江ノ島の地でジュニアワールド開催!岡田奎主将は連覇ならず

ヨット

 2020年東京五輪セーリング競技開催地・江ノ島。この地で470級ジュニア世界選手権(470級ジュニアワールド)が開催され、世界トップクラスのジュニアセーラーたちが集結した。世界15カ国から60艇以上がエントリー。早大からは岡田奎樹(スポ4=佐賀・唐津西)、田中美紗樹(スポ2=大阪・関大第一)、松尾虎太郎(スポ1=山口・光)の3名が出場した。途中台風の接近による悪天候もあったが、6日間合計11レースで順位が決定。昨年この大会で日本人初の金メダルを獲得した岡田奎は、松尾をクルーに据えて2連覇を狙ったが、惜しくも及ばず6位。田中は工藤彩乃(日大)とのペアで挑んだが、メダルレースには届かず12位で大会を終えた。

 ゴールデンペアの結成に、日本ヨット界がざわついた。昨年ドイツ・キールで行われた470級ジュニアワールドで日本人初の金メダルを獲得し、ことしは2連覇が期待された岡田奎。その相棒には、早大が誇るスーパールーキー松尾が選ばれた。現在ヨット部ではスナイプ級スキッパー、470級は未経験という松尾の抜てきには、「将来を見据えてという意味合いが強い」(岡田奎)という。全日本学生個人選手権などもありなかなかペアでの練習時間が取れなかった中で迎えた今大会。1レース目こそ14位と出遅れるも、その後は多くのレースを一桁順位でまとめあげ、上位にくらいつく。しかし、強風になった3日目からは松尾の慣れないクルーとしての動作ミスもあり順位を落としてしまう。「自分たちの細かいミスなどで少しずつ順位を落としてしまった」(松尾)と振り返るように、次第に表彰台争いからは脱落してしまった。それでも、6位で迎えたメダルレースでは強風の中安定した走りを見せ、4位でフィニッシュ。松尾は大会を通して成長した姿を見せ、岡田奎も、「素晴らしい出来だった」とほめたたえた。6位という結果に岡田奎は「率直に言うと、悔しい」と口にしたが、「練習をそんなにこなせていなかったので、そういう状況からしてみれば良い成績だったんじゃないか」と前を向く。松尾も、「1レース1レースで自分たちの成長を感じることができて、自分の中では充実した一週間だった」と収穫を得たようだ。日を追うごとに成長していった岡田奎・松尾組。早大が誇るゴールデンペアはここで一旦解散となるが、今後はそれぞれが今大会で得た経験を早大ヨット部に持ち帰り、チームとして全日本学生選手権(全日本インカレ)優勝を目指す。

岡田奎(左)・松尾組は日を追うごとに成長した

 女子レースには田中が工藤とのペアで出場。全日本470級選手権、470級世界選手権と多くの大舞台を経験し、満を持して今大会に臨んだ。しかし、第1レースで21位とつまずくと、その後も10位代を取るレースが続く。「前半の風が弱いうちに積極的に攻めることができなかった」(田中)。強風となった3日目には6-5と挽回するが、前半につけられた点差が響き、10レースを終えて12位。メダルレースに進むことはできなかった。目標としていたメダル獲得を前に惜しくも敗退となった田中・工藤組。「強風の中で出艇してレースができて、結構走れているなと感じることができたのはよかった」(田中)と手応えをつかんだレースもあった一方、「様々な点で海外の選手と比べると全然劣っているということも分かった」(田中)と課題も見つかった大会となった。早大ヨット部では2番艇として主力級の活躍を期待される田中。「クラス優勝できるようなチームになれるように」(田中)。大舞台での悔しさをバネに、この先のシーズンも全力で駆け抜ける。

メダルレース出場を逃した田中(右)・工藤組

 2020年の東京五輪ではレースの中心となってくるであろう世界トップクラスのジュニアセーラーたちが熱いレースを繰り広げた今大会。早大から出場した3人も、世界トップクラスを肌で感じ刺激を受けたに違いない。今後も早大勢の世界の舞台での活躍に期待したい。一週間に渡る戦いを終え、選手たちはみなそれぞれのホームチームへ戻っていく。「全日本インカレ優勝が、一番のターゲット」(岡田奎)。連覇を逃した主将、悔しい結果に終わった2年生、そして大舞台で成長を遂げたるルーキー。それぞれが今大会での経験を生かし、今度はチームに戻って、全日本インカレ連覇へ突き進む。

(記事、写真 松澤勇人)


早大ヨット部から世界へ挑戦した3人

結果

▽男子

岡田奎・松尾組 70点 6位

▽女子

田中・工藤組 110点 12位

コメント

470級スキッパー岡田奎樹主将(スポ4=佐賀・唐津西)

――6位という結果についてはどう感じていますか

率直に言うと、悔しいです。もちろん新しいクルーになって現実的にどうなるかは分からない中でしたが、バタバタしていて練習をそんなにこなせていなかったので、そういう状況からしてみれば良い成績だったんじゃないかと思います。結構前向きに捉えています。

――松尾虎太郎選手とペアを組むことになった経緯を教えてください

将来を考えて、(松尾が)乗っていけるかどうかを試すということですね。他大に対してメッセージを発信するという意味もありました。将来を見据えてという意味合いが強いです。

――大会全体を振り返って

毎日成長していましたし、それぞれ学ぶことが多かった大会でした。

――ターニングポイントとなったレースはありますか

強風になった3日目あたりですかね。強風の中でクルーの動作があまり慣れていなかったり、僕のアップウインドでのスピードがあったりと、うーん・・・という内容でした(笑)。それでもどんどん良くなっていて、きょうも強風だったんですが、全然戦えていてむしろ先行できていたので、非常によかったと思います。

――きょうのメダルレースについてはどう振り返りますか

素晴らしい出来だったと思います。途中ペナルティの一回転があっての4位なので、それがなければ1位もあったかもしれないですね。スタートもすごくよくて、そこのコミュニケーションとコンビネーションは上手くできていたと思います。

――今大会で得た収穫、課題は

収穫は、走らせ方ですね。海外選手との走らせ方の違いを感じましたし、僕自身のハンドリングのテクニックを振り返ることができました。クルーとのコンビネーションも少しずつよくなっていたので、そこも収穫だと思います。今後もこのペアで乗れるかは分からないのでペアとしての課題は難しいのですが、個人の課題としては、強風域でももう少し楽に乗りこなせるようにならないといけないなと思います。

――個人としての今後への目標をお聞かせください

全日本インカレ(全日本学生選手権)で優勝して、その後はオリンピックの舞台で戦いたいと思っています。世界どうこう以前にインカレで勝たないと4年間やってきたことが台無しになるので、そこが一番のターゲットですね。そこをしっかりと目指していきたいと思います。

――この経験を早大ヨット部でどう生かしていきたいですか

技術を得たというのはすごく感じたのですが、それを口で伝えてもなかなか伝わらないことも多くて、しかも技術的に得たことはすぐには言葉にすることは難しいので、そこは上手く表現して見せていくことも大事かなと思います。

470級スキッパー田中美紗樹(スポ2=大阪・関大第一)

――レース全体を振り返って

目標はメダルを取ることで、メダルレースには出れるだろうと思って臨んでいました。強風では海外の選手にスピードや体格差で負けてしまうので、風の弱いうちに点数を稼いでおこうと思っていたのですが、前半の風が弱いうちに積極的に攻めることができなかったですね。

――カギとなったレースがありますか

全体的にスタートがうまく出れなかったのですが、3日目は割と上手くいって5位が取れて、そこから順位を上げていこうと思っていたんですけど・・・。

――クルーの工藤彩乃(日大)選手とのコンビネーションはいかがでしたか

全日本も一緒に出てましたし、たくさん練習してきたので、連携面は問題なかったと思います。

――今大会で得た収穫、課題は

普段はこの強風ではハーバーが船を出させてくれないので練習したことがあまりなくて、強風の中で出艇してレースができて、結構走れているなと感じることができたのはよかったです。実際は様々な点で海外の選手と比べると全然劣っているということも分かったので、今後は強風での練習をしていかないといけないと思いました。その中でも余裕を持ってコースを考えられるようにしていきたいです。

――最後に、今後への意気込みをお願いします

目標は全日本インカレ優勝です。今回メダルを取った日大のペアにも昨年は結構やられていたので、そこをしっかり自分で点数を稼いでカバーできるように、クラス優勝できるようなチームになれるように頑張ります。

スナイプ級スキッパー松尾虎太郎(スポ1=山口・光)※今大会は470級クルーとして出場

――終わってみての率直な感想をお願いします

もっともっと上を目指せたなと思います。自分たちの細かいミスなどで少しずつ順位を落としてしまって、6位という結果になってしまったと思います。

――岡田奎樹主将(スポ4=佐賀・唐津西)のクルーとして出場することになった経緯を教えてください

奎樹さん(岡田主将)がクルーを探していて、僕が高校時代少しクルーをやっていたことがあったので、今回組もうということになりました。

――なかなか練習はできていなかったとのことですが

そうですね。ペアとしての練習はもちろんなんですけど、僕は3年間クルーの練習をしてきていなくて、全日本学生個人選手権もあってスナイプに乗っていたので、そういった意味でなかなか準備ができていなかったレースでした。悔しいですね。

――今大会を全体的に振り返って

ほとんどが強風レースだったんですが、1レース1レースで自分たちの成長を感じることができて、自分の中では充実した一週間でした。

――きょうのメダルレースを振り返って

スタートからいい感じだったんですが、そこから自分たちのミスがあって抜かれて、でもまた抜き返してみたいなレースでした。そこのミスがなければもっと上を目指せたなと思います。

――岡田奎主将と組んでの感想

できなかったことができるようになって、結果は満足してないですが、勉強になった充実した一週間になったと思います。

――今大会で得た収穫、課題はありましたか

ヨットレースとして色々勉強になりましたし、今後世界で戦っていく上ではどんなことをしないといけないかも勉強になりました。世界トップクラスを肌で感じることができて、それを生かしてすぐにでも追いついて追い抜いていけるような練習をしていきたいと思います。

――最後に、今後への意気込みをお願いします

ことしは全日本インカレ優勝のために、ワセダのために、ヨット部の一員として優勝目指して頑張っていきたいと思います。