明大新人に完敗 宿敵との差を突きつけられた

ラグビー男子

新人早明戦 6月28日 対明大新人 明大・八幡山グラウンド

 今春、新たに33人の稲穂の戦士たちが、早大ラグビー蹴球部の門を叩いた。花園を制した王者から地方の進学校出身者、さらには2年生での入部者まで、その顔ぶれは多彩だ。迎えるのは、宿命のライバル・明大。高校日本代表を多数擁するエリート集団であり、今も昔もこの両校の構図は変わらない。新人早慶戦に続く新戦力たちの真価が問われる戦い。その舞台は明大・八幡山グラウンド。現在地を測る意味でも重要な一戦が幕を開けた。明大新人のキックオフで始まった試合。早大新人は自陣からも果敢に攻め込み、早大としてのプライドを随所に体現する。だが、その前に立ちはだかったのは明大新人の分厚い防御。立て続けにトライを奪われ、前半を12ー35で折り返す。後半に入っても、明大新人の勢いは衰えず。着実に差を広げられていく。それでも、終盤に意地のトライをもぎ取った早大新人。しかし、最後は明大新人にダメ押しのトライを許し、19ー85でノーサイド。新人戦とはいえ、ライバルとの間にある大きな壁を痛感する試合となった。

キックするPR石原

 明大新人のキックオフで試合の幕が開いた。照りつける灼熱の太陽にも負けない、熱戦の火ぶたが切られる。早大新人はSO山口滉太郎(教1=東京・早実)のロングキックを軸に試合を組み立てる。序盤は互いに蹴り合う展開が続いたが、FB小野晏瑚(スポ1=徳島・城東)が相手の背後に巧みにボールを転がし、プレッシャーをかけてミスを誘発。前半5分、敵陣ゴール前でマイボールスクラムを獲得した。山口とFL小林商太郎(教1=東京・早大学院)が起点を作り、SH川端隆馬(スポ1=大阪桐蔭)がディフェンスの隙を見逃さずラックサイドを突く。そのままインゴールに飛び込んで先制トライ。山口が左隅からの難しいコンバージョンを冷静に沈め、スコアを7ー0とした。勢いに乗る早大新人は自陣ゴール前でも粘り強くディフェンス。WTB佐藤世那(スポ1=神奈川・桐蔭学園)が相手のボールをもぎ取り、FL佐藤一道(商1=東京・早実)からパスを受けたCTB松本桂太(スポ1=神奈川・桐蔭学園)がサイドライン際を一気に駆け上がる。しかし、明大新人の堅守に阻まれ、惜しくもペナルティー。直後のラインアウトからフェーズを重ねられ、失点を許した。さらに16分、スクラムでのプレッシャーから明大新人にトライを奪われ、逆転を許す。反撃の狼煙を上げたい早大新人は、再びディフェンスから流れをつかみにかかる。鋭いタックルで相手の前進を食い止めると、ラック際でボールを奪取。川端が空いたスペースを見逃さずランを選択し、大きくゲイン。一度はボールを失うも、PR石原遼(スポ1=神奈川・桐蔭学園)がラックサイドを駆け上がり、巧みなキックで50-22を成功させる。大柄な体からは想像できない器用さを光らせた。前半26分、直後のラインアウトからLO宮川侑大(スポ1=富山・砺波)が起点を作り、松本がディフェンスをこじ開けてオフロードパス。CTB若林海翔(社1=東海大大阪仰星)につながると、そのままインゴールに飛び込みトライ。スコアは12-14、粘りを見せる。だがその後、明大の自慢のスクラムに苦しめられ、セットプレーから再び失点。さらにラインアウトからの内返しで連続トライを許し、前半は12-35で折り返す。

ディフェンスに仕掛けるFL小林

 後半に入ると、明大新人の勢いはさらに加速する。開始わずか1分でトライを奪われると、そこから立て続けに5トライを献上。フォワードの圧力とバックスのスキルが融合した、明大の真骨頂を見せつけられる形となった。点差は大きく開く。それでも、早大の若き戦士たちは、簡単に心を折られることはない。入部から約3ヶ月、譲れない稲穂の誇りをみせるために。後半30分、失点直後のキックオフから15人全員が前線に出て圧力をかけ、スティールで相手の反則を誘発。SO古瀬莊(スポ1=静岡聖光学院)のキックで一気に敵陣ゴール前へと陣地を進める。直後のラインアウト。モールでじわじわと押し込み、川端が逆目に展開すると、ボールは佐藤世へ。細かくステップを刻みながらディフェンスを切り裂き、ゴールラインをこじ開けた。古瀬が難しい角度からのコンバージョンをドロップキックで決め、スコアは19ー73。意地の反撃で一矢報いる。だが、試合終了間際にも明大新人の猛攻は止まらず、ダメ押しのトライを献上。最終スコアは19ー85。宿敵・明大との一戦は、立ちはだかる壁の高さを突きつけられる結果となった。

モールで明大新人を押し込む選手たち

 入部から3ヶ月。早大の新入生たちの前に立ちはだかったのは、あまりにも高く、そして分厚いライバルの壁だった。新人早慶戦、そしてこの新人早明戦。連敗を喫したことで、いま彼らはライバルとの間に広がる差を痛感する。だが、これは単なる敗北ではない。ここから始まる、新たな出発点だ。「4年生になった時につなげられる負けにしなければならない」(石原)。この悔しさを糧に、日々の鍛錬を重ねる。最後に笑うために。この高くそびえる壁を、全員で乗り越えてみせる。

(記事 大林祐太、写真 村上結太、髙木颯人)

コメント

◆SO山口滉太郎(教1=東京・早実)ゲームキャプテン

ーー今日のチームのコンセプトを教えてください
 接点の部分やボールキャリーのやり方など基礎的なところに力を入れてきたので、それを試合で体現しようというのがコンセプトです。

ーーSOとしての出場でしたが、どのようなことを意識しましたか
 明治大学さんという体の大きい相手にどれだけ強みを出させないか、セットプレーやスクラムに持っていかせないというところを意識してやりました。

◆PR石原遼(スポ1=神奈川・桐蔭学園)

ーー今試合はどんな思いで臨みましたか
 この前の新人早慶で1年が負けてしまい、僕自身はケガで出れてなくて、外で負ける様を見ることしかできませんでした。この試合は何がなんでも勝って、チームの中での1年生の存在感を高めたいと思っていたのですが、明治にやられる形となってしまいました。

ーースクラムを振り返って、課題や収穫はありましたか
 課題だらけですね。相手は重くて強かったです。最初から分かってたことなのですが、そこの部分で低さや、軽い中でもヒットにこだわって勝つのが早稲田だと思っているので、今後詰めていきたいです。

ーーこの敗戦の意味をどう捉えていますか

 大田尾監督(竜彦、平 16 人卒=佐賀工)も仰っていたのですが、4年生になった時に優勝してこの負けが良かったと言えるように、繋げられる負けに自分たちがしていかなければならないと思います。

ーー今後の意気込みをお願いします
 このゲーム、この内容では自分に発言権はないと思っているので地道なところから頑張ってメンバーに絡んでいけるようにしたいです。

◆FB小野晏瑚(スポ1=徳島・城東)

ーー今日のコンセプトを教えてください
 自分の強みであるスピードを生かして強気にアタックしたいと思っていました。ファーストタッチでしっかり自分の強みを出してスピードで勝負できていたところは良かったのですが、ディフェンスで裏に抜かれてきた時に、自分の弱さが出たなと感じます。コンセプトである強気は頑張ってできたかなという印象です。

ーー久しぶりの試合はいかがでしたか
 久しぶりでも試合勘というのはあまり違和感なくできたなと思います。

ーー新人早慶での敗戦から、どのような思いで今試合は臨まれましたか
 もちろん新人早慶で負けた分、練習中からみんなで絶対勝とうと言っていたのですが、こういう結果になってしまって、ここからもっと日々の練習でも意識高くやっていかなければいけないなと思いました。

ーーこの敗戦の意味をどう捉えていますか
 自分たちの実力が分かった上で、これからの一日一日の練習をより高い意識でやっていかなければいけないなというのを改めて認識した試合だったので、この敗戦を糧に『荒ぶる』を目指していきたいと思います。

ーー最後に今後の意気込みをお願いします
 これからより上のカテゴリーに上がって、チームの『荒ぶる』に貢献できるように頑張っていきます。

写真ギャラリー

パスをキャッチするHO野村

ゲインするLO岩尾

ライン際を駆け上がるWTB松本

ラインブレイクするSH川端

力強くゲインするFB國田

メンバー表