関東大学ジュニア選手権 プレーオフトーナメント 11月29日 対帝京大B 早大・上井草グラウンド

リベンジを果たすことは容易いことではない。一度負けた相手に対し、上回る成長速度で鍛錬を積み、呑み込むほどの熱意で戦う他に道はない。3週間前に12ー36で帝京大Bに敗戦した早大Bは関東大学ジュニア選手権決勝にて、この難題に臨んだ。試合が行われたのは早大のホーム、上井草グラウンド。3週間前は帝京大・百草グラウンドでの完全アウェイな雰囲気だったからこそ、今試合はより一層グラウンドに『One Shot』コールがこだました。前半はブレイクダウンとスクラムで圧力を受け、自陣でのプレーが続いた早大B。帝京大Bの猛攻を3トライに抑えながら、少ないチャンスで1トライ1ゴール1PGを奪い取り、前半の40分を10ー19で終えた。続く後半は立ち上がりで早大Bが試合を支配。帝京大Bが修正する前に2トライを挙げ、逆転に成功。ゲームの要所で粘りのディフェンスを見せた早大Bはここから帝京大Bに並ばれることはあっても、リードは許さない。CTB金子礼人(法4=福岡・西南学院)の値千金のトライで一歩前進した早大Bはタックルで帝京大Bを押さえつけ、16年ぶりにジュニア選手権のタイトルを獲得した。

インゴールにボールを叩き込むCTB金子
帝京大Bのキックオフで始まった決勝戦。いきなりSO田中大斗(教2=東京・早実)が強烈なタックルを受けるなど、立ち上がりから激しさを見せた。自陣でボールを継続した早大Bは圧力を受け、ボールをロストすると帝京大BFWにインゴールを叩き割られ、5分に先制を許した。続く12分、劣勢を強いられていたスクラムからのアタックで数的優位を作られると、最後は右隅にトライを許し、スコアは0ー14となった。ブレイクダウンでも苦戦していた早大Bは帝京大Bのスティールに反撃の芽を摘まれ、思うように敵陣に入りこむことができない。しかし、24分、HO杉村利朗(社2=東福岡)のビッグタックルからターンオーバーに成功するとFB島田隼成(スポ2=福岡・修猷館)がラインブレイク。最後はフォローに走っていた金子がゴール中央にグラウンディングした。7ー14と早めに点差を縮めた早大Bだったが29分、自陣深くのマイボールスクラムで一気にプッシュされ、ボールを奪われてしまう。狭いサイドを縦に速いアタックで突かれてまたも失点。7ー19と思うように帝京大Bの背中を捉えられない中、今試合で大きな役割を担ったのは田中大の正確無比なプレースキック。40分にWTB西浦岳優(社2=東福岡)のブレイクからいいかたちのアタックを展開すると、帝京大Bはたまらずペナルティー。前半ラストプレーで田中大が確実に3点を奪い、9点差で前半の40分を終えた。

ラインアウトモールを押し込むLO萩原
続く後半は早大Bにとって理想的な立ち上がりだったと言える。キックオフで敵陣深くに入りこんだ早大Bはいきなりブレイクダウンで圧力をかけ、帝京大Bに長い笛が吹かれた。2分にゴール前でモールを組むと、コラプシングの反則を誘発。再び落ち着いてモールを形成するため、ボールをタッチに蹴り出すと思われていたが田中大が選択したのは速攻。反応が遅れたディフェンスの隙を突き、自らインゴールに飛び込んだ。さらに4分、LO萩原武大(スポ4=茨城・茗渓学園)とPR山口湧太郎(スポ4=神奈川・桐蔭学園)の好タックルで攻撃権を奪い、そのまま敵陣でのアタックを継続。帝京大Bのハイタックルなどで着実に前進した早大Bは多層的なアタックラインで見事に数的優位を作り出し、WTB鈴木寛大(スポ3=岡山・倉敷)がゴール左隅に飛び込んだ。後半の立ち上がりで早くも逆転に成功し、スコアは24ー19。ようやく今試合初めてのリードを生み出した。8分には帝京大Bがノットストレートの反則を犯すなど、セットプレーでの精彩を欠き始める。主導権を握りつつあった早大Bだったが、2連続のペナルティーでチャンスを取りこぼすと17分に失点。24ー24と帝京大Bに並ばれた。グラウンド内に立ち込める悪い雰囲気を断ち切ったのは途中出場の4年生、両PRの勝矢紘史(スポ4=長崎北陽台)と成戸風太(スポ4=埼玉・川越東)だ。敵陣深い位置の相手ボールスクラムで反則を奪うと、FWが喜びを爆発させる。田中大が冷静にHポール中央にキックを沈め、またもリードした早大B。1トライで逆転されてしまう点数の中、どちらが次のトライを奪うかがこの試合での重要な局面であったことは間違いない。26分、前半苦戦していたブレイクダウンで帝京大Bを圧倒。ゴール前ラインアウトというチャンスで早大Bが選んだのは西浦の奇襲。鋭角に走り込んだ西浦が守備をかき乱すと、最後は金子がタックラーを引きずりながらインゴールに手を伸ばし、値千金の5点を挙げた。34ー24、10点差で試合時間残り10分の最終局面へと突入。点差を一刻も早く縮めようとボールを継続する帝京大Bにディフェンスを乱され、中央にトライを許す。3点差という緊張状態の中、光ったのは早大Bの圧巻のタックルだった。自陣22メートルラインを挟むかたちでの守備が続いたが、崩れることがなかった。全員が立ち続け、15人でトライラインを守り切った一連のプレーはまさに『早稲田プライド』を体現していた。自らの手で優勝を手繰り寄せた早大Bが、16年ぶりにジュニア選手権を制してみせた。

コンバージョンキックを決めるSO田中大
勝利を決定づけた試合終盤のディフェンスについて、「全員きつかった中で、プライドを持って守り切ることができた」と振り返ったのはゲームキャプテンの萩原。Bチームを主戦場とし、思うようにAチームでの活躍の舞台に立つことができなかった苦労人はノーサイドの笛が鳴ると同時に膝から崩れ落ち、涙を見せた。早大Bは11月の初めに帝京大に4連敗を喫し、自信を失いかけていたチームに勢いを与えるタイトルをもたらした。ジュニア選手権はいよいよ閉幕し、関東大学対抗戦も残り一試合。全国大学選手権に向け、シーズンは佳境を迎える。ジュニア選手権で戦っていた選手たちの目標は今大会のタイトルではなく、『赤黒』を着て戦うことに他ならない。関東の大学で最も強いBチームであることを証明した早大B。来週の早明戦で勝利し、早大を関東で最も強い大学であることを証明する。そして、大学選手権で日本一であることを証明するために、彼らは『赤黒』を狙い続け、チームを進化させるだろう。
(記事:村上結太 写真:清水浬央)
コメント
◆LO萩原武大(スポ4=茨城・茗渓学園)

ーー率直に今のお気持ちをお聞かせください
嬉しいです。個人的な話でもありますけど、今年の秋は1試合もAチームで出られてなくて、悔しい時間が続いていました。チームとしても3週間前に帝京Bに完敗して、なかなかうまくいかない時期が続いて、みんなモヤモヤを抱えていました。だからこそこの試合にかける思いは強かったのですが、優勝という結果を残すことができたのは素直に嬉しかったですし、安心しました。
ーー前半はブレイクダウン、スクラムともに苦しい展開でしたが、後半どのように修正しましたか
前半もやられてはいたんですけど、そこまで悲観していませんでした。ハーフタイムでも全然やれると話していました。取られたトライも自分たちのミスからだったりペナルティーが始まりだったので。後半は立ち上がりの10分でリザーブとも含めて自分たちの実力を出し切ることができたのが大きかったかなと思います。立ち上がりでいけるというマインドになって、スクラムもブレイクダウンも改善できたのかなと思います。
ーー11月の初めにジュニア選手権で敗れて以降、どんなところで成長した成果だと思いますか
前回の試合では自分たちがうまくいかない中で盛り返せずに、自分たちから落ちていってしまったところが敗因だったかなと思います。今日の試合中ではミスから失点してしまう似たような場面が何回かあった中で、それでもそこで落ちずに切り替えて自分たちがやるべきことにフォーカスできたことが一番の成長かなと思います。精神的な成長という部分が最も大きかったと思います。
ーー試合終盤のディフェンスを振り返っていかがですか
全員しんどかったし、きつかったと思うんですけど、プライドを持って後半のきつい時間帯でもペナルティーせずに守りきれたことは自信にもなりますし、1年間の成長がしっかり出た部分だったかなと思っています。
ーー今後の意気込みをお願いします
今日の試合が最後のチャンスだと思っていましたし、あとはもうコーチに選んでもらえることを期待したいです。上がれなかったとしてもチームに貢献できることを最後までしっかり続けていたいなと思います。
◆PR勝矢紘史(スポ4=長崎北陽台)

ーー率直に今のお気持ちをお聞かせください
嬉しいです。自分自身は復帰戦でしたし、この間チームとして4連敗した相手に勝てたってことは率直に嬉しいです。
ーー11月の初めにジュニア選手権で敗れて以降、どんなところで成長した成果だと思いますか
前週からベーシックの部分をに立ち返って、リアクションだったり、トランジションのスピードなどを萩原を中心に変えようとずっと話していて、それを徹底した結果が少し見えたのかなって感じです。
ーー後半からの出場でしたが、どんな思いでしたか
難しい状況で自分が出るっていうのはわかってましたし、やっぱりチームに勢いを与えるためにスクラムももちろんですが、それ以外の部分でもとにかくエナジーを出してチームを鼓舞しようってことは考えていました。
ーー試合終盤のディフェンスを振り返っていかがですか
いつもどおりというか、特別なことってよりはもう毎日上井草でやっていることを徹底してできた結果かなと思います。
ーー今後の意気込みをお願いします
少し離脱していて、遅れてしまった部分はあるんですけど、自分の役割は明確なので、チームに求められていることを100パーセントやって『荒ぶる』に貢献していきたいと思います。
◆PR荒田明彦(商4=北海道・函館ラサール)

ーー率直に今のお気持ちをお聞かせください
初めてこのような公式戦でスタメンということで、かなり緊張したのですが結果として勝つことができて素直に嬉しいです。
ーー前半はスクラムで苦戦する場面もありましたが、振り返っていかがですか
スクラムで少し押されてはいたのですが、ベーシックなところを意識して一人一人が役割を遂行することを意識していました。
ーー試合終盤のディフェンスを振り返っていかがですか
早稲田としての粘り強さを帝京相手に見せることができていて、良かったと思います。
ーー今後の意気込みをお願いします
少しでもAチームに関われるように、日々を全力で過ごしていきたいと思います。
◆SO田中大斗(教2=東京・早実)

ーー率直に今のお気持ちをお聞かせください
前のジュニア選手権で帝京負けていたので優勝したっていうよりも、帝京に勝ったっていうその喜びが大きいです。
ーー後半の初めに2トライをあげるなど立ち上がりで試合の流れをつかみましたが、振り返っていかがですか
前半負けて折り返したんですけど、チームとしてはそんなに悪くない形でいたので、後半の最初に一気に畳みかけようっていう話をしていて、その形通りて良かったです。
ーーかなりプレッシャーのかかる中でのプレースキックだったと思いますが、どんな思いでしたか
試合前からセットプレーのところは劣勢になるっていう想定はしっかりしていました。それでも最初はかなりプレッシャー受けましたけど、だんだん適応できてよかったです。
ーー11月の初めにジュニア選手権で敗れて以降、どんなところで成長した成果だと思いますか
個人としては試合前の想定っていうところ、頭の準備のところをしっかりするようになったので、そのあたりが成長したかなと思います。
ーー今後の意気込みをお願いします
ジュニアの試合は今日のこの試合で終わって、今後下のカテゴリーの試合は少なくなっていくので、Aチームの試合に出れるように練習から頑張りたいと思います。
◆CTB金子礼人(法4=福岡・西南学院)

ーー率直に今のお気持ちをお聞かせください
すごい嬉しいです。この前負けた相手なので、2回負けるわけにいかないと思っていた中で勝てたので本当に嬉しいです。
ーーアタックでは粘り強くゲインしている姿が何度も見られましたが、自身の今日のプレーを振り返っていかがですか
自分の役割はきつい時間帯でも自分が打開する、ボールを前に運ぶことはアタックでの自分の役割だと思っています。相手ゴールに近いところでチャンスがある場所に自分が行けたってよかったと思っています。しかし、まだまだ勝って反省できるところもあって、ディフェンスに関してはセルフジャッジしたところでトライを取られてしまい、そこで流れを失いかけたのでそこは反省です。
ーー11月の初めにジュニア選手権で敗れて以降、どんなところで成長した成果だと思いますか
1人1人が自分たちの役割を遂行することができており、またディフェンスに関してはこれまでも粘れてはいたのですが、ディフェンスで球を取り返すことに関して今日は集中力高くできたことが勝因だと思います。
ーー試合終盤のディフェンスを振り返っていかがですか
みんなが集中して、自分の目の前の相手に負けないことだけを考えてプレッシャーかけることができたシーンだったかなと思います。リザーブから入ってきた選手もエナジーがあって、チームが一体となってディフェンスできたことがすごくよかったと思います。
ーー今回の優勝を受け、今後の意気込みをお願いします
2年生くらいからずっとジュニア選手権に出ていて、その中でなかなか勝ててないというモヤモヤもあったのですが、今年ようやく優勝できたのは嬉しいです。Bチームが強いとAチームももっと強くなれると思いますし。ただここで満足するのではなく、『荒ぶる』に自分が絡むということがここからの目標になってくるので、その通過点として今日を捉えたいと思います。
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