っています。
――これで引退となりますが、ヨット部へ一言お願いします
今年は本当に楽しくて。特に明るい後輩が多くて、就活とか部活とか建築(学科の勉学)とかいろいろなことに追われましたが、後輩と一緒に部活をすることが楽しくて、それが毎日のモチベーションになっていたこともあって、まずはサポートをしてくれた後輩たちに感謝を伝えたいです。
470級クルー 金子俊輔(商4=埼玉・早大本庄)
――今の率直な気持ちを聞かせてください
うれしいっていう気持ちはありますが、1年間やってきたことが報われてホッとしている気持ちの方が大きいです。
――レース前はプレッシャーなどは感じましたか
プレッシャーは感じていましたが、自分たちはどこの大学よりも練習したという自負があったのでやることをやるだけと思っていました。
――4日間のレース展開はどのように考えていましたか
正直なところ、過去の琵琶湖インカレなどをデータとして見てみると英語を取ってしまうことが多かったので、自分たちも英語を取ってしまうのではないかと思っていました。ですが、大会が始まってそれぞれの艇で風の傾向とかを熟知していて、それが遂行できたということで英語がなかったことが自分の予想と違った点で、めちゃくちゃ良かったです。
――昨日の夜や今朝はチームでどのような話をしていましたか
最終日というところで点差もありましたが、結局やることは初日と変わらないよねという話をしていました。初日と変わらないというところは英語を取らないことと、フレッシュな風で走ることの2点ですかね。そういう話をしていました。
――これで部を引退となりますが、1年を振り返ってチームでも個人でも変わったと思うところはありますか
難しいですね(笑)。僕はもともと努力することが苦手なタイプだったので、1年間では分からないですが4年間を通して、チームのため自分のためというところで努力を自分でできたとは言えないですが、振り返ってみると高校生の時よりかはチームのために行動することができるようになったと思います。
――飯田澪選手(スポ2=山口・光)と乗ることが多かったと思いますが、何かメッセージはありますか
乗ってくれてありがとうということは伝えたいなと思っていて。最初の頃はなかなかいい成績を残せませんでしたが、乗っていく中で段々とコミュニケーションやコンビネーションが良くなっていきました。個人戦でもそこそこの成績を残せたということで、自分がとてもいい思いをさせてもらったのでほんとうにありがとうと伝えたいですが、この1年、澪としては飛躍できた年になったと思うので470チームを引っ張っていく存在になってほしいなと思います。
――最後に来年度以降のヨット部へ一言お願いします
今年の一年と来年の一年はまた違う一年になると思うので、自分たちのカラーというのを出していって最後の小戸インカレで総合優勝を勝ち取ってほしいなと思います。
470級スキッパー 倉橋直暉(スポ4=福岡・中村学園三陽)
――優勝おめでとうございます。今の率直な思いを教えてください
非常にうれしく、すごく達成感を持っています。
――この1年間は470チームを引っ張る立場となりましたが、振り返っていかがですか
去年の(全日本)インカレからレギュラーがごっそり抜けたので、(後輩たちの)心配をしてましたし、逆に(周囲からも)心配されていたと思うのですが、冬の練習で集中して練習してくれたことですごくみんなが成長してくれました。実際に春インカレ(関東学生ヨット春季選手権大会)を迎えた際には、他校に対しても十分に張り合える成績を残していて、その時は成長が実感できて嬉しかったです。特に僕は何もしていなくて、後輩が勝手に伸びてくれたという印象ですね(笑)。来年以降も競技力を伸ばしてくれると確信しています。
――初日は慶大と同点のまま、2日目を迎えました。その前後で心境の変化などはありましたか
(変化は)全くなくて、自信にあふれていました。点差を気にするのではなく、自分たちができることをやるだけだったので、あまり他校は気にしていませんでした。
――今後は石川選手(和歩、スポ3=香川・高松商)や飯田選手が470チームを引っ張っていくと思いますが、何かメッセージはありますか
みんな元気なので、その活発さを忘れないようにしてほしいですね。特に1年生は実力が拮抗しているので、まずは1年生同士で争ってレギュラー争いを。また、それに負けないように石川と飯田もより集中力を高めて全員で競い合ってもらいたいです。クルーも上手な子ばかりで初心者から始めた子でもすごく(実力が)伸びているので、恐らく来年の全日本インカレは圧倒的な競技力を持って日本一を獲得できると思っています。
――来年の470チームのリーダーとして期待がかかる石川選手へのメッセージはありますか
あまりツンツンせずに後輩のことを引っ張りながら、笑顔を絶やさずに行動してほしいですね(笑)。
――今後はヨットとどう関わっていこうと考えていますか
趣味でやりたいなと考えています。国体などには出たりはしたいのですが、基本的にはリラックスする目的として取り組みたいと思っていて、色々なヨットに乗りたいと考えています。
――どんな艇でしょうか
クルーザーや一人乗りのスピードが出る艇に休日、乗りたいです。
スナイプ級スキッパー 鈴木義弘(スポ4=山口・光)
――今の率直な思いをお聞かせください
素直にホッとしました。それが一番ですね。
――ホッとしたということでしたが、やはり重圧を感じていたのでしょうか
僕が重圧を感じるというよりは主将(鶴岡由梨奈主将、社4=東京・立教女学院)を乗せていたので、主将を乗せてる以上、絶対にトラブルやケースを起こしたくないという思いがありました。これは主将が口うるさくトラブルやケースは防ごうという話をしているにもかかわらず、前哨戦のBBマリンカップで色々なトラブルを起こしてしまったことで申し訳なさを感じていて。今回はそういったミスがなく、少し安心しました。
――トラブルやケースを防げたというところでは、今大会の出来にはいい印象を持っていますか
そうですね、それは評価できるところだと思います。両チームでポジティブなケースはあったのですが、ネガティブなケースやトラブルがなかったので、チームとしてそれを防げたことはよかったと感じています。
――今年の夏からチームに加入し、4年生にして初めてのインカレ日本一となりました。チームでの勝利は個人戦とはまた違った喜びがありましたか
先ほど胴上げをさせていただいたのですが、初めて見る景色でしたし、初めての感覚でした。4年間頑張ってきた同級生たちと一緒にレースを行い、抱き合った時には自然と涙が出てきましたね。個人としては「勝利至上主義」という信念を持ってレースをしているのですが、チームではいかに信頼し合って戦い抜けるかが重要だったので、それを達成できたのはいい経験だったなと思います。
――短い期間ではあったと思うのですが、自分自身がチームにもたらすことができたものとして何があると感じていますか
自分のおかげかは分からないのですが、みんなが言うにはスナイプチームを含めてチームの雰囲気が明るくなったと口をそろえて言っていて。それはプラスにチームを動かすことができたのかなと思います。その反面、僕の発言一つで変わることが多くあって、そこは気をつけなければいけないなと反省しています。ただ、結果的には(自身の振る舞いが)いい方向に働いたのかなと感じています。
――今の4年生へのメッセージをお願いします
みんなヨットからは離れると思うのですが、僕はパリオリンピックまで(競技を)やろうと思っているので、みんなの頑張りを期待しつつそれを励みに自分も頑張っていきたいです。
――下級生の方やスナイプチームへのメッセージはありますか
基本的には戦力は変わらないと思っていますし、優秀な後輩たちですので(4連覇も)期待してますね。また、チーム全体としても僕が入ってから見ても成長度がすごいので、その熱量や雰囲気を持ちつつ一歩一歩詰めながら、一年後、福岡の小戸ヨットハーバーで部旗が掲げられるのを見れればいいなと思っています。
スナイプ級クルー 根本優樹(社4=東京・早大学院)
――今の率直な気持ちを教えてください
優勝できて非常にうれしく、ホッとしています。
――この4日間のレースを振り返っていかがですか
初日の1レース目、自分たちのペアが少し崩れてしまったのですが、スナイプチームの他の2艇が前を走ってくれたおかげでチームとしてはいいレースで終えることができました。チームで支え合いながらレースをすることができて、その結果として優勝できたのかなと思います。
――スキッパーの大久保選手とはどういった言葉を交わしていましたか
レース中はお互い思っていることを言い合いながら乗っているのですが、今回は日を追うごとにいい会話というか、コミュニケーションがうまく取れて、それに合わせて結果もついてきたので、レース期間の中でもペアとして成長できたと感じています。
――今大会は点差に余裕がある中で最終日を迎えたと思うのですが、何か自分に言い聞かせていたことはありましたか
風が吹かず、レースが延期されるほど自分たちに有利な状況になっていたので、そこは安心材料となりました。ただ、そういった中だからこそ油断せずに最後まで気を抜かずにやろうということは言い聞かせていました。
――後輩たちへのメッセージなどがあれば教えてください
来年は特に早稲田初の4連覇がかかっていますし、その先にはどの大学も成し遂げていない5連覇もあるので、これからも頑張って勝ち続けてほしいです。
――今後はどうヨットと向き合う予定ですか
まだ何も決めていないのですが、今後も何らかのかたちでヨットに関わっていきたいと考えています。
松尾華主務(スポ4=広島修道大鈴峯女)
――今の率直な気持ちを聞かせてください
うれしいのとやっと終わったという気持ちがありますね(笑)。でも一番は後輩たちも全員頑張ってくれて、ほんとうにありがとうというのと、やっと終わったなーという気持ちです(笑)。
――やはり大変でしたか
大変でしたね。こっち(琵琶湖)に来てからはさらにバタバタして忙しくなったので、「そういえば明日引退だね」って(笑)。カウントダウンは一応していたんですけど。でも本当に4年間楽しかったです。
――大会前はチームでどのような話をしていましたか
自分たちが今までやってきたことをというところで、特に変わったこともせずに目の前の1艇にこだわって抜こうという話はずっとしていたので、ずーっとそれを呪文のように4年生で唱え続けていました。
――今日はノーレースとなりましたが、昨日の夜は今朝はどのような話をしていましたか
何が起こるか分からないので最後まで油断せず、気を抜かずにやろうというのはチームの中でずっと言ってました。
――最後、校旗を上げたときに鶴岡由梨奈主将(社4=東京・立教女学院)と抱き合っていましたが、お互いどのような言葉をかけましたか
お疲れーしか出てこなかったです(笑)。2人であーだこーだ言いながらずっとやってきた中で、ああいう感じでヨットに乗せてもらうことができて良かったなと思います。
――1年間チームを見てきて変わったと思うところや、自分がヨット部に残せたと思うことはありますか
今回は胸を張って日本一のサポートができたなと思うので、そこは後輩たちにもその一部を伝えられたかなと思うし、それを引き続き来年もより良いものにしてほしいなと思います。
――来年度以降の後輩へメッセージをお願いします
4連覇がかかっているということですごく緊張すると思いますし、周りからのプレッシャーも強いと思いますが、今までやってきたことや自分たちがこれからやっていくことを出せば必ず勝てるという環境が早稲田には整っていると思うので、自分たちを信じて頑張ってやっていってほしいなと思います。
――自分へ一言残すならどんな言葉をかけますか
まだ主務の引き継ぎもいろいろあるので完全に引退ではないんですけど、最後自分の学んできたことを後輩たちに伝えて引退したいと思うので、あと少し頑張ろうかなと思います(笑)。