全日本学生選手権（全日本インカレ）３連覇、６年前の再来。この大記録をかけて戦うのがことしの早大ヨット部だ。今秋の大会、スナイプ級はベストメンバーの慶大に未勝利も、着実にその実力差を埋めている。主将の平川竜也（スポ４＝神奈川・逗子開成）、副将の服部勇大（基理４＝東京・早実）、そして、現在サポートのリーダーとしてチームをコーチングする清原駿（創理４＝東京・早大学院）の三人は、この現状をどう受け止めているのか。苦楽を共にした４年生同士の対談で、全ての思いを、話してもらった。
※この取材は１０月２２日に行われたものです。
「いよいよだなって感じです」（清原）
清原は病気で離脱後、何度も何度も部活を辞めようと考えたが、今こうしてマネージャーとして部に復帰している
――全日本インカレも近くなってきましたが、今の心境はいかがですか
清原 いよいよだなって感じです。４年間の集大成として勝って終わりたいので。
平川 思っていたよりも緊張していません。実感がないというか、これが最後だという感じがしないですね。
服部 結構楽しみだなという気持ちが大きくて、最近部の雰囲気もインカレムードになっていて調子も上がってきているので、今は前向きにインカレを捉えています。
――そんな最近はどんな練習をしていますか
平川 主に他大学の方とコース練習をしたりだとか、あとは社会人の方と一緒にスピード練習をしたりしています。最近では本番を意識して実戦のレースに近い練習が多くなっています。
清原 サポートも含めて実戦に近いかたちで日頃から動けているので、部全体がインカレに向かって動いているなという実感はありますね。
服部 そうだね。
平川 本番前だしね。
――スナイプ級のライバルはやはり慶大ですか
平川 はい。
清原 間違いないです。
服部 慶大は速いけど、勝てない相手ではない。
清原 そうだね。強いけど、勝てないということもない。
平川 ケイオーは皆４年生で、きょねんからメンバーが変わっていない。いっぱいいろんなレースを経験しているから、たしかに速いと思います。ただ、そのケイオーと一番一緒に練習や試合で競えたのはうちで、だからその実力を一番分かっているのはうちだという自負はあります。手強い相手というのは間違いないです。
――他に意識している大学はありますか
平川 ケイオーです（そのくらい慶大を意識しているという意味で）。
服部 慶大以外は同志社ですね。
平川 同志社は未知ですね。そういう意味では怖いです。
清原 やはりケイオーですね。ケイオーは高校時から数えて７年目（※慶大の付属校である慶応高は全国屈指の実力を持つ）なのですが、高校の頃はボロ負けしていて、やっと大学の最終学年の全日本インカレで戦えるというのは、個人的には感慨深いですね。
――最近の調子を一人ずつお聞かせください。まずは平川さんは
平川 最近は上昇気味です。去年の秋はかなり調子が良くて、そのあとに落ち込んだのですが、四年間ずっと苦手だった北からの微風をことしの夏はずっと練習ができたので、苦手が克服できたように思います。今はどんな風が来ても大丈夫という自信はあります。
――服部さんは
服部 調子は上がってきていると思います。春からずっと岩月（大空、スポ２＝愛知・碧南工）と乗っているのですが、春は全然走れなくて３番艇になれるかも不安でした。夏を過ぎてから平川や礼（永松、スポ３＝大分・別府青山）に勝つこともあったり、あとは社会人とやっても前を走ることもあったりで、それが自信にもつながっています。このままの調子で、本番で僕らのところが走れれば総合優勝も近づいてくると思うので、しっかりと走り切れるようにやっていきたいです。
――清原さんはサポートから見ていていかがですか
清原 個人的なことですが、去年の夏から病気で部活を抜けて、つらいことしかない一年間でした。その中で、去年までは選手だった立場からサポートに回ってみて見えてきたものはたくさんあって、部活というのは裏で支える人の努力もあって成り立っているということを自分がこっちの立場になって初めて分かったので、自分ができることとして自分がやらなきゃいけないなとも思いました。すごくつらいことばかりで嫌だなと思うことも何度もあったのですが、サポートをしていて「ありがとう」と言われることによって、もっと選手のために何ができるのかなという考えにも至って、病気のおかげで人として成長するきっかけにもなりました。
――清原さんはサポートを仕切っていらっしゃいますが、一緒にサポートをされている後輩の印象はいかがですか
清原 ことしの１年生は皆個性的というか、話していておもしろいですね。ちょっといじったりしても返しがおもしろくて、楽しいです。
服部 やっぱり秦（和也、基理１＝東京・早大学院）でしょ。
清原 学院の後輩だし、学院時の主将つながりということもあって、共通点の多い後輩だね。
――秦さんの魅力は
清原 芸もすごくおもしろくて、あとは努力家で裏では人一倍陰で頑張っている姿も見ているので、これからすごく期待しています。
平川 秦はえらいね。
服部 秦に限らず、ことしの１年生は皆めっちゃ頑張ってるよね。
清原 自分はサポートとして１年生と直接関わる機会が多いので頑張っているのが分かるし、でも１年生の中には悩みを抱えている子も多くてそういう話を僕が聞くことも大切だなって思っています。
「（平川は）今はすごく良い主将だと思う」（服部）
趣味がないという服部。引退後のために趣味募集中とのこと
――お互いの印象は
平川 服部は・・・黒いなあ！
一同 （笑）。
清原 平川には１年の時に脅されまくって、僕をこの部活に入れた張本人なので。毎日いたずら電話が来て、新歓期で部活に入ろうか迷っている僕に、「個人情報をバラすぞ！」って言ってきて。
一同 （笑）。
服部 にちゃんに晒すぞ！って。
清原 その言葉に僕がビビって、「わかった、夏まで待ってくれ」と言っていました。その後に入部しました。
――平川さんは中島捷人さん（スポ４＝神奈川・逗子開成）もヨット部に誘われたとのことですが
服部 （平川は）誘い魔！
平川 誘ってばかりで（笑）。
服部 新歓は誘わないといけないもんね～
平川 スポ推が（例年と違い）１人だったからね。
※早大ヨット部では、スポーツ推薦制度で入学した部員は１年時より『新歓に誘う側』となります
平川 何の話だっけ？ああ、印象か。服部は・・・去年ずっとペアで乗っていて、一緒にい過ぎて言動も似てきました。笑いに対するリアクションだとかそのあたりまで似てきてしまったので、なんだろう・・・やりづらいです（笑）。
一同 （笑）。
服部 そうですね。まず海上で８～９時間は一緒にいて、寝ている間もずっと足が当たっていて、飯の時も隣に来るし、なんかコンビニも一緒に行くし。
清原 （平川さんを指し）こいつは誰の近くにでも行きますね。僕も１年の時に押し入れの１畳しかないスペースで寝ていたらいきなり入ってきて。誰のプライベートスペースにも入ってくる。。。モラルがないですね。
平川 俺の印象、「モラルがない」なの？（笑）。
一同 （笑）。
清原 ほんとモラルがない。
平川 清原は・・・まあ無理やりのような感じで入部させたこともあって、うーん・・・。やはり去年の東日本スナイプでの事故が、今でも記憶に残っています。あれは本当にびっくりしました。
清原 一番ビビったのは俺だけどな。
平川 今までエースクルーとして活躍していた清原が、病院で横になって弱っていて・・・。そこから今こうやって帰ってきてくれてよかったなって思いますね。
清原 何回も辞めようとは思ってんだけどね。何回も辞めようと思っていたけど、皆が止めてくれたから、残ってるってのはあるよな。
服部 めっちゃお前ラインしてきたもんなあ。
清原 本当に辞めようと思うって皆には言ってて、メンタルがボロボロの中で戻ってきたら急に４年生になってたから、その中で何をすればいいのかも分からないし、むちゃくちゃつらかったけど、「やっぱりこの代で勝ちたい」って服部にも言われて、じゃ自分も何かできることがあるかなって思って今ここにいるという感じです。
服部 僕らは同期が少なくて、そんな中で清原が抜けてたら・・・。無理でしょ。
平川 無理だったね。
清原 去年と同様にマネージャーがいるってのは大きいと思いますね。このマネージャーというポジションになって思いました。
平川 清原が本当は選手としてもう一度乗りたい、のに乗れないという中でマネージャーとして頑張っている姿を見ると、負けちゃいけないなと思いますね。
清原 正直、ヨットに乗れなくなって、毎日家で泣いてた。乗りたくて仕方なくて。
平川 あれだけ乗りたくないって言ってたのに？（笑）。
服部 言ってたなあ、たしかに（笑）。
清原 まあまあまあ、失って気づくものもあるから（笑）。本当につらくて、大会も寝ている間に終わっていて、自分は何をしているんだろうって、毎日病室でも泣いてたし、島本さん（拓哉、平２８スポ卒＝千葉・磯辺、清原が病気になるまでペアを組んでいた）にも申し訳なかったし。でも、戻ってきたときに喜んでくれる同期や後輩もいて、幸せだなと思いました。
――あらためて皆さんの印象は
清原 平川は４年になってから変わったと思う。
服部 平川は下級生のときに、ほんとに
清原 ゴミだった。
服部 ほんとにゴミだった。
清原 有害ゴミだった。
服部 だらしない部分もあったけど、この夏で主将としてチームのために変わったところは大きくて、発言とか態度とか考え方もチームにとってプラスになるようになってきて、チームが良い雰囲気になってきているのも平川が変わったからというのが大きいと思います。今はすごく良い主将だと思います。
平川 そもそも僕は３年までは、個人が走らないとどうしようもないなと思っていました。個人で結果を出すことに執着があったというか。それがチームで勝つことよりも優先していて、例えば島本さんに勝ちたい、礼に勝ちたい、ケイオーの誰々に勝ちたいという思いが強くて、自分のことしか考えていない３年間を送っていて。別に結果出せばいいんだろうと思っていましたが、やはり主将になった際に変わりましたね。正直、主将はガラじゃなくて。僕は周りを見てどうこうするタイプではなくて、でもいざ主将をやっていくとなった中で、いろんなことに気づけて、それで今の僕があるのかなと思います。
清原 大人になったね。ほんと大人になったなあ。成長したな。
平川 よかったねえ～。
一同 （笑）。
――服部さんの印象は他にありますか
平川 黒い！
清原 真面目だよね。真島なのに変なところで真面目じゃなくて。
平川 真面目なのか真面目じゃないのかが分からないってのはありますね。
清原 一言で表すとそれだよね。
平川 ていうか、あれですね。普通の人がいない。
清原 いや、俺。
平川 いやお前普通じゃないよ。
服部 いや俺普通じゃん。今までの人生で完全に置きにいったコースで来てるでしょ？
平川 置いてねえよ。
平川 ほんと個性豊か。
清原 ヨット部ってどこの大学も個性豊か。
平川 なんなんだろうね、なんでなんだろう。
清原 それ卒論のテーマにしたいんだけど。
服部 高校の部活だとさ、ずっと同じスポーツやってる奴が集まってくるじゃん？ヨットだと初心者から始める人も多いから、サッカーやってた人もいるし、野球とかバスケとか、もっと言えば運動してなかった人もいるから。だから個性もいろいろになるのかなって思うよね。
平川 あ、服部はダサい！
一同 （笑）。
服部 話戻るの？（笑）。
平川 私服がクソダサい。あのダサい奴誰だろうなって近づくと服部だった！
清原 キャンパスでやたら黒くでダサい奴がいたら服部だもんね。
平川 ダサい短パンの。
清原 そう、年中短パンで。寒くても。
平川 ダサいから嫌われない。服部はダサいから敵を作らないのかな。
清原 愛嬌があるよね。
服部 かわいい？かわいい？
清原 かわいいと思うよ。ちょっとかわいい。
平川 おいおい頭おかしいのか？（笑）
清原 俺はかわいいと思うよ。
平川 服部は清潔感がない。
清原 清潔感はない。
平川 ダサくて清潔感がない。
服部 同期の中で一番清潔感があるよ！。
平川 いや、明らかに俺だろ！
清原 いや俺だよ！
平川 清潔感は俺だよ！
清原 俺でしょ！
平川 俺だよ！
服部 いや俺でしょ！
平川、清原 いやお前はないよ！
――服部さんの印象で良いところは他にないですか
清原 まあ、早実のサッカー部出身だから、部活に対する思いはしっかりしてるよね。
平川 良いヤツですよね。まあ僕らの代は嫌いな同期はいないんですけど。
清原 まあ、一時期お前のこと嫌いだったけど。
中島 俺も一時期お前のこと嫌いだった。
平川 まあまあまあまあまあまあ。
――４年生の学年のカラーはいかがですか
清原 少ないですけど個性が強いと思います。
――３年生のほうが個性が強いと前回の対談では言われていましたが
平川 いや、あいつらは自分たちがおかしいということに気づいていない。
一同 （大爆笑）。
清原 俺たちは自覚してるから。
平川 自覚してないほどタチが悪いことはない。
――４年生は自覚されている
平川 そうですね、まあ。俺と捷人は逗子開成だから、そこがダメなんだと思う。
服部 ていうか男子校が多い。男子は俺以外男子校だから。
清原 なになに、そうやって自分だけ。
平川 お前も個性強いよ。
――３年生の中でも特に個性が強いのは
清原 岡田奎樹（スポ３＝佐賀・唐津西）！！！
平川 奎樹、礼、川上（健太、創理３＝東京・早大学院）・・・、いやもう全員だね。
服部 頭おかしい。
清原 自分の考えを強く主張する子が多いよね。
服部 それはある。俺らは平和だけど、３年はガンガン。
――１年生や２年生はいかがですか
清原 １年生は元気だね。２年生はおとなし・・・
平川 くねえよ！
清原 なんだろう、２年生は不思議だな。独自のオーラを持っていて。
服部 不思議ちゃんが多い・・・。男子校多いからな！
平川 やっぱりね、逗子開成が各代にいるのがね。
清原 学院も多いよ。
平川 学院と逗子開成がダメ。
清原 混ぜちゃダメ！化学反応が起きちゃうから。
一同 （笑）。
服部 早実・・・
清原 やっぱり同族でつるみたくなるよね、男子校だと。
平川 どうしても話が合っちゃうから。
服部 早実・・・
――学業については
平川何も話すことないですよ（笑）。
清原 資格の勉強をしてます。あとは理工なんで日々の勉強も。
服部 ４年なんで授業で学校に行くというよりも部活の主務の仕事で行くことのほうが多い気がしますね。インカレ前なので忙しくなってはいます。
――趣味は
平川 サーフィン！あとは、犬との散歩ですね。あと映画を観ます。
清原 ネットの動画を漁る。あとはギターを弾いたり・・・
平川、服部 マジッ！？
――ギターが弾ける
清原 はい、弾けますね。
平川 趣味で「ギター」って言う奴、だいたい嫌いなんだけど。
一同 （笑）。
清原 いや、別にいいよ（笑）。
――服部さんは
服部 趣味がね、ないんだよ。
清原 お前ないよな。
平川 ほんとダサいんだよ。
――それは
服部 基本的に、物に興味がない。
――服部さんは趣味なしということでしょうか
服部 趣味がないんだよね、趣味探し中！
一同 （大爆笑）。
――今は忙しくてあまり自由な時間もないということでしょうか
服部 そうですね。でも引退したら趣味を見つけるから、ちょっと、手伝って。
一同 （笑）。
平川 カメラやったら？岩井（俊樹、創理３＝東京・早大学院）みたいに？
服部 ちょ、じゃ（早スポで）募集中ってことにしといて！
――清原さんはギター以外には
清原 結構多趣味だからね。馬を見るのも好きだし。
服部 馬好きな奴ってどういうこと？よくわからん。
清原 名前に馬が入ってるから。競馬とかではなくて普通に馬を見るのが好きですね。
服部 （清原は）ほんとにアニヲタ！
平川 キモい！
服部 よくアニソンを歌っていて。皆がいるところでも。
平川 あと私服がダサい！
服部 ダサい！私服ダサい選挙やろう！はい、指差して。
平川 ダサいのは、１清原、２捷人・・・
平川、服部 ３服部、４平川・・・。
清原 いや服部でしょ！
服部 いや、とりあえず捷人には勝ってる！
清原 絶対俺じゃない。
服部 だってお前、大学に寝巻きで来たからね。
一同 （笑）。
服部 美紗樹（田中、スポ１＝大阪・関大第一）、清原の印象は？
偶然そばにいた田中 えええ（笑）。
「３連覇はしたいし、しないといけない」（平川）
主将になったことで自分本位ではなくチームのために行動するようになった平川。気持ちの面でも３連覇へ挑むチームの大黒柱となった
――インカレへの思いは
服部 勝つ。
清原 勝ちたい。胴上げされたい。
平川 蒲郡で３連覇に挑戦できるってあれだけ言っておいて、本当に挑戦できるのはすごい。夢のようです。
清原 蒲郡は聖地だからね。勝って気持ち良く終わりたいっていうのが率直な思いですね。
平川 主将になって、チーム全体のことが自分のことと同じになった。チームの勝利が自分の勝利と同じ意味になって。だからこそ皆にもそう思ってほしいし、少なくとも僕らはそういうふうにインカレの勝利を捉えています。
――服部さんは岩月選手とのペアですが、今季を振り返ってみて、ここまでいかがですか
服部 社会人とのレースでも上位に食い込めるほどの実力があるので、あとはもう本人も言っているように気持ちですね。メンタルが良い状態でインカレに臨めるかが重要で、調子の良し悪しに関わらず波の少ないレースができるように、僕は岩月のクルーとしてできることをしていくだけです。
――平川さんは三宅選手と組まれています。三宅選手がここ１カ月くらいでペアとしての成長を実感しているそうですが、いかがでしょう
平川 僕はことし初めて下級生と乗ることになって、正直４年生としてのプレッシャーもあって、走らないといけない、勝たないといけないという思いが先に行っていました。焦りはなかったのですが、三宅に対してはかなりの負荷をここまでかけてしまったのですが、それでもあいつは一つ一つを乗り越えてついてきてくれました。今は三宅じゃないとダメだと思えるようなところまで来ているので、三宅のためにも走らないといけないという思いが強くあります。
――清原さんはサポートから見ていて、このインカレに向けての何か実感することはありますか
清原 春先はまだまだだなと思っていた後輩も、ここ最近は実力が出せれば全然問題はないなと安心して見られるようになりましたし、インカレでも何事もなくいつも通りのことをすれば走れると思っています。信じています。
――平川さんと服部さんは去年はペアでことしは別の選手と組まれています。離れてからお互いに感じたことはありますか
服部 こいつ（平川選手は）、やっぱりマジ上手いなとあらためて気づくことができました。最近気づいたんだけど・・・（笑）。一緒に組んでたときは近過ぎてあまりそう思うことはなかったのですが、きょうも平川の走りを練習の時に見ていて、小さな声で「ウマッ！」と言ってしまいましたし、やっぱりこいつすげえんだなと気づきました。
平川 練習中にポッとたまに入れ替わって服部と乗ることもあるんですけど、そこで違和感なく乗れる。そしていまはそれが岩月とできているなと感じています。服部は３番艇のクルーということで、正直一番キツい立場にあると思うんですよ。で、そこで艇を走らせるということはものすごく難しいことで誰にでもできるようなことではないと思います。岩月とのペアでここまで戦えるようになったのは服部の技術であり人間性のおかげだと思っていますし、結果が出せてるなあと今は遠くから感じています。
――下の代に思うことはありますか
清原 ４連覇！
平川 自分たちの４連覇のためにことしを通過点にしてほしいです。自分たちが後輩に残せるものは４連覇への挑戦をさせてあげることだと思うので。まだことしはありますけど、来年以降に期待しています。
服部 競技面はあまり心配はしていません。ことしもレギュラーで主力の岡田や礼が引っ張っていくと思いますし、皆上手いので。競技の面で下の代が負ける未来は正直見えないですし、そこはちゃんとやれば勝てると思います。今も３年生に支えられてチームが成り立っていますし、来年も強い、今のチームよりも強くなると思いますが、強さだけではなくチーム全体のこと、チーム全員から応援されるチームにもなってほしいと思います。僕らの代は最初の頃は運営が上手くいかないことが多くて、下級生にも迷惑をかけたことだと思います。それでも部員に対しては、一人一人を大切にするということは同期の間でも話し合っていて、ヨットに向き合えていない部員に対しては真摯（しんし）に話を聞いたりだとか、部員を大切にするということはできたと思っていて、それをしっかりできないとインカレは１年生から４年生までが一緒になって戦うので、そういう全員で戦えるチームにするためにも部員全員を大切にしてほしいです。
清原 服部が言ったように実力の面では心配することはないです。一言言うとしたら、自分たちがやってきたことに誇りと自信を持って、何かカベにぶち当たることがあっても、自分たちがやってきたことを信じて勝つビジョンを持って一年間過ごしてほしいなと思います。
――最後に、全日本インカレの目標と意気込みをお願いします
清原 僕はサポートとして、チームを盛り上げて、裏方でも貢献できることは貢献して、最後３連覇して胴上げしてもらいます。
服部 いつも通りの当たり前のことをやって、そうすることで勝てると思うのでそこを徹底します。あとはレースに出ているのも清原のヨット愛や周りの支えのおかげということを感じているので、やはりそういう人たちに対して納得してもらえる結果を残して、総合優勝したいと思います。
平川 自分たちがインカレの３連覇に挑戦できる環境にあるのは、いろんな人たちの支えがあってのことだと思います。やはり勝ちたいというよりも勝たないといけないという思いのほうが強いですし、だから絶対に勝ちます。３連覇はしたいし、しないといけないと思っています。最後は胴上げされて、名を残して引退したいです。
――ありがとうございました！
（取材・編集 菖蒲貴司）
共に過ごした４年間は濃厚なものである
◆平川竜也（ひらかわ・たつや）（※写真中央）
１９９４年（平６）８月２５日生まれ。身長１７２センチ、体重６６キロ。神奈川・
逗子開成高出身。スポーツ科学部４年。スナイプ級スキッパー。勉強熱心で、キャプテンシー溢れる主将の平川選手。なんと、３年生までは自身も認めるほど自己中心的な選手だった、とのこと。「お前のこと嫌いだった」なんてセリフも浴びせられていました…。色紙には『信』。主将になって得た周りへの『信』、周りからの『信』、全ての『信』のために、全日本インカレ優勝を誓います！
◆服部勇大（はっとり・ゆうだい）（※写真右）
１９９４年（平６）４月８日生まれ。身長１６７センチ、体重６４キロ。東京・早実高出身。基幹理工学部４年。スナイプ級クルー。副将と主務の役目を兼務する多忙の服部選手。しっかり者との評価は揺るぎませんが、「何を考えているか分からない」という声もちらほら。色紙には、『闘志』。最後の舞台、３連覇という大きな目標に向かって闘志を燃やします！
◆清原駿（きよはら・しゅん）（※写真左）
１９９５年（平７）２月２５日生まれ。身長１７２センチ、体重７０キロ。東京・早大学院出身。創造理工学部４年。スナイプ級クルー。昨夏、病気によりチームを離れた清原選手。何度も退部を考えたものの、最終的にサポートリーダーとしてチームを支えています。ちなみにヨット部の前応援担当で、応援部と共に声を張り上げる姿も見られます。色紙には、早大学院時代から７年かけて感じた、『早稲田の誇り』を示してくれました！