読めない天候への対応力が問われるレースとなった。9月に行われる全日本学生個人選手権(全日本個選)への出場権をかけて、関東学生個人選手権が行われた。早大からはスナイプ級の5艇が出場。全81艇のうち、上位14位までに入るのが通過の条件となる。初日のレースが強風により中止となり、試合は2日目に行われた5レースで決着。優勝した平川竜也主将(スポ4=神奈川・逗子開成)・三宅功輔(商2=東京・早大学院)組を含む2艇が全日本個選進出を決め、次のステージへと駒を進めた。
順当に関東を抜けたのは、平川・三宅組と、永松礼(スポ3=大分・別府青山)・川上健太(創理3=東京・早大学院)組だ。春季関東学生選手権では納得のいかない成績に終わった平川・三宅組が、混戦となった今大会を制した。1レース目から「かなりトリッキーなレース」(平川)になったが、綿密な対応を図り続ける。多くの船が失格判定を受ける中で、5レースを通じて安定したレースを展開。見事優勝を果たした。平川は4年連続での全日本個選出場となる。永松礼・川上組は、細かく変わる風と大きくうねる波に苦しみ、20番台をとったレースが2回。やや不本意な結果に終わったものの、永松礼も3年連続で全日本個選進出を決めた。
平川(左)・三宅組が、難しいレースを制した
一方悔しい結果となったのが、岩月大空(スポ2=愛知・碧南工)・服部勇大(基理4=東京・早実)組だ。強風域での走りを得意とするスキッパーの岩月は、風の吹きすさぶ初日にレースを消化したいところだったが、残念ながらレースは行われなかった。それでも2日目には、シングル(※1)には及ばないものの、難しい風に食らいつき、安定した順位でレースをまとめ続ける。変則的な天候に、他校の強豪ペアも苦しめられ、結果の読めなかった今大会。カットレース(※2)と、審問(※3)の結果次第では、全日本個選出場も現実的だったが、結果は無念の17位。「自分が思っていた以上の結果が出なかった」と、岩月は悔しさをにじませた。
全国の舞台へ一歩、及ばなかった岩月(左)・服部組
実力者を揃える2艇が、予想通り関東を通過した一方で、春先から何度も課題に挙げられている3番艇争いについては、明確な答えがまだ出ていない。今回の結果で有力となった岩月・服部艇をはじめ、多くの選手が虎視眈々とその座を狙う。課題が一層明確になった今大会。夏を超えて、レギュラーの座を射止めるのは、果たしてどの選手になるのだろうか。一皮むけた姿を見せるはずの、秋のスナイプチームに期待がかかる。
(記事、写真 喜田村廉人)
(※1)10位以内の順位を取ること。
(※2)大会の規定レース数を消化すると、最も悪いレースの点数を除くことができるというルール。
(※3)選手による抗議を受けて、審判団が、レース中に起きた違反について陸に戻ってから判断を下すこと。
結果
平川竜也主将(スポ4=神奈川・逗子開成)・三宅功輔(商2=東京・早大学院)組 1位20点
永松礼(スポ3=大分・別府青山)・川上健太(創理3=東京・早大学院)組 8位 36点
岩月大空(スポ2=愛知・碧南工)・服部勇大(基理4=東京・早実)組 17位 61点
永島慶也(政経2=神奈川・逗子開成)・坂上宗輝(政経3=東京・早大学院)組 21位 83点
入江裕太(スポ1=神奈川・逗子開成)・堀田芽ノ世(法3=東京・早大学院)組 26位101点
コメント
スナイプ級スキッパー平川竜也主将(スポ4=神奈川・逗子開成)
――今回の試合を振り返っていかがですか
初日がノーレースになり、2日目に不安定なコンディションの中で5レースやるということで、正直かなりトリッキーなレースで、ワセダも他大学も順位をまとめるのが難しいレースでした。
――優勝も狙える暫定順位ですが(インタビューは最終順位決定前)
点数計算もしていなくて、とにかく自分がそのときどきに耐えるというか、順位を気にせずに自分がいいコースをひくかということを気にして、本番というよりは自分のヨットレースをいかにするかということを意識していました。でもやっぱり細かいところでミスがあったりして、そこは詰めていかなきゃいけないんですけど、でもその中である程度まとめることができたので、それについては手応えがありました。
――シングルを取れなかった1レース目と5レース目については
風がめちゃくちゃトリッキーで、1レース目はどうにか傷が浅い方だったんですけど、最終レースは少し選択を間違えてしまって、そこから上がってくるチャンスがあまり無くて、良くない結果になってしまいました。やっぱりそういうところを今後詰めていかないと、もっとレース数も多くなって、インカレ(全日本学生選手権)はカットレースもないので、もっと常にシングルの上位でまとめられる力というのは、どんなトリッキーなコンディションでも必要だなと思いました。
――チームとしての課題だった3番艇については
まだ、全然実力としては足りていません。僕と永松(礼、スポ3=大分・別府青山)がある程度安定している中で、まとめきれない船が多いので、3番艇を狙う選手のレベルアップというのが、ことしの夏のスナイプチームの課題ですね。470も2番艇、3番艇をいかにアップしていくかが課題です。
――全日本個選への意気込みをひとことお願いします。
絶対優勝します!
スナイプ級スキッパー永松礼(スポ3=大分・別府青山)
――きょうのレースを振り返って
きょうは予報より結構風が無くて、きのうが強風でレースできなかったんですけど、そのうねりがかなり残っていて不安定な印象でした。振り返ると順位はいつものように安定していなかったなというのはあって、その原因は4レース目のスタートをうまくできなかったり、風の強弱に対応できなかったりということだと思います。
――ご自身の順位に対して
順位に関して言えば去年より大きく下回っていて、実力を出せていないというか、良い結果とはもちろん思っていないので…。このまま全日本(全日本個選)にいったら8番以内は、関東でとれていないということはとれないと思うので、いまの順位をしっかり受け止めて課題を潰していきたいと思います。
――課題はやはりスタートになりますか
スタートだったり、あとは有利サイドを確実に選ぶっていうことだったりが足りなかったかなと。
――ペアの川上選手とのコンビネーションはいかがですか
動作は結構うねりがあったりしたので難しくてあまり成功してなくて、そういうことをあまり練習に取り入れていなかったんですけど…。インカレが終わってからのちょっとしたオフシーズンとかで動作の練習はしていたのですが、そういうレースが多くなってきたシーズンで動作をおろそかにしてしまっていて、もっと動作の練習も多くしなきゃなと。あんまりコンビネーション的には良くなかったかなと思います。
――最後に、全日本個選への意気込みをお願いします
もちろんきょねんの6位を上回る順位をとるっていうのはあるんですけど、来年僕が最上級生になるっていうことを考えてしっかり優勝を狙っていこうと思ってます。
スナイプ級スキッパー岩月大空(スポ2=愛知・碧南工)
――今回の大会を振り返っていかがですか
初日の強風でレースが出来なかったので、2日目の一発勝負ということで、自分の得意ではない微風で、良くないコンディションだったので、厳しい戦いでしたね。
――今回の走りについての感触は
自分が思っていた以上の結果が出なかったので、悔しいです。
――難しいコンディションでのレースでしたが
ペアと話し合いながらやっていたんですけど、まだ噛み合わずという感じでした。
――具体的には
クルーが「ここで行こう」と言ったときに、自分がまだ迷っていて、その意見にすぐ賛同してしまい、もう少し走っていれば…ということがあって、自分が迷っているときに揺らいでしまったという感じですね
――スナイプ級の3番艇争いについては
いま3艇が均等というか、トントンなので、ここは全日本個選に出ておきたかったなという悔しい思いがあります。
――今後への意気込みをひとことお願いします
3番艇としてチームの足を引っ張らないということよりは、3番艇と言わず2番艇、1番艇に食い込んでいけるような戦いをしていきたいです。3番艇争いだけでごたごたやっているのはもう遅いなとここで感じたので、他大も走ってきている中で、自分がワセダの1番艇、2番艇を争わなければ、全日本インカレ優勝もないなと思いました。