総合3位に終わった全日本学生選手権(全日本インカレ)から2週間。4年生が引退し、新体制になって初めて臨んだのは第48回全日本470級選手権。大会は連日の悪天候に見舞われ、レースの順延や中止が相次いだ。そういった状況の中で早稲田大学所属の田中美紗樹(スポ4=大阪・関大第一)・佐藤拓海(2年=九州大学)組が3位でメダルを勝ち取り、小泉凱皇(スポ2=山口・光)・松本健汰(政経2=東京・早大学院)組は6位入賞を果たした。
大会初日は強風による影響で沈艇が続出。佐香将太(スポ3=岩手・宮古)・上園田明真海(スポ2=大分・別府翔青)組はDNF(※1)となり、苦しい立ち上がりとなった。一方、田中・佐藤組は首位発進で好スタートを決め、小泉・松本組は9位タイ、倉橋直暉(スポ1=福岡・中村学園三陽)・新井健伸(商2=東京・筑波大付)組と蜂須賀晋之介(スポ2=茨城・霞ケ浦)・岩田 慧吾(3年=中央大学)組は15位タイとまずまずの結果を収める。2日目は順延となっていた4レースが行われ、田中・佐藤組が2位と好成績を維持。小泉・松本組と倉橋・新井組はそれぞれ7位、11位と順位を上げ、蜂須賀・岩田組も16位と順位を大きく崩さず、上位の選手が出場できるゴールドフリートに進んだ。
6位に入った小泉・松本組
視界不良で中止となった大会3日目に続き、4日目も強風が吹き荒れる。風雨が若干収まった中で1レースが行われたが、風速30ノットを超える風が襲う厳しい環境でのレースを強いられた。フィニッシュできたのは13艇のみであったが、上位勢は軒並み順位をキープ。勝負は最終日までもつれる結果となった。迎えた最終日。この日はこれまでの悪天候に比べて天気が回復し、フリートレースが2レース実施された。田中・佐藤組は順位を1つ落としながらも、総合3位でメダルを死守。小泉・松本組は6位入賞。倉橋・新井組が8位、蜂須賀・岩田組は13位と好成績を収めた。
表彰を受ける田中・佐藤組
連日の悪天候で沈艇が相次ぐ中、早稲田の選手たちは安定した走りを見せ、上位に名を連ねた。しかし、「(いい)スタートがいつもできていない」(小泉)、「スピードがまだ全然上位の選手に比べて足りていなかった」(倉橋)というように課題は多い。冬の期間で課題を克服し、より安定した走りができるようになれば全日本インカレでの王座奪還が近づいてくる。
(記事 足立優大、写真 町田華子)
※1 DNF:フィニッシュできなかったことを指す。
出場選手で記念撮影
結果
田中・佐藤組 3位
小泉・松本組 6位
倉橋・新井組 8位
蜂須賀・岩田組 13位
佐香・上園田組 34位
コメント
470級スキッパー佐香将太(スポ3=岩手・宮古)
――今大会の位置付けと目標はどういったものでしたか
位置付けとしては全日本インカレが3位で終わり、その大会で470チームが慶応と日大に結構力負けしていて、それを踏まえての今回の大会だったので、どこまで戦えるかというのが今回の課題だったのですが、走ってみると下級生の選手たちがいい走りをしていて、慶応や日大に負けない走りができていたのでよかったと思います。
――自分自身の目標としては、どのようなことを決めていましたか
目標としては、自分も慶応や日大に負けないように頑張りたいと思っていたのですが、成績はそこまで残すことができませんでした。
――今日の出来はいかがでしたか
個人としては0点です。ただ、チームとしては70点、80点つけられるのではないかと思います。
――新体制後の心境の変化はどうでしょうか
自分が4年生になって、自分の技術はもちろんこれから向上されなければいけないのですけど、下級生というかチーム全体のスキルアップをしていかなければいけないと思うようになって、今回(最終日)自分は走れなくて、もちろんそれは悔しいんですけど、それよりも下級生が頑張って走ってくれたということに喜びを感じています。
――これから冬季練習に入ると思うのですが、そこでの課題や取り組みたいことはありますか
レギュラーだった4年生が大勢抜けたので、まずはチーム全体のボトムアップとこれから寒くなり、厳しい環境で練習することになるんですけど、体調管理をしっかりと行いみんなで乗り切れる冬合宿にしていきたいと思います。
470級スキッパー小泉凱皇(スポ2=山口・光)
――今大会の目標は何でしたか
目標とした順位は10番以内で、レースが足りなくてメダルレースはなかったんですけど、メダルレースに出場したいという目標で臨みました。
――今日のレースを振り返っていかがでしたか
まあまあよかったと思います。
――大会全体を振り返って
よかったと思います。
――インカレが終わった後にペアが変更になりましたが、どのように調整しましたか
練習できる日が限られていて、ほとんどの早稲田の選手が大会初日にいきなり海に出るという状況だったのですが、僕と松本(健汰・政経2=東京・早大学院)はその1日前に練習を3時間ほどコーチにみて頂いて、完全ではないですけど、少し調整することができました。
――これから冬季練習に入りますが、それにむけての課題や取り組みたいことはありますか
課題は今回も全日本インカレでもそうだったのですが、(いい)スタートがいつもできていないことです。今大会も3レースしかしっかりスタートすることができなくて、小松コーチにも言われたのですが、スタートでしっかり(前に)出られると、これまでの順位が安定せず、大きく叩いたりしていたことを克服することができて、順位の安定性が出てくると思うので、個人としてはそれをやっていきたいです。また、470チーム全体としてレベルアップしていけるように頑張ります。
470級スキッパー倉橋直暉(スポ1=福岡・中村学園三陽)
――この大会はどういう位置づけでしたか
インカレが終わった後の大事な大会だと僕は思っていて、新体制になってどれくらいの位置にいるのかというのを測るためと、社会人の方やオリンピアンの方も出場されている中で、その方々から学ぶことがあれば学ぼうという気持ちでした。
――具体的な順位の目標は
10番です。
――インカレ後ペアが変わったと思いますが、どう調整してきましたか
練習を全くせずに臨んだので調整も何もできなくて、陸では動画見ながらこういうふうにしていきましょうとか話していたくらいで、海の上ではぶっつけ本番でした。
――4日間のご自身のレースを振り返っていかがですか
コースはいい感じに引けたのですが、スピードがまだ全然上位の選手に比べて足りていなかったです。僕はクローズで上って止めてしまう癖があるのでスピードを感じるということを練習からもっとしていかないとなと思います。
――荒れたコンディションでしたが振り返っていかがですか
楽しかったです。久々の強風だったので最高でした。
――冬季練習で強化していきたい点があれば教えてください
ボートスピードと、マーク回航の動作を確立していければなと思っています。