【ラグビー】2025年ラスト試合 最終学年の意地を懸けた4年早明戦は明大に軍配

ラグビー男子

4年早明戦 12月26日 対明大 早大・上井草グラウンド

 伝統と誇り。稲穂を胸に過ごす時間が長くなるほど、その想いは確かな重みを帯びていく。4年間、苦楽を共にしてきた仲間とともに早大・上井草グラウンドで明大を迎えうつ。その歩みのすべてを証明する場所で、宿敵との4年早明戦が幕を開けた。試合開始早々から流れをつかんだ早大は、その勢いのまま先制に成功する。攻守にわたってプライドを示したが、続けざまに明大に得点を許し、試合は一転して追う展開に。それでもSO仲山倫平(法4=ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ)のゲームメイクが光り、FB高栁壮史(創理4=東京・早大学院)の豪快なランから1本を返す。10ー14で前半を折り返した。迎えた後半、早大はラインアウトモールを起点にBKへと展開し得点。この日初めてリードを奪った。しかし、再び明大に流れを渡すと、立て続けに失点を許してしまい、4年間の積み重ねを背負いながら臨んだ4年早明戦は17ー26でノーサイドとなった。

ラインブレイクするFB高栁

 前半は仲山のキックオフで幕を開けた。強風が吹き荒れ、ゲームメイクが難しい状況の中、早大は風下に立ち、前半の行方は仲山のゲームコントロールに託された。明大のキックが風に流されてデッドラインを越えると、早大は開始早々、敵陣でのマイボールスクラムからチャンスを得る。5分、そのスクラムから仲山が一瞬のギャップを突いてビッグゲイン。最後はWTB小澤アンディ(法4=千葉・流経大柏)にボールが渡り、そのままゴールラインへ。風下という不利な条件の中でも、早大は幸先の良いスタートを切った。早大はアタックだけでなく、ディフェンスでも気持ちのこもったプレーを見せた。誰かが抜かれても、必ず誰かが止める。中でも光ったのが、LO萩原武大(スポ4=茨城・茗渓学園)の献身性だ。内側から鋭くプレッシャーをかけ、味方が窮地に陥れば即座にカバー。相手のチャンスの芽を次々と摘み取った。10分、早大にピンチが訪れる。スクラムで劣勢に立たされると自陣深くまで押し込まれ、ラインアウトモールを形成される。自陣5メートルラインまで迫られる大ピンチも、FWが一体となって一度は凌ぐ。しかし12分、明大に細かなパスを繋がれ、ついにインゴールを明け渡し、スコアは5ー7に。そして20分には連続失点を許し、5ー14と点差を広げられる。しかし、その後も得点を許しかねない場面で、萩原とCTB森田倫太朗(スポ3=兵庫・報徳)が決死のタックルを見せ、相手を仕留め切った。そして30分、上井草を揺らすビッグプレーが飛び出す。明大のキックを高栁が処理すると、迫り来るディフェンスを次々とかわしてビッグゲイン。自陣22メートルラインから一気に独走し、相手を寄せつけることなくゴールラインを駆け抜けた。その後も森田や萩原、LO米倉翔(スポ3=福岡・修猷館)の鋭いキャリー、さらには相手の陣形を見極めた仲山のキックなど、プライドを示すプレーが続く。しかし得点には結びつかず、10ー14でハーフタイムを迎えた。

力強いボールキャリーを見せるLO萩原

 戦いはセカンドハーフへ。仲山のパスからFL山下広一朗(創理4=東京・早大学院)が抜け出してビッグゲインを奪うと、SH渡邊晃樹(スポ2=神奈川・桐蔭学園)の素早い球捌きからペナルティーを獲得。直後のラインアウトモールを起点にフェーズを重ねた。WTB小澤ジョージィ(スポ4=千葉・流経大柏)は接点で力強く走り込み、渡邊晃も隙あらば自らラックサイドを突き、攻撃を加速させる。13分、ラインアウトモールから前進すると、渡邊晃が起点を作り、仲山が巧みなステップでディフェンスを翻弄。そのままゴールラインをこじ開けた。自らコンバージョンを沈め、スコアは17ー14とこの試合初めてリードを奪う。しかし、明大はフレッシュレッグスを投入して流れを引き寄せた。早大は自陣でゴールラインを背負う時間が続くと、23分、35分に立て続けにトライを許し、スコアは17ー26に。早大は最後まで勝利を諦めず、WTB山下一吹(教4=東京・早実)を中心に攻守で気迫のこもったプレーを見せた。山下一はボールを持てば果敢に前へ出て、守りでは体を張ったタックルでチームを鼓舞。ベンチから部員の『One Shot』コールや声援を背に、稲穂の誇りを体現し続けた。しかし、反撃は及ばず無念のノーサイド。4年間の歩みと想いを背負って臨んだ4年早明戦は、17ー26で幕を閉じた。

インゴールにボールを叩き込むSO仲山

 早大としての伝統と誇りを背負い、4年生は最後まで戦い抜いた。苦楽を共にし、山も谷も経験してきた4年間。決して平坦ではなかった時間を仲間とともに歩んできた。すべてを分かち合いながら乗り越えてきた日々が、この一戦には詰まっていた。受け継いできたものを、そして自分たちの4年間で積み上げてきた何かを次につなげたい。その想いを胸に4年生はピッチに立った。結果は無念の敗戦。しかし、最後まで粘り強く、泥臭く戦う姿によって確かにバトンは受け渡された。これで終わりではない。全員で勝利をつかみにいこう。その先に待つ1月11日、凱歌を響かせるために。

(記事:大林祐太 写真:村上結太、安藤香穂)

コメント

◆LO萩原武大(スポ4=茨城・茗渓学園)

ーー今日の試合どのような思いで試合に臨まれましたか
 早稲田で4年間やってきたことを全て出して必ず勝ちきるという思いで臨みました。

ーー接点ではご自身の激しいプレーが多く見られました。ご自身のパフォーマンスを振り返ってみていかがですか
 もう少しコンタクト局面で前に出たかったのですが、出れず悔しさがのこっています。

ーー何度もゴールラインに攻め込まれても守り切るシーンがありしたが、チームのディフェンスを振り返っていかがですか
 早稲田のプライドとして全員でディフェンスできたことは誇りに思います。

ーー早稲田での4年間を振り返ってみていかがですか
 まだ終わっていないので、いい4年間だったと思えるよう最後まで努力し続けます。

ーー最後に残りわずかなラストシーズンの意気込みをお願いします
 荒ぶるに向けて残り2週間、悔いのないよう1日1日を大切にやりきりたいと思います。

◆SO仲山倫平(法4=ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ) 

ーー今日の試合どのような思いで試合に臨まれましたか
 早稲田の10番を、そして『One Shot』を体現しようという思いで臨みました。

ーー前半は風下で難しい状況でしたが、ゲームメイクはいかがでしたか
 キックとランのバランス、ゲームプランの遂行という点では、悪くなかったです。全体を通して僕自身のキックが安定しませんでしたが、みんながディフェンスで粘ってくれました。セットプレーと、バックスの走力で明治さんの方が上手だったと思います。

ーー早稲田での4年間を振り返ってみていかがですか
 108年間連綿と続くこのチームで、ラグビーに青春を捧げられたことを誇らしく思っています。早稲田ラグビーを通して、人間的にも大きく成長できたことに感謝しています。

ーー最後に残りわずかなラストシーズンの意気込みをお願いします
 自分のできることを100%貫いて、荒ぶるに貢献します。赤黒に袖を通せるように最後まで足掻きます。

◆FB高栁壮史(創理4=東京・早大学院)

ーー今試合のゲームコンセプトを教えてください
 今まで積み上げてきたことを各々発揮して、今年のスローガンである『One Shot』を体現しよう、という想いで臨みました。アタックでは全員が動き続けること、ディフェンスではどのような局面でもファイトし続けることを意識していました。

ーー個人では何を意識して臨まれましたか
 4年間の想いが詰まった特別な試合でしたが、気負いすぎず、自分の役割を全うしようという意識で臨みました。

ーーご自身の強みであるランを活かした場面が見られましたが、振り返ってみていかがでしたか
 アタックで自分が貢献できるのはランだと思っていたので、チャンスがあれば思い切って走るつもりでした。

ーー荒ぶるに向けての意気込みをお願いします
 荒ぶるまであと2勝、チーム一丸となって戦います。引き続き、応援よろしくお願いします。

 

写真ギャラリー

ディフェンスに仕掛けるPR勝矢

ディフェンスのギャップを狙うHO真田

ボールを持って仕掛けるPR荒田

ライン際を駆けあがるFL谷

ラインブレイクするFL山下広

ディフェンスにぶちかますNO・8山本

インゴールに向かって走るWTB小澤ア

ディフェンスに仕掛けるWTB小澤ジ

ディフェンスに仕掛けるCTB金子

浮いたボールに反応するPR蜂谷

スクラムを組むPR成戸

ディフェンスラインに切れ込むNO・8玉川

ライン際でディフェンスと対峙するWTB山下一

ボールキャリーするWTB渡邊琉

ボールキャリーするFB北田

メンバー表