招待試合 5月10日 対慶大 青森・弘前市運動公園陸上競技場

早大と慶大。まさしく宿命のライバルだ。常に並び立ち、あらゆる場面で比較され続けてきた両者である。共に絶対に負けることができない相手、それが早慶戦なのだ。それはラグビーの世界でも変わらない。長く、そして強く繋がれていた早慶戦の伝統が新たな地で歴史の1ページを切り開いた。強い風が吹く中で行われた今試合。早大は自陣からも果敢にボールを繋ぎ、持ち前のアタッキングラグビーを思う存分発揮した。FWのスクラムでの強さや、BKの展開力が功をなし、連続得点。29ー0で前半を終えた。続く後半、早大は攻撃の手を緩めない。しかし、慶大自慢のラインアウトモールからトライラインを明け渡してしまった。その後は初『赤黒』となる選手たちが早大のアタックに勢いをもたらし、慶大を突き放す。ノーサイドの笛が吹かれた時は63ー5とリードを守り、伝統の一戦を終えた。

ディフェンスのギャップを突くHO清水
試合開始前は弘前サクラオーバルズによる弘前ハカが、全国各地から伝統の一戦を見に来た人に歓迎の印として踊られた。そして試合はSO服部亮太(スポ3=佐賀⼯)のキックオフで幕を開ける。早大は開始早々から慶大陣へと攻め込む。慶大はゴールラインを背に出足の鋭いディフェンスを見せるも反則が続く。慶大の反則からラインアウトモールを組み続けた早大だったが、得点までなかなか繋げることができない。待望の初スコアは10分、CTB島⽥隼成(スポ3=福岡・修猷館)のバッグドアのパスを受け取った服部がFB植⽊太⼀(⼈3=神奈川・関東学院六浦)と繋ぎ、WTB鈴⽊寛⼤(スポ4=岡⼭・倉敷)がインゴールに飛び込んだ。スコアを5ー0とする。22分、早大BKがエラーを続けた後のスクラム、NO・8野島信太郎(教4=東海⼤⼤阪仰星)が「早稲田エナジー」のコールを響かせる。するとペナルティーを獲得し、BKのミスをFWが取り返した。このまま敵陣ゴール前へと攻め込むと、ラインアウトモールからHO清⽔健伸主将(スポ4=東京・国学院久我⼭)がゴールラインをこじ開ける。服部が強い風が吹く中、左隅からの難しいコンバージョンキックを決め、12ー0とリードを広げた。続く30分には、キックボールを島田が処理をすると、植木が一瞬の加速とステップでキックカウンターを仕掛ける。SH⼤賀雅仁(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が素早い球捌きで慶大の反則を誘うと、再び清水がグラウンディング。32分には鈴木、36分には植木がそれぞれ得点を挙げると、29ー0で前半を折り返した。

ゲームメイクをするSO服部
迎えた後半戦、11分には服部が走り込みながらボールを受け取り数的有利を作り出すと、WTB⼭下恵⼠朗(スポ3=早稲⽥佐賀)がトライラインを駆け抜けた。しかし、16分には自陣インゴールを背にしたディフェンスの時間が長く続く。最終的には慶大のラインアウトモールからインゴールを明け渡してしまった。しかし、早大は18分にWTB若林海翔(社2=東海⼤⼤阪仰星)のトライで流れを引き戻した。そして20分、LO惟村詠甫(基理4=神奈川・桐蔭中等教育)が『赤黒』を身にまといピッチに登場する。これまでどの試合でも体を張り続けてきた惟村も最終学年。ラストイヤーにして伝統の試合出場をつかみ取った。そして25分、服部、島田、植木と繋ぎ山下がトライ。45ー5とリードを広げる。そして22分にはCTB藤井雄⼠(社3=北海道・札幌⼭の⼿)、30分にはLO笹部隆毅(スポ1=神奈川・東海⼤相模)とWTB⼭⼝滉太郎(教2=東京・早実)が揃ってデビュー。そして今試合でチャンスをつかみ取った彼らが躍動する。服部、CTB森⽥倫太朗(スポ4=兵庫・報徳)と繋ぎ、フラットなパスから藤井がビッグゲインし、慶大がペナルティー。連続攻撃から最後は藤井がゴールラインを叩き割った。試合終盤にはSH川端隆⾺(スポ2=⼤阪桐蔭)のパスを受け取った若林がトライを挙げ63ー5と試合を締め括った。

アタックラインに参加するLO惟村
伝統の一戦で合計63点と大量得点を奪取した早大。その攻撃力を支えたのは2人のゲームメイカー、服部と島田だ。ディフェンスの直前まで近づき、最後の腕の一振りで遠くまでボールを飛ばす。この2人がアタックラインにいることで、早大は多面的かつ奥行きのある攻撃を展開できていたのだろう。「だんだん亮太(服部)のスピードにも慣れてきた」(島田)、「隼成(島田)にはかなり助けてもらっている」(服部)と語るように2人のコンビネーションはこれからもさらに成長し、アタッキングラグビーをより強力なものにしてくれるはずだ。また、今試合は惟村、笹部、藤井といったメンバーが『赤黒』デビューを果たした。彼らのような選手が新たな風を吹かせてくれる。目指すは頂へ。早大ラグビー部の未来は明るく照らされている。
(記事:大林祐太 写真:伊藤文音、髙木颯人 取材:吉田さとみ、飯塚咲、池田健晟、髙野凌世)
コメント
◆HO清⽔健伸主将(スポ4=東京・国学院久我山)

ーー試合を振り返っていかがですか
終始、早稲田がやりたいプレーというか、安定したプレーというのはあまり出せなかったかなと正直に振り返ってます。圧倒できている部分ともっとこだわらなければいけない部分っていうところがはっきり見えました。これからもっと精度高くできるなっていう印象です。
ーー東北初開催の早慶戦はいかがですか
選手権とか対抗戦とは違った雰囲気で。僕自身初めて感じる雰囲気だったので、緊張というか、いつもと違う感覚で試合に臨んだのかなと思います。声援が聞こえて、ラグビーを楽しめるというか。いい環境だなと感じました。昔から早慶戦がラグビーを引っ張ってきたというか、そういう一面はあるんで。伝統の一戦として、地方に招待されて試合をできることを本当に感謝してます。だから、情けない試合というのは絶対にできないんだという一戦です。
ーーどのようなプレーを意識しましたか
僕たちは勝負にこだわる早稲田らしさというところで。泥臭さとか、常に走り続けるとか。そういうところの目に見えづらいプレーっていうのは、ある程度までこられたかなと思うんですけど。まだまだ足りてないので、もっと見せれると思います。
ーー具体的にどのようなプレーを改善していきたいですか
勝負するところで、外側でBKがよくタッチラインに出るとかあるので。そういうところが、まだまだプライド足りないです。もっと精度高くできるところかなと。一方で、FWの縦に入るところっていうのは、力強さを出せたと思います。
◆SO服部亮太(スポ3=佐賀⼯)

ーー今日の試合のコンセプトを教えてください
風の強い中での試合だったということで、キックを使うところや、使わずに回すところのゲームメイクに意識しました。
ーーゲイムメイカーとして島田選手とのコンビネーションはいかがですか
隼成とはかなりコミュニケーションを取るようにしています。隼成がコミュニケーションを多く取ってくれいて、そのおかげでオーガナイズもやりやすくなっているので、隼成にはかなり助けられていると思います。
ーー今後の意気込みをお願いします
ここからまた2週間試合が続くので、しっかり集中して試合に臨みたいと思います。
◆CTB島⽥隼成(スポ3=福岡・修猷館)

ーー今試合の個人的なコンセプトを教えてください
CTBとして体をしっかり張って、相手との1V1に勝つというところをテーマにしていました。自分の強みであるハイボールを活かそうと思っていました。
ーー服部選手とのコンビはいかがでしたか
春が始まった頃はスピード感の違いを感じていましたが、今は慣れてきて亮太とのコンビネーションも良くなってきていると思います。
ーー今シーズンからスタメンを獲得していますが、個人のパフォーマンスを振り返っていかがですか
もっと早稲田の12番として成長しないといけないところがあると思います。コンタクトのところでも前に出たいですし、ミスも減らしたいです。
ーー今後の意気込みをお願いします
春シーズンしっかり12番で出続けてチームの勝利に貢献します。
◆LO惟村詠甫(基理4=神奈川・桐蔭中等教育)

ーー今試合の個人的なコンセプトを教えてください
まず自分の一番の持ち味であるコリジョンの部分で体を張り続けるっていうところと、チームとしてラインアウトに課題があったので、そこでしっかり自分の役割も全うして、ラインアウトを安定させるっていうのが自分の今回の目標というか役割でした。
ーー『初赤黒』はいかがでしたか
メンバー入りが決まった瞬間というのは、ずっと夢に見てたことだったのでものすごく嬉しかったですけど、やっぱり緊張感っていうか、責任というのはすごい感じて。やるしかないなっていう感覚でした。
ーー早慶戦に対しての思いはありますか
慶應に僕の同期のスタッフの子がいて。高校時代一緒にやってた仲間がいる相手だったので、そういう学校とプレーできて高校の仲間と再会できるのは嬉しかったですし、大学1年生の時から早慶戦はずっと見る立場だったので、盛り上がってる試合を見て、ずっとここに立ってみたいなと思ってたんですよ。それが今度は自分がプレーする側で出れるっていうことにすごい喜びを感じてました。
ーーこれまでの4年間を振り返ってみていかがですか
大1、大2っていうのは怪我だったり、授業の関係だったりでほとんどグラウンドに立てる時間が少なくて。でもその中でもずっと支えてくれる仲間だったり、親や知人だったりのおかげで本当に努力し続けることができました。色々な人に支えられている4年間だったなという風に思います。
ーー最後にラストイヤーの意気込みをお願いします
自分の夢というか目標は選手権の決勝で国立の舞台に立つことなので、ここで区切るんじゃなくて通過点にしたいので最後まで上を目指して頑張り続けます。
◆LO笹部隆毅(スポ1=神奈川・東海⼤相模)

ーー今試合のコンセプトを教えてください
初めての『赤黒』なので自分がやれることを精一杯やろうと思いました。
ーー初『赤黒』はいかがでしたか
試合前は緊張していましたが、試合に入ったら目の前のことに集中できました。
ーー早慶戦のメンバー入りをした時のお気持ちをお聞かせください
素直に嬉しいというのが最初に来て、『赤黒』を着るという責任も同時に感じました。
ーー個人のパフォーマンスはいかがでしたか
ラインアウトなど合わない部分があり、フィールドでもフィジカルが足りないと感じました。
ーー最後に今後の意気込みをお願いします
今後『赤黒』を着続けれるよるに練習から頑張っていきたいです。
◆CTB藤井雄⼠(社3=北海道・札幌⼭の⼿)

ーー今試合の個人的なコンセプトを教えてください
強みのフィジカルを出して全曲面で前に出ることを意識しました。
ーー初『赤黒』はいかがでしたか
今までは『赤黒』を着ることを目標にしていましたが実際に着ると相応の責任と覚悟が必要だと実感しました。
ーー早慶戦のメンバー入りをした時のお気持ちをお聞かせください
嬉しいという気持ち半分と責任と覚悟の実感半分でした。
ーーこれまでの2年間を振り返ってみていかがですか
もう少し早い時期から上に行けると思っていましたが、なかなか思うように行かず、今シーズンは覚悟を持ってやったことが結果に繋がったと思います。
ーー個人のパフォーマンスはいかがでしたか
キャリーで前に出るところで達成できた部分もありましたが、ボールロストなど新たな問題も出ました。
ーー最後に今後の意気込みをお願いします
『赤黒』を着たことに満足せずに荒ぶるに貢献できるようにしたいです。
◆WTB⼭⼝滉太郎(教2=東京・早実)

ーー今日の試合のコンセプトを教えてください
自分に与えられた役割を遂行し続けて、常にコンタクトの局面で体を張ることです。
ーー初『赤黒』はいかがでしたか
今まで、このジャージーを着て試合に出場するために練習をしてきました。『赤黒』を着られる喜び以上に責任感を抱きました。現状に満足することなく、これからも『赤黒』ジャージーを着て試合に出続けられる選手となっていきたいです。
ーー急遽、早慶戦のメンバーに選ばれた心境をお聞かせください
正直、最初に聞いた時は驚きもありましたし、早慶戦という特別な舞台なので緊張もありました。ただ、自分にとっては大きなチャンスだと思ったので、与えられた役割を全うしようという気持ちで準備しました。
ーーWTBといつもとは違うポジションでの出場でしたが、いかがですか
チームに必要とされた場所で自分の役割を果たすことが大事だと思います。今回の試合では自分の強みを発揮することを意識しました。しかし、ハンドリングエラーや限られた時間の中でATに積極的に絡むことができなかったことが課題として上がりました。
ーー今後の意気込みをお願いします
今回経験させてもらったことを一度きりで終わらせたくないです。もっと実力をつけて、どのポジションでもチームに貢献できる選手になりたいですし、早大のラグビーにしっかりコミットして、継続してメンバーに入れるよう成長していきたいです。
写真ギャラリー

タックラーに絡まれながらも前進するLO宮川

ディフェンスに接近するPR新井

ライン際を駆けるWTB若林

力強い突進をみせるLO米倉

鋭いステップをみせるCTB藤井

素早い球捌きをみせるSH大賀
メンバー表
