スナイプ級は3艇が入賞。全国の舞台へ

ヨット

 早大から3艇が関東を突破した関東個人選手権(関東個選)470級レースから1週間後、今週はスナイプ級レースが行われた。上位18艇に全日本学生個人選手権(全日本個選)への出場権が与えられる今大会。早大は470級に続いてスナイプ級でも5艇を送り出した。2日続いて風の安定しないコンディションの中でのレースとなり、結局初日に行われた2レースのみで順位が決定。波乱のレース展開となったが、永松礼(スポ4=大分・別府青山)・川上健太(創理4=東京・早大学院)組、松尾虎太郎(スポ1=山口・光)・坂上宗輝(政経4=東京・早大学院)組、入江裕太(スポ2=神奈川・逗子開成)・三宅功輔(商3=東京・早大学院)組が上位入賞、全日本個選出場を決めた。

 初日は2レースのみ。2日目は1レースも行われず、不完全燃焼に終わった今大会。その中で永松・川上組が意識していたのは、「1つ1つのレースを大事にすること」(川上)だ。普段から小松一慶コーチ(ロンドン五輪470級代表監督)に言われている通り、目の前のレースに集中し、全力で臨む。それを徹底した結果、2位という順位につながったのだろう。「お互いの考えていることは大体分かる」(永松)と結成してから2年目にして成熟を見せている同級生ペア。今季からはスナイプ級エースペアとしてチームを引っ張っている。今大会も首位を走っていた第3レースが成立していれば、優勝だったかもしれない。関東個選で叶わなかった優勝という目標は、全日本個選で果たしてほしい。また、春から好調を維持しているスーパールーキー松尾は、今大会でも抜群の安定感を見せた。2レースどちらもシングル(※1)を獲得し、4位入賞。この結果に坂上も、「自分たちの行きたい道、風をとれた」と手応えを感じた。春先からの好調の要因は、「メリハリが取れていること」だと語った松尾・坂上組。今後も一層連携を深め、全国の舞台での躍動に期待したい。

2位で全日本個選出場を決めた永松(右)・川上組

 春から激しい3番艇争いを繰り広げてきた入江、岩月大空(スポ3=愛知・碧南工)は明暗の分かれる結果となった。入江・三宅組は第1レースで2位と良い滑り出しを見せる。第2レースは、「崩しそうな場面もあった」(三宅)と振り返るように苦しいレースとなるが、「傷を最小限に留めることができた」(三宅)となんとか上位に踏みとどまる。6位入賞で全日本個選出場を決めた。一方の岩月・神宮泰祐(政経3=東京・早大学院)組は風の安定しないコンディションの中で実力を発揮できず、初日を20位で終える。まだ十分全国行きも可能な位置につけていたが、2日目は風がなかなか吹かずまさかのノーレース。全国の舞台へ駒を進めることはできなかった。第3レースでは上位で走っていただけに、中止になったことが悔やまれるが、「ヨットは自然を相手にするスポーツ」(小松コーチ)であることを実感したに違いない。この結果から、3番艇争いは入江が一歩リードする形となったが、永松は、「岩月はもっと成長が必要」と奮起を促した。全日本学生選手権に向けたレギュラー争い活性化のためにも、今後も良い競争関係を続けてほしい。

レギュラー争い活性化のためにも岩月(右)の成長が求められる

 「日本一のスナイプチームになる」。クラスリーダーである永松が今季の初めに掲げた目標だ。3艇が上位入賞を果たし、順当に関東を突破した早大スナイプチーム。それでも、「レギュラーメンバーを争うためにも、みんなで助け合って成長していく必要がある」(永松)とレース終了後も海へ練習に出ていく選手たちの姿が見られた。日々の練習から切磋琢磨(せっさたくま)することが、チーム全体のレベルアップにつながるに違いない。1週間後には早慶定期戦(早慶戦)が控えている。岡田奎樹主将(スポ4=佐賀・唐津西)が、「勝ちたい、ではなく勝たないといけない」と語ったこの試合。全国でもトップを争う慶大との、意地と意地とがぶつかり合う熱戦になるだろう。今大会で思うような結果が出せなかった選手たちは、その悔しさを早慶戦でぶつけてほしい。

(記事 松澤勇人、写真 松澤勇人、滝沢凛)

(※1)10位以内の順位を取ること。

表彰式の様子

結果

永松・川上組 7点 2位
松尾・坂上組 12点 4位
入江・三宅組 17点 6位
岩月・神宮組 39点 20位
鈴木奏太郎(商3=東京・早稲田)・原潤太郎(商2=埼玉・早大本庄)組 149点 77位

コメント

スナイプ級スキッパー永松礼(スポ4=大分・別府青山)・スナイプ級クルー川上健太(創理4=東京・早大学院)

――今大会はどのような目標で臨みましたか

永松 僕らのペアとしては優勝を目標としていました。それでも、この間の別のレースでは大きなチャレンジをし過ぎてリコールをしてしまうことがあったので、思い切ったことをやって上位を狙うというよりは着実にコツコツと安定したレースをして勝とうと思っていました。

川上 全く同じです。目標としては優勝でした。

――スナイプチーム全体の目標は

永松 4艇は絶対関東を通過したいという思いはありました。僕と松尾(虎太郎、スポ1=山口・光)、入江(裕太、スポ2=神奈川・逗子開成)、岩月(大空、スポ3=愛知・碧南工)の4人でいつも練習していてもほとんど差はなく、いつも競って練習していたので、帆走の差はほぼ無いということを考えると、4艇行けるんじゃないかと思っていました。

――結果は3艇が全日本個選へ進みましたが

永松 練習で同じレベルで争えていても本番ではボロが出てしまうというか、そういう部分に気づけたのは良かったです。あとは本人と、本人のコースの考え方などを変えていかないといけないなと思います。チームとしてもいい気づきでしたし、これからも全日本学生選手権に向けて4艇で切磋琢磨(せっさたくま)していきたいです。岩月はもっと成長が必要ですし、レギュラーメンバーを争うためにも、みんなで助け合って成長していく必要があると思います。

――初日の2レースを振り返っていかがですか

川上 初日もきょうのようにコンディションが安定していなかったんですが、僕らはいつも小松さん(一憲コーチ、ロンドン五輪470級代表監督)に、「ヨットは自然を相手にするスポーツだから、もしかしたらそのレガッタで1レースもできないかもしれない、1レースで順位が決まってしまうかもしれないということがあるから、1レース1レースを集中して、大切にしないといけない」と言われていて、1レース1レースを大事にしないといけないと思っていました。だから初日のコンディションで1レースしかできないかもしれないと予想して、大事にレースができたと思います。

――2日目を振り返っていかがですか

川上 1レースやりかけたよね。

永松 3レース目は3分の2くらいで中止になりましたね。

――きょうのように1レースもできない日というのはレース後どのような気持ちになるのでしょうか

永松 やっぱり不完全燃焼ですよね(笑)。

川上 やるせない感じ。

永松 そのときの順位にもよると思うんですけど。きょうは1位で走れてたので、レースが成立してれば優勝だったかなとも思いますし、岩月も全日本個選出場圏内には入れたかなと思います。悔しいというか、もやもやする気持ちはあります。

――ペアで組んで2年目になりますが連携は深まってきているのでしょうか

永松 お互いの考えてることは大体分かるようになったとは思います。何も言わなくてもというわけではないんですけど、なにか僕がやりたいことがあったときは、それに対する反応が速いというか。お互いに察することができていると思います。そこは1年間丸々乗ってるだけあるなと思いますね。

川上 同じくです。

――全日本個選での意気込みをお願いします

川上 昨年は全日本個選への出場権を持っていたものの、チームのことを最優先に考えて、早大ヨット部スナイプチームとしては全日本個選に参加しないということになりました。なので実は自分自身初めての全日本個選になるのですが、昨年行けなかったという悔しさもあるので、ことしは優勝したいと思います。

――最後に、来週に控える早慶定期戦に向けて意気込みをお願いします

永松 もちろん優勝するつもりでぶつかっていきます。今回モヤモヤしたまま終わった岩月の爆発にも期待したいです(笑)。みんなで鼓舞し合って、4艇で戦っていきたいです。絶対勝ちます!

スナイプ級クルー坂上宗輝(政経4=東京・早大学院)

――今回の大会の目標はどこでしたか

(虎太郎と)2人で試合前に話していたのは、入賞できる形で全日本学生個人選手権(全日本個選)行ければいいなということでした。

――初日のレースを振り返ってください

初日はですね、2レースともしっかりスタートが出れたので、すごく大きかったなと思います。先週違う試合があったんですけど、その時はスタートが悪くて、スタートで悪いと苦しい位置で走ってしまう時間が長いので、今回の大会は割と自分たちの行きたい道、風をとれたかなと思います。

――春から好調ですが、要因を教えてください

僕らの船はメリハリが取れていることですかね。走るときは集中して練習や試合に臨んで、リラックスするときはリラックスして。だらけてるわけじゃないんですけど2人で集中の切り替えをして、そこは陸の上でも海の上でも出来てたんで、ほかの船よりは少しメリハリがあるかなと感じていますね。

――一緒に組んでいる1年生の松尾虎太郎(スポ1=山口・光)選手とのコンビはいかがですか

最初の3月の時は高校生で入ってきて、ワセダのヨット部になれるという感じで虎太郎もやってたので、最近は部にも慣れて来たかなと僕から見えますね。1年生は色々仕事とか多いので、その中でレースでも活躍できてるのはすごいなと僕自身は客観的に見て思いますね(笑)。

――最後に、全日本学生個人選手権にむけての意気込みをお願いします

ワセダが3艇出れたので、3艇とも今日のように入賞できればいいかなと僕は思っています。

スナイプ級クルー三宅功輔(商3=東京・早大学院)

――きのうのレースを振り返っていかがでしょうか

崩しそうな場面もあったんですけど、しっかりと自分のポリシーでコースをひいたので傷を最小限に留めることができた、というのが2レース目でありまして。1レース目は調子がよかったんですけど2レース目で崩しそうになってしまい、そのときにポリシーでちゃんと守ってコースをひけたので傷を浅くすることができた。そこでなんとか上位に踏みとどまることができたんじゃないかと思います。

――昨年は優勝を果たしましたが、本大会の目標はどのようなものでしたか

絶対メダルは取りたいなと思っていました。去年は平川竜也前主将(平29スポ卒=神奈川・逗子開成)が非常に実力も実績もある選手だったのですが、ことしは下級生と組むことになって。結構厳しいとは思っていたんですけど、絶対メダルはとろうかなというつもりではいました。

――それでは入江裕太(スポ2=神奈川・逗子開成)選手との連携はどのようなものだったと思いますか

だいたい乗り始めたのが4月の中盤からで、お互い同じ失敗を経験してきて。次は同じ失敗をしないように、ということを2人で話し合いながらやってきて、そういう意味では2人で乗ってきた3カ月は無駄ではなく実になっていたということだと思います。

――最後に夏の全日本学生個人選手権(全日本個選)の目標についてお聞かせください

今回関東学生個人選手権ではメダルを逃してしまったので、全日本個選ではメダルを持ち帰りたいと思います。