【ラグビー】関東大学対抗戦(対抗戦)・青学大戦 連携を魅せ早大が白星を飾る

ラグビー男子

関東大学対抗戦 10月26日 対青学大 夢の島陸上競技場

 関東大学対抗戦(対抗戦)全勝優勝が懸かる中、迎えたのは夢の島競技場での青学大との一戦。前半開始から接点の激しさが見られる試合展開の中、WTB山下恵士朗(スポ2=早稲田佐賀)、WTB田中健想(社2=神奈川・桐蔭学園)が大外からまくる展開が続き39ー7でファーストハーフを終える。後半も早大が先制点を挙げ、勢い止まらぬままにHO清水健伸(スポ3=東京・国学院久我山)がトライラインにボールをねじ込んだ。フレッシュな面々の活躍も光る中、試合終盤にダメ押しのモール成功。青学大戦は59ー12で早大に軍配が上がった。

グラウンドを駆けるWTB山下

 

 早大のキックオフから開幕した今試合。ファーストスクラムでは青学大にアーリーエンゲージを誘われ出鼻をくじかれる。フリーキックから陣地を広げられるものの、LO栗田文介(スポ4=愛知・千種)とFL田中勇成(教4=東京・早実)のダブルタックルでディフェンスを強固にする。勢いづいた早大は5分、相手ボールラインアウトからボールを獲得し、SO服部亮太(スポ2=佐賀工)のハイパントを山下が見事にキャッチし前進。再び服部へとボールが回ると、得意のキックではなく自らランで勝負しラインブレイクに成功。右に待ち構えていた田中健にパスが放られ、インゴールにボールを置いた。先制点を獲得した早大は、敵陣で試合を優位に進める。8分には、さらにランで左へと舵を切った服部から回ってきたボールを受けたLO新井瑛大(教3=大阪桐蔭)がビッグゲインに成功し、一気にゴール前に。ラックから左へと展開されたボールは服部、CTB野中健吾主将(スポ4=東海大大阪仰星)、田中健へと渡り、インゴールにボールを置いた。その後服部が華麗なステップを切り、トライを決めてスコアは17ー0に。しかし、キックオフから青学大のペースに飲まれスクラムではアーリーエンゲージを犯し、さらにノットリリースザボールも許してしまう。自陣ゴール前ラインアウトのピンチに追い込まれ、善戦むなしく右に押し込まれてしまった。流れを変えたい早大は26分、キックオフ直後に栗田が粘り強いタックルをみせてボールを奪い取ると左右に展開し、清水が中央に飛び込んだ。このトライを皮切りに、早大の勢いはさらに加速。自陣相手ボールラインアウトからこぼれたボールをPR杉本安伊朗(スポ3=東京・国学院久我山)が奪い、マイボールスクラムへと持ち込むとNO・8粟飯原謙(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が単独で内側に切り込む。FB植木太一(人2=神奈川・関東学院六浦)から山下が大外から疾走し一気にゴール前に攻めあげるとノットロールアウェイを獲得。安定したスローイングからマイボールモールを形成し、清水がインゴールをこじ開ける。その後も着実にペナルティーゴールを決め3点を追加し、39ー7で試合は折り返し地点を迎えた。

スペースに走りこむSO服部

 

 続く3分、早大の勢いは止まらない。自陣マイボールスクラムからSH糸瀬真周(スポ4=福岡・修猷館)からボールを受けた服部が再びランを選択。順目のパスを山下がキャッチ。ステップで青学大を次々にかわし、右に切り込みゴール前マイボールラインアウトのチャンスを作る。着実にモールを形成し、清水がトライラインに飛び込みスコアは44ー7。ハットトリックを達成した清水は、試合後「自分にもう一回自信を持ってやり遂げようという意識を持った」と語る。10分には糸瀬、野中、CTB福島秀法(スポ4=福岡・修猷館)へと渡ったボールは大外に回ってきた植木の手の中に。得点を重ね、BKの連携プレーはまだまだ続いた。22分、粟飯原がラインブレイクしラインアウトへ持ち込みチャンスを作る。SH川端隆馬(スポ1=大阪桐蔭)から放たれたボールは再び植木へと渡り、グラウンドを駆けた後に外へと放った。待ち受けていた田中健がそのままトライしスコアは54-7となった。33分にはFL久我真之介(文構2=東京・早実)が交代で入り、対抗戦初出場を果たし早大を活気づける。しかし青学大のプレッシャーからか早大がノックフォワードを犯すと、みるみるうちに自陣ゴール前へ。切り抜けたい早大だったがまたしてもペナルティーを犯し、危機から脱出することを許されない。粘り強くディフェンスを強固にした早大だったが、ボールはトライラインにねじ込まれた。1トライを追加した青学大に対し、早大は意地を見せつける。ロスタイムを活用し42分、ゴール前マイボールラインアウトからHO杉村利朗(社2=東福岡)がトライ。59-12で白星を飾り、対抗戦全勝は守られた。

ゴール中央にトライをするHO清水

 

 キックだけでなくランで勝負できることを証明しプレーの幅広さを魅せた服部を筆頭に、各々が今後控える残り三試合を戦いきるために必要なスキルを確認できた試合となった。しかしながら、まだ課題は残る。規律の乱れや得点の精度はさらに上げていかなければならないだろう。次なる相手は帝京大。『One Shot』の掛け声が響き渡る秩父宮ラグビー場で、歩みを進める早大フィフティーンを見逃すな。

(記事:伊藤文音、写真:村上結太、安藤香穂、髙木颯人)

コメント

◆大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)

ーー今試合の総括をお願いします

 今日は『One Team』というテーマで臨みました。今までやってきたことや積み上げてきたことを発揮することを意識しました。セットプレー、アタック、ディフェンス、フェーズでもおおむねよくできました。しかし、特に後半のリズムを崩したあたりから、自分たちの判断ミスや決まりごとができなかったことがあったと思うので、次戦の帝京大戦では修正したいと思います。

 

ーー今試合ではどのようなラグビーを目指しましたか

 まずリザーブのメンバーも変わってますし、今日は城をLOに使ったりして、ポジション変更などでどのような変化が起きるのかというのもありました。自分たちが大事にしているところを80分間出すところはこれとは別で重要としているものだと思います。いろいろチャレンジをしているところではありますが、あくまでも自分たちの枠組みの中でやらなければなりませんし、そこに状況判断とスキルがしっかりしているかが重要だと思います。これはハーフ団に任せているところで、糸瀬と服部のコンビネーションは今までで1番良かったと思うので、そこのレベルはどんどん上がってきているのかなと思います。判断のところも悪くはないのですが、どのタイミングで実行するのかは少し課題が残るのかなと思います。次からは自分たちがしっかり勝っていかなければならない相手の中で、コントロールするところはすべきなのかなと思います。

 

ーーキックゲームはいかがですか

 キックをするかランニングをするかの判断を大事にしていて、ただ単純に蹴るのではなく、攻め方を大事にしていていました。前半は蹴るべきところで蹴れていなかったので、後半に入る際にはそれらを修正するべきだと伝えました。

 

ーー帝京大戦への意気込みをお願いします

 いろいろな戦術やいろいろなフィロソフィーがあるのですが、結局は帝京大に勝つために自分たちが何をするのかが大事だと思います。彼らに勝たなければ分からないことも多くあると思います。夏に負けはしたのですが、その時も対抗戦と選手権で2回勝たなければいけないことを意識していたため練習も厳しさをましました。1日1日の大事さも説いてきたりもしているので、必ず勝ちたいと思います。その準備を自分たちでやっていきたいと思います。

 

◆HO清水健伸(スポ3=東京・国学院久我山)

ーー今日の試合のゲームコンセプトを教えてください
 今日はチームとしてはワンチーム。自分としては自信を持ってプレーをやりきるというところがコンセプトとしてありました。

ーーラインアウトの成功率が高かったですが、どのようなことを意識しましたか
 やはりその自信を持って投げ切るってところを自分でもテーマにしていました。
筑波戦でも結構見られていた部分なので、自分にもう1回自信を持ってやり遂げようという意識をしてやっていました。

ーー帝京戦に向けて、今後何にこだわりたいですか
 セットプレーのところと、自分たちの隙をなくすプレーを遂行するというところは、しっかり凝ってやっていきたいです。

ーー最後に今後の意気込みをお願いします
 1戦1戦勝ちにこだわって、目の前のことに集中してやり切りたいと思います。

 

◆FL久我真之介(文構2=東京・早実)

一一対抗戦デビューでしたがいかがでしたか
 ずっと目標として目指してきたステージなので出場することができとても嬉しく思います。

一一ディフェンス部分ではどのような所にこだわりましたか
 1v1の部分で絶対に引かないことを意識しました。

一一今後も対抗戦に出場するために、どのような課題があると思いますか
 対抗戦に出続けるには、普通のプレイをするだけではいけないと思うので、自分にしかできないプレイを磨いてインパクトのある選手になっていきたいです。

一一今後の意気込みをお願いします
 対抗戦、選手権で活躍できる様な選手になってみせます!

 

◆NO・8粟飯原謙(スポ4=神奈川・桐蔭学園)

ーー今日の試合のコンセプトを教えてください
 今日の試合でのコンセプトは一貫性っていうところです。結構今までのゲームで波があることが試合通じてあったので、そういったところで全部同じテンションでゲームを進めていけるように意識しました。

ーーセットプレーを振り返っていかがですか
 セットプレーも非常に安定してきてモールでのトライも何本かありましたし、いずれ決勝までにここを強みにできれば、さらに強い早稲田を体現できるのかなと思います。

ーー接点で前に出ていましたが、個人のアタックを振り返ってみていかがですか 
 スリッピーでボールが滑りやすいという状況で、自分が安定したボールキャリーをして、内側からえぐっていけるようなところを意識する、そういったアタックマインドを持って取り組めたなと思います。

ーー今後の意気込みをお願いします
 まず次の帝京戦で、いつも通り自分のプレーを見せることができればいいなと思います。

 

◆SO服部亮太(スポ2=佐賀工)

ーー今日の試合のコンセプトを教えてください
 今日は雨ということで、しっかりエリアをとりながら、アタックするところはアタックすることを意識しました

ーー今日のアタックのテーマはなんですか
 アタックに関してはエリアを取るところと、スピードボールを出すところを意識しました

ーー序盤は自らゲインラインを切る場面が多かったですがいかがですか
 前にスペースがあったので自分がキャリーした方が有効的なアタックができると思ったので、そこはスペースをみて判断しました。

ーーキックで試合を作っていましたがいかがですか
 雨や風などによってキックを使い分けないといけないと思うので、落とす場所や蹴るタイミングを練習しないといけないなと思います。

ーー次回は帝京大戦です。意気込みをお願いします
 帝京大を倒すためにたくさんの準備をしてきたので、準備してきたものをしっかり出せるように頑張ります。

 

◆WTB山下恵士朗(スポ2=早稲田佐賀)

ーー今日の試合のコンセプトを教えてください
 Aチームに入って活躍しようという思いが強くて楽しむっていうことを全く覚えてなかったので楽しむっていう思いを持って臨んだ。

ーーボールを手にする場面が多かったですが、自身のプレーを振り返っていかがでしたか
 今までは自信なくて自分から呼び込むっていうのができなかったんですけど、楽しむ上でもっと呼び込んで自分のやりたいことをするっていうイメージを持ってプレーできた。

ーー後半からは雨の中の試合となりましたが、どのような工夫をしましたか
 以前の筑波戦も同じような天候で雨だからあんまり呼び込まないっていうのはあったんですけど、自分のコンセプトが楽しむっていうのと走るっていうのが自分のラグビーの楽しみ方なので、雨でも関係なく自分からボールを呼び込んだ。

ーー次回の帝京大戦に向けて意気込みをお願いします
 1番は楽しむってことを忘れずに、相手が帝京で厳しいこともあると思うんですけど、自分の強みは通用すると思うので自信持って楽しみたいと思います。

写真ギャラリー

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力強くキャリーするFL城

ステップを踏むNO・8粟飯原

ステップを踏むNO・8粟飯原

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