勝負の秋へ、葉山の地で夏合宿を張る早大ヨット部。鍛錬を積むさなかに行われた関東学生女子選手権には、４７０級、スナイプ級ともに１艇ずつが送り込まれた。結果は、両クラスとも今大会を通過し、全日本学生女子選手権（全日本女子インカレ）への出場権を獲得。しかし、初日にはチームとしてのミスもありペナルティを受けるなど、決して完璧とは言えない出来の今大会となった。
４７０級からは、久しぶりのペアとなる市川夏未（社４＝埼玉・早大本庄）・永松瀬羅（スポ４＝大分・別府青山）組がエントリー。２レースが行われた初日は絶好調で、第１レースは２位、第２レースではトップフィニッシュを決める。しかし、第１レースの直前、早大のレスキュー艇にミスがあり、３点のペナルティが課された。さらに、第２レースは、レース中に接触した明海大との審問（※１）に敗れ、一気にこのレースの最下位にまで転落。首位で終えたはずの初日で、まさかのつまずきとなった。気持ちを立て直して臨んだ２日目も、全レースをシングル（※２）でまとめるが、前日ほどの走りを見せることはできず。「落ち込んでるとかそういうことは全くなかったんですけども、上手い走りができなかったので、悔いの残る２日目になってしまったなという印象です」（永松瀬）。
調子は決して悪くなかった市川（左）・永松瀬組
スナイプ級からは元津志緒（スポ２＝長崎工）・松岡嶺実（先理２＝東京・国学院久我山）組が出場。早大にはスナイプ級の女子スキッパーがいないため、本来４７０級のスキッパーである元津が出場することとなった。こちらも初日のチームペナルティを受けたこともあり、１１位と目立たない順位で折り返す。しかし２日目、組んでわずかな日にちしか経っていないこのペアが、見事な適応力を見せ、全レースでシングルを獲得。松岡が「同期のペアなので、お互い言いたいことを言って、いろいろ考えながら乗れた」と語ったように、大会中に調子を上げたこの艇も、全日本女子インカレ出場を決めた。
尻上がりに調子を上げた元津（左）・松岡組
２ヶ月間のブレークを経て、秋のシーズンがいよいよ開幕した。早大にとって今大会は、まだまだ力だめしの範囲だろう。ここから続く、全日本学生個人選手権や、早慶定期戦といった重要な大会を超えて、関東学生選手権を迎えるまで、さらなる成長が期待される。勝負のシーズンが、始まった。
（記事、写真 喜田村廉人）
（※１）選手による抗議を受けて、審判団が、レース中に起きた違反について陸に戻ってから判断を下すこと。
（※２）１０位以内の順位を取ること。
結果
▽４７０級
市川夏未（社４＝埼玉・早大本庄）・永松瀬羅（スポ４＝大分・別府青山）組 １０位 ４８点
▽スナイプ級
元津志緒（スポ２＝長崎工）・松岡嶺実（先理２＝東京・国学院久我山）組 ８位 ４２点
▽総合
早大 ５位 ９０点
コメント
４７０級クルー永松瀬羅（スポ４＝大分・別府青山）
――今大会を振り返っていかがですか
今大会はすごく悔いの残る大会となってしまいました。初日にまず英語を２つもたたいてしまって、大きく順位を落としてしまったっていうのが、今回反省すべき点だったと思っています。２日目も、自分達の思ったコースを行けなくて、順位を上げきれずに終わってしまったので、きょうの反省を今後のレースに活かしていけるようにしたいなと思います。
――久しぶりの市川（夏未、社４＝埼玉・早大本庄）選手とのペアとなりましたが
乗っている感じは、きょねん１年間も乗っていたので、違和感とかもそんなになく、すんなり乗れたんですけども、やっぱり、今後の課題だとか、まだまだ自分達が改善すべき点とかが見つかったなと思っています。
――１日目に行われた審問については
１００パーセント負けないとは思っていなかったんですけど、やっぱり自分達の詰めが甘かったっていうのと、審問の方でも少し矛盾のようなものがあって、納得いくような審問にはならなかったんですけども、自分達の詰めが甘かったっていうのが一番ありますね。
――２日目はどのように立て直されましたか
まず、きのうやってしまったことは仕方がないと思っていて、同じ失敗をまず繰り返さないということと、きのうの反省を生かした走りができたらなと思っていたんですけども、なかなか上手くいかずに･･･。気持ち的には落ち込んでるとかそういうことは全くなかったんですけども、上手い走りができなかったので、悔いの残る２日目になってしまったなという印象です。
――夏合宿で集中的に取り組んでいることは
この夏合宿が、一番成長するところで、全日本インカレ（全日本学生選手権）につながる時期でもあるので、この時期に私達の改善点を洗い出す。で、それをひとつひとつ改善していって、全日本インカレのときには、しっかり安定した走りができるように、夏合宿ではしています。
――次戦への意気込みをひとことお願いします
今回は悔しい結果となってしまったんですけど、この反省を活かして、全日本インカレで優勝できるように、あらゆる課題を克服していこうと思っています。
スナイプ級クルー松岡嶺実（先理２＝東京・国学院久我山）
――今大会を振り返っていかがですか
元津が大会前日に初めてスナイプに乗ったので、いろいろ不安はあったんですけど、そこそこ走れたなと。そんなに悪い結果じゃなかったので、良かったなと思います。
――久しぶりの出場となりましたが
やっぱりレース楽しいなって（笑）。毎日の練習が厳しい分、練習の成果が発揮できるのは楽しいと思うし、まだまだだなと思うところもいっぱいあって、いい発見があって、やっぱりレースはいい発見もあって楽しくて、いいと思います。
――元津選手との急造ペアで出場となりましたが
同期のペアなので、お互い言いたいことを言って、いろいろ考えながら乗れたので、いつも乗っている人達とは違った視点からヨットに乗れて良かったです。
――２日目に調子を上げましたが
結構風がなくて、きのうの風がなかったときの経験が活かせたというのと、途中から風が吹いてきて、吹いた方が走るので、良かったですね。
――見つかった課題は
いろいろあるんですけど、やっぱりまだ風のシフトとかを読んで、コース展開をしていくのが苦手かなって感じたのと、ちょいちょい細かいところでのミスが目立ったので、直していければなと思います。
――次戦への意気込みをひとことお願いします
後悔せず、しっかり最後まで走り切れたらなと思います。