夏季オープン戦 8月16日 対帝京大 アンダーアーマー菅平サニアパーク
日本中のラガーマンが一堂に集う菅平・サニアパークメイングラウンドにて夏の大一番、帝京大との一戦が行われた。帝京大のキックオフで試合が始まると、序盤から早大のディフェンスの厚さがひかる。前半2分、LO栗田文介(スポ4=愛知・千種)とFL田中勇成(教4=東京・早実)のダブルタックルで相手ペナルティーを誘いターンオーバー。さらに前半15分、自陣22メートルライン付近でのモールディフェンスでは帝京大を完全に抑え込み堅守を貫く。しかしその直後、一瞬の隙を突かれ痛恨のファーストトライを許してしまう。すかさず反撃にでた早大は清水健伸(スポ3=東京・国学院久我山)がインゴールにボールをねじ込み、5ー7と反撃の狼煙をあげたところで前半戦が終了する。後半もセットプレーで優位に立つ早大だったが、あと一歩のところで攻めきれない。後半8分、相手ラインアウトのアンストラクチャーから追加点を許すと、そこから立て続けに3トライを献上し点差を広げられてしまう。このまま終われぬ早大は後半35分にモールで押し切り追加点をあげると、試合終了間際にSO服部亮太(スポ2=佐賀工)が個人技でラインブレイク。そこに反応したWTB山下恵士朗(スポ2=早稲田佐賀)がインゴールに沈めたが、17ー35で試合終了。苦汁を舐める夏の一戦となった。

パスするCTB野中
春の連戦を終え、全国のラガーマンたちの合宿シーズンとなる真夏のこの時期は、秋に控える関東大学対抗戦(対抗戦)前にライバルたちと手合わせができる最後のチャンスでもある。その中でも早大と帝京大のカードは多くのファンが注目する一試合だ。今夏はどっちが強いのか。多くの観客の期待が高まる中、帝京大のキックオフで試合の火蓋は切って落とされた。試合開始直後からお互い一歩も譲らぬ攻防が繰り広げられる。前半2分、栗田と田中の鋭いダブルタックルでターンオーバーを演出すると、その後もディフェンスフェーズ中にジャッカルに成功。フィジカルバトルで優位に立った早大はセットプレーでも鉄壁を見せつけた。8分、ファーストスクラムでプレッシャーをかけ、ペナルティーを獲得すると一気に敵陣へ攻め込む。敵陣22メートルライン付近でラインアウトを獲得した早大はサインプレーで絶え間なくアタックを展開するが、ペナルティーを犯しエリアを自陣22メートルラインまで戻されてしまう。しかし堅守の早大は自陣でのモールディフェンスで帝京大FWに一度も前進を許さず、これを防ぎきる。いい流れに思えたのも束の間、早大右サイドに数的有利の状況を作った帝京大に一瞬の隙を突かれ痛恨のファーストトライを許してしまう。ディフェンスでは一貫した精度の高さを維持するも、アタックではミスやペナルティーに苦しめられた早大だが徐々に攻撃のギアをあげていく。33分、栗田のビッグゲインからトライラインに迫り猛攻を仕掛けるも、ボールが手につかずノックオン。このまま試合を折り返すかと思われたが、スクラムで帝京大が二度のアーリーエンゲージを犯し、前半ラストワンプレーは早大のアタックターンとなる。敵陣22メートルライン内のラインアウトからCTB黒川和音(人4=茨城・茗渓学園)がラインブレイクすると、SO野中健吾主将(スポ4=東海大大阪仰星)の持ち出しに反応して内側に走り込んだ清水が待望のトライを叩き込み5ー7でファーストハーフが終了する。

力強くディフェンスに仕掛けるLO栗田
後半戦も「相手のディフェンスのプレッシャーや自分たちのミスのせいで上手く攻めれなかった」と服部が振り返るように、早大は自らのペナルティーに苦しめられる展開となる。後半3分、相手スクラムで反則を犯し自陣に攻め込まれるも、追加点だけは阻止したい早大は鉄壁を崩さずモールディフェンスで帝京大を押し返す。5分には服部と杉本安伊朗(スポ3=東京・国学院久我山)がブースターとして投入され、攻撃のテンポに拍車がかかる。しかし真紅のジャージーの圧力を前になかなかトライに結び付けられずにいると、確実なプレーを重ねる帝京大に10分間でノーホイッスルトライを含む3トライを献上し5ー28と点差を広げられてしまう。依然セットプレーではトライエリアへの侵入を許していなかった早大だが、24分にとうとうモールを押し込まれてしまいさらに7点を追加される。やられたままでは終われない早大は28分、再びモールを形成した帝京大を完璧に抑え込みノックオンを誘う。スクラムからフェーズを重ね、栗田がディフェンスラインを突破しゲイン。キックで陣地を押し戻すと、見事なキックチェイスで帝京大はたまらずサイドラインを割る。ゴール前でラインアウトを獲得した早大はモールでトライラインを叩き、キックを服部が冷静に決め、流れを再び引き寄せる。その流れのまま、帝京大のキックオフボールをキャッチした早大は自陣でフェーズを重ねる。9シェイプの裏にポジショニングしていた服部がボールを受け取り、ラインブレイクをするとグラウンド左奥に絶妙なキックを放つ。抜け出しに反応していた山下が持ち味の快速でそのままインゴールに飛びこみ一矢報いるも、試合終了のホイッスルが鳴り17ー35で今夏は黒星を喫することとなった。

ラインブレイクするSO服部
試合後に栗田をはじめとした多くの選手が振り返ったように「ペナルティーの多さが点数に響いた」ことは明らかである。しかしながら、モールディフェンスをはじめとするセットプレー、コリジョンバトルにおいては優位にたった場面が数多く見られたことも事実である。次戦の天理大も紛れもない強敵である。選手たちが今回の結果をどのように捉え、いかにミスを少なくしていくかが次戦のスコアに表れてくるだろう。秋の対抗戦で雪辱を晴らすためにも決して妥協の許されない日々が続いていく。早大のこれからの躍進から目が離せない。
(記事:堀内遥寿 写真:清水浬央、大林祐太、伊藤文音)
コメント
◆CTB野中健吾主将(スポ4=東海大大阪仰星)
ーーチームとしてのゲームコンセプトを教えてください
チームマンというところにキーワードに置きながら、それぞれがやるべきところを全うしようとうところをチームで考えながら挑みました。
ーー1試合通してチームディフェンスの完成度はいかがでしたか
やっぱりチームとしてやってきたことはできていると思いますが、トライを取られたところをしっかり反省すべきかなと思います。
ーーBKラインのアタックを振り返っていかがですか
まだまだチームとして成長できるところはあると思いますし、コミニケーションのところや精度をもう一回り上げていけたらいいなと思います。
ーー10番での出場でしたがいかがですか
10番でも12番でもチームを勝たせるという役割は変わりませんが、より10番はゲームメイクという役割が大事になってくると思います。そこはどうチームを勝たせるかというところが、僕自身もっと成長できるところなのかなと思います。
ーー今日の敗戦をどのように捉えていますか
すごいネガティヴには捉えていなくて、これをどうシーズンにつなげていけるか、どれだけ成長につなげられるかってところが大事になってくると思うので、これからそういうところを大事にしていきたいと思います。
ーー今後の意気込みをお願いします
本当に日本一ってところを目指しながら、目の前の一戦一戦を丁寧に戦いながら、チームとして戦っていきたいと思います。
◆HO清水健伸(スポ3=東京・国学院久我山)
ーー個人のゲームコンセプトを教えてください
遂行力というところです。
ーースクラムの手応えはいかがでしたか
春やったことに対して相手がアジャストしてきていて、こちらも前半の途中にアジャストできたのでよかったと思います。
ーーモールディフェンスで止めきる場面が多かったですが最後押し切られた原因はなんだと思いますか
疲れが見え始めていたのと、自分たちのテーマである遂行力というところに関してチームでできていなかったからだと思います。
ーー今後の意気込みをお願いします
どんな辛い場面でも遂行力にこだわっていきたいと思います。
◆LO栗田文介(スポ4=愛知・千種)
ーー今試合の個人のゲームコンセプトを教えてください
ゲインラインバトルです。自分のフィジカルとモメンタムのところで絶対に負けない。ディフェンスもタックルも低さ、速さで負けないように意識して挑みました。
ーーその達成度としてはいかがでしたか
個人としては通用した部分が多かったなと思います。ディフェンスでもダブルで前に倒すなどいいタックルもできていい部分もあったのですが、自分の弱みであるフィットネスの部分で後半落ちてしまう部分があったので、そこはこの夏合宿で積み上げていきたいと思います。
ーーコリジョンバトルの手応えとしてはいかがですか
試合全体としても、正直なところ自分ではチーム全体が負けてる意識はなく、むしろ勝っているイメージだったのですが、やはりペナルティの多さがこの点数に響いてしまったのかなと思います。
ーーモールアタックの手応えとしてはいかがですか
帝京相手に絶対にワントライ取るということを(目標に)掲げて、春シーズン終わって3週間夏合宿に取り組んできました。ですが、まだ高さであったり、最初の勢いであったり、帝京相手にはまだ通用しない部分があったので、そこはもっとこだわっていかないといけないなと思います。
ーー今後の意気込みをお願いします
今日は点差離れて負けてしまったのですが、これを悪い風に捉えずいい意味で捉えて修正して、次の天理、そして対抗戦にいい状態で挑んでいきたいと思います。
◆SO服部亮太(スポ2=佐賀工)
ーー個人のゲームコンセプトは何ですか
リザーブからの出場ということで、今日は厳しい試合になるだろうなとも思っていたので、しっかり流れを変えられるようにと意識しながら試合に臨みました。
ーーブースターとしての出場でどの部分を修正したいと思っていましたか
僕が出ることによってアタックのテンポを上げようと思っていたのですけど、相手のディフェンスのプレッシャーだったり自分たちのミスってところでうまくいかないところがあったので、そこは次戦に向けて修正していきたいと思います。
ーー試合終盤にビッグゲインをされた場面がありましたが、試合を通して相手ディフェンスのギャップは見えていましたか
だいたいあのような形になった場合には段差のようなギャップが生まれることは頭にあったので、それを頭に入れつつ、状況判断というところでランを仕掛けました。
ーー今後の意気込みをお願いします
しっかり天理に勝ち、対抗戦に向けて準備していこうと思います。