祝!日本一 全員の手で全日本2連覇

ヨット

 大雨に打たれながらも、第7レースを終えたセーラーたちは、とびっきりの笑顔に晴れていた。『王者ワセダ』、再び――。ヨット部が、ことしも全国の頂点に立った。初日から全艇でカバーし合いながら、レースの度に2位以下を大きく引き離す。4日間で、一度も首位を明け渡すことはなかった。昨年度の完全制覇から一転、春季は勝てずに苦しんだ早大だが、夏の終わり頃から徐々に調子を上げ、秋季関東学生選手権(春季関東インカレ)では圧巻の完全優勝。その勢いのままに全日本も取り、2年連続での日本一となった。

 470級はわずかに届かず2位となった。初日、小泉颯作主将(スポ4=山口・光)・原海志(創理4=東京・早実)組がトップフィニッシュを飾るなど、第1レースを12点でまとめる上々のスタートを切る。今季不調だった小泉・原組は、これが5月の関東学生春季選手権以来のトップフィニッシュとなり、チームに良い流れをもたらした。その後のレースでも3艇で好スコアを取り続け、西の強豪・関西学院大とし烈な首位争いを繰り広げる。大会前、多くの4年生からキーパーソンとして挙げられた市川夏未(社3=埼玉・早大本庄)がスキッパーを務める市川・永松瀬羅(スポ3=大分・別府青山)組も第6レースまで大きく順位を落とすことなく、最終レースを迎えた。2年連続のクラス優勝へ向け、舵を切った470級。善戦するも、好調・関西学院大の前に2点ほど届かず、クラス優勝は逃してしまった。「自分のミスでクラス優勝を逃した」と市川は反省していたが、総合優勝を達成できたのは470級の躍進なしにはあり得なかっただろう。

5月以来のトップフィニッシュを決めた小泉主将

 スナイプ級は粘りのレースが続いた。470級とは違い、初日から首位には立てない。序盤は永松礼(スポ2=大分・別府青山)・花岡航副将(創理4=京都・洛北)が苦しんだ。特に第3レースでは65位と、本来の実力とはかけ離れた順位を取ってしまう。それでも早大は全員でカバーし合うことができる。大会の前半は平川竜也(スポ3=神奈川・逗子開成)・服部勇大(基理3=東京・早実)組が引っ張り上位を維持すると、最終日、平川・服部組の調子が落ち始めると、今度は永松礼・花岡組が2レース連続で3位となることでチームとして上位をキープした。ノーレースとなった初日を除き、3日間で島本拓哉(スポ4=千葉・磯辺)率いる島本・堀田芽ノ世(法2=東京・早大学院)は安定した順位を取り続けた。島本がスナイプリーダーとして柱となり、後輩の2艇をしっかりとサポートした結果、「納得はできていない」(島本)とは振り返るものの、堂々の2位で大会を終えた。

最終レースを終え、ガッツポーズを見せる選手たち

 早大は秋季関東インカレをぶっち切りで制しただけに、各校からの注目も多く浴び非常にプレッシャーがかかったことだろう。苦しみながらも、最終的にこの結果に持っていけたのは全艇が個としての力を十分に持っており、その力をワセダ伝統の団結力で結集できたからだ。今季最後の団体戦、また部の最大の目標である全日本インカレを最高の形で締めた。「一度、高みを極めてしまうと、そこを目指すのは絵空事ではないんだ」(小松一憲コーチ)と首脳陣からも後押しされているように、来季は平川新主将のもと、平成22年以来の全日本3連覇へ挑む。

(記事 菖蒲貴司、写真 土谷奈々、郡司幸耀、丸山美帆)


集大成を最高のかたちで終えた

結果

▽470級

早大 293点 (2位)



▽スナイプ級

早大 386点 (2位)



▽総合

早大 679点 (優勝)


コメント

関口功志監督(平18人卒=愛知・半田)

――総合優勝おめでとうございます。今のお気持ちをお聞かせください

すごく嬉しいです。難しいコンディションが4日間も続きましたが、我慢して戦い抜いた選手を誇りに思いますし、これまで支えてくださった方々に感謝の気持ちで一杯です。

――全日本インカレはヨット部の1年間の集大成とも言える試合ですが、大会に臨むにあたってどのようなことを選手にお話ししましたか

選手に伝えていたのは、ことし1年の目標にしていた総合優勝を勝ち取ろうという話をしました。ワセダの強みは、両クラス6艇の力が高いレベルでそろって、どんなコンディションでも6艇の合計スコアで他の大学よりも安定したスコアが出せるということです。そこに自信を持って戦おうという話をしました。ことしのキーワードは『自信』といって、『自信』というのは、順位の悪いレースが全日本インカレの舞台では起こりえますが、そのときに焦らず自分の力を信じて少しでも順位を上げることに集中する。結果から考えて、精神的に不安になったり、必要のないことをやって順位を落としたりすることのないようにという話を、この4日間だけでなくずっと前からしていました。

――関口監督の目から見て、選手は『自信』がついてきたのでしょうか

春は勝てなくて慶大に負け続けたこともあり、『自信』を失いかけたこともありましたが、夏の間にしっかり練習に励んで秋に結果が出始め、良いリズムで試合に臨めた。そういう意味では、少しずつ半年かけて『自信』を積むことができたと思います。

――夏から秋にかけてチームの結果が伸びましたが、具体的には夏に何を練習されたのですか

そもそも、春の大会前にあまり練習していなかったんです。毎年、活動資金が足りなくなるので、春は練習時間を削って皆でアルバイトをして、資金に余裕を持たせてから練習をする計画でしたから、例年より春の練習は少なかったです。その分夏が勝負だとは冬の段階から言ってありました。練習内容自体は、オーソドックスなものですが、海に出ている時間の1分1秒を無駄にしない、後は戻ってきてからお互いにお互いから学び合う。ペア同士でも、同じクラスの中でも、470とスナイプの間でも学び合うということです。

――470級、スナイプ級共に2位という結果についてどう思われますか

非常に良い結果だと思います。もちろん個々で見ていくと課題はたくさんありますが、今回は順位を安定させるのが難しいコンディションの中で、両クラスが上位にいるのはワセダだけです。自分たちの強みを生かして、コンディションを我慢して、選手には精神的にストレスがかかりましたが、戦い抜けたという意味では、本当に良い結果だと思います。

――スナイプ級のレースを振り返って

スナイプは、今回のレースは良いところはあまりありませんでした。上位にはいますけれど、彼らが本来持っている力はあまり出せなかった。ただ、それでもこの4日間のような弱い区域というのはワセダがずっと苦手にしていて、その中で上位に踏みとどまれたというのは1年間の成長の証だと思います。ひとりひとりの集中力や精神的な安定。きょねんレースに出ていないメンバーも技術的に成長しましたし、かなり強いチームになったなという感じです。

――来季のチームへ向けての抱負は

小泉(颯作主将、スポ4=山口・光)、島本(拓哉、スポ4=千葉・磯辺)という両クラスのエースが抜けるというのはワセダにとっては大きな穴です。元々、3年前の全日本インカレで8位と惨敗して、そのときの1年生だった小泉と島本を両クラスの中核に育てようということで、3年後のきょうこのときに勝つために、3年計画で2人を海外へ送ったりとか、社会人と競い合う環境を作ったりとか、そういうことは全部きょうこの日のためにやってきたことだったんです。3年計画できょう勝ちたいとやってきたことだったので、まず、それくらい中核になっていた2人が抜けることは大きいです。来年も良い選手が入ってくる予定ですし、何よりもきょねんとことしで総合優勝したため、チームで勝つために何が必要なのか皆が分かっていて、チームがお互いに学びあって自律的に活動していく基盤はしっかりとできているので、全員で協力して、部内でしっかりと競争を作ることでまた総合優勝を狙えるチームを作っていけたらと思います。小泉と島本の穴を埋めるということがどこまでできるかは正直分かりません。それくらい穴は大きいですから。ただ、ことし含めて苦手としている弱点があるのでその部分を強くすること。小泉と島本の代わりの人材がいるわけではありませんが、新たに入ってくる人であったり、サポートの選手が少しでも活躍できる環境を作ることでチームの総合力を底上げすることだったりはできると思います。


小松一憲コーチ(ロンドン五輪470級代表監督)

――いまのお気持ちを聞かせてください

きょねんは完全優勝したこともあり、少し欲張りと言われるかもしれませんが、ことしは総合優勝に加えてどちらかのクラス優勝、あるいは2年連続の完全優勝というものを、実は密かに目標としていました。そういった意味では残念ではありますが、選手のみんなはチームの目標通り、総合優勝を果たしました。それは褒めてあげたいと思います。

――ご自身が長年指導されてきた470級についてはいかがでしたか

スキッパーは小泉(颯作主将、スポ4=山口・光)、岡田(奎樹、スポ2=佐賀・唐津西)と学生を代表するような力を持った選手がいたのですが、一人乗りの艇ではないので、やはりクルーの育成というところに総合優勝ができるかとどうかがかかっていました。普段の練習からクルーの指導を主にしてきて本番を迎えましたが、大会を終えてもう一歩、二歩だなと感じました。

――それは、クラスで優勝ができなかったからでしょうか

そうですね、あと2点でしたので悔しいです。

――470級で優勝を果たした関西学院大にはどのような印象を持たれていますか

関西学院大には、この夏に一緒に合宿をしませんかと依頼がありました。その時点では早大が6対4くらいで勝っていたと感じていましたが、今大会では早大に勝ちました。よく成長したチームだなと思った一方で、この時期の江ノ島のコンディションが早大よりも合っていたのではないかとも思います。

――来季以降の抱負をお願いします

来季も当然、総合優勝という目標はあります。そして来季こそは完全優勝を取れるように、あすからやっていきます。一度、高みを極めてしまうと、そこを目指すのは絵空事ではないんだと、わたしも学生たちもOB・OGたちも現実味を帯びた話なんだと感じていることだと思います。


470級スキッパー小泉颯作主将(スポ4=山口・光)

――いまのお気持ちを聞かせてください

総合優勝できてよかったです。すごく嬉しいです

――改めて大会を振り返ってみていかがですか

チームとしては初日の470級の1レース目から良い入りをしようと皆で言っていて、そしてしっかりと入れたことと、日を重ねていくごとに点差をつけることができたので、すごく良い4日間だったと思います。

――第1レースで久々のトップフィニッシュとなりました

ぼく自身のトップフィニッシュは春以来だと思いますが、個人的な順位よりもチームのスコアを気にしていたので、かなり嬉しかったのですがそれ以上にチームに貢献できてよかったと思いました。江ノ島での練習の時点で奎樹(岡田奎樹、スポ2=佐賀・唐津西)やなっちゃん(市川夏未、社3=埼玉・早大本庄)、あとはスナイプのメンバーともいろいろ話しながら、しっかりとコースの取り方を確認して、その練習でも手応えを感じていたので、入りが上手くいくなとは思っていました。

――キーマンと言われていた市川さんについては

きょねんの山口優さん(平26スポ卒=佐賀・唐津西)の穴を市川が埋めることになって、この1年間、プレッシャーもあったと思ったのですが、クルーである瀬羅(永松瀬羅、スポ3=大分・別府青山)がしっかりリードして2人で1年間頑張ってくれたと思います。「市川が走れば…」みたいなことをよく言われてはいるのですが、実際にはぼくも岡田(奎樹)も崩すことはあって、そんな中で市川が走ってくれてチームとして助けられていることも多いですし、ぼくの中は3艇の中の1艇で、3艇でしっかり走れるようにとやってきました。その結果、総合優勝をすることができてよかったです。

――小泉さんに憧れてワセダに入ったという後輩の岡田選手には

まずはそんなことを言ってくれて光栄です。ジュニアの頃から知っていますが、奎樹のほうが速かったと思っていますし、高校のときは対戦することがありませんでしたが、大学でまた一緒にやることになって本当に嬉しかったです。奎樹が外部で学んできたことを部にフィードバックするという良い循環ができていたと思いますし、4年生の立場として、下級生でしっかり走ってくれる艇がいるというのが心強かったです。今後はチームをまとめることも増え、自分のこと以外にもやることが増えると思いますが、来年も全日本インカレで優勝できるように新チームを導いていってほしいなと思います。

――最後に、これからに向けて抱負をお願いします

ぼくは大学だけではなく、様々な場所でいろんな人と練習をしてきました。そのところどころでお世話になった人たちに年の終わりに全日本インカレでこうやって再会して、日本一を競い合えて、良い経験ができた4年間だったなと思います。競技を続けますが、ぼく同様に競技を続ける他校の仲間もいるので、そういった人たちとこれから先もこの4年間と同様に良い時間を過ごしていけたらいいなと思います。


スナイプ級クルー花岡航副将(創理4=京都・洛北)

――総合優勝おめでとうございます。今の率直な気持ちをお願いします

4年間やってきて、(早大は)地元で優勝したことがなかったんで、江ノ島で優勝できて、すごくよかったなと思います。

――改めて、今大会を振り返っていかがですか

チームとしてずっと良いスコアでやってきていて、自分たちの艇だけが点数が取れず、足を引っ張るような形で何日もきていたのですが、最後に3位を2度取り、チームに貢献することができてよかったと思います。

――最後の2レースで連続して、3位を取られましたが、そのあたりを振り返っていかがでしたか

有終の美を飾りたいということで、スタートから攻めて、6レース目で終わるかもしれないと思っていたので、最後は1位を取りたいっていう気持ちもあって、強い気持ちをもっていたので、それが良い順位となって現れたのではないかなと思います。

――最後の全日本インカレはいかがでしたか

地元だったので緊張感もなく、すごくリラックスして乗れたので、特にインカレだからという特別な緊張感はなく、やりやすかったです。

――今後はヨットを続けられますか

一応、企業に入ってヨットをする予定で、次はスキッパーとしてやる予定です。同じヨットでも役割が変わるので、ヨットを続けるのですが、新しいスポーツを始めるような気持ちですごく楽しみです。


スナイプ級スキッパー島本拓哉(スポ4=千葉・磯辺)

――おめでとうございます。いまのお気持ちを聞かせてください

めちゃめちゃ嬉しいです

――改めて7レースを振り返って

風が弱い中で、なかなか苦しかったです。良くない位置を走ることもあったりチームの誰かが悪い順位を取ったりと、苦しいときが多かったのですが、その苦しいときには誰かが前にいる、ぼくがダメでも平川(竜也、スポ3=神奈川・逗子開成)や礼(永松礼、スポ2=大分・別府青山)が前を走ってくれたので、その点はすごく良かったと思います。

――他の2艇が大きく悪い順位を取ってしまう場面が見られましたが、島本さんは安定していたのではないでしょうか

今季は悪い順位だったとしても、そこからなんとか気合で一気に追い上げることが多く、その今季の成果を全日本インカレでも出せたのかなと思います。平川(竜也)や礼(永松)よりも安定しているとは思っていませんし、良いときの2人はかなり安定していると思っています。

――これから、島本さんは個人としてもレースが残っていると思います。そちらに向けては

ことし入ったときに決めた目標が全日本インカレの総合優勝と全日本スナイプの優勝で、もうひとつビッグイベントが残っているので次も頑張ります。全日本個人選手権では勝てなくて悔しい思いをしたので、個人としての目標を達成したいと思っています。優勝します。


470級クルー原海志(創理4=東京・早実)

――総合優勝おめでとうございます。今のお気持ちをお聞かせください

4年生になってから1年間、全日本インカレでの総合優勝を目標にしてやってきたので、それを達成できて嬉しいです。

――ヨット部のホームページにも『11月、江ノ島で優勝』と抱負に書かれてありましたね

この代が始まったときのミーティングから、優勝をずっとイメージしてきたのですごく感動しています。

――今回が最後の全日本インカレでしたが、どのようなお気持ちでレースに臨まれましたか

目標が総合優勝だったので、クラス間での助け合いながら、自分たちの艇はこれまであまり調子が良くなくて、4年生ペアとしてはまだまだという感じだったんですけど、ここにきて調子を取り戻して、そこそこの走りはできたと思います。

――本日の最終日へ向けて、ペアである小泉颯作主将(スポ4=山口・光)とどのようなお話をされましたか

きのうの時点では470クラスとしても1位でしたが、あくまで目標は総合優勝だったので、自分たちが失格にならず、スタートをしっかり出てしっかりと走って帰ってくれば優勝できると思っていました。そのため、落ち着いて、大きくコースをとっていこうと話しました。

< p>――470級のミーティングではどのようなことを話されて最終日を迎えられたのでしょうか

自分たちのクラス優勝も見えていましたが、それに固執せずにしっかりと風をとって自分たちの走りができれば前に出られる実力はあるので、それを各艇がしっかりとやって、3艇走っていこうという話をしました。

――今大会のご自身の成績と470級全体の成績についてどのように捉えていらっしゃいますか

僕たちの成績としては、大きな点数を叩いているレースが何度かあり、そのようなときはスタートが上手くいかない苦しい展開でした。ですが、そのような壁がある中で、ある程度は順位を上げられたので良かったと思います。クラスの2位という成績については、あと少しで優勝できるところまで来ていたので、悔しいという気持ちもありますが、あくまで目標は総合優勝でしたから、このチームとしての目標は達成できたので良かったと思います。

――今大会で4年生は引退ですが、ヨット部の4年間を振り返って

最初はやはり、合宿生活なので、ご飯を作るといった下働きが中心でしたが、きょねんからレースに出るようになって、そこからヨットのことが分かるようになってきました。そこからはあっという間の4年間だったと思います。監督やコーチという環境は日本一だと思うので、そういった環境で深い練習をしていったことで2連覇を達成できたと思います。

――今後の進路について、ヨットは続けられるのでしょうか

全く考えていないのですが、環境を見つけて何かしらの形で続けていきたいとは思っています。

――来年以降の後輩の皆さんへ一言

3連覇がかかってくる年で、なかなかプレッシャーもあるかと思いますが、新主将の平川(竜也、スポ3=神奈川・逗子開成)を中心に上手くチームをまとめてくれれば、下級生が優勝する上では大事だったと思っているので、チーム一丸となってまずはしっかり練習をするところから初めて、来年の蒲郡での全日本インカレでも優勝してほしいと思います。


スナイプ級スキッパー高橋友海(教4=神奈川・桐蔭学園)

――優勝おめでとうございます。いまのお気持ちを聞かせてください

ありがとうございます。すごく嬉しいです、それしか言えないです。

――改めて今大会を振り返って

きょねんまでだと一度崩すとズルズルいってしまったり、あとはみんなが崩してしまうこともあったのですが、ことしは崩しても次のレースでは前を走ったり崩しても1艇だけだったりと個のレベルが高いチームだったんだなと思いました。

――一緒にやってきた同期に関して思うことは

同期のみんなはすごいなと思っています。特に颯作(小泉颯作主将、スポ4=山口・光)と島本(拓哉、スポ4=千葉・磯辺)はわたしと同じスキッパーなのですが、ヨットに対する意識が高いのですごいなと思っていて、真似しようと思っていたのですが、全然真似もできないくらいに素晴らしい、尊敬できる同期だったと思います。スポーツに限らずすごい人っていうのは、陰でそれ相応の努力をしていて結果を残しているのだなということを同期から学ぶことができました。

――全日本インカレが終わり一段落ついたと思います。これからに向けて

わたしはこれからもスナイプを続けます。きょねん卒業された先輩と艇を買って、もう一度乗ろうという話をしているのですが、きょうはサポートをしていてヨットに乗れずに悔しい思いをしたので、ここで学んだことを今後ヨットに乗るときに生かせられるように頑張っていきたいです。


主務・古家帆高(文構4=東京・早大学院)

――優勝おめでとうございます。いまのお気持ちを聞かせてください

総合2連覇はできる実力があると思ってこの大会に臨んで、実際にその結果になってすごく嬉しく思います。ただ一方で、大会期間中に不安要素がなかったと言えば、それは嘘になってしまうのでホッとしたという気持ちもあります。

――連盟長として大会運営に関しては

関東の学連のメンバーがすごく良くしてくださって、少なくとも自分たちの中では成功と言える大会に収められたということは良かったと思います。

――4年目は裏方として、少し離れたところからチームを見ていたと思いますが

4年生として反省することがあって、それは最初の頃に口頭で下級生を引っ張っていくことができなかったことです。同期それぞれはチームの目標に向かって頑張っていたと思うのですが、結局ヨットという競技は合宿生活の中でやるもので普段の生活から始まっていると思うのでそこで姿勢を示すことが最初はできていなかったように思えます。そこで1年生が入ってきて、献身的に動いてくれたおかげで、自分たちも少しずつ変われましたし、その影響があってみんなが良い方向に向かっていったのかなと思います。

――全日本インカレが終わり一段落ついたと思います。これからに向けて

競技を続ける予定は今のところありませんが、学連のOBとして大会運営で関わりを持っていけたらと思っています。ことし主務として働いて学べたことはとても大きくて、それは人格形成や仕事など多くのことを学べたと思っています。これを今後どう生かすかをこれから考えていかないといけないと思います。


マネージャー大堀裕太郎(文構4=東京・早大学院)

――2連覇です。いまのお気持ちを聞かせてください

単純に嬉しいです。

――サポート艇から4日間レースを見ていらしたと思いますが、大会を振り返ってみていかがですか

レースに出ている同期の小泉(颯作主将、スポ4=山口・光)、花岡(航副将、創理4=京都・洛北)、島本(拓哉、スポ4=千葉・磯辺)、原(海志、創理4=東京・早実)の4人を信じていましたし、その4人に限らずレースに出ているメンバーの全員を頼りにしていたので、結果として優勝をいう形をそのメンバーが導いてくれたことに感謝しています。

――マネージャーとして臨まれた4年目はいかがでしたか

ぼくの力があったとは全く思っていなくて、マネージャーの仕事としては北野(歩、教1=東京・洗足学園)を始めとして、1年生がほとんどやってくれていた部分が大きいです。ぼくはみんなに助けられて優勝を経験させてもらって、すごくありがたいというか、みんなに感謝しています。

――今後については

ぼく自身、海が好きなので、今後はヨットを続けないにしても海に携われるようにしていこうかなと思っています。部活では、ヨットの技術的なことは教えられないとは思うのですが、何かしらの形で後輩たちの為になるようなことをできたらいいなと思っています。


スナイプ級スキッパー平川竜也(スポ3=神奈川・逗子開成)

――総合優勝おめでとうございます。今のお気持ちをお聞かせください

もうほっとしています。きょねん完全優勝をして、ことしはスキッパー陣が6人中5人残る中で、自分が3連覇を目指している以上、ことしの連覇は外せないものだったのでほっとしています。

――どのようなことを意識して全日本インカレに臨まれましたか

いつものチャンピオンズシップとは違って、カットレースもなくて、ミスをせずに安定した順位を取り続けるということが求められます。他の試合とは雰囲気が違うので、それに飲まれないということは気にしながらレースをしていました。

――チームのミーティングではどのようなことを話し合われたのですか

元々、チームの雰囲気がすごく良いので、いつも通りのことをやろうと。試合に向けて特別に何かするとかではなくて、いつも通りのレースをしていこうと話しました。あとはクラス優勝を狙わずに6艇2クラスで総合優勝をとりにいくと共有できたのが良かったと思います。

――ご自分の成績を振り返って

3日目までMVPで、成績も安定していたんですけど、最終日に崩し倒してしまいました。チームの成績としては満足ですけど、個人的には一切満足はしていません。まとめきれなかったというか。コンディションが悪いということは前から分かっていたので、きょねんの全日本インカレは風が吹いて、強風の中でやって、強風は元々すごく自信があるので、自分もここまでの五大学戦、六大学戦、秋の関東学生ヨット選手権大会(関東インカレ)でMVPという流れで来ていて、最後の全日本インカレでもトップの成績で終わりたい気持ちがありましたが、そこで勝ち切れないというのが課題ですね。ものすごく悔しいです。

――スナイプ級の2位という結果については

本当は優勝したかったので悔しいのですが、2日目に礼(永松礼、スポ2=大分・別府青山)が走っていないときに自分が走ったり、自分が走っていないときに島本さん(拓哉、スポ4=千葉・磯辺)が走ってくださったりということがあって、チームとして走ることができていたと思います。けれど、まだまだ甘いところもあります。それは来年、島本さんが抜けて大きな戦力ダウンの中、克服できればと思います。

――平川さんが次期主将になるということですが、どのように決まったのですか

1ヶ月前の同期との話し合いで決まりました。

――新主将という立場で、来季への意気込みをお願いいたします

とにかく全日本インカレの総合3連覇を目指しています。来年の全日本インカレは蒲郡で、ぼくが前から言っていることですが、古谷信玄さん(平22スポ卒=福岡一)が全日本インカレ総合3連覇したところが蒲郡だったので、やっとそこに挑戦できる。並んでやろうと思っています。


470級スキッパー市川夏未(社3=埼玉・早大本庄)

――本日は総合優勝おめでとうございます。今の率直なお気持ちをお聞かせください

目標だった総合優勝ができて嬉しいです。ただ、自分のミスで470級のクラス優勝を逃したことが本当に悔しいです。

――改めて7レースを振り返って

1レース1レースが最後だと思って、目の前のレースに集中できていました。最後まで反則を絶対に取らないようにすることを重点に置いていました。

――大会前、多くの4年生が「キーパーソン」として市川さんの名前を挙げられていましたが

緊張はなかったですが、プレッシャーはあったと思います。4日間、風が弱く不安定な中でレースを行っていたので、いつこの大会が終わってもおかしくないと考えていました。だから、一生に一度しかない今の一瞬一瞬を大切にして、プレッシャーも楽しめたと思います。

――来季へ向け

ことし1年悔しいままで終わってしまったので、来年レギュラーとしてもう一度全日本インカレに出たいと強く感じています。また一から努力し、自分の力でことしの雪辱を果たしたいと思います。


470級スキッパー岡田奎樹(スポ2=佐賀・唐津西)

――本日は総合優勝おめでとうございます。今の率直なお気持ちをお聞かせください

最高です。

――改めて、今大会を振りかえっていかがですか

今大会はまだ2年生ということもあり、プレッシャーなく自分の好きなように走らせてもらえたというのが大きかったですね。そうすると、結果が求められるのですが、自分の仕事はある程度果たせたかなと思います。最終日の2レース目にスタートを失敗して、大きく崩してしまったのですが、そこは少し精神のもろさが出たかなと思います。今大会は全レースをシングルで固めておけばMVPも取れたので、来年こそは勝負しなきゃいけないところで、ちゃんと勝負できるようになっていきたいなと思います。今回のレースで次の目標が決まったような感じですね。

――圧倒的な成績でチームを引っ張られましたが、いかがですか

それが仕事ですからね。4年生は周りからハッパをかけられて、プレッシャーがかかる中、自分はノープレッシャーだったので、引っ張ったというより、周りがそうできるように仕向けてくれたというほうが妥当かなと思います。

――第5レースが27位でしたが原因は何だったのでしょうか

下マークのスッピンエンドで1番目から出ようとしたのですが、アウターの船があって、出られなくなってしまい、1回転して、スタートし直してしまいました。それでだいぶ出遅れたかなと思います。好きなコースが取れなくなってしまったので、そこが1番の原因ですね。

――最後に、来季に向けての意気込みをお聞かせください

来季は3連覇を目指します。3年生になって、自由にするというよりは4年生は人数も少なくて大変なので、どういうふうに手助けするかを自分なりに考えて、かつ成績も今のままキープして、デコボコしているボコの部分をなくせるように頑張りたいです。


スナイプ級スキッパー永松礼(スポ2=大分・別府青山)

――総合優勝おめでとうございます。今のお気持ちをお聞かせください

正直、自分のレースは全体として結果がふるわなかったのですが、そこでしっかりと前を走ってくれる先輩方だったり、470チームの方だったりに助けられて、チームの強さを感じました。

――全日本インカレという重要な試合にどのようなお気持ちで臨まれましたか

春から慶大など強いところには負けていましたが、きょねんの全日本インカレから1年間でどの風域でも勝てるチームを目指してやってきたので、夏の長期合宿がしっかりと効いて、今回のような軽風域でもチームとして安定していたのが良かったと思っています。

――最終日の成績は共に3位と素晴らしいものでしたが、振り返って

一番に変えたのはスタートですね。スタートでしっかり自分が有利だと思うところから、一番最初にブロー(※)が強いところに入れるようにしたことで、結果的に上マークを1番で回ることができました。自分ができることを信じてスタートしたというところが良かったと思います。そういうところにもっと早く気づいていれば良かったんですけど、まあ来年以降頑張ります。

――スナイプの2位という結果についてどのように思われますか

正直、スナイプ級で1位をとった鹿屋体育大学の最後のレースで1位を取った方がいらっしゃいますが、すごくコース取りも上手くて、スピードも速くて、どんどん差をつけられました。ですから、総合優勝したということがあったとしても、上には鹿屋体大のような強いチームがいるので、またそういうところでもう少し多くの課題を見つけたので、これから1年は1位を取れるように勝ち切れるチームを目指して、ぼく個人としても努力していきたいと思います。

――来季へ向けての意気込みをお願いします

上級生という立場になり、4年生を支えて下を引っ張っていかなくてはいけない立場になります。しっかりとヨットだけではなくて、チーム全体のことを考えて、チームがどのようなことをすれば一番力が付くか、4年生だけでなく一人一人が自分の役割を見つけて効率よく動けるのかということを考えたいです。4年生はもちろん考えていますが、そういうことを3年生の自分もサポートして、下を引っ張っていけたらと思います。

※風のこと。