関東大学ジュニア選手権 9月21日 対明大B 明大・八幡山グラウンド
早大と明大のプライドをかけた戦いは、Aチームだけに留まらない。来る冬に向けて虎視眈々(こしたんたん)と『赤黒』を狙う彼らもまた、関東大学ジュニア選手権での明大Bとの試合には一段と気合が入っているようだった。気迫がぶつかりあう前半、明大Bに先制得点を許してしまったもののFWとBKの連携プレーで同点に持ち込む。さらなる激戦の末に28-12で前半を折り返し、流れをつかんだ早大Bは勢いそのままにディフェンスを強固にしていった。そのまま後半は明大Bの得点を許さず50-12で試合終了のホイッスルが鳴り響く。伝統の早明戦を前にして、敵地・八幡山で早大Bは勝利を挙げた。

ラインブレイクするFB植木
試合開始のホイッスルが鳴り、明大Bのキックから始まった今試合。開始直後から明大Bが牙を剥く。前半1分、ノットリリースザボールの反則を許した早大Bは続けてパスミスを犯してしまう。ゴール前まで陣地を広げられた早大Bは、明大Bのモールに堪えきれずに先制トライを許してしまう。悔しい幕開けとなったが、ここから早大Bが巻き返しを図る。前半12分、自陣10メートルライン付近で作られたマイボールスクラムから、LO米倉翔(スポ3=福岡・修猷館)、PR前田麟太朗(スポ2=神奈川・桐蔭学園) 、NO・8松沼寛治(スポ3=東海大大阪仰星) がゲイン。フォワード陣が22メートルラインまでボールを運ぶと、BKへとパスが渡りCTB金子礼人(法4=福岡・西南学院)がステップを踏み、明大Bをかわしながら左へと展開していく。SO田中大斗(教2=東京・早実)がWTB山下恵士朗(スポ2=早稲田佐賀) へとボールを渡し、左から大きく回ってトライライン中央に置いた。コンバージョンゴールも成功し7-7へと追いつくと、続く15分、ハーフウェイライン付近センタースクラムからSH川端隆馬(スポ1=大阪桐蔭) が右側に蹴りだし50:22に成功。意表をつくプレーを見せ、観客を沸かせた。その後、CTB島田隼成(スポ2=福岡・修猷館)、山下、FL久我真之介(文構2=東京・早実) へとつながれたボールを受けとった田中が大外へと蹴り、走りこんだFB植木太一(人2=神奈川・関東学院六浦) がキャッチしトライラインを駆け抜けた。このまま点差を広げると思われたが、明大Bもジュニア早明戦に懸ける意地を見せつける。早大Bのノックフォワード、そしてスクラムでのアーリープッシュを誘い、流れは明大Bへと切り替わる。27分、明大Bのラインアウトから展開され攻め込まれるものの、島田が粘り強いタックルで明大Bの足を止めた。マイボールモールへと持ち込んだ早大BはHO杉村利朗(社2=東福岡)が抜け出しラックを作り、ボールをBKへと渡してWTB鈴木寛大(スポ3=岡山・倉敷)がトライ。両校のプライドがぶつかり合う中、28-12で試合を折り返した。

インゴールへ走るNO・8松沼
互いの伝統がぶつかる前半を終え、後半では早大Bの猛攻撃が始まる。早大Bのキックオフから始まった後半は自陣ラインアウトから杉村、そして鈴木へと渡り、明大Bの隙を狙ったキックで一気に陣地を広げることに成功。さらに山下が得意のランでゲインすると、続く久我、松沼も大きく前進し田中へとパス。またもや前方向にキックし陣地を広げると、植木が後方からボールを追いかけそのままトライ。流れに乗る早大Bは6分、明大Bのアタックに対して前田がスティールを決め観客をどよめかせた。勢いそのままに追加点を挙げ、スコアは40-12となった。1年生ながら的確にチームを鼓舞する川端の声掛けが響く中、22分には敵陣ラインアウトをLO紀伊龍二(商4=東京・早実)がキャッチし、BKへとボールを回す。川端、田中、鈴木へと流れるようにつながれたパスは走りこんできた植木の手の中に収まり、そのまま勢いよくグラウンドを駆け抜け、さらなる追加得点を挙げる。試合も終盤に差し掛かり、38分には明大Bが追い上げを見せ、ジュニア早明戦に懸ける意地を感じさせたものの、田中がボールを蹴りだしノータイム。後半は無失点に抑え、50-12と快勝でジュニア選手権初戦を終えた。

ボールを運ぶSH川端
試合終了後、明大Bの選手の目には涙が浮かんでいた。山下が「ジュニアとはいえ早明戦なので、早稲田としてのプライドを持って絶対に勝つことを意識した」と振り返るように、12月に行われる早明戦さながらの意気込みで挑んだ今試合。強敵・明大Bに快勝した今試合は今後に続くジュニア選手権、そして関東大学対抗戦を勢いづけてくれるだろう。『赤黒』を目指し切磋琢磨を続ける早大Bの今後の躍進に注目していきたい。
(記事:伊藤文音 写真:村上結太、大林祐太)
コメント
◆LO萩原武大(スポ4=茨城・茗渓学園)
ーーチームキャプテンとして何を意識しましたか
早稲田スタンダードってところをテーマにしていました。地味なプレーとか痛いこととかそういうことをしっかり一人一人改善していこうということでテーマにしました。
ーーディフェンスの部分ではどのようなところにこだわりましたか
コリジョンバトルです。やはり明治さんは体がとても大きくてうちの方が小さいですけど、しっかり前入れてプレッシャー上げて止めるというところでしっかり体を張ることを頑張るという意味でコリジョンバトルをテーマに掲げました。
ーー明大相手のラインアウトでは何を意識しましたか
やはり明治さんは大きいのでラインアウトに苦戦するかなと思ってたんですけど、スキルの部分を発揮してアタックでもディフェンスでもしっかり自分たちのやりたいことができたと思います。
ーー今後の意気込みをお願いします
個人としてはまたAチームにあがるということと、全体においては全カテゴリー全勝で『荒ぶる』に貢献できればと思います。
◆PR勝矢紘史(スポ4=長崎北陽台)
ーー今試合のゲームコンセプトを教えてください
チームとしては早稲田スタンダードをテーマとして掲げていて、早稲田が大切にしているガッツや起き上がりの部分やブレイクダウンの場所といった自分たちにフォーカスして試合に臨みました。
ーー個人のゲームコンセプトを教えてください
早稲田スタンダードのところで、1つ1つのスクラムの部分やブレイクダウンの激しさ、起き上がりのスピードの部分といった小さいところに集中して臨みました。
ーースクラムのペナルティが多かったですが手応えはいかがでしたか
前半、レフリーのアジャストに苦しんだ部分はあったのですが、ゲームを優位に進めることはできたので、総じて及第点なのかなと思います。
ーー今後の意気込みをお願いします
これからジュニア選手権や対抗戦が続く中で一試合も落とせませんし、自分は『赤黒』を着てスタメンで試合に出ることが目標なので、自分の出来ることにフォーカスしてやっていこうと思います。
◆SO田中大斗(教2=東京・早実)
ーー今日の個人としての試合テーマを教えてください
アタックではコミュニケーションのところと、ディフェンスでは個人のタックルの部分を意識して試合に臨みました。
ーージュニア早明戦に対してどんな気持ちで試合に臨みましたか
先週行われた関東大学対抗戦の日体大戦を終えて、チームとしてパフォーマンスの一貫性というテーマが挙げられました。まずはジュニアの早明から流れを作っていこうという話が出ていました。Bチームに関しては、特に金曜日にいい練習ができたので、試合でもいい結果が得られたのだと思います。
ーーゲームメイクが光っていましたがいかがでしたか
FWがしっかり前に出てくれて、BKも縦に強いプレーをしてくれたので、個人的にはすごい楽にゲームを組み立てられたと思います。
ーー今後の意気込みを教えてください
今日の勝利は嬉しいですけど、自分が出たいのはAチームの試合なので、1回1回の練習を大切にしていきたいと思います。
◆WTB山下恵士朗(スポ2=早稲田佐賀)
ーー今日の試合の個人テーマを教えてください
ジュニア選手権の第1戦が明治で強敵というのはあったので、勝ちにこだわってAチームの勢いづけになればいいと思って挑みました。
ーージュニア早明戦はどんな気持ちで試合に臨みましたか
ジュニアとはいえ早明戦なので、早稲田としてのプライドを持って絶対に勝つことを意識しました。
ーーライン際での力強いランが目立っていましたがいかがですか
自分の強みはランだったり粘り強いところだったりするので、そこでは絶対に負けないという気持ちで臨みました。
ーー今後の意気込みを教えてください
今後ジュニア戦や対抗戦があるので、一戦一戦自分のアピールになるような試合をしていきたいです。