秋季オープン戦 10月19日 対慶大C 慶大・日吉グラウンド
日は沈み、時折雨が降る中行われた早大Cと慶大Cの一戦。次第に下がる気温とは裏腹に、早大Cは開始直後から果敢に攻め込む。早くも前半2分に先制点を奪うと、立て続けに得点を奪い31ー0で試合を折り返した。続く後半も早大Cは攻撃の手を緩めない。一時は膠着(こうちゃく)状態も訪れたが、早大Cはボールを継続して得点の機会を伺う。27分にインゴールを明け渡したものの、試合終了間際に得点を重ねた早大Cが73ー5で白星を奪い取った。

ゴールを狙うSO池山
SO池山昂佑(商3=東京・早実)のキックで幕が開けた今試合。キックオフボールをFL多田陽道(商2=東京・早実)が好プレッシャーから直接キャッチし、華麗な試合の入りをみせた早大C。先制点は早くも2分。相手ゴールを目前としたマイボールスクラムでCTB菊川迪(スポ2=兵庫・報徳学園)が力強いキャリーから前進し、起点を作る。するとSH渡邊晃樹(スポ2=神奈川・桐蔭学園)がラックサイドのギャップを見逃さず飛びこんだ。池山のゴールも決まり7ー0とする。ここからは早大Cが攻撃の時間を長く握るも、ハンドリングエラーが重なり得点には至らない。それでも守備から積極的にプレッシャーをかけ、ディフェンスを起点として果敢に前へと攻め込んでいった。16分、菊川が鋭い出足のディフェンスから相手を仕留め、反則を誘う。池山のキックから敵陣ゴール前まで進む。ラインアウトモールから渡邊から池山、菊川、FB高栁壮史(創理4=東京・早大学院)までボールをつなぐと、最後はWTB小澤ジョージィ(スポ4=千葉・流経大柏)がグラウンディングし、12ー0。30分には、高栁がライン際でビッグゲインを切ると渡邊が素早く捌き、池山がスペースにボールを運ぶ。菊川が相手ディフェンスをずらしながら前進し、そのままゴールラインを叩き割った。一時は慶大Cに細かいパスをつながれ、ゴール前まで攻め込まれるピンチの場面もあったが、ディフェンスでも15人でつながり続けた早大Cはスティールに成功し、凌ぎ切る。37分にはラインアウトモールからHO野口大雅(文構3=東京・早実)、そして40分にはキックパスを受け取った小澤ジが得点を奪う。31ー0として前半を終えた。

力強いキャリーを見せるLO惟村
迎えた後半、早大Cは大きくメンバーを入れ替える。4分、SO寺田結(スポ2=広島・尾道)のキックから大きく前進すると、CTB松本桂太(スポ1=神奈川・桐蔭学園)からCTB若林海翔(社1=東海大大阪仰星)にボールをつなぎゴール目前まで攻め込む。FWでフェーズを重ね、最後は隙を逃さずラックサイドを突いたSH宮下羚(文構2=東京・早実)がトライラインにボールを置いた。寺田のキックも決まり38ー0に。20分には、相手ボールのスクラムから早大Cがペナルティーを獲得すると、寺田のキックで敵陣へ。NO・8荒木鷲摩(法1=北海道・函館ラサール)がディフェンスラインを突破してインゴールに飛び込んだ。27分、早大Cにピンチが訪れる。慶大Cが鋭いステップと細かなパスをつなぎ大きく前進。LO惟村詠甫(基理3=神奈川・桐蔭中等教育)が高いワークレートからビッグタックルを決め、続くFB小野晏瑚(スポ1=徳島・城東)のタックルからターンオーバーに成功。寺田のキックで陣地を回復するも、直後のラインアウトモールから慶大Cにインゴールを明け渡した。ゴールは決まらず45ー5に。35分には、ペナルティーからPR成戸風太(スポ4=埼玉・川越東)が速攻を仕掛けて大きく前進。またもや反則を誘発する。相手ゴール前でチャンスを獲得した早大Cはスクラムを選択。早大のベンチ前ということもあり、試合を見つめる仲間からも大きな声援が届く。部員全員の『One Shot』の掛け声とともに押し込んだスクラムで早大Cは立て続けにペナルティーを獲得。最終的にはペナルティートライが認定されて52ー5とする。このシーンは今試合のハイライトと言えるだろう。今年のスローガンである『One Shot』にあるように好機を確実に仕留め、そしてFW8人だけではなく部員全員で奪ったトライだった。37分と39分には、こぼれ球に反応したWTB山下一吹(教4=東京・早実)と若林のそれぞれが得点を挙げ66ー5に。40分には、モールからNO・8狭間大介(スポ3=福岡)が抜け出すと、宮下のトライ。右隅からの難しいゴールを寺田が冷静に沈めると同時にノーサイドの笛が鳴り響く。終始試合を支配した早大Cが73ー5で慶大Cを破った。

相手をなぎ倒すNO・8荒木
今試合で大量得点を挙げた早大C。大幅なメンバー交代後も攻撃のクオリティーを落とさなかった点は、大きな収穫と言える。そして、その中でも強い存在感を放ったのが渡邉と菊川だ。渡邉はテンポの速い球捌きでスペースへとボールを運び、チームの攻撃を巧みにコントロール。菊川は攻守両面で体を張り続けた。攻撃では鋭いヒットでゲインラインを突破してトライの起点となり、守備では素早い出足から鋭いタックルを決め、慶大Cの攻撃の芽を摘み取った。そして今試合は『One Shot』を体現した試合でもあるだろう。早大Cは敵陣22メートルラインに入るたびに確実にトライを奪い切り、堂々と自陣へと戻っていった。シーズンが深まるにつれてカテゴリーをあげる機会は限られていく。しかし、今試合でチャンスをつかみ取った彼らは、これからもその好機をつかみとっていくだろう。
(記事:大林祐太 写真:村上結太、大竹瞭)