【ラグビー】雨でボールが乱れる中、スクラムで駿河台大を圧倒　早大Ｄがまたも100点ゲーム

秋季オープン戦　１０月２６日　対駿河台大　早大・上井草グラウンド

　シーズンの深まりを告げるような冷たい霧雨が降る上井草グラウンドで行われたのは早大Ｄと駿河台大の一戦。16名の１年生がメンバー登録され、各学年の選手が混在する早大Ｄだったが、見事な連携で駿河台大を圧倒して見せた。スクラムでは８人が１つになった圧倒的なパワーを見せつけ、攻撃では的を絞らせない連動した動きでトライを量産。前半だけで９トライを挙げ、59ー０と大差で40分を終えると、後半も早大Ｄのトライショー。駿河台大に得点の予感を感じさせることもなく、107ー０と大差で勝利して見せた。

ライン際を駆けあがるＷＴＢ小貫

　駿河台大のキックオフで始まった試合はいきなり早大Ｄの好キックで敵陣でのラインアウトを得る。コンタクトが起こるたびに前進した早大Ｄは思い通りのアタックの形を作り出し、ＷＴＢ小貫壮太（教３＝東京・早大学院）がインゴール右隅に滑り込んで早くも先制点。続く４分、５分の相手ボールスクラムでペナルティーを立て続けに獲得すると、ゴール前でモールを形成。密集からパスされたボールをＣＴＢ藤井雄士（社２＝北海道・札幌山の手）が力強いキャリーでゴール目前まで持ち込むと、最後はＨＯ野村怜央（商１＝兵庫・報徳学園）がグラウンディングに成功。今試合は雨でボールが落ち着かない試合だったため、スクラムを支配した早大Ｄが優位に立つのは当然の展開であった。９分、またも相手ボールスクラムをペナルティーでターンオーバーすると敵陣ラインアウトをすぐにセットし、駿河台大ディフェンスが揃う前に攻撃を始めた早大Ｄ。ＳＯ寺田結（スポ２＝広島・尾道）が守備の乱れを見逃さず、ラインブレイクに成功すると早いテンポで順目に展開。最後はＦＢ細田悠介（スポ２＝福岡・修猷館）がインゴールを駆け抜けた。セットプレーで試合の流れを完全につかむと、22分にモールでも得点を挙げる。再開のキックオフをキャッチしたＮＯ・８山下広一朗（創理４＝東京・早大学院）がラインブレイクするとＣＴＢ鈴木彪馬（スポ２＝東京・国学院久我山）がオフロードパスをキャッチ。敵陣深くに持ち込み、最後はインゴール左隅にＳＨ安岡叶夢（社２＝大阪桐蔭）が飛び込んだ。この時点でスコアは31ー０。続く26分、小貫が快足を生かしてこの日２本目のトライを挙げ、36分にはＣＴＢ齊藤慧士郎（社１＝宮城・仙台第三）のナイスタックルから得た反則をＦＬ谷司馬人（教４＝東京・早実）が素早く再開し、ゴール中央にボールを置いた。終了間際に鈴木彪、ＮＯ・８髙橋松大郎（スポ３＝愛媛・松山東）が得点を追加し、59ー０で前半を終えた。

力強くヒットするＣＴＢ藤井

　メンバーを代えつつ迎えた後半だったが、試合は変わらず早大Ｄペース。１分に早くもＷＴＢ後藤洸輝（スポ１＝大分・玖珠美山）が追加点を挙げる。さらに４分にはＬＯ岩尾隼悟（教１＝神奈川・湘南）のゲインをきっかけにテンポが生まれると、最後は齊藤がタックラーをはじき飛ばしながらインゴールに飛び込んだ。71ー０と次々に点差を広げていく。後半から出場したＬＯ松澤慶（スポ２＝早稲田佐賀）とＰＲ蜂谷謙介（基理４＝東京・早大学院）のナイスタックルで試合全体のコンタクトが熱を帯びると、16分にはＦＢ北田琢麿（スポ４＝埼玉・川越東）もトライ。24分にはＨＯ丸橋怜央（商３＝埼玉・早大本庄）がゲインしたところから良い形でのアタックを展開した早大Ｄ。これは惜しくもゴール前でノックフォワードとなったが、相手ボールスクラムを押し込むと判定はキャリーバック。絶好のチャンスを迎え、敵陣でのアタックを継続すると最後は蜂谷がゴール中央にグラウンディング。部員席からは歓声が上がった。続く30分、駿河台大に自陣まで攻め込まれた早大Ｄだったがボールを奪い返すとＣＴＢ佐藤世那（スポ１＝神奈川・桐蔭学園）がロングゲイン。一気に敵陣深くまで侵入するとＳＯ古瀬莊（スポ１＝静岡聖光学院）が自ら仕掛け、少ない手数で追加点を挙げた。33分にはまたも佐藤世がディフェンスのギャップを突いたランでブレイクに成功すると、最後はＦＢ國田泰裕（法１＝東京・早大学院）がタックラーを引きずりながらインゴールを叩き割り、スコアは99ー０。36分に國田が連続でトライを挙げ、ノータイムに後藤が得点を追加したところでノーサイド。107ー０と圧倒的なスコアで駿河台大を打ち破った。

インゴールに飛び込むＦＢ國田

　「相手に合わせるのではなく、自分達のやるべき事を」。今試合のコンセプトを振り返ったのはゲームキャプテンの谷。早大Ｄとしては２週間前に行われた武蔵大との一戦から連続での100点ゲームとなった。どちらの試合でも顕著だったのは、自陣からでもボールを保持して仕掛ける攻撃の積極性。今日の試合では雨の影響でボールが乱れる場面もあったが、ＦＷの圧倒的なスクラムでミスすらもチャンスにつなげた。見事と言えるような試合展開でも、各選手は細かな課題に目を向ける。目標の『赤黒』のために、そして『荒ぶる』のために、彼らの成長がチームを押し上げていく。

（記事：村上結太　写真：清水浬央）

◆ＦＬ谷司馬人（教４＝東京・早実）

ーー今試合のチームとしてのゲームコンセプトを教えてください
　『ワセダスタンダード』でした。相手に合わせるのではなく自分達のやるべき事をしっかりやる。そうすれば、勝利できると信じ、このコンセプトにしました。

ーースクラムで圧倒していましたが、スクラムの完成度はいかがですか
　圧倒できてはいたものの、細かい部分の突き詰めはまだまだだと感じたので完成度としてはあまり高くないのかなと感じています。

ーー寒い雨の中でのプレーでしたが、チームとしてなにか意識していたことはありますか
　雨の日なのでボールが落ちる場面が多くなると感じていました。そのため、素早いセービングなど早稲田のスタンダードを徹底させるようにチーム全体に意識させていました。

ーーラストイヤーにかける思い、意気込みをお聞かせください
　本日はご声援ありがとうございました。チームとしても個人としてもまだまだ成長するべき部分は沢山あります。４年生という立場上日数もチャンスも減ってきてますが、自分の強みを最大限発揮し、最後まで足掻き続け、荒ぶるに貢献していきます。今後ともご声援のほどよろしくお願いします。

◆ＰＲ蜂谷謙介（基理４＝東京・早大学院）

ーー今試合に臨むにあたって、どのようなプレーを意識しましたか
　後半からの出場ということで、試合の勢いを加速させようと思い臨みました。

ーースクラムで圧倒していましたが、手応えはいかがでしたか
　スクラムは圧倒していましたが、自分たちが練習していたスクラムではなかったので修正する必要があると思いました。

ーーフィールドプレーでもコンタクトで強みを見せていましたが、今試合の自身のプレーを振り返っていかがですか
　今日は縦に強いプレーをしようと思っていたので、それができてよかったと思います。

ーーラストイヤーにかける思い、意気込みをお聞かせください
　後悔しないように日々を全力を過ごします！

◆ＣＴＢ佐藤世那（スポ１＝神奈川・桐蔭学園）

ーー今試合に臨むにあたって、どのようなプレーを意識しましたか
　自分の強みである縦のプレーとゲームコントロールを意識して臨みました。ボールをもらう前の動きやアングルの取り方、一つ一つこだわりながらプレーしました。ゲームコントロールの部分では、ＦＷとＢＫの連携を意識し、チーム全体の流れを作ることを心がけました。

ーーＢＫのアタックでのコンセプトや意識していたことはありましたか　
　アタックプレッシャーを積極的にかけることを意識しました。ＦＷがしっかり前に出てくれたので、ＢＫとしても流れを生み出す意識をもってプレーしました。

ーーラインブレイクが印象的でしたが、今試合の自身のプレーを振り返っていかがですか　
　これまで練習をしてきたボールのもらい方の部分では、少しずつ成果を実感できるようになりました。しかし、最後の取りきる場面やトライにつなげる部分には、多くの課題が残っていると感じました。

ーー今後の意気込みをお願いします　
　ライバルが多いポジションだからこそ、自分自身の強みを最大限に発揮し、上を目指す意識を持ちながらも、常に自分自身と向き合い、一日一日の努力を積み重ねていきます。