猛追及ばず…伝統戦に惜敗

ヨット

 遠い関西の地でも、早大復調を印象づけることはできなかった。毎年行われる同大との定期戦。ことしは同大のホームである琵琶湖で行われた。各クラス3艇ずつ出艇し、全艇の総合点で勝敗が決まる。試合は2日間にわたって行われ、早大は初日に出遅れた。24点差をつけられスタートした2日目は、1レースごとにじわじわとその差を詰めたが、341-331で敗戦。2日合計で16レースを消化したタフな一戦は、悔しい惜敗に終わった。

 初日から470級は終始同大をリードした。まず新ペアの田中美紗樹(スポ1=大阪・関大第一)・永松瀬羅(スポ4=大分・別府青山)組が、最初のレースから連続でトップフィニッシュを決める。先手を取った470級は、その後もほとんどのレースで同大をわずかに上回り、点差を広げた。最終9レース目で大きく点を叩いてしまったものの、リードしたまま初日を折り返す。一方スナイプ級は、大黒柱の平川竜也主将(スポ4=神奈川・逗子開成)を欠く中、出足で大きくつまずいた。しかし、第4レースからペアを組んだ永島慶也(政経2=神奈川・逗子開成)・坂上宗輝(政経3=東京・早大学院)組が健闘。関口功志監督(平成18人卒=愛知・半田)が「成績の良し悪し以上に内容のあるレースをしてくれました」と述べた2人がチームを引っ張り、逆転の可能性を残して初日を終えた。

奮闘した永島(左)・坂上組

 2日目、470級で輝いたのは、岡田奎樹(スポ3=佐賀・唐津西)・岩井俊樹(基理3=東京・早大学院)組。けがから復帰したエーススキッパーの岡田が、圧倒的な存在感を見せる。4連続でトップフィニッシュを決めるなど、レースを牽引。一気に同大との差を広げた。しかし、スナイプ級は、調子の上向いた永松礼(スポ3=大分・別府青山)・川上健太(創理3=東京・早大学院)組をはじめ、同大に食らいつくものの、その背中は遠かった。最後までその差を縮めることはかなわず、敗戦。総合では前日の差を大きく巻き返したものの、10点差で早大は敗れることとなった。

エース岡田(奥)の活躍が光った

 昨年は勝利し、チームとしての調子を取り戻すきっかけとなった同志社定期戦。ことしは惜しくも敗戦となり、浮上のきっかけはつかめなかったように見える。しかし、平川に代わって主将の役割を務めた服部勇大(基理4=東京・早実)が、「3年生が多く試合に出ていて、下級生が経験を積んだという意味では非常に充実した2日間だった」と語ったように、16ものレースをこなした今大会は、チーム力の底上げにつながるだろう。復調し、最大の目標である、秋の全日本学生選手権で3連覇を果たすための下準備は、着々と進行している。

(記事 喜田村廉人、写真 菖蒲貴司、喜田村廉人)


結果

▽470級

○早大154-182同大

▽スナイプ級

●早大187-149同大

▽総合

●早大341-331同大

コメント

関口功志監督(平18人卒=愛知・半田)

――今回の大会を振り返っていかがですか

まず2日間で16レースできたので、そのことによっていいところももちろんそうですけど、課題がたくさん見つかって、非常に有意義なレースだったと思います。

――今回の大会はどのような位置づけで臨まれましたか

勝つことはもちろんなんですけど、同大はスポーツ推薦の人数が少ない中で勝ち続けているということで、早大と環境が近い大学なんですね。毎年この季節に定期戦をやることで、常勝校と比較して自分達がどういうレベルにあるのかということをベンチマークする非常にいい機会だと思いますし、今回もそれを大きな目的としていました。またそのことで選手同士も友好を深められる機会なので、お互いに似たような環境で頑張っている選手同士、刺激をもらえるいい機会となっていると思います。

――10点差で惜敗した要因は

まずは主将の平川を欠いたというのが一番大きな影響なんですけど、その点を除いて考えると、やはり両クラスの三番艇の力量不足ということが明確になりました。これは11月の全日本学生選手権(全日本インカレ)に向けても、大きなテーマになってくると思うので、今後解決しないといけないですし、今回の敗因としてそこは目をつぶれないところなので、今後もしっかり強化に取り組んでいきたいと思います。

――スキッパー、クルー共に大きく入れ替える場面がありましたが、その中で新たに活躍を見せた選手は

特に光るところを見せてくれたのは、永島と坂上のペアですね。きのうの途中から出たんですけど、成績の良し悪し以上に内容のあるレースをしてくれました。なかなか春の試合に出る機会に恵まれていなかったんですけども、いいところが見られて非常に良かったと思います。

――今後の試合に向けてひとことお願いします

今後は学生だけのレースは少なくて、社会人も交えた数の大きなレースが続くので、今回出てきた課題をしっかり解決するということと、自分達よりもレベルの高い選手からしっかり学びを得て、チームのレベルアップにつなげていきたいと思っています。

スナイプ級クルー服部勇大(基理4=東京・早実)

――同志社定期戦を終えましたが

正直なところ悔しさでいっぱいです。点数以上に力の差をはっきりと感じ、まだまだだなと思い知らされました。

――具体的には

大きな部分ではわかりませんが、艇と艇の戦いであったり細かい部分では負けていると思いました。

――きょねんはホームで勝てた試合でしたが、ことしはそこから落ちてしまったという感覚はありましたか

きょねんのエース2人(小泉颯作、平28スポ卒=山口・光、島本拓哉、平28スポ卒=千葉・磯辺)が抜けてしまって、すごく力が落ちてしまっている部分は否めないです。この夏、全員でレベルアップして先輩たちがいた頃のように最終的には全日本インカレを制するくらいのチームになりたいです。

――主将の平川竜也選手(スポ4=神奈川・逗子開成)を欠く中でのレースでしたが

改めて平川の大事さを感じました。主将として、それと同時にスナイプリーダーとしていつも引っ張っているので、チームとしてもなかなか良い結果が出せませんでした。しかし逆に、今回は3年生が多く試合に出ていて下級生が経験を積んだという意味では非常に充実した2日間だったと思います。平川が帰ってきたときに期待できるメンバーになっていればいいなと思います。

――選手の入れ替わりが激しかったのは、実力が拮抗しているからですか

良いことでもあり悪いことでもあると思うのですが、特にスナイプ級の3番手艇が決まっていなくて、全日本インカレに向けて3番手艇が前を走れないとチームとしては勝てないので、今後はチーム全体として3番手艇の育成に努めたいと思っています。

――2日間で16レースと、かなりのレース数をこなしたと思いますが

こんなにレースをしたのはぼくも初めてだったのですが、すごく勉強になることも多かったですし、レースをこなしていくことでチームレースの勝ち方を少しずつ覚えていっているのかなと感じました。

――次は関東個人選手権です。意気込みをお願いします

スナイプ艇の5艇が関東を通過できるように、これからも個々人で頑張っていこうと思います。ひいてはチームの力となり最後の団体戦である全日本インカレに向けても自信になるような結果を出したいです。

470級スキッパー岡田奎樹〈スポ3=佐賀・唐津西〉

――今回の試合を振り返っていかがですか

全体的に470はそこそこ走って、スナイプはスピード差に負けて、戦術以前の負けで点差がどんどん離れていってしまうっていうのが精神的な部分にありました。それが自分のレースに関係あったかわからないですけど、点差を稼がないとという思いが自分の中にあって、無茶をしてしまい逆に負けてしまうということがあって、そこで冷静に得点をキープできていれば、10点よりも少ない点差、あるいは勝てていたのかなと思います。これは個人的な話で、全体としては、判断ミスと、どういう風に今後やっていこうっていう考えがないということが、多く見られたので、そこの改善が必要だなって思える大会でした。

――岡田さん自身の調子は

僕自身はそんなに悪くなくて、チームレースで、成績がいいからチームに貢献したわけというわけではないので、僕の成績は悪いかもしれないんですけど、良く戦えたんじゃないかなと思います。ただどうしても精神的に、もっと点差を稼がないという焦りが、あまりいい結果を生まなかったなというのはあります。

――2日目に巻き返した要因は

1日目は僕の気持ちにもみんなの気持ちにも焦りがあったんですけど、2日目は負けているところからスタートで、追いつくためにはこつこつと稼ぐしかないよねという話がミーティングであったので、実際にきょうそれをレースで実行できたのではないかなと感じています。そのポイントが一番大きかった要因だと思います。

――ジュニア世界選手権〈ジュニアワールド〉の合宿で得たものは

たくさん学んだんですけど、技術的なこととか、ルールの勉強も、しっかりできたかなと思います。それが直接今回に生かせたかというと、やっぱりクルーが変わってしまって、やっぱりクルーにはそういう知識はないので、自分が動きたいと思うこととクルーが動きたいと思うことで温度差があって、合宿明けからいきなり乗って実践するというのはちょっと難しいところがあります。なので今後の課題を見つけられたという合宿でしたね。急に伸びたというわけではないです。

――ジュニアワールドへの意気込みをひとことお願いします

優勝できる可能性は全然あるので、まあできるようにしたいというのと、最低でも入賞(6位以内)には入らないと行く意味がないと思います。1位から3位の間に入れれば、まあ良く頑張んじゃないかなという感じですね。加えて、成績が大事なんじゃなくて、トップ集団とレースをすることで何かを学ぶことが大切なので、成績がそんなに良くなくても、例えば英語が伝わらなくて失格になっちゃったとしても、トップ集団でずっと勝負が出来ていればいいんじゃないかなと思います。意気込みという観点で言うと難しいんですけど、そういうことを目標に頑張ろうと思っています。