関東学生個人選手権スナイプ級にワセダから5艇が出場した。470級の成績(5艇のうち4艇が全日本学生個人選手権に出場)を上回ることを目標に、レースに臨んだスナイプ級のセーラーたち。470級の4艇には及ばなかったものの、上位3艇が安定したレース運びを展開し、14位以内に与えられる全日本学生個人選手権(全日本個選)への出場を決めた。
大会第1日目。第1レースからワセダは上位でレースを展開する。第2レースも勢いをそのままに、島本拓哉(スポ4=千葉・磯辺)・堀田芽ノ世(法2=東京・早大学院)組は3位、永松礼(スポ2=大分・別府青山)・花岡航副将(創理4=京都・洛北)組は5位、平川竜也(スポ3=神奈川・逗子開成)・服部勇大(基理3=東京・早実)組は6位で初日を折り返し、上々の滑り出しを見せる。高橋友海(教4=神奈川・桐蔭学園)・清原駿(創理3=東京・早大学院)組もスタートにこそ失敗するも23位と、まずまずの位置でレースをまとめた。「難しいコンディションの中、上位の3艇は上手く安定した順位をとるためのコースを引けていた」(島本)という言葉からも、最終日に向け手応えを感じさせるレースとなった。
島本・堀田組。全日本個選では優勝を狙う
そして迎えた最終日。上位3艇は全日本個選を見据えた上でのさらなる順位アップを狙い、高橋・清原組としてはなんとしてでも14位以内に食い込みたいところ。1日目の堀田からクルーが坂上宗輝(政経2=東京・早大学院)に変わった島本・坂上組は第3レースをトップでフィニッシュし、目標とする優勝へ弾みをつける。次の第4レースでは平川・服部組もトップでフィニッシュ。最終第5レースを前にして暫定順位は島本・坂上組が2位、平川・服部組が4位、永松・花岡副将組が5位。上位艇は前日の勢いそのままに順位を維持する。しかし、本来スタートを得意とする高橋がスキッパーを務める高橋・清原組がスタートに苦しみ、なかなか順位を上げることが出来ない。最終レースでも「スタートが上手くいっていないことから、動揺して集中できていなかった」(高橋)と振るわず、最終結果24位で惜しくも全日本個選への出場はならなかった。上位3艇は最終的に島本・坂上組が3位、永松・花岡副将組が4位、平川・服部組が6位という堂々たる結果で今大会を終えた。
470級の表彰も行われた。堂々の2位を記録した岡田奎(右)・岩井組
470級の4艇には及ばなかったものの、見事に3艇が全日本個選への切符を掴んだ。「安定したスタートが出来たことが安定して良い順位を取り続けることにつながった」(永松礼)、「最終レースで2艇の順位が悪かった原因はスタートの失敗」(島本)と両者が言うように、今後もスタートの出来がレースの結果を大きく左右するだろう。チームとしてスタートの精度を上げていくことが一つの課題となる。とはいえ、伝統的に強風に強いワセダがこれまで課題としてきた微軽風の中で安定したレース運びが出来たことは大きな収穫となったに違いない。今大会は課題、収穫ともに得られた実り多きレースだったと言えよう。次なる戦いの舞台は同志社大との定期戦。西の強豪との一戦が全国の舞台でさらなる飛躍を遂げるための足掛かりとなることを期待したい。
(記事 郡司幸耀、写真 菖蒲貴司、丸山美帆)
結果
島本拓哉(スポ4=千葉・磯辺)・堀田芽ノ世(法2=東京・早大学院)/坂上宗輝(政経2=東京・早大学院)組 3位 21点
永松礼(スポ2=大分・別府青山)・花岡航副将(創理4=京都・洛北)組 4位 24点
平川竜也(スポ3=神奈川・逗子開成)・服部勇大(基理3=東京・早実)組 6位 26点
高橋友海(教4=神奈川・桐蔭学園)・清原駿(創理3=東京・早大学院)組 24位 86点
三宅功輔(スポ1=東京・早大学院)・川上健太(創理2=東京・早大学院)組 60位 215点
コメント
スナイプ級スキッパー島本拓哉(スポ4=千葉・磯辺)
――きのうときょうのレースを振り返っていかがでしたか
難しいコンディションの中で、上位の3艇は上手く安定した順位を取るためのコースを引けていたのでよかったと思います。今日に関してはスタートが悪く、最終レースで2艇の順位が悪かったのでもう少しスタートの練習をしていかなければいけないと思います。
――きのうの終了時点で3位でしたが
余裕はなく、それよりも優勝を狙っていたので満足はしていないです。
――団体戦と個人戦での意識の違いはありましたか
強いて挙げるとすれば、団体戦との違いは4艇、5艇が出場できることなので、3艇以上に4艇、5艇がまとまれるようにすることですね。個人戦だからといって個人で挑むという意識はあまりなかったです。
――先週470級の選手たちが4艇が全日本への出場を決めましたが、スナイプリーダーとして意識するところはありましたか
470級と同じように、少なくとも4艇は全日本に出場できるようにと思っていました。
――スタートが今後の課題ということでしたが、他に課題はありますか
――ワセダは強風に強いのですが、軽風域でもしっかりとレースをまとめられる力をつけることですね。
――全日本学生個人選手権への意気込みは
(4年生である)僕にとっては最後のチャンスなので必ず優勝できるように頑張ります。
スナイプ級スキッパー平川竜也(スポ3=神奈川・逗子開成)
――全日本学生ヨット個人選手権大会(全日本個選)への出場がかかっていましたが、どのようなお気持ちでレースに臨まれましたか
予選ではありましたが、大会の前に辻堂加工の大井さん、ノースセールの白石さんという日本トップの選手に練習を見てもらい、その時に自分がステップアップするためのきっかけをつかみました。そのため、今回は良い順位を取りたいというのもありましたが、完全に練習の通りにやろうと思っていました。練習は木曜日と金曜日でしいたが、自分の課題克服のきっかけがあって、それが本当に使えるかどうかの練習と捉えていました。
――その練習ではどのような課題克服をつかんだのですか
微軽風ですね。吹いたら正直勝てるのですが、微風中風、きょうのような不安定なコンディションで走れるかという課題でした。
――それで本日のレースでは練習の手ごたえをつかまれたのでしょうか
最終レースはスタートに失敗して駄目なところが出てしまいましたが、全体を通して言えばかなり収穫がありました。練習通りというか、ジャンプアップするきっかけはつかみましたね。
――初日もシングルを取るなどと好調でしたが
初日もきょうと変わらず、全てのレースで今自分にないことを気にしませんでした。そのレースに対して何を学ぶかですね。色々試して、それが成功したか失敗したか振り返ることができました。成功したレースも失敗したレースもありましたが、そこを埋めていかなければいけないと思います。
――ご自分の結果についてはどう受け止めていらっしゃいますか
正直、そんなに結果にはこだわっていませんでした。それよりも練習の手ごたえをつかめたので、悔しいですけど、かなり僕の中では満足しています。
――今回のレースで見つかった課題は
課題は自分が何か失敗をしてしまったときにどう追い上げるかです。どんなトラブルがあっても最終成績をまとめるということ、全日本学生ヨット選手権大会(全日本インカレ)で皆にプレッシャーがかかっている中で勝つには大切だと思っています。皆が緊張してミスする中で、普段やらないことをやってしまうというような事態を避けることですね。
――全日本個選へ向けて意気込みをお願いします。
全日本個選も固いことを考えずに、もちろん優勝はねらっていきますが、全日本インカレで勝つために課題を克服できたらいいと思います。
スナイプ級スキッパー永松礼(スポ2=大分・別府青山)
――きのう、きょうの振り返り
全体的にレースが大きく崩れなかったことは良かったと思います。その要因はスタートが良かったことにあると思います。安定したスタートを毎度できたことが安定して良い順位を取り続けることにつながったのだと感じています。
――80艇もいる中でのスタートは大変でしたね
まあ、そうですね。埋もれてしまわないように、それと自分がいまどこにいるかということを常に意識していました。
――初日を終えて2位でした。きょうのレース前には余裕も生まれましたか
第1レースが12位だったのですが、それは上から下への間での対応が上手くできなかっただけで、それでも12位に入れていたので余裕はありましたね。第2レースで特にミスがなく2位に入って、まあこんな感じかなと思いました。だから、初日の時点で2日目もミスをしなければ良い順位を取れるんだなと感じました。
――ペアの花岡さん(航副将、創理4=京都・洛北)との相性はいかがでしょうか
平日に一緒に映画を観たりと、普段から親しくさせてもらっていますね。僕の方が割とあつかましく接しているかもしれません。レースになると当然お互い真面目になりますが、そのあたりも良いコンビネーションでできているのではないかと思います。
――全日本学生個人選手権への意気込みをお願いします
きょねんは不甲斐ない結果(25位)に終わってしまったので、それから一年間、ボートスピードを中心に基本的なセーリングを練習してきたので、成長したと実感した部分もあるので、ボートスピードってものを武器に入賞を狙っていきたいです。そのためにミスをしない走りを心がけていこうと思っています。
スナイプ級スキッパー高橋友海(教4=神奈川・桐蔭学園)
――2日間を振り返って
あまりうまくいかなかったね、ということを(ペアと)話していたのですが、普段できていることがしっかり出来ていなくて、やるべきことをきちんとルーティーン化できていなかったなということが分かりました。
――きょうの風向きはいかがでしたか
きょうは南風だったのですが、1ヶ月前から南風で波が悪いコンディションでのレースに自信がないということは分かっていたのに、それといった対策もしないままきてしまったなと思います。
――スタートに自信があるということですが、今大会はいかがでしたか
スタートは一回も上手くいかなかったです。原因としては、引き込みが遅かったこと、「もう引こう」などの会話が全然なかったことです。ただ周りに合わせているときもあって。とくに最終レースは、周りが引っ込んでいることに気づかず注意力が緩慢していて、普通にしているつもりだったのですが、結構動揺していて集中できていなかったなと思いました。
――動揺していたというのは
ボートスピードがあまり良くなく、きのうからスタートが上手く出れていなくて。上手くいっていないなというのはずっと思っていて、いつもみたいには出来ていなかったなと思います。
――今大会で収穫したものは
「次どうする?」など、いつもは2人で話しているのですが、きょうはあまり話せていませんでした。何か話さなきゃ、という感じになってしまって。次のコースを引くとき、どういう要素を見てコースを引くかという考え方をきちんとルーティーン化できていませんでした。どっちがロングか確認しようとか、さっきはどっちが伸びたか、コンパス核を共有するかなど、きょうはできていませんでした。いろいろなことをルーティーン化していかないといけないな、と思います。
――今後に向けて
(今大会は)反省点ばっかりで、何が悪かったのかをまだ正確に分かっていないので、まずはそれを見つけて改善策を考えて練習したいと思います。