2連覇を目指すも惜敗

ヨット

 女子の大会としては今季最後となる全日本女子学生選手権(全日本女子インカレ)。早大からは470級が2艇とスナイプ級が1艇出艇した。結果としては470級の山口祥世(スポ4=長崎工)・谷口柚香(スポ4=長崎工)組が2位という成績を収める。同じく470級で出艇した市川夏未(社1=埼玉・早大本庄)・永松瀬羅(スポ1=大分・別府青山)組は28位。スナイプ級では高橋友海(教2=神奈川・桐蔭学園)・溝口芽(教3=アメリカ・Paul Laurence Dunber)組が14位となった。早大としては総合6位で今大会を終え、山口祥・谷口柚組には大会2連覇の期待が懸かっていただけに大変惜しい結果になった。

関大と激戦を繰り広げた山口祥・谷口柚組

 微風域でのレースとなった全日本女子インカレ。その影響で3レースのみでの決戦となり、大きく命運を分けたのは最終レースだった。初日は昨季王者へとのし掛かる数々のプレッシャーを跳ねのけ、まずまずの走りを見せた山口祥・谷口柚組。惜しくも関大にリードを許すものの2位につく。2日目に行われた第3レースで巻き返しを図るが、単独首位にはあと一歩及ばず関大、同大と同点首位に並び勝負は最終日に持ち越しへ。しかし天候の影響により最終日はレースが行われず、大会規定により2位で終えることになる。「勝敗が分かれたポイントがランニング(※1)での1回のジャイブ(※2)でした」と山口祥が語るように小さな場面での取りこぼしが結果を大きく変えることとなった今大会。最後のレースで抑えるべき相手を抑え切れば優勝できていただけに、二人は悔しさに涙をにじませた。全体としては総合優勝を目標に掲げていた早大。1年生ペアも出艇し、初めての大舞台を完走する。しかしスナイプ級では読みにくい風に苦戦し実力を発揮できず、総合6位で幕を閉じた。

大舞台で走り切った市川(左)・永松組

 女子ペアで戦うのは今大会が最後であったが、まだまだ彼女たちの挑戦は終わらない。これから六大学戦と秋季関東学生選手権(関カレ)、そしてそれに引き続き全日本学生選手権(全日本インカレ)が控えている。「ことしは雰囲気なども非常に良くて、絶対に勝てると思う」と強い思いを谷口柚は話した。山口祥も「もう絶対に全てを優勝で終わらせたい」とこの惜敗をバネに全制覇を誓う。またその姿をしっかりと目に焼き付けたであろう後輩たちもさらなる躍進を目指して着実に力を伸ばしてくるはずだ。『チーム力』ではどの大学にも引けを取らない早大が総力戦で挑む、今後の活躍に期待したい。

(記事 藤巻晴帆、写真 細矢大帆)

(※1)追い風帆走のこと

(※2)風下方向へ舟を回し片側に開いているセールを反対側に開くこと

結果

▽470級

山口祥世・谷口柚香組 2位

市川夏未・永松瀬羅組 28位

▽スナイプ級

高橋友海・溝口芽組 14位

▽総合順位 早大6位

コメント

470級スキッパー山口祥世(スポ4=長崎工)

――今大会を振り返って

今大会の目標としては総合優勝というのもありましたが、470級で2連覇というのを私たちは目標にしていたので同点が3艇いてそれで2位で負けてしまって本当に悔しいレースでした。

――命運を分けた3レース目について

自分がすべきこと、してはいけないことっていうのがあって、それを守っていれば勝てたレースで後藤沙織さん(関大、4年)にトップを取られたことが負けた原因で、その勝敗が分かれたポイントがランニングの1回のジャイブでした。これで優勝と2位というのが分かれてしまって、そういう小さなポイントでもセオリー通りに出来なかった自分がいたのでそこがやはり勝敗のポイントだったと思います。

――谷口柚香選手(スポ4=長崎工)とこれまでペアを組んできて、何か特別な思いはありましたか

谷口柚香とは全日本インカレ(全日本学生選手権)でもペアを組みますが、女子ペアで戦える最後のレースだったので優勝したかったです。その負けた原因が1回のジャイブというのが本当に悔しいです。

――どのような作戦でしたか

全日本女子インカレは点数が普段のレースより少ないというのもあるのですが、ライバル艇が絞られてくるのでそのライバル艇の近くでいかに戦って競い勝つかでした。自分がレース前にライバルとなる艇を挙げたのでその中でいかに前を走るかというのを考えました。

――難しいコンディションでしたが

私たちの艇は軽風域が得意分野なので逆に風が味方してくれた部分はあったかなと思います。

――今後の大会に向けて

残り1カ月半を切ってしまって残るは六大学戦と秋の関カレ(秋季関東学生選手権)と全日本インカレで、早慶戦と全日本女子インカレで悔しい思いをしているのでもう絶対に全てを優勝で終わらせたいなと思います。

470級クルー谷口柚香(スポ4=長崎工)

――大会を終えていまのお気持ちはいかがですか

総合も個人も取ることができなかったので、本当に悔しい気持ちでいっぱいです。

――前年度王者として臨まれましたが、プレッシャーはありましたか

プレッシャーはものすごくありました。きょねんも優勝したということもあったし、ことしは最終学年ということで、勝ちにこだわったレースになったので、それなりに(プレッシャーが)ありました。

――この大会の勝負の分かれ目はどこにあったと思いますか

第3レースの最後のマークを曲がったときに、1位を走っていた日大の艇を意識しすぎてしまいました。順位のことを考えれば関大の後藤艇が自分たちより(順位が)上で、そこをケアするべきだったのに、そのケアが甘くなってしまったと思います。そこをしっかりしていれば確実に前にいけたので、周りが見えていなかったことが原因かなと思います。

――山口祥世選手(スポ4=長崎工)と長年一緒にプレーされていますが、特別な思いはありますか

ありました。高3からずっと組んでいたので、山口と一緒に最後は絶対に勝ちたいという一心でした。最後のレースで挽回したかったですね。

――関カレや全日本インカレに向けて一言お願いします

いまブラジルに後輩が行って準優勝していて、またワールドのマッチレースで早大の昨年度の主将である市川航平さん(平25創理卒=東京・早大学院)と加藤文弥さん(平25スポ卒=岐阜・海津明誠)がいい結果を残していて、いま早大にとっていい流れで来ていると思います。また、春の関カレで優勝して、早慶戦とこの大会では結果が出なかったのですが、ことしは雰囲気なども非常に良くて、絶対に勝てると思うので、応援よろしくお願いします。

スナイプ級スキッパー高橋友海(教2=神奈川・桐蔭学園)

――今大会を振り返って

今回はいつも通りのことができませんでした。理由としては祥世さん(山口、スポ4=長崎工)たちが最後の年なので、自分がしっかり走らなければならないという思いであったり、春の関東女子イン(春季関東学生選手権)では優さん(山口、スポ3=佐賀・唐津西)がいましたが、今回はいなくて自分が運良くスナイプ級で全日本女子インカレに出場することができたので、優さんを越えようとすごく焦ってしまったりした部分がありました。あとは本当に自分の心の弱さがレースに表れてしまいました。

――難しいコンディションの中でのレースでしたが

風が良くわからなくて、コース練習でも事前練習でもどっちの海面が伸びるのか本当に分からない状態でした。結局どちらのサイドにも出ることができずに、真ん中で苦しんでしまったなというのは感じました。

――作戦はありましたか

いつもはサイドのどちらかの風をつかみにいこうとしていますが、今回は風が見えなかったので、前に出てくる速い艇に合わせて進もうという作戦でいきました。しかし乗艇位置が悪くて、並走してもスピードが遅くて遅れてしまうというのが続いてしまいました。

――関東での大会や定期戦と全日本級の大会の違いは

女子だけというのもありましたが、いつものレースだと艇数も多いので進めやすかったのですが、回数も少なく、上位に入ってくる選手も絞られてくるので、一度遅れを取ってしまうと追い上げるのが難しいなと感じました。

――今回の経験をどのように生かしていきたいですか

本当に失敗ばかりで、でもなんで失敗したのかが分からないという状態が続いたのですが、きのうOGの木内さん(蓉子、平23人卒=神奈川・湘南)に話を聞いていただいて、それで自分がどこをどう失敗したのか確認することができました。まずしっかりとどこが悪いのか明確にして、一個一個乗り越えてらいねんの全日本女子インカレを迎えたいです。