招待試合 6月1日 対天理大 奈良・天理親里ラグビー場
春の遠征試合第二戦、天理・親里にて招待試合・天理大戦のホイッスルは鳴った。試合開始早々、早大はハイパントキックをキャッチした天理大にノーホイッスルトライを決められ、出鼻をくじかれる。加えて前半6分、早大のハイボール処理の瞬間を狙い、漆黒のジャージーに一気にターンオーバーされ、連続得点を許してしまう。しかし早大は素早い立て直しを見せ、前半10分にHO清水健伸(スポ3=東京・国学院久我山)が相手のパスミスに素早く反応しゴール中央にグラウディング。すぐさま反撃に出た早大は前半25分にSH糸瀬真周(スポ4=福岡・修猷館)が待望の逆転トライを挙げ、スコアは21ー19に。そのまま流れを天理大に渡さず、前半を21ー19とリードして折り返した。後半もトライを取り合う、まさに激闘となった。後半7分、集中力高くディフェンスを続けていた早大だが一瞬の隙を狙われ相手CTBにラインブレイクされ、再びリードを許す展開に。続く後半15分、前半から続くペナルティーに苦しめられた早大はゴールライン前のモールを防ぎきれず、21ー29とさらに点差をつけられてしまう。なんとか追いつきたい早大は後半27分、ルーズボールに反応したWTB田中健想(社2=神奈川・桐蔭学園)がゴール前まで迫り最後はLO久我真之介(文構2=東京・早実)がゴールラインを叩き、28ー29と点差を縮める。しかしその後は両チームが1トライずつを追加し、35ー36で天理大に軍配が上がった。

力強くゲインするFL田中勇
早大のキックオフで試合が始まると、早大のハイパントキックをキャッチした天理大に意表を突かれ試合開始早々ノーホイッスルトライを許す。続く6分、相手のハイボールをキャッチしたSO仲山倫平(法4=ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ)を狙って天理大が一気にターンオーバーに成功。またもや予想外の攻守の切り替えに対応しきれなかった早大は、痛恨の追加点を献上し出鼻をくじかれてしまう。だがやられたまま黙っている早大ではなかった。10分、天理大からスクラムでコラプシングを勝ち取った早大はタップでリスタート。高速アタックでゴールラインに迫る。一度相手にボールを奪われるも、すぐさま清水がパスカットに成功。そのままトライエリアにグラウンディングし、反撃の狼煙をあげた。ここから攻めに転じたい早大であったが15分、またもや早大のキックをキャッチした天理大に1フェーズでディフェンスラインをブレイクされゴールラインを割られてしまう。7ー19と点差こそ離されたものの、スクラムで優位に立った早大は17分、相手スクラムにプレッシャーをかけ、ミスを誘うと、アタックのテンポに拍車をかけて猛攻を仕掛ける。CTB福島秀法(スポ4=福岡・修猷館)の強烈なアタックに走り込んだCTB黒川和音(人4=茨城・茗渓学園)がオフロードパスをもらいゴール中央にトライ。続く25分にはキック合戦の末、仲山が二人にタックルされながらも田中健想にパスを繋ぐ。持ち味のフィジカルとランで相手タックラーを2人剥がすと、最後は糸瀬がフィニッシュしついに早大が逆転に成功する。終盤に天理大にイエローカードが出されたものの、お互いに意地を見せあう攻防で追加点は入らず早大がリードしたまま21ー19で試合を折り返した。

ラインブレイクするCTB黒川
天理大のキックオフで後半戦の幕が上がると、前半よりも激しさを増した一進一退の攻防が始まる。2分、FL田中勇成(教4=東京・早実)が鋭いタックルからボールを奪い取ると、すぐに取り返そうとした天理大がパスカットに失敗しノックフォワード。スクラムを獲得した早大は天理大を押し切り、アドバンテージを獲得すると、黒川のビッグゲインでゴール前まで迫る。天理大がディフェンスを揃える暇もないほど早いテンポのアタックで早大はペナルティーを獲得し、再びスクラムを選択。天理大ゴール前5mで最大のチャンスを獲得する。しかしここは惜しくも反則を取られてしまい、得点に繋げることができない。7分、相手ラインアウトからの連続アタックをチーム一体となって守っていた早大だったが、わずかなディフェンスの隙間をブレイクされトライを献上。21ー24と再び天理大を追いかける展開となる。さらに15分、早大のオフサイドから自陣ゴール前でモールを形成されトライラインを破られてしまう。度重なるペナルティーを修正しきれない早大は、20分にも大外での好機をスローフォワードで逃し、スコアを追加できない。しかし早大は27分、ルーズボールを田中健想がマイボールにし自力でゴール前まで運ぶとフォローに走っていたLO久我真之介(文構2=東京・早実)がインゴールを叩き割り、28ー29と1点差まで詰め寄る。選手たちの集中力と観客のボルテージが最高潮に達したラスト10分はまさに死闘。互いにフレッシュレッグを投入し、迎えた32分、またもや黒川がラインブレイクし早大は一気に得点の機会が巡ってくる。しかし天理大が見事なインターセプトに成功し、またもや早大を突き放す。すぐに試合を再開した早大は後半35分、敵陣ゴール前でラインアウトモールを形成すると、ボールを清水がねじ込み、点差は再び1点となる。一つのミスが勝敗を左右する最終局面でのチャンスは早大にめぐってきた。相手アタックに強烈なダブルタックルで応戦すると、天理大は堪らずスローフォワードの反則を犯す。最後のセットプレーに早大が選んだのはスクラムだった。スクラムは早大が押し切りアドバンテージを獲得し、確実なプレーで縦に強く当たり続ける。これに天理大も負けじと粘り強いディフェンスで突破を一向に許さない。最後は天理大の圧力を前に早大がノックフォワードをし、35ー36で試合終了の笛が鳴り響いた。

ライン際を駆けあがるWTB田中健想
切迫した今試合で黒川が「(トライを)取りきることに関してはプレッシャーがある中で、より精度を高めていく必要がある」と振り返ったようにトライを取りきれずに得点機会を逃した場面は多くあった。しかし、天理大とのコリジョンバトル、セットプレーにおいては引けを取らず、むしろ押し切ったと言える。今回の課題を上井草に持ち帰り、早大はさらにレベルアップすることだろう。その成果は次週、岐阜の地にて明大を相手に見せてくれるに違いない。
(記事 堀内遥寿、写真 村上結太、伊藤文音)
コメント
◆FL田中勇成副将(教4=東京・早実)
ーー今日のチームとしてのゲームコンセプトを教えてください
自分達にフォーカスすることです。アウェーの中でどれだけ自分たちのラグビーができるかがテーマでした。
ーーディフェンスでの収穫や改善点を教えてください
コンタクトの部分では、劣ってなかったのですが、システムの中でのミスが目立ったのかなと思ってます。
ーー今回の敗戦を経て、どんな課題が見つかりましたか
今日のゲームのようなプレッシャーがかかる中で、いかに今までやってきたことを出せるかが、これからの自分たちの課題であることを再確認した試合でした。
ーー明大戦への意気込みをお願いします
1週間しっかり準備して、積み上げてきたことを発揮できる試合にしたいです。
◆HO清水健伸(スポ3=東京・国学院久我山)
ーーFWとして、どんなコンセプトで試合に臨みましたか
FWは全体のコネクト、繋がりを意識して試合に臨みました。アウェイの中で仲間同士で繋がることで乗り切ろうと話してました。
ーー個人としてはどんなプレーを意識していましたか
個人としては勝負にこだわってました。特にセットプレー、一つ一つの接点での勝ちにこだわってました。
ーーモール、スクラムなどセットプレーを振り返って手応えなどはありましたか
スクラムは前後半で相手が変わったのにアジャストするのが遅れたので修正力を上げていきたいです。また、ラインアウトの成功率が今までよりも低く、精度が下がってしまったので個人的にスローイングスキルを磨き直します。ただ、通用する部分も多くあったので決してネガティブにならず前向きに修正していきたいです。
ーー次戦への意気込みをお願いします
次戦もFWを強みにしてる相手だと思うので接点やセットプレーで前に出れるように準備していきたいです。
◆SO仲山倫平(法4=ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ)
ーーどんなゲームメイクを意識していましたか
早稲田の強みはディフェンスにあるので、エリアを積極的に取りに行くようなゲームメイクを意識していました。
ーーアタックではどんなコンセプトで試合に臨みましたか
アタックのテーマはアクションでした。ストラクチャーを使って接点で前に出ること、勇気を持ってスペースにボールを運ぶことの2点に焦点を当てていました。
ーー天理大のディフェンスの圧力はどうでしたか
コンタクトレベルが非常に高く、ゲインラインのバトルで苦戦しました。また、バックスフェイズでも常に圧力を受けてしまった印象です。
ーーノータイムのアタックではどんなことを考えていましたか
ボールを大切にしようと思いつつ、なんとかゲインラインを取らなければと焦ってしまっていました。その結果、統率が取れずボールロストに終わりました。春の段階で、あのプレッシャーが経験できた点でプラスに捉えています。
ーー今後の意気込みをお願いします
今試合の課題を上井草に持ち帰り、チーム全員でレベルアップを図りたいと思います。
◆CTB黒川和音(人4=茨城・茗渓学園)
ーー個人としてのプレーのコンセプトは何かありましたか
全体ではコンタクトバトル、アタックではスライドスピードの部分を意識しました。
ーーBKのアタックでの手応えを教えてください
BKとして、今週取り組んできたチャンスフェイズでのセットスピード、ポジショニングの部分は遂行できたシーンはあったと思います。ですが、取り切りに関してはプレッシャーがある中で、より精度を高めていく必要があると感じます。
ーー今試合で感じたディフェンスでの改善点や課題を教えてください
今週テーマにしていたコネクトの部分で、内側のFWと声で繋がれず、同じ絵を見れず、相手のラインブレイクを許してしまうシーンが多々ありました。その点に関しては、80分通して繋がり続けられるよう、上井草での練習からゲームライクでやっていきたいと思います。
ーー今後の意気込みをお願いします。
これからもターゲットゲームが続く中で、本日の試合で出たさまざまな課題や学びを改善して、チームとしても個人としてもさらに成長できるよう取り組んでいきます。