【ラグビー】立ち上がりで苦戦した早大D 安定感のあるアタックでリードを広げ、40ー24で天理大に勝利

ラグビー男子

夏季オープン戦 8月23日 対天理大D 早大・菅平グラウンド

 18日間に及ぶ夏合宿もついに最終局面。菅平での厳しい日々でどのように成長したのか証明するべく、選手たちは天理大との練習試合に臨んだ。試合は立ち上がりで反則を奪われ、早大Dは思うように流れを掴むことができない。先制点を許し、苦しい展開となった今試合だったがSO寺田結(スポ2=広島・尾道)の安定感のあるアタックを軸にゲームを組み立てなおすと、前半は21ー5とリードして折り返した。続く後半も先制点を奪われるなど、天理大に反撃の隙を与えてしまい、一時は2点差にまで詰め寄られる展開に。しかし後半から出場した選手たちがチームに勢いをもたらすと試合終盤でリードを広げ、40ー24で見事に白星を飾った。

力強くボールキャリーするSO寺田

 試合開始3分、早大Dは相手ボールスクラムでアーリーエンゲージの反則を取られると、速攻で一気に自陣へと侵入を許す。ゴール前で天理大にラインアウトモールを組まれるというピンチを迎えるが、相手のノックフォワードで何とか失点を免れた。しかし早大Dはその後もスクラムでペナルティーを奪われるなど劣勢な試合展開となり、10分に先制のトライを許した。立ち上がりでの立て続けの反則で試合の流れを握られた早大Dだったが、13分に相手ボールスクラムでペナルティーを獲得すると、その後は敵陣でのプレータイムが続く。16分、敵陣22メートルライン付近から寺田がゴール左隅を狙ったグラバーキックを蹴ると、WTB小澤ジョージィ(スポ4=千葉・流経大柏)が反応。しかし惜しくもグラウンディングすることができず、得点には結びつかなかった。それでも攻撃を継続した早大Dは26分についに得点を挙げる。キックカウンターから中盤でフェーズを重ねた早大D。寺田の真後ろから回ってきたCTB藤井雄士(社2=北海道・札幌山の手)がディフェンスのギャップを突く巧みなランを見せると、一気にゴール前へ。早いテンポでFWがボールを押し込み、LO惟村詠甫(基理3=神奈川・桐蔭中等教育)がインゴールをこじ開けた。キックも成功し、スコアは7ー5。続く34分には9シェイプでNO・8荒木鷲摩(法1=北海道・函館ラサール)がラインブレイクすると、フォローに走っていた寺田がゴール目前までボールを持ち込むことに成功。最後はFB小野晏瑚(スポ1=徳島・城東)がインゴール左隅に飛び込んだ。さらに38分、マイボールスクラムで天理大の2度目のアーリーエンゲージの反則を獲得すると、長い笛が吹かれる。敵陣深い位置でラインアウトモールを形成した早大Dはじわじわと前進。BKラインへとボールを展開し、小野が連続トライを挙げて前半が終了。立ち上がりで苦戦を強いられたが、21ー5とリードして試合を折り返した。

ラインブレイクするCTB藤井

 後半開始すぐのスクラムでペナルティーを取られた早大Dは5分に失点。点差を縮められたが、11分に寺田がすぐに取り返した。15分、20分に天理大に追加点を許すとスコアは26ー24。2点差にまで詰め寄られる展開に。天理大を突き放したい早大Dはブレイクダウンで圧力をかけてペナルティーを誘発すると試合の流れを引き寄せる。25分、天理大の反則から敵陣22メートルライン上でラインアウトを獲得した早大Dはモールを形成。ボールを回すことなくじわじわと前進を続け、ついにトライラインを叩き割った。その後は中盤での攻防が続いた今試合。早大Dの選手たちは試合終盤になっても足を止めることはなく、最後まで勝利のために戦い続ける姿勢が印象的であった。試合を決定づけたのは37分。SH中川空河(人1=福岡・修猷館)がブレイクダウンでボール奪取に成功すると、FWで着実に前進を図る。CTB山口滉太郎(教1=東京・早実)からパスを受け取ったFL小林商太郎(教1=東京・早大学院)がラインブレイクに成功すると、最後はCTB能町光(スポ2=神奈川・日大藤沢)がゴール中央にグラウンディング。40ー24と16点差で天理大に勝利した。

タックラーをかわすCTB能町

 試合の立ち上がりやスクラムに課題が残る早大Dだが、苦しい展開に持ち込まれても自分たちのかたちを貫き通し、16点差での勝利を掴んだ。「とにかく悔いの残らない夏合宿にしようと思っていた」(PR荒田明彦、商4=北海道・函館ラサール)。早大Dとしては帝京大にも勝利し、天理大にも勝利してこの夏合宿を終えた。ジュニアカテゴリーから勝負に対するこだわりを見せることは、『強い早稲田』を体現するためには不可欠であろう。夏合宿を終え、シーズンはいよいよ佳境を迎える。全員が本気で『赤黒』を、『荒ぶる』を目指す姿勢でチームを押し上げて欲しい。

(記事:村上結太 写真:早大ラグビー蹴球部提供)

コメント

◆PR荒田明彦(商4=北海道・函館ラサール)

ーー個人としてのプレーで意識していたことはありますか
 アタック、ディフェンスのコンタクトの局面で、引かずに前に出る事、勢いのあるプレーをする事を意識していました。

ーースクラムの手応えはいかがでしたか
 スクラムではうまく自分のやりたいスクラムができず、沢山の課題が見つかりました。下山してこの見つかった課題を克服し、成長します。

ーー最後の夏合宿となりましたが、どんな成長ができましたか
 最後の夏合宿というのもあり、とにかく悔いの残らない夏合宿にしようと思っていました。怪我もなく合宿を終えることができ、良かったです。合宿を通じて自分の強みと課題を改めて実感することができたことが大きな収穫でした。

ーー今後の意気込みをお願いします
 対抗戦、選手権で赤黒を着て試合に出るためにこのラストイヤー、最後まで悔いなく、がむしゃらにやりたいと思います。

◆SO寺田結(スポ2=広島・尾道)

ーーゲームメイクで意識していたことはありますか

 前節で課題として出た内と外がつながってアタックの意思統一をすることと、この合宿でずっと取り組んできた縦に強いプレーを軸に試合を組み立てることを意識しました。

ーーキックの成功率が高かった印象ですが、振り返っていかがですか

 特に試合の前半はスコア的にも油断のできない試合でキックの点数が試合を左右すると思ったので、絶対に外せないという気持ちで蹴りました。

ーー今年の夏合宿ではどんな成長ができましたか

 一日中ラグビーに集中できる環境で試合を重ねることによって、試合でしか経験できないことを多く感じることができ、今後の課題が明確になったことが一番の成長だと思います。

ーー今後の意気込みをお願いします

 1日でも早く赤黒に袖を通すに相応しい選手となって、チームに貢献できるように頑張ります。

◆CTB藤井雄士(社2=北海道・札幌山の手)

ーー今試合のプレーで意識していたことはありますか
 縦に強いという自分の長所を試合の中でCTBとして発揮することを意識していました。ディフェンスでは常に前に出てハードワークし強いタックルをすることを意識していました。

ーーアタックでの出来栄えはいかがですか
 アタックは縦に強いプレーを何回か見せることができましたが、CTBとして外のランナーを活かすことや、スピードチェンジなどのフィットネスの部分で課題を感じました。

ーー今年の夏合宿でどんな成長ができましたか
 これまでよりもフットワークを意識してアタックすることで、自分の長所の強いプレーをより強調させるスキルを身につけることができました。

ーー今後の意気込みをお願いします
 強い先輩方や同期達に負けているままではなく、いち早く追いついて抜かして赤黒を着るに相応しいプレイヤーへと成長します。

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