悔しさが残る船出となった早大新人 稲穂の責任が芽生える一戦に

ラグビー男子

新人早慶戦 5月31日 対慶大新人 早大・上井草グラウンド

 早大と慶大。常に並び立ち、あらゆる場面で比較され続ける宿命のライバル。受け継がれた伝統、そして誇り。そのすべてを懸けて、大学スポーツ界を牽引してきた両雄が激突する。この春、新たに早大ラグビー蹴球部の門を叩いた新入生たちが、稲穂の誇りを胸に新人早慶戦に挑んだ。大粒の雨が降りしきる中、試合は序盤から両校の意地がぶつかるコンタクトの応酬に。慶大に先制を許すも、前半終了間際、SO古瀬莊(スポ1=静岡聖光学院)の絶妙なキックで敵陣深くまで攻め込み、早大が執念の一撃を返す。スコアは7-7のまま折り返し、勝負の行方は後半へ。しかし、後半は慶大の強固なディフェンスに苦しめられ、主導権を奪い返せない。守りからリズムを掴んだ慶大が着実に加点し、最終スコアは7-22。早大新人たちにとっては、悔しさの残る船出となった。

ボールキャリーするSO古瀬

 慶大ボールのキックオフで幕を開けた一戦。開始直後から激しいコンタクトバトルが繰り広げられ、両校の誇りがぶつかり合う。古瀬の巧みなキックでエリアを奪うと、ディフェンスでは山口滉太郎(教1=東京・早実)と佐藤世那(スポ1=神奈川・桐蔭学園)の両CTBが鋭い出足で慶大アタック陣を次々と仕留める。WTB若林海翔(社1=東海大大阪仰星)は簡単には倒れない力強いランでチャンスを演出するが、激しく降る雨によりボールが手につかず、得点には至らない。均衡を破ったのは慶大だった。前半15分、ラインアウトモールから押し込まれ、ゴールラインを許してしまう。それでも、早大はすぐさま反撃に転じる。SH川端隆馬(スポ1=大阪桐蔭)と古瀬のハーフ団が精密なキックと素早い判断で着実にエリアを攻略。前半29分、体を張って幾度となくピンチを救ってきたLO宮川侑大(スポ1=富山・砺波)がスティールで反則を奪い、慶大ゴール前まで迫る。フォワード陣が力強いアタックでゴールライン間際まで攻め込み、最後はFL佐藤一道(商1=東京・早実)が執念でインゴールをこじ開けた。古瀬のゴールも冷静に決まり、スコアは7−7。試合は振り出しに戻り、勝負の行方は後半戦へと委ねられた。

内側に切れ込むCTB山口滉

 迎えた後半戦。雨脚はさらに強まり、早大は自分たちのリズムを掴めないまま苦しい時間が続く。山口が「一対一の場面で慶大に先手を取られてしまった」と振り返るように、慶大の激しいディフェンスに押し込まれ、主導権を奪われていく。何度も自陣ゴール前まで攻め込まれ、窮地に立たされるが、そのたびに身体を張ったタックルと粘り強い守備で、早大は意地を見せ続けた。だが、後半12分、再びラインアウトモールから押し込まれ、7-12と勝ち越しを許す。悪い流れを断ち切れない早大。後半19分、スクラムからトライを奪われると、後半23分にはほぼハーフライン付近からのペナルティーゴールを沈められ、点差は15点に広がる。何とか意地を見せたい早大だったが、慶大の圧力が衰えることはなく、7-22でノーサイド。早大にとっては、悔しさの残る敗戦となった。

ディフェンスのギャップに仕掛けるSO齋藤

 悔しさが滲む船出となった新人早慶戦。雨に阻まれ、自分たちの形を最後まで作れなかった早大は、宿敵・慶大の圧力に屈する形で試合を終えた。それでも、試合後の選手たちが口を揃えて語ったのは早大ラグビー蹴球部の一員としての覚悟だった。「早稲田として、負けていい試合なんて1つもない」。入部からわずか2ヶ月。だがその胸にはすでに、稲穂の誇りと責任が確かに芽生えていた。この悔しさを糧に、彼らは歩み続ける。いつか赤黒を身にまとい、この敗戦を礎に、宿敵相手に必ず勝利を掴み取ってみせる。

(記事 大林祐太、写真 村上結太、伊藤文音)

コメント

◆CTB山口滉太郎(教1=東京・早実)

 

ーー今日のチームコンセプトを教えてください
 シンプルにやり切ることを決め切って一貫性を持ったアタックとディフェンスをするということです。

ーー個人のコンセプトを教えてください
 自分のテーマは激しいプレーでチームを引っ張ることを掲げていました。

ーー慶大ディフェンスのプレッシャーはいかがでしたか
 一対一の場面で相手に先手を取られて刺さられる場面があったので、次のゲームでは自分たちがいかにして先手をとって、相手より後手に回らず、状況判断とプレーの選択をしていくかが課題だと思います。

ーーこの敗戦をどう捉えていますか
 早慶戦ということで絶対に負けられない試合だったんですけど、次も新人早明戦とまた負けられない試合があるので、そこまでの1ヶ月ほどの期間でしっかり修正していきたいと思います。

ーー4年間の意気込みをお願いします
 とにかく早く『赤黒』を着て、日本一に貢献することが目標なので、国立競技場で『荒ぶる』を歌えるように日々頑張っていきたいと思います。

◆LO宮川侑大(スポ1=富山・砺波)

ーーFWとしてのゲームコンセプトを教えてください
 合わないところが出てきたとしてもコミュニケーションをとってつながり続けることをコンセプトにして試合に臨みました。

ーー個人のゲームコンセプトを教えてください
 このチームのために体を張ることでした。1年生の早慶戦ということで、これからどう評価されるのかにもつながってくる試合だと思うので、このチーム、そして早稲田のために体を張って引っ張ることを意識しました。

ーーセットプレーはいかがでしたか
 ラインアウトのモールディフェンスで押されてしまう場面が結構あって、そこは1年生で修正していかなければいけないことだと思うので、全員で練習して、ここから成長していきたいと思います。
 
ーー慶應ディフェンスのプレッシャーはいかがでしたか
 慶應のプレッシャーももちろんあったんですが、自分たちがミスをして相手にボールを渡してしまう場面が多かったと思います。その防げるミスを防げなかったことが今日負けてしまった原因だと思います。

ーーこの敗戦をどう捉えていますか
 早稲田は負けていい試合は1つもないので、ここから1年生全員で這い上がって、次の新人早明をターゲットに、短いですけど1年生全員で勝てるようにがんばります。

ーー4年間の意気込みをお願いします
 自分が『赤黒』を着て荒ぶるを歌うことがこの4年間の一番の目標なので、そこに向けて1年のうちから成長し続けて、チームのために頑張っていきたいと思います。

◆SO古瀬莊(スポ1=静岡聖光学院)

ーーBKとしてのゲームコンセプトはいかがでしたか
 雨が降っていたので、前に強いプレーを選択しようと話していました。

ーー個人のゲームコンセプトはいかがですか
 雨が降っていたので、キックでエリアをとって敵陣でプレーをすることを意識していました。

ーーご自身のキックが光る場面がたくさんありましたが、いかがですか
 エリアによっての状況判断を間違える場面もあったので、しっかり動画を見ながら反省して、もっとキックを有効活用していきたいなと思います。

ーーこの敗戦をどう捉えていますか
 このチームは絶対に負けが許されないチームなので、一個一個のプレーをしっかり反省して、次の試合で活かせるように、これから一から頑張ろうと思います。

ーー4年間の意気込みをお願いします
 まだまだ自分は上のカテゴリーにあがる実力がないと日々実感しているので、人一倍努力して、早稲田の荒ぶるに貢献できる人材になれるようにがんばります。

写真ギャラリー

ステップを踏むFB肥後

ヒットするPR谷本

ディフェンスに仕掛けるFL小林

ヒットするNO・8荒木

ゲインするPR野村

メンバー表