【ラグビー】北九州での早明戦 早大が宿敵・明大を破る

ラグビー男子

関東大学春季大会 6月7日 対明大 福岡・ミクニワールドスタジアム北九州

 眩い光に照らされている。そう思わせる一戦だった。日本のラグビー王国・福岡。これまで幾多のラガーマンやラガールを輩出し、日本ラグビー界の歴史を支えてきた地だ。関門海峡のその先の響灘を一望できるミクニワールドスタジアム北九州。その美しい景色をバックに、今日も新たな歴史が刻まれる。伝統の早明戦は、地元である福岡への凱旋となる選手たちにとっても、特別な一戦となった。試合が幕を開けると、早大は巧みなキックを起点にペースを握る。先制こそ許したものの、FW陣の力強いヒットとBK陣の華麗な展開力で着実に得点を重ね、14-5で試合を折り返した。迎えた後半、両者一歩も譲らない一進一退の攻防が繰り広げられる。一時は早大が突き放し勝負が決まったかと思われたが、明大も意地を見せて猛追。勝敗の行方はラストワンプレーに委ねられた。スタジアムに響く福岡のファンの声援を背に、早大は『赤黒』の誇りを胸にゴールラインを死守。ノーサイドのホイッスルとともに、28-24で伝統の一戦を白星で飾った。

トライラインを駆け抜けるSO服部

 SO服部亮太(スポ3=佐賀⼯)のキックで幕を開ける。開始早々、服部がみせた。ロングキックで明大ディフェンスを背走し、相手のミスを誘発。大きく陣地を進めた。3分には、一度は明大に自陣深くまで迫られたものの、CTB島⽥隼成(スポ3=福岡・修猷館)がディフェンスの背後にボールを蹴り込む。島田がそのままプレッシャーをかけてターンオーバー。しかし、早大は自らの反則から得点を取り切ることができない。早大はここから我慢の時間が続く。服部が明大の一瞬の隙を突き、ビッグゲインをしたが、その後味方のハンドリングエラーもあり、得点に繋げられない。この隙を逃さないのが王者・明大。そのまま、一気に攻め込み、インゴールを明け渡してしまった。スコアは0ー5に。しかし、早大はディフェンスから流れを作っていく。フェイズが続いても、崩れることなくディフェンスを披露した。早大ディフェンスで一際輝いたのが、CTB名取凛之輔(スポ2=⼤阪桐蔭)とWTB⽥中健想(社3=神奈川・桐蔭学園)だ。名取は高いワークレートから何度も鋭いタックルを繰り出し、ディフェンスからチームを盛り上げた。また、田中健は広いスペースを守りながら絶妙なディフェンスタイミングと仲間とコミュニケーションをとりながらピンチを未然に防いだ。35分、明大の連続攻撃をFL牧錬太郎(スポ3=神奈川・桐蔭学園)がスティールで仕留める。服部のキックで敵陣まで攻め込むと、直後のラインアウトからLO⽶倉翔(スポ4=福岡・修猷館)、PR​​新井瑛⼤(教4=⼤阪桐蔭)、HO清⽔健伸主将(スポ4=東京・国学院久我⼭)が順に鋭いヒットでゴールラインまで迫る。SH⼤賀雅仁(スポ4=神奈川・桐蔭学園)の素早い球捌きから服部が華麗に相手ディフェンスを抜き去りゴールラインに飛び込んだ。自身でコンバージョンキックを決め7ー5とする。この勢いのままに、早大は服部からボールをもらった島田がディフェンスラインとの間にある大きなスペースを見逃さず、ライン際を駆ける。内側にサポートしていた大賀へと繋ぎ、そのままグラウンディング。14ー5とリードして試合を折り返した。

鋭い突進をみせるNO・8松沼

 迎えた後半11分、明大の猛プレッシャーを受けながらも名取が素早いハンドリングでボールを繋ぐと、パスを受けた服部がビッグゲインをみせる。最後は田中健がインゴールを駆け抜けた。服部が右隅からの難しいコンバージョンキックを鮮やかに沈めて21ー5とリードを広げた。17分にはWTB若林海翔(社2=東海⼤⼤阪仰星)に代わって地元・小倉高出身のWTB髙野恵次郎(スポ1=福岡・⼩倉)がピッチへ投入され、スタンドから大きな地元の声援が送られた。しかし、その直後から自陣ゴール前での防戦が続く。この日はLOでの出場となった城央祐(スポ3=神奈川・桐蔭学園)がジャッカルで一度はピンチを凌いだものの、明大自慢の重戦車FWの猛攻に耐えきれずに失点を許してしまう。21ー12とされると、28分にも再びトライを奪われて21ー17と4点差にまで詰め寄られた。嫌な流れを断ち切りたい早大は33分、PR平⼭⾵希(スポ2=⼤分東明)からのパスを受けたNO・8松沼寛治(スポ4=東海⼤⼤阪仰星)が豪快な突破をみせる。途中出場のSH川端隆⾺(スポ2=⼤阪桐蔭)の素早い球捌きから、最後はFL野島信太郎(教4=東海⼤⼤阪仰星)が執念でインゴールをこじ開けた。服部のキックも決まり28ー17。試合を決定づけたかに思われたが、紫紺のプライドを懸けた明大も意地をみせて28ー24とする。勝負の行方はロスタイム3分間のラストワンプレーに託された。城と平山が肉弾戦で決死のボールキープを試みるもターンオーバーから明大にボールが渡る。ビッグゲインを許して絶体絶命のピンチを迎えた。それでも早大はフィールドに立っている全員が泥臭く走り続け、そして文字通り体を張り続けて明大の猛攻をシャットアウト。ノーサイドのホイッスルとともに28ー24で激闘を制した。

ライン際を駆け抜けるCTB名取

 北九州で行われた伝統の早明戦。この一戦には特別な意味が込められていた。まずは野中組の雪辱を果たすこと。早大は昨シーズン、春、秋、冬のいずれの対戦でも明大に苦渋をなめさせられていただけに、今試合で悲願のリベンジを果たすことができた。今季の歩みを進める上で自分たちの実力を証明する大きな白星を手にすることができただろう。また、今試合では北九州を地元とする服部をはじめ、多くの福岡出身の選手たちが故郷の地で大躍動をみせた。試合後には、スタンドを埋めた多くのラガーシャツ姿の子どもたちが早大の選手たちの名前を大声で呼び、かつてこの地で育った『赤黒』の戦士たちが、今度は次世代の憧れの存在となった瞬間だった。熱戦を制した清水組の未来は明るく照らされている。そしてその眩い光は、彼らの背中を追う未来の早大ラグビー蹴球部の姿までも、きっと明るく照らし続けてくれるのだろう。

 (記事:大林祐太 写真:伊藤文音、髙木颯人 取材:吉田さとみ、飯塚咲、池田健晟、髙野凌世)

コメント

◆LO⽶倉翔(スポ4=福岡・修猷館)


ーー地元・福岡の試合でしたがいかがですか

 祖父母を含む家族や高校、中学時代の同期が見にきてくれていて、恩返しの思いでプレーをしました。2年前に早慶戦が福岡で行われましたが、出場出来ず悔しい思いをしたので、今日は自分の『赤黒』の姿を見せるという部分で気持ちを入れて頑張りました。

ーーどのような思いで試合に臨まれましたか
 今年のチームは明治に負けて始まったで、勝ちにこだわる、そして明治には絶対負けられないというプライドがチームの中であります。昨年の代の想いも背負って戦おうと意識していました。

ーーご自身の鋭いヒットなど体を張った献身的なプレーが目立ちましたがいかがですか
 昨日のミーティングで、監督から「失敗を恐れずに思いっきりやってこい」というお話があったので、吹っ切る事ができ、ワクワクしながら試合に臨みました。自分の持ち味のヒットであったり、体を張る部分で貢献できた事はすごく嬉しかったです。

ーー連続フェーズを守り切るディフェンスを見せていましたが、いかがですか
 本当にきつかったです。早稲田は今年ディフェンスに自信を持っています。その中でみんなで繋がって勝負に勝ち続けるということをテーマにしていて、体現できました。ペナルティーは多かったので、次の帝京大戦に向けて改善したいです。

ーー今後の意気込みをお願いします
 あと春シーズン2戦に出場し、当時の目標だった全試合出場を成し遂げたいです。そして、秋も信頼を勝ち取ってずっと試合に出場できるように努力したいです。

 

◆SO服部亮太(スポ3=佐賀⼯)

ーー地元・北九州での試合でしたがいかがでしたか
 生まれ育った地で伝統の一戦を行えたということは非常に嬉しく思います。

ーーどのようなお気持ちで試合に臨まれましたか
 地元でもあり、去年決勝で負けた相手というところもあって。僕はチームの誰よりも一番気合が入っていたというか、僕が流れを変えていこうと思っていたので、それがこのような結果に繋がったところは良かったなと思います。

ーー北九州での試合はいかがでしたか
 応援の声がかなり届いていて、それが力になって、このような結果に繋がったのかなと思います。

ーー試合を振り返っていかがですか
 前半最初の部分で早稲田がしっかりディエンスで何回もピンチを守り切れたというところ。最初で強気に出れたというか、後手に回らなかったというところ、最初の入りは良かったと思います。

ーー北九州の少年少女にメッセージがあればお願いします
 自分が日本代表だったり、トップのレベルで試合に出ることによって、小倉出身のチームや他の北九州のラグビーの子どもたちが夢を持つ。そういう人物になれればいいかなと思います。

◆CTB島⽥隼成(スポ3=福岡・修猷館)

ーー地元・福岡での試合でしたがいかがですか
 素直に1番楽しかったというのがあるんですが、それと同時にやはりプレッシャーというか、恥ずかしいプレーはできないので、嬉しい気持ちとプレッシャーが混じったような感じでした。

ーーどのような思いで試合に臨まれましたか
 試合前までは福岡で試合ができるのは普通に楽しみもあったんですが、そんなに意識はしていなかったです。ただ、試合会場に着いて知り合いや家族が来ているの見て、ワクワクが1番大きくなりました。

ーーアタックディフェンスの両方でご自身のスキルフルなプレーが目立っていましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか
 自分としては、やはりまだディフェンスの部分に課題があるなというのは強く感じています。ただ一方でアタックの部分は徐々にですがよくはなってきているのかなと。あとハイボールは継続して自分の強みとしてやっているので、今後の試合もそこを出しつつ、ディフェンスのところはしっかり修正していきたいなと思います。

ーー今後の意気込みをお願いします
 明治という素晴らしい相手に勝つことができたのはすごく素直に嬉しいんですが、今後練習試合の帝京と、あと関東学院と続いていくので、そこをしっかり全部勝ち切っていい形で春を終えて、それと同時に自分個人としてはしっかり試合で続けて、秋冬と繋げていきたいなと思います。

◆WTB髙野恵次郎(スポ1=福岡・⼩倉)

ーー地元北九州での試合でしたがいかがですか
 個人的には結構課題が残る試合だったんですけど、この歓声の中で地元で試合できたこと、これを次に活かしたいと思います。

ーーどのような思いで試合に臨まれましたか
 この地元でできることに感謝して挑みました。

ーー後半出場する際はどのような思いでしたか
 早稲田の上井草でやってきたことを体現するだけと思ってしっかり自分の出来ることをやろうと思って頑張りました。

ーー今後の意気込みをお願いします
またこの『赤黒』を着れるように頑張っていきます。

写真ギャラリー

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